世界食べ尽くしの旅 Españoleando

スペイン在住のフードライターが、素敵な人達に出会いながら、世界中を遊んで食べ尽くすの記録

キューバでホームスティ④ 世界で一番美味しい食事と世界で一番優しい人達

      2017/08/13

フードライターを生業にしているので、世界中で色々なモノを食べてきました。そんな私が迷いなく「世界で一番美味しかったモノ」をあげるとすればキューバのチャチャの料理です。キューバのド田舎にあるタバコ農園でのホームステイ。自給自足の生活の中で見つけた世界で一番美味しい食事のリポートです。

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キューバのホームステイ先での生活

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電気の無い生活だから冷蔵庫がありません。毎朝その日一日分の食糧を収穫します。キューバの野菜たちは
優しくて、とっても自己主張の強い味。キューバ人の性格にとてもよく似ています。

全ての食材が揃えばチャチャの出番です。彼女は何時も台所にいて、何時も何かを作っています。チャチャは5人兄弟の中で唯一の女性。最年長のお姉さんで皆彼女には頭が上がりません。

 

「女の子なのにジィさん達と外で歩き回ってる方が好きな変わった子やねぇ。一緒に行くのはいいけど、お腹空いたら戻って来るんだよ。」

この農園の人達は決まった時間に皆で一緒に昼ご飯を食べる習慣がありません。それぞれがそれぞれの仕事をしているので、手が空いたり、お腹が空いた時に台所へ現れてチャチャから何か食べ物を貰います。

彼女の居る台所は農園の玄関口となっているので、そこに住んでる人に限らず、遊びに来た人達、通りすがりの人達だってまずは台所へたどり着きます。そうなるとチャチャは誰かが口を開くよりも先に言います。
「ほれ、まず食え。」
だからここへやってくる人達は何かを食べてからではないと喋り始める事が出来ません。

私が初めてここへやって来た時も、チャチャは笑いながら言いました。
「自己紹介の前にまずコレ食え。長旅でお腹空いてるやろ。」

 

キューバのタバコ農園で見つけた世界で一番の美味しさの秘密

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この農園での食事は、私が今まで生きてきた人生の中で一番美味しい食事でした。お世辞でも、誇張でもありません。何故そんなにも美味しかったのか考えて見ました。答えは直ぐに見つかりました。

旬の食材を、採れたて新鮮なうちに食べる。野菜は全て有機栽培。化学肥料一切無し。有機農業で育つキューバの野菜は一つ一つの形や色、大きさが違います。虫や鳥が人間より先に味見をしてしまった野菜や果物も多いです。太陽の匂いが詰まったイキイキとした野菜で、まさにキューバの人達のような味がします。

豚や鶏も農園を自由に歩き回り、ドングリなどの自然な物を食べて育ちます。そんな素材の良さに加えて、調理方が凄いのです。このキッチンを見て下さい。

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ガスも電気も無い場所だから炭火でじっくり調理するのです。今の時代、こんな贅沢な調理の仕方で料理をしてくれる場所を、他の何処で見つける事が出来るでしょうか。何もかもが最上級の条件です。それに加えるスパイスがチャチャと皆の優しさです。

 

世界で一番の美味しさの秘密は優しさのスパイス

チャチャは朝から晩まで台所に籠って、愛情いっぱいの料理を作ってくれます。他の皆は入れ代わり立ち代わり台所へ出入りして、農園で見つけた私が好きそうな食材を届けてくれます。
「これ、まだ食べたことないだろ?チャチャ、これを使って何か作ってあげなさい。きっと気に入るから。」

だからチャチャは私の顔を見る度に何かくれます。
「さっきティトが持ってきた果物、ジャムにしたから食べてみろ。」
「ネネが採って来た野菜、あんたの好きなサツマイモと煮たから食べてから出かけろ。」
チャチャには誰も逆らえないので、どんなにお腹がいっぱいでも食べなくてはなりません。

それにチャチャの料理はどんなに満腹だとしても食べたいのです。だってチャチャの料理は世界で一番美味しいのだもの。
「ねぇチャチャ知ってる?チャチャの料理は世界で一番美味しいよ。世界中を旅した私が言うんだから間違いないよ。あ、でもウチのお母さんの料理も美味しいけどね。」
そう言うと、皆が笑って絶対キューバに連れて来いって言います。本当にウチの母、何時かあの楽園に連れて行きたい。

 

キューバ人の底抜けな優しさに触れて

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毎朝、今日は何が食べたいかと聞かれる度にとにかく野菜が食べたいと答えました。元々ベジタリアンになってもいいと思う位野菜が好きだし、キューバの野菜は半端なく美味しい。

でも何よりもキューバの人達にとって肉類はとても貴重な食材です。持っているモノは全て惜しみなく分けてくれるキューバ人気質を知り過ぎた今、出来るだけ皆の負担にはなりたくない。

タバコ農園での食事は私にとって何よりも豪華なご馳走だったのに、農園の人達はせっかく遥々遠くから来たのにここには何もないと言いました。申し訳なさそうに言いました。それから思いっきりの笑顔を見せて、でもここにあるものは何でも好きなだけ食えと言いました。

そんな彼らの笑顔を見たら、一体他に何が必用なのだろうかと思いました。確かに農園には何もない。でも必要なものは何でもある。

電気もガスも水道も、勿論レストランだってありゃしない。でもあそこは私の楽園でした。優しい褐色の天使達が集うこの世の楽園でした。この世の楽園で食べる食事は本当に夢のような味でした。

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