リトアニアのお母さんが作ってくれた家庭料理、ツェペリナイのレシピ
2017/04/16
リトアニアで一番有名な食べ物はツェペリナイ、飛行船の形をしたジャガイモ料理です。でもこの料理、本場のリトアニアでさえメンドクサイので余り作らない料理です。今回はそんなツェペリナイをホームステイ先のお母さんに無理言って作ってもらいました。メンドクサイだけでなく、失敗も多い手強い料理です。ヨーロッパ在住18年目のフードライターが世界中で素敵な人達に出会いながら、世界中を食べ尽くすの記録。今回はリトアニアのツェペリナイのレシピです。
無理言って特別に作ってもらったリトアニアの国民食、ツェペリナイ
ツェペリナイはジャガイモ団子のような食べ物で、モチモチした厚めのジャガイモの皮の中に、豚肉のひき肉などの詰め物がされています。ツェペリナイはリトアニアを代表する食べ物です。でも家庭で作るのは年に4~6回程度なのだそう。それは決して特別な食べ物という訳ではなく、作るのが難しいし時間がかかるからです。
ツェペリナイはとにかく作り方が面倒くさいんです。 なので今ではツェペリナイが食べたい時はレストランで食べるかスーパーの冷凍モノ、またはお惣菜で既に出来上がってるものを買って食べます。今回はそんなメンドクサイから余り家庭では作らないツェペリナイを無理言って特別に作ってもらいました。
協力しれくれたのはリトアニアの小さな田舎町クルシェナイ(KURSENAI)に住むユオザス(JUOZAS)家の皆さんです。
ツエペリナイの材料
じゃがいも(すりおろし用)3個
じゃがいも(マッシュポテト用)1個
片栗粉 大さじ1
豚肉のひき肉 200グラム
玉ねぎ 小さいの1個
塩、こしょう
※ソースは玉ねぎ、スモークベーコン、サワークリームと塩、こしょうで作ります。
ツェペリナイの作り方
1 ジャガイモを茹で皮をむきマッシュポテトにする。
2 一部のジャガイモは生のまま皮をむき、おろし器ですりおろす。
※ジャガイモは硬いのでおろし器を使うとメチャクチャ大変です。リトアニアでは大抵の家庭でジャガイモをすりおろす専用の機械を持っています。日本の皆様はフードプロセッサーで代用出来るのではないでしょうか。
※おろしたジャガイモは色が変わってしまうので直ぐ調理するかレモン汁を少し加えましょう。
3 おろしたジャガイモを布巾でこして水気を取る。
4 絞り汁は捨てずにボールに入れて暫く置いておく。
5 時間が経つと澱粉がボールの底に沈殿するので汁だけをそっと捨てて澱粉は残しておく。
6 マッシュポテトとすりおろしたポテトを良く混ぜる。沈殿させておいた澱粉を加え片栗粉も少し入れて手でよく練る。
※澱粉がポイントで食べた時にもっちりした食感を与えてくれます。ただジャガイモによっては澱粉質が少ないものもあるので、そんな時は更に片栗粉を加えて粘らせる事が重要です。
※このジャガイモの生地作りに失敗すると、調理している間に破れて具が出てしまったり、モチモチ感がかけてしまうので注意が必要です。もう本当にこの皮作りが一番のポイントでサジ加減が難しいのだそう。そして新ジャガは水分が多いので出来るだけ古いジャガイモを使うのもコツの一つです。
7 中身の具を作る。少量の油を熱したフライパンで玉ねぎのみじん切りを透き通るまで炒めて冷ます。
8 ひき肉に塩、こしょう、冷ました玉ねぎを加えてこねる。
9 カッテ-ジチーズの場合はお好みのハーブを入れて練る。
10 じゃがいもの生地を手のひらの上でのばし、具を包み込んで丸め、こぶし大の楕円形(飛行船型)にする。
※この時しっかり形を整えないと茹でる際に中身が飛び出てしまうので注意しましょう。
11 鍋にたっぷりの湯を沸かして飛行船をゆでる。 12 時々そっと優しくかき混ぜながら中火で30分程茹でる。
13 ツェペリンを茹でている間にソースを作る。玉ねぎはみじん切り、スモークベーコンは細かく切り、フライパンで軽く炒めてから弱火にしてサワークリームを加えて溶きのばす。
※ソースが重たすぎる場合は様子を見ながらツェペリンの茹で汁を加え塩こしょうで味を調えましょう。
乳製品が美味しいリトアニア。特にサワークリームの味が格別。
ソースの味の決め手はスモークベーコン。リトアニア独特の味です。スモークベーコンはスライスではなく固まりで売っているので細かく切って食べます。リトアニアの人達はベーコンと呼んでいましたがベーコンとは全く違う食べ物のような感じで、もっと肉肉しています。 カロリーが高いのはベーコンと同じ。だからダイエット中のお母さんはベーコンを食べません。
サワークリームもカロリーが高いのですが、それは絶対欠かせないのだそう。リトアニア人にサワークリーム抜きの人生なんてありえないのです。そんな訳でユオザス家ではサワークリームとベーコン等の具を一緒にしてソースは作りません。
リトアニア人はサワークリームが本当に大好き。何にでも入れちゃいます。周辺各国でもサワークリームを良く食べますがバルト三国のサワークリームは少し味が違います。何か濃厚な感じ。
ツェペリンを湯でる時間は中の具やツェペリンの大きさによって調節します。茹で上がったら自分が食べられる数のツェッペリンを皿に盛り、お好みでソースをかけて食べます。モチモチしたジャガイモ団子をナイフで半分に切ると肉汁が中からジュワーっと溢れ出るんです。肉のうまみとジャガイモのモチモチ具合が合わさって絶妙の美味しさ。でも私は断然カッテージチーズ派。もう何個でもいけちゃいます。
我が家で本場リトアニアの味再現。ちょっと難しいけどぜひトライしていただきたい。
ジャガイモ、豚肉、サワークリーム。これはリトアニアを代表する食材です。それが全部入ったのが今回ご紹介したツェペリナイ。まさにリトアニアを象徴する食べ物です。 ずっしりと腹持ちの良いツェペリナイ。リトアニア人が大好きなツェペリナイ。良く食べられている料理ですが自家製のツェペリナイに遭遇する機会は非常に少ない。どんな料理上手が作っても皮が破れるなどのハプニングが起こりやすい手強い料理だし、何より作るのが大変メンドクサイからです。
そんな作るのにハードルが高い料理ですが、日本ではなかなかリトアニア料理を食べる機会がないかと思います。なので日本の皆様には是非チャレンジして頂いて、遠い異国の地リトアニアに思いを馳せて頂きたいです。