スペイン料理を代表する美味しいスペインのソーセージ、腸詰を徹底解説
2019/05/29
スペイン、そして豚肉とくれば皆様はイコールで生ハムを思い浮かべるかと思います。でもスペインは生ハムだけじゃないんです。エンブティードス(EMBUTIDOS)と呼ばれる腸詰類がやたら美味しい。なのに主役は常に生ハムに持っていかれ、スペインのソーセージ類は何時だって何だか影の薄い存在。だから今回は日頃生ハムの影に隠れがちな腸詰類、スペインのソーセージ達にスポットを当ててみたいと思います。
チョリソ(CHORIZO)
まずは代表格のチョリソ(CHORIZO)と呼ばれるスペイン特有のソーセージ。スペイン発祥のチョリソですが16世紀にスペインが中南米を征服すると共にチョリソも人々の胃袋を征服し、今では中南米の食文化に欠かせないものとなっています。
このソーセージの一番の特徴は肉を挽かないこと。不揃いに刻んだ豚肉に塩、ニンニク、パプリカ等のスパイスを混ぜ24時間寝かせます。
その後腸詰めにし、2~3日スモークさせてから2~3ヶ月涼しく乾いた場所に吊るし熟成させます。保存料、着色料は一切使いません。鮮やかな赤オレンジの色はスパイスのパプリカの色です。
※チョリソ イベリコ ベジョタ 30,90ユーロ/kg
サルチチョン(SALCHICHON)
対抗馬はサルチチョン(SALCHICHON)と呼ばれるソーセージ。チョリソと全く同じ製作過程を踏みますが、カレーとシチューのように出来上がりに差が出ます。
チョリソのように赤くないのはパプリカを使わないから。塩、粒コショウを基本にオレガノ、ナツメグ、クローブ、コリアンダー等で味付けします。
※サルチチョン イベリコ サラマンカ 20.90ユーロ
ロモ(LOMO)
腸詰め類の中で横綱的存在なのがロモ(LOMO)と呼ばれるソーセージ。ロモとは豚の背肉にあたり、トロのように尊重される場所です。
モノによっては絶対王者の生ハムより高値がつくソーセージ。余分な脂身を省いた豚の背肉をそのまま丸ごと使い腸詰にした贅沢なソーセージです。
切り口をみると脂肪分が霜降り状態で入っています。塩、胡椒、ニンニク、オレガノ、レモン、オリーブオイルに48時間漬けてから3ヶ月熟成。癖の無い味は誰にでも好かれ、価格もさることながらぞんざいには扱えない腸詰めなのです。
※ロモ ベジョタ ハブーゴ 65.90ユーロ/kg
モルシージャ(MORCILLA)
モルシージャ(MORCILLA)は肉を一切使わず、豚の血を凝結させて作る腸詰めです。“固まった血”そのままの黒い色が特徴でかなり癖のある味。病みつきになる人と食べられない人が半分半分。
モルシージャにも色々な種類があります。スペインで一番有名なのはブルゴス産のもの。血の他にもラード、米、塩胡椒、玉ねぎ等が沢山入っているのでモルシージャが苦手な人でも大丈夫だったりします。
※モルシージャ イベリカ 8.95ユーロ/kg
ブティファラ(BUTIFARRA)
ブティファラ(BUTIFARRA)はバルセロナを中心としたカタルーニャ地方のソーセージです。
一般的なソーセージのように豚肉を挽いて作ります。特徴は熟成させない事。腸詰にしたら直ぐに80℃程度のお湯で30分間茹で、その後冷蔵庫で冷やします。翌日から食べられます。
茹でる際にお湯を決して煮立たせないのがコツだそうです。味付けは白コショウ、ナツメグが基本。白いブティファラと黒いブティファラ、2つ種類がありますが黒い方は豚肉の他に脂身や血が混ざっているからです。
※ブティファラ 11.75ユーロ/kg
モルコン(Morcón)
モルコン(Morcón)は ”もったいないおばけ” 精神が生み出したソーセージ。どのソーセージよりも大きく、形が不揃いなのが特徴。
これは他のソーセージを作った後に余った色々な部分の肉集め、大き目に刻んで腸詰めにし、そんな寄せ集めの肉達がきっちり連結するようタコ糸でグルグル縛って熟成させるからです。
※モルコン デ ハブーゴ 21.89ユーロ/kg
カベセロ デ ロモ(CABECERO DE LOMO)
最近私がハマっているのがカベセロ デ ロモ(CABECERO DE LOMO)と呼ばれるソーセージ。豚の背肉の頭の部分を使います。見るからに脂っこいのが特徴。
でも奮発して質の良いものを買うと動物性脂肪がたんまりイコール旨み成分たっぷりで脂身のほのかな甘さに身震いする思い。カロリーを考えても身震いします。
※カベセロ デ ロモ イベリコ 19.90ユーロ/kg
サラミ(SALAMI)
他の腸詰類と比べて安いので冷蔵庫に常備されてるのがイタリア発祥のサラミ(SALAMI)。豚の挽肉に塩、ラード、香辛料、ラム酒などを混ぜて熟成させます。
お値段が優しいのでパンにごっそり挟んでバクバク食べます。サラダに入れても美味しいです。冷凍ピザの上にトッピングしたりします。
※サラミ 7.75 ユーロ/kg
チョリソ ピカンテ(CHORIZO PICANTE)
辛いモノが食べたくなったら辛口チョリソ(CHORIZO PICANTE)です。スペインだけに辛口と命名されていてもそれ程辛くはありません。
スペイン人は辛いのが苦手なんです。唯一の許容範囲がこの辛口チョリソ。赤唐辛子が入っているのでスペイン人的には充分辛いです。
※チョリソ ピカンテ イベリコ 16.50ユーロ/kg
生ハムも腸詰類もイベリコ豚を選ぼう
今回写真に使ったのは高級品のイベリコ豚のソーセージばかりです。キロ当たり10ユーロ前後のソーセージもありますが、高ければ高いほど美味しい腸詰類が食べられるかと思います。
とくにイベリコ豚は同じ豚とは思えないほど味が全く違います。お値段は高くなりますが、せっかくスペインまで来たからには美味しいイベリコ豚の腸詰類を沢山食べて下さい。
大都市には必ずあるデパート、エル・コルテ・イングレスの地下にあるスーパーでバゲットと共に購入してホテルや公園で食べてみてはいかがでしょうか。デパートなら良質のイベリコ豚の腸詰が豊富に揃えられているし、レストランで食べるより断然安くなります。