信長が愛した岐阜を巡る:極上のおもてなしと歴史・絶景ガイド

戦国時代、織田信長は岐阜城を拠点に天下統一を目指しました。冷徹非道のイメージが強い信長ですが、イエズス会宣教師をはじめ多くの有力者たちを手厚くもてなす一面もありました。岐阜県の名所を自ら案内し、武力ではなく文化の力で味方を増やそうとしたのです。今回はそんな「信長公のおもてなし」が息づく岐阜県の魅力を紹介したいと思います。

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世界遺産の冬の奇跡:白川郷・合掌造り集落

663highland, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons

「日本の原風景」とされる合掌造りの集落で、訪日観光客から絶大な人気を誇ります。日本有数の豪雪地帯のため、かつては冬になると孤立し「日本の三大秘境」とも呼ばれていましたが、現在は年間170万人の観光客が訪れる一大観光地。そしてそのうちの約半数が海外からやってくる人々です。

合掌造りの屋根が急勾配なのは、単に雪を落とすためだけではありません。かつて屋根裏で盛んに行われていた「養蚕(かいこ)」のために、広い空間と通気性を確保する必要があったからです。厳しい自然環境の中で生き抜くための、先人の知恵が詰まった建築様式なのです。

注意:冬のライトアップ見学は「完全予約制(抽選方式)」が定着しています。予約がない場合は村内へ入ることさえできないため、半年前からのチェックが必須です。また、観光客の増加に伴い、村内でのマナー(ゴミ捨て・私有地への立ち入り禁止)が非常に厳格に管理されています。

旅のヒント

混雑を避けたいなら、宿泊を伴う訪問をお勧めします。日帰り観光客がいなくなった後の静寂な村を歩くのは、宿泊者だけの特権です。古民家を活用したプレミアム宿がいくつか誕生しています。

名産・名物:

「すったて汁」。茹でた大豆を石臼ですりつぶした「すったて」に味噌や醤油を加えた郷土料理。濃厚でクリーミーな味わいは、凍えた体に染み渡ります。

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川原町

杉山宣嗣, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

信長公が推奨した「楽市楽座」により発展した岐阜の城下町は、イエズス会の宣教師が「バビロンの雑踏」と表現するほど賑わっていました。なかでも川原町は長良川の水運を利用した川湊として栄え、木材や和紙を扱う問屋が軒を連ねていました。

川原町エリアでは「歴史的景観保存条例」に基づき、電柱の完全地中化が完了しました。写真映えする景観がさらに洗練されています。また、多くの町屋がリノベーションされ、高級ブティックホテルや会員制のティーサロンとしてオープンしています。

旅のヒント:

単に歩くだけでなく、岐阜和紙を使用した「岐阜うちわ」の製作体験をしてみてはいかがでしょうか。また、川原町を散策するなら、夕暮れ時が最も美しい時間帯です。各家の軒先に吊るされた提灯に灯がともり、まるで映画のセットのような幻想的な雰囲気に包まれます。

近くで食べたいもの:

「鮎ピザ」。伝統的な鮎を洋風にアレンジしたメニューが、リノベーションされた蔵カフェなどで人気を博しています。鮎の苦味とチーズの相性は抜群です。

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日本三名泉の癒やし:下呂温泉で「美人の湯」を堪能

草津、有馬と並び「日本三名泉」のひとつに数えられている下呂温泉。信長公が豊臣秀吉公などをお供に連れ、心と体を癒やした湯とされています。アルカリ性単純温泉で肌の角質を取り滑らかにしてくれることから「美人の湯」と呼ばれています。

旅のヒント

温泉を楽しむ前に、「下呂温泉 合掌村」へ足を運んでみてください。白川郷から移築された合掌造りの民家で、伝統工芸体験や影絵劇を楽しむことができます。

名産・名物:

「温玉ソフト」は温泉卵とソフトクリームをかき混ぜて食べる新感覚スイーツ。下呂温泉の温泉街を歩きながら楽しむ定番グルメとなっています。

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雲海に浮かぶ「天空の城」:郡上八幡城の絶景

1933年に再建された4層5階建ての天守閣は「天空の城」と呼ばれ、近年大きな話題を集めています。寒さが厳しい明け方に濃い霧が立ち込めると、城が雲海に浮かんで見えることから「幻の絶景」と称されているからです。また紅葉のピーク時に真っ赤なもみじが天守を包み込む様は「天守炎上」と称され、こちらも各メディアで取り上げられています。

注意:「天空の城」の現象が見られるのは10月下旬から12月上旬の、晴天かつ風の弱い早朝です。2026年は展望スポットへのシャトルバスが事前予約制となっており、過度な混雑を避ける工夫がされています。

旅のヒント

城を眺めるだけでなく、城下町での「食品サンプル制作体験」を組み合わせて下さい。実は郡上八幡は、日本の食品サンプルの生産量日本一を誇る町でもあるのです。

ここでしか食べられないもの:

「郡上鮎の塩焼き」は全国の鮎を食べ比べる「清流めぐり利き鮎会」で何度もグランプリを獲得している最高級の鮎。その身の甘さは格別です。

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標高2,000m超の世界へ:新穂高ロープウェイのパノラマ

Alpsdake, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

日本唯一の2階建てロープウェイに乗って終着点の西穂高口駅に行けば、展望台から標高2,000mを超える北アルプスの雄大な景色を360度の大パノラマで楽しむことができます。

山頂エリアの「頂の森」に、北アルプスを一望できる吊り橋型デッキが全面リニューアルオープンしました。冬季は防寒対策が必須ですが、展望台は床暖房完備の屋内スペースも拡充されています。

旅のポイント

時間に余裕があれば、中間駅の「しらかば平駅」周辺にある露天風呂を楽しんでください。標高1,300mでの入浴は、登山をせずとも山の息吹を感じられる贅沢な体験です。完全貸切制のプライベートスパも新設されています。

近くで食べたいもの:

「飛騨牛まん」。寒い山頂で食べるアツアツの牛まんは、肉汁がたっぷりで格別の美味しさです。

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アニメの聖地:大垣城の物語

西軍が本拠地とした堅城で、関ケ原の戦いでは壮絶な攻防戦が繰り広げられました。昭和20年の大垣空襲で天守や櫓などが焼失してしまいますが後に再建。大ヒットした劇場アニメ『聲の形』の舞台となったことで「聖地巡礼」をする観光客でも賑わうようになりました。

旅のポイント

大垣は「水の都」としても知られています。城を見学した後は、市内を流れる水門川(すいもんがわ)の「たらい舟体験」がお勧めです。特に春の桜の時期は絶景です。

名産・名物

「水まんじゅう」は大垣の美味しい湧き水を使って作られる夏の風物詩です。お猪口に入った見た目も涼やかで、つるんとした食感がたまりません。

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石畳が語る街道の面影:馬籠宿の美しき坂道

z tanuki, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons

江戸と京都を繋ぐ中山道は江戸時代に整備された五街道のひとつ。街道沿いに多くの宿場町があり、江戸時代の面影を今に残しています。岐阜県を代表する宿場町は石畳の美しい坂に沿って続く馬籠宿。日本を代表する文豪、島崎藤村の出生地で代表作「夜明け前」の舞台となった場所です。

馬籠宿は全国的にも珍しい「坂のある宿場町」です。上から歩くか、下から歩くかで印象がガラリと変わります。坂の途中にある水車は今も現役で動いており、水力発電によって宿場の街灯の一部を賄っているというエコな一面もあります。

馬籠宿から妻籠宿(長野県)へと続く「中山道ハイキングコース」では、スマートフォンのGPSを利用した多言語オーディオガイドが無料提供されています。また、宿場内での大型車両の通行制限が強化され、より静かな環境で散策を楽しめるようになっています。

旅のヒント

藤村記念館を見学した後は、さらに足を伸ばして「展望広場」へ。恵那山(えなさん)を背景にした馬籠宿の全景を見渡すことができ、SNSでも大人気のスポットです。

ここでしか食べられないもの:

「五平餅」。この地域の五平餅は、わらじ型ではなく小さな団子がつながった形をしているのが特徴です。クルミやゴマがたっぷりのタレが香ばしく食欲をそそります。

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岐阜城

防衛の拠点として金華山の頂きにつくられた岐阜城。信長公はこの城にも特別な客人を招き入れ、手厚くもてなしました。岐阜の街を一望できる天守からの大パノラマは信長公自慢の景色だったといいます。また、信長公が本拠地とする前に、天才軍師の竹中半兵衛が知略を巡らし、わずか16名で乗っ取った城としても有名です。

近くで食べたい名物:

金華山麓の茶屋で味わえる「信長どて煮丼」。八丁味噌でじっくり煮込まれた牛すじは、濃い味を好んだとされる信長公の好みをイメージさせます。

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1300年の伝統が織りなす幻想的な夜:長良川の鵜飼

鵜飼とは水鳥の鵜を手縄で操り川魚を捕らえる漁法です。岐阜市内を流れる長良川では1300年以上前からこの伝統漁法が受け継がれてきました。船に乗った鵜匠が12羽ほどの鵜を操り、篝火(かがりび)に集まってくる鮎を獲ります。川岸からも見ることができますが、鵜飼観覧船に乗ればより近くで鵜匠の技を見学できます。信長公は豪華な船で鵜飼観覧を行い接待の場とし、徳川家康公もたびたび岐阜を訪れては鵜飼を見物していたといいます。

鵜飼の歴史をより深く知るには、昼間に「長良川うかいミュージアム」を訪れることをお勧めします。鵜匠の生活や鵜の生態について、4K映像を交えた迫力ある展示が楽しめます。

注意:2026年度の鵜飼開催期間は5月11日から10月15日までです。鵜飼観覧船のチケットは現在、完全デジタルチケット化されており、乗船場所でのスマートフォン提示が必要となります。

近くで食べたい名産:

「鮎の塩焼き」を絶対に食べて下さい。長良川の鮎は、その香りの良さから「香魚」とも呼ばれます。特に鵜飼で獲れた鮎は、鵜のくちばしの跡がつくことで身が引き締まると言われています。

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「飛騨の小京都」:飛騨高山の風情を歩く

Chme82, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

岐阜県の山間部に位置する飛騨高山は、江戸時代の文化資源をはじめ歴史的建造物が数多く残り「小京都」と称されています。高山がこれほどまでに豊かな文化を育んだ理由は、江戸幕府の「天領(直轄地)」だったから。豊富な木材資源を背景に、優れた飛騨の匠たちがその技を競い、豪華な祭屋台や美しい町並みを作り上げました。また、豊かな自然に囲まれているため、四季折々の美しい景色も楽しむことができます。30年以上前から訪日観光客の誘客に力を入れており、人口8万人の町に海外から毎年60万人もの人々が訪れます。

旅のヒント

「古い町並(上三之町)」だけでなく、日本で唯一現存する江戸時代の代官所「高山陣屋」の見学を忘れずに。2026年度は、当時の役人の仕事を再現したプロジェクションマッピング展示が公開されています。

近くで食べたいもの:

「飛騨牛の握り寿司」。古い町並みを歩きながら食べられるスタイルで大人気です。口の中でとろける最高級の脂の甘みを楽しんでください。

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ユネスコ無形文化遺産:豪華絢爛な「高山祭」

高山市で古くから受け継がれている高山祭は春と秋に開催されます。「日本三大祭」のひとつで、ユネスコの無形文化遺産に登録されています。伝統装束を身にまとった数百名の大行列と、豪華絢爛な祭屋台が町を練り歩きます。夜になると各祭屋台に100個近くの提灯が灯されます。

注意:2026年度の開催日は、春(山王祭)が4月14日・15日、秋(八幡祭)が10月9日・10日です。これらは固定日ですが、2026年は週末と重なるため、宿泊施設の予約は1年前から埋まり始めています。ドローンによる空中からの生配信も予定されています。

旅のヒント

祭の期間外に訪れる場合は「高山祭屋台会館」へ。本物の祭屋台が常時展示されており、その細密な彫刻や刺繍をじっくりと観察できます。

祭屋台に搭載されている「からくり人形」は、複雑な糸操りによってまるで行きているかのように動きます。この精巧な技術が、後に日本のものづくり(ロボット産業など)の精神的なルーツになったとも言われています。

名産品:

「飛騨の地酒」。高山祭の時期には、市内の酒蔵が限定の「祭酒」を振る舞います。厳しい冬の寒さと清らかな水が育んだ、キレのあるお酒です。

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炎と勇壮な男たちの共演:手力の火祭

4月の第2土曜日に開催される豪快な火祭で、300年以上の歴史をもちます。爆竹と半鐘が鳴り響く中、男衆が火薬を仕込んだ御輿を担ぎ火の粉を巻き散らしながら町中をねり歩きます。この祭りの見どころは「御輿(みこし)から吹き出す火」だけではありません。実は担ぎ手の背中にある仕掛け火薬も同時に点火され、男衆は文字通り火の海の中を踊り狂います。その勇壮な姿は、五穀豊穣と悪霊退散を祈願する神聖な儀式なのです。祭にあわせて参道の鳥居にかけられる重さ1トンの大しめ縄も見所のひとつです。

注意:2026年度の開催日は4月11日(土)です。安全確保のため、観覧エリアへの入場規制が行われる場合があります。火の粉が舞うため、ナイロン製の衣服は避け、燃えにくい綿素材の服装で参加することが推奨されています。

旅のヒント

本祭を見逃した方は、8月の第2日曜日に行われる「手力の火祭・夏」も検討してみてください。長良川河畔で開催され、冬とはまた違った幻想的な火の演出が楽しめます。

近くで食べたいもの:

「ながらうどん」。岐阜市近郊で親しまれている、細めでコシのあるうどん。祭りの後の冷えた体には、温かいだしが効いたうどんが最高のごちそうです。

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とろける贅沢、岐阜の誇り:飛騨牛の極み

岐阜県で14ヵ月以上肥育される黒毛和牛で、その中でもさらに選び抜かれた肉だけが飛騨牛を名乗ることができます。キメ細やかな霜降り肉が特徴で、筋肉の繊維が細かいため口に入れるととろけるような食感をもちます。神戸牛に比べ脂身が少ないので、後味がさっぱりしているのも特徴のひとつ。赤身と脂肪のバランスが絶妙な、芳醇な香りとほんのりとした甘味をもつ肉です。

旅のヒント

高級ステーキだけでなく、リーズナブルな「飛騨牛焼肉」や、飛騨牛を100%使用したハンバーガーショップを訪れるのも現代のトレンドです。2026年には熟成肉(エイジングビーフ)専門の飛騨牛レストランも注目を集めています。

おすすめの食べ方:

「飛騨牛の朴葉味噌焼き」。後述する郷土料理との組み合わせは、岐阜を代表する究極の美食体験です。

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香ばしさに包まれる郷土の味:朴葉焼き(ほおばやき)

Gofukuji, CC0, via Wikimedia Commons

飛騨地方に伝わる郷土料理で、肉や野菜、キノコなどに自家製のこうじ味噌をからめ朴の葉にのせて焼きます。食材が凍ってしまうほど寒さの厳しい飛騨地方の人たちが、囲炉裏に朴葉を敷いて味噌や漬物を温めて食べたのがはじまりだとされます。朴葉は丈夫で火に強いだけでなくカビの繁殖を抑える力もあるため、寿司や餅を朴葉でくるんだ郷土料理も存在します。

専門的な知識:

朴の葉(ホオノキ)は、日本で自生する樹木の中でも最大級の葉を持ちます。その成分には、殺菌作用があることが科学的にも証明されています。冷蔵庫がない時代に、食材を保存し、かつ美味しく食べるための素晴らしい知恵だったのです。

近くで買いたい名産:

「朴葉寿司」。酢飯に鱒や山菜をのせ、朴葉で包んだもの。持ち運びがしやすく、初夏の季節限定の味わいです。

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清流の賜物、川魚の王様:鮎(あゆ)

「川魚の王様」とされる鮎は古くから岐阜県の特産品で、塩焼きやフライ、甘露煮、鮎めしなど様々な形で調理されてきました。また岐阜と熱田を結ぶ尾張街道は、長良川の鵜飼で獲れた鮎でつくる鮎鮨を江戸の徳川家康に献上する際に利用されたことから「御鮎街道」の別名をもちます。

鮎は一年で一生を終えるため「年魚(ねんぎょ)」とも呼ばれます。また、川の石についた苔(こけ)を食べて育つため、その川の質が直接味に反映されます。「清流長良川」の鮎が美味しいのは、豊かな山々が育む水の透明度が高いからに他なりません。

旅のヒント

食べるだけでなく、自ら竿を出す「鮎釣り体験」も人気です。2026年には、初心者でも手ぶらで参加できるインストラクター付きのフィッシングツアーが拡充されています。

ここでしか食べられないもの:

「熟成鮎のうるか」。鮎の内臓を塩辛にしたもので、お酒の肴として珍重されます。大人のための、深く濃厚な味わいです。

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