スペインのキャンプ事情 ヨーロッパ人のバカンスの過ごし方
2019/05/17
待ちに待った8月のバカンス!不況が長く続くスペインではキャンピングが大人気。それにスペインの、ヨーロッパのキャンプ場って色々と凄いんです。
スペイン人にとってバカンスは一番大切な年間行事
8月となりました。マドリッドの今日の気温は32度、スペイン南部の内陸部では42度の殺人的暑さが続いています。8月はスペイン全国民が待ちに待ったバカンスの季節。海へ山へと民族大移動となります。
特に暑くて海の無いマドリッドの人達は、本当に誰もかれもがこの街から居なくなります。人口580万人中450万人もの人々が一斉にマドリッドから居なくなる様は圧巻の一言。
なんせ皆さん1ヶ月もバカンスがあるというのに、一日でも無駄遣いしたくないのか誰もが皆8月の初日に旅立たれるのです。だから道路は毎年大・大渋滞。そんなもの凄い渋滞に巻き込まれながらも、バカンス初日でウキウキ楽しそうなスペイン人達の映像がテレビを賑わすのが恒例です。
スペインではバカンス中は国の機能がストップする
これだけの人々が街から居なくなってしまうので、バカンス中は多くの機能が麻痺します。電車もバスも本数が少なくなり、お店も閉店。お役所仕事に至っては機能が殆ど停止します。
病人ですらバカンスに出かけるので、何時も大変込み合っている病院も8月は閑散としています。そもそも一部を除いて医者や看護婦達もバカンスで居なくなるので、この時期下手に病気にもなれません。
とにかくバカンスにかける意気込みが日本人とは違うのです。金融機関に借金してまでも欠かせない、一年の最大重要行事がバカンスなのです。
お金がない。でもバカンスしたい。
世界的大不況の今、聖なるバカンスに出かける事が出来ない人達も多いらしいです。マドリッドでは昨年と比べて街中のプールが2倍の利用客となっているのだとか。
かろうじてバカンスに出かける事が出来た人達も財布の紐が固いらしく、レストランや土産物屋の売り上げは昨年比で大幅ダウン。ホテルだってまだまだ空きがあるのだそう。
そんな大不況の中、めちゃくちゃ利用客が増えているのがキャンプ場。今年は夏前からテントが品切れになっているスポーツ店が続出なのだとか。
スペインのキャンピング事情
お金が無いからキャンプ。ホテルに泊まるより安いだろうけど何か貧乏くさい。なんてスペインのキャンプ場をあなどるなかれ。ホテルと同じように星でランク分けされ、最高級の1つ星キャンプ場には本当に素晴らしい設備が整っています。
温水プール、室外プール、ジャクシー、スポーツジム、テニスコート、バスケットコート、卓球場、ミニゴルフ、お散歩用の庭園。
娯楽施設だけでなく生活に必要なモノが全て揃っています。雑貨屋さん、村のスーパーより確実に品揃えの良い付属のスーパー、焼き立てのパンも購入できます。コインランドリーや美容院だってあります。なんならアイロンやアイロン台広場みたいなとこまであります。
本屋や土産物屋もあり、大規模なコンサート会場があるキャンプ場も。レストラン、カフェバーは基本中の基本で、夜中にはディスコになります。生演奏もあったりして、老若男女楽しそうに夜更けまで踊っています。
スペインには沢山のキャンプ場があるので競争が激しく、特に地中海沿いのキャンプ場は本当にレベルが高いのです。今年のヨーロッパ最高のキャンプ場に選ばれたのもスペインの地中海沿いにあるカステジョンのキャンプ場でした。
※寒い季節だって快適なキャンプ生活が出来るようシャワー室には暖房設備が。
スペインのキャンプ場ではスペイン語を話す人の方が少ない
最近は不況のせいでスペイン人のキャンプ熱が沸騰していますが、スペインのキャンプ場は昔から太陽を求めてやってくる北欧の人達、イギリス人、ドイツ人達に大人気でした。
なのでスペインにありながらスペイン語が全く聞こえない、従業員も英語しか話せない、そんなキャンプ場だって存在するのです。
ヨーロッパは地続きの国です。夏になるとキャンピングカーに家財道具一式を全て詰め込んで、太陽を求めて南下する寒いヨーロッパの国の人達がいっぱいいます。
日照時間が長く、物価も安く、陽気で明るいお祭り好きなスペイン人のいるスペインは夏のバカンスを過ごすのに最適な国なのです。
ヨーロッパの人達のキャンピングカー暮らし
日本の感覚では考えられない、キャンプ場を半年もしくは年間で借りている定住型の人々の存在にも驚きます。定年を迎えたイギリス人、ドイツ人のカップルが多く、大型キャンピングカーの中で家財道具満載で暮らしています。
キャンピングカーは冷暖房完備で、キッチン、冷蔵庫、衛星テレビだってあります。車の外にはテラス席を設け、バーベキューセット、お昼寝用チェア、本当に何もかもを揃えて不自由なく暮らしているのです。
長い間同じ場所に居るので近所付き合いなんかも盛んで、中には自分のキャンピングカーに自国の国旗を立て、同国人の溜まり場として毎夜トランプ遊びなんかで楽しんでいる人達も。
トイレの傍の共同スペースには読み終わった各国語の雑誌や新聞などが置かれ、皆で回し読みして楽しんでいる模様。
毎年同じ場所を借りる人達が多いのでご近所付き合いが盛んなのもスペインのキャンプ場の特徴。もちろん郵便配達の人達だって顔なじみです。
キャンプ場のレストラン
キャンプ客達は自炊も楽しみますが、レストランも大盛況です。キャンプ場にあるにもかかわらず「カジュアルな格好はご遠慮下さい。」なんてレストランが多いのには驚きました。
皆さん自分達のテント周辺では短パン、水着で過ごしているのに、レストランにはキチンとした格好でいらっしゃるのです。中にはネクタイ&スーツの人達も。
日本では「おばあちゃん」なんて呼ばれているであろう年代の方達も、かなり露出の高いワンピースにヒール姿で旦那様と食事を楽しんでいます。しかも食後は手に手を取って夜更けまで一緒にダンス。人生を謳歌する、若者なんかに負けず劣らず楽しんでる感じが本当に羨ましかったです。
キャンプ場ですから、ロケーションは最高です。海や山、夜にはライトアップされたプールを眺めながらする食事は何ともゴージャス。それでいて基本はキャンプ場なのでお値段はホテルに比べれば大変リーズナブルです。
ヨーロッパ人達のバカンスの過ごし方を学ぶことが出来るキャンプ場、是非一度試してみてはいかがでしょうか。