
Utagawa Kunisada, Public domain, via Wikimedia Commons
相撲は日本の国技にして伝統文化です。力士たちが土俵上で対戦し、押し合い、突き合い、投げ技を駆使して相手を土俵外に出すか、地面に倒すと勝利が決まります。相撲には独自の慣習があり、それを知ることで更に観戦が楽しくなります。
神事からスポーツへ!日本が誇る「国技・相撲」
相撲は力比べや取っ組み合いから発生した競技です。4世紀頃から存在したとされ、現存する日本最古の書物『古事記』(712年)にも、相撲に関する記述があります。
当初は、力自慢を闘わせ、その勝敗で農作物の収穫を占う神事でした。また、豊作の年には感謝の意を込めて、各地の寺社で奉納相撲が行われました。
鎌倉時代になると武士の戦闘訓練として、江戸時代になると庶民の娯楽として発展し、相撲を職業とする人たちが現れたといいます。
力士の象徴「まげ」

Richard Giles, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons
江戸時代、武士や庶民の間で一般的だった髪型がまげです。明治維新の際に、欧米の文化を取り入れることで近代国家を目指そうとした政府により「断髪令」が布告されました。しかし、相撲の力士だけは、生きた伝統の守り手としてまげを結うことが許されました。以降、まげは力士の象徴となりました。
一生に一度の感動「断髪式」
まげは力士の象徴なので、引退する際にはまげにハサミを入れて落とす断髪式が行われます。土俵の中央に座る力士の髪を、親方や関係者が一人一人順番に大きなハサミで切っていくのです。
まげの手入れ
まげは「鬢付け油(びんづけあぶら)」を大量に使用して形を整えます。そのため、何度もシャンプーしないと油が落ちません。また、冬場だと油が固まってしまうので洗面器にくんだお湯に髪をつけてから洗わなければなりません。
また、髪を洗った後は専門の職人に髪を結ってもらわなければならないので、力士たちは頻繁に髪を洗うことができないのだそう。
まげの種類
力士の階級によって、まげの形は異なります。十両以上の関取になると、より華やかな「大銀杏(おおいちょう)」を結うことが許されます。
使用される鬢付け油は、バニラのような独特の甘い香りがします。国技館周辺でこの香りが漂ってくると、「あ、力士が近くにいるな」と実感できるのも相撲観戦の醍醐味です。
「まわし」に関するあれこれ
力士がまわし姿で相撲をとるのは、武器などをもたず、正々堂々と戦うことを示すためだといいます。また、取り組みの前に力士が行う塵手水(ちりちょうず)も、腕を大きく開くことで武器などを持っていないことをアピールするための所作です。
まわしは洗濯しない?
力士のまわしは、何度使っても洗わないのが習わしです。正絹をつかった西陣織などのため高額であると同時に、洗濯すると生地が弱くなってしまいます。そのため、まわしは引退するまで一度も洗われることがありません。
また、「運を水に流さない」というゲン担ぎの意味もあるといいます。稽古用の安価な木綿まわしも洗わず、使い古したら廃棄するといいます。
豪華絢爛!「西陣織」の化粧まわし
関取が本場所で使用する「化粧まわし」は、豪華絢爛な刺繍が施された西陣織などで、1本数百万円することもあります。後援会から贈られることが多く、力士の「看板」とも言える存在です。
「行司」に秘められた不退転の覚悟

John Paul Antes, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
進行役かつ相撲の勝敗を判定する行司は、帯に短刀を差しています。これは間違った判定をした場合、切腹して責任をとるという覚悟を示しているといいます。
土俵が丸い理由
相撲にはもともと土俵はありませんでした。力比べをしていると、周りに人垣が丸くできたことが土俵の始まりだといいます。また、円型だと隅に追いやられることがなく、回り込んで形勢を逆転することが可能です。土俵が丸いことで様々な技が生まれ、それが相撲の面白さにつながったのだそう。
力士が撒く「清めの塩」
相撲は豊作を願う神事だったので、土俵は神聖な場所とされていました。そのため、力士は取り組み前に邪気を祓う清めの塩を神聖な土俵にまきます。その伝統が今でも受け継がれているのです。
東京と名古屋場所では、愛媛県で製造されている「伯方の塩」が使用されています。粒が大きいため土俵に舞う姿が映えるといいます。同社のサイトによれば、1場所15日間で約520kgの塩がまかれるので、力士ひとり1回につき約500gの計算になります。
力士が四股を踏む理由

Utagawa Kunisada, Public domain, via Wikimedia Commons
四股(しこ)とは力士が土俵で片足を高く上げ、強く地を踏むこと。この四股を踏むことで、土地から邪気や災いを追い払い、豊作を祈願したといいます。
究極の心理戦「立ち合い」
相撲の取り組みは、行司の「はっけよい、残った!」の掛け声で始まると思われがち。しかし、実際は力士同士がにらみ合い、お互いの呼吸を合わせたタイミングで始められます。これは立ち合いと呼ばれ、相撲の醍醐味のひとつとなっています。行司という主審がいながら、対戦する2人によって自主的に競技が開始されるのです。
土俵が女人禁制の理由
土俵は女人の立ち入りが禁止されています。これは相撲が神事であった名残で、豊作を司る神様が女性なので、土俵に女性をあげると神様が嫉妬してしまうからだといいます。
強さの源「ちゃんこ鍋」
力士の平均体重は150kg。体を大きくすることも稽古の一環なので、成人男性の約3倍以上のカロリーを摂取するといいます。力士が毎日食べるちゃんこ鍋は、野菜や肉、魚がふんだんに使用されたバランスの良い食事で、栄養価も高いといいます。
また、力士の食事には「鶏(二本足で立ち、手をつかないことから縁起が良いとされる)」が好んで使われるという伝統も、今なお大切にされています。
相撲の聖地「両国国技館」で味わう至高の臨場感
相撲の殿堂といえば、東京・両国にある国技館です。1月・5月・9月の本場所が開催され、多くのファンで賑わっています。
入場料:席種によりますが、4歳以上はチケットが必要です。イス席の需要が高まっており、溜席(たまりせき)や枡席(ますせき)だけでなく、快適な上部イス席も人気です。


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