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スペインのクリスマスの過ごし方 世界のクリスマス、スペイン編

      2019/12/25

スペインのクリスマスにはサンタクロースではなく東方の三博士がやってきます。彼らが1月5日に子供達にプレゼントを配り、ようやくスペインのクリスマス期間が終了します。12月24日に始まり1月6日まで続く、暴飲暴食三昧のノンストップ長期間耐久レース。それがスペインの長い長いクリスマスの実態です。

スペインにサンタクロースはやって来ない。やって来るのは東方の三博士。

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東方の三博士とは新約聖書に登場する人物です。「占星術の学者達が東の方からやって来た」とだけ記述があり、新約聖書のどこにも人数は明記されていません。でも彼らがイエス・キリストの誕生時にやって来て乳香、没薬、黄金を贈り物として捧げたと伝えられているので、その贈り物の数から「三人」とするのが定着したようです。

最近では赤い服を着て、トナカイの橇に乗った白ヒゲのサンタクロースも街のデコレーションに増えてはきました。でもスペインではやっぱりエキゾチックな顔立ちの、ラクダに乗ってやってくる3人の博士達の方が馴染みは深いです。

プレゼントが貰える日も東方の三博士がやって来る次の日、1月6日。だから今も昔もスペインの子供達にとってクリスマスのメインは1月6日です。朝起きると直ぐにクリスマスツリーが飾ってある場所に駆けつけ、自分の名前の書かれたプレゼントを探します。

一年間良い子にしていた子供達だけが欲しかったプレゼントを貰います。きちんと宿題をしなかったり、言う事を聞かなかったりした子供達はプレゼントの代わりに木炭を受け取ります。

サンタクロースは皆が寝静まった真夜中、こっそり煙突からやって来ます。何事も自己主張の強いスペインなので、東方の三博士も1月5日の夜にド派手にやって来ます。幻想的な創造物を引き連れて、まるでディズニーランドのような光り輝く幻想的なパレードで彼らの到来を街中に知らせて回るのです。

楽しくて綺麗なパレードなので毎年多くの人達が見に行きます。子供達の楽しみは当方の三博士達がばらまくキャンディー。皆必死に手を差し伸べ、床に落ちたキャンディーをかき集めます。

ポケットをキャンディーでパンパンにした子供達を見るのは微笑ましいのですが、近年このばらまきキャンディーが色々な企業の名前入りになっているのは余り微笑ましくありません。

 スペイン人達のクリスマスの過ごし方

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スペインに限らずヨーロッパではクリスマス休暇が夏のバカンスと同じ位大切な行事。どんなに遠く離れた場所に住んでいても、一年に一回、クリスマスの日には家族全員が一箇所に集まって食事をします。一年に一度のビックイベントなので、お母さん達は本当に張り切って料理をします。

クリスマスの食卓には高級な食材を使った、ハイレベルでいかにも高カロリーなご馳走が毎日毎日これでもかって量で並びます。特にスペインはクリスマスの期間が他の国より長いので、ご馳走を食べる期間も長く、クリスマスに太る人の確立は120%と言われています。スポーツジムへの登録が一番増えるのもクリスマス休暇の後なのだそう。

そんな長いクリスマス期間の中で、特に大切なのは12月25日と1月6日の食事。例え海外で勉強していても、結婚して県外へ引っ越していても、どんなに遠くに居ても両親の家に帰って家族皆で食卓を囲まなければなりません。強制ではありませんが、クリスマスに実家に帰らない人達は冷血漢な非国民ぐらいの扱いをされます。

カップルの場合はそれぞれの実家に帰省する事が多いのですが、子供を持つとクリスマスの食事をどちらの両親の家で食べるかで喧嘩になる事が多いです。苦肉の策としてお互いの実家が近い場合は、24日は彼女の、25日は彼の実家で食事をする、なんて取り決めを事前にします。

実家同士が遠い場合は、12月のクリスマスを彼女の、1月6日を彼の家で過ごす、1年交代にする、中間地点に家を借りて両家で過ごす、とにかくどちらの実家にも不公平にならない事が重要なのです。

とにかく大事なクリスマス。だからクリスマスには街の機能が殆どストップします。誰もクリスマスに働きたくありません。レストランやお店で働く人達、バスの運手士、誰にだって家族がいます。特に12月25日は何もかもが殆ど停止する日。街中で歩いている人すらいません。誰もが皆、家で家族と過ごしているからです。

スペインに限らずヨーロッパではクリスマスは絶対一人で過ごしてはいけない日

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都会に住む人達は地方出身者が多いです。外国人も多い。だからクリスマスになると街の人口が激減します。常日頃、観光客で溢れているバルセロナですら、クリスマスの日には誰もが消えてしまったかのように、街全体から人が居なくなってしまいます。この時期バルセロナに残っている人達は

(1)両親がバルセロナに住んでいる人達

(2)日本人のようにクリスマスに対する思い入れが少ない人種の人達

(3)クリスマスに対する思い入れが人一倍強いけれど、距離的、時間的、経済的、何かしらの理由で故郷に帰れない人達

例えば南米出身の人達が(3)に当てはまります。南米の人達は人一倍クリスマスを大切にする人が多く、クリスマスを家族と一緒に過ごせない事を心底悲しみます。一人じゃこの悲しみを乗り越えられない、とばかりに同じような人達を集めてパーティーをします。

クリスマスに一人で食事をする事が、生きている中で一番辛い事だとの共通認識があるので、誰かが孤独だと耳にすれば是非パーティへ来るよう真剣に誘います。クリスマスだからこそ皆で助け合って、一人でも多くの寂しい人達を救済したい、との気持ちが強いようです。

 - スペイン, 南欧