世界食べ尽くしの旅 

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スウェーデンのようでいてフィンランドなオーランド諸島でホームスティ

      2018/03/15

フィンランドには何とも不思議な場所があります。スウェーデン語しか話せないフィンランド人が住んでいるオーランド諸島です。ヨーロッパ在住18年目のフードライターが世界中で素敵な人達に出会いながら、世界中を食べ尽くすの記録。今回はフィンランド人とオーランド人の違いとは何なのかを学ぶべくオーランド諸島でホームスティしてきました。

 

フィンランド人の特徴

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フィンランドは森と湖の国です。人口密度が極端に低い国です。フィンランド人にとって自然とは常に身近にある存在。首都のヘルシンキですら少し歩けばすぐ自然に辿りつくのだから地方都市なんてもう本当に凄いです。

フィンランドは国中、至る所が自然だらけなんです。学校へ行く道、買い物へ行く道、家の周りも、駅の周りも何処だって自然と隣り合わせ。自然との距離が本当に近いです。そしてそれは物質的な距離であり、精神的な距離でもあります。自然の中で自然に生きる人種、それがフィンランド人なんだと思います。

 

フィンランドのオーランド諸島に住むオーランド人の特徴

フィンランドには6千五百を超える島々からなるオーランド諸島があります。公用語がスウェーデン語、住民の殆どがスウェーデン系でありながら属しているのはフィンランド、正確に言えばフィンランドの自治領、という何だか不思議な場所です。

6500ある島の殆どが岩の小島で人が住んでいるのは60の島だけ。全体で2万五千人の人達が住んでいて、一番大きな町が首都であるマリエハムン。オーランド諸島の観光の拠点となっていて年間を通して多くの観光客が訪れます。

オーランド諸島の大部分の人達はスウェーデンの大学に進学し、スウェーデンで就職します。オーランド人はフィンランド人ではあるけれどフィンランド語が全く喋れないからです。だからスウェーデンに住んだことがあるオーランド人は沢山いるけれどフィンランドに住んだことがあるオーランド人は非常に少ないです。

オーランド諸島の人達に、結局のところ貴方はスウェーデン人なのかって質問をすると、何時も同じ答えが返ってきます。「それでもやっぱり私はフィンランド人だ」と。でもその後に必ず付け加えるんです。「でもフィンランド人の前に何よりもオーランド人だけどね」と。

 

フィンランドのオーランド諸島でホームスティ それも生粋のオーランド人宅

そんな摩訶不思議なオーランド人を調査すべくホームスティしてきました。今回お邪魔したのは首都マリエハムンから車で1時間弱の所にあるモッキの家。彼女は子供達にアウトドアライフを教える先生。だから野外料理が大得意なんです。

着いてそうそうせっかくだから近所の浜辺に行って野外クッキングすることにしました。モッキは岩で囲炉裏を作って、薪で火をおこして料理するのだってお手の物。でも今回は風が強いのでポータブルキッチンを用意しました。

メニューはモッキの大好物、ワイルドオニオンのスープです。材料はジャガイモ、ワイルドオニオン、サワークリーム、コンソメそして水。でも私達、肝心の水を持って行くのをすっかり忘れてしまいました。

「大丈夫、問題ないわ。海水で料理するから。オーランドの海水はそんなに塩辛くないの。」そう言ってニッコリ笑うモッキ。世界で一番汚染の酷いバルト海の水に若干不安は感じましたが背に腹はかえられません。私達はお腹が空いているんです。

 

アウトドアクッキング フィンランドのスープ(バルト海の海水入り)レシピ

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  1. まずはジャガイモを細かく切ります。ナイフも忘れてました。でも新ジャガはとても柔らかくスプーンで小さく切るのは簡単でした。
  2. 鍋に油をしき細かく切ったジャガイモとワイルドオニオンを炒めます。スウェーデンの家庭菜園に必ずあったワイルドオニオン。通常でもワイルドな味がしますが今回は更にもっとワイルドな味でした。というのも昨日モッキが草むらでワイルドオニオンの群集を見つけ、嬉々として収集し細かく刻んでタッパーに詰めておいたワイルドオニオンだったからです。
  3. 野菜を炒めた後は材料がかぶるくらいの水、そしてコンソメを入れて煮ます。私達は海水を使ったので水分は少なめ、塩分他ダシ的なものは豊富だろうとコンソメは入れませんでした。
  4. ジャガイモが柔らかくなったらサワークリームを投入して出来上がり。

ホクホクした新ジャガとサワークリームの相性が抜群のスープです。何よりも大自然の中で食事を作って食べる、それが一番の美味しさの秘訣でしょうか。

 

フィンランド人のキノコにかける思いは凄く強い

海からの帰り道、モッキは何時ものように道を外れて森に入っていきます。最近雨が続いていたのでキノコが目的。ターゲットはただ一つ、黄金のキノコと呼ばれるカンタレリ、日本語名はアンズダケです。フィンランド人は皆このキノコが大好き。アプリコットの香りと胡椒のようなピリッとした辛さが特長です。

残念ながら見つかったカンタレリはまだ小さかったのでそっと枯葉を被せて他の人の目につかないようにしました。こうしてキノコの場所をマーキングしておき、後でゴソッと狩るのです。モッキは毎年物凄い量のキノコを採集します。

だからキノコの季節になると家中の至る所でキノコを乾燥させることになります。キノコの季節に彼女の家を訪れると、本当にあらゆる場所、えっ、こんな所にも?的な場所にも新聞紙がひかれ、キノコを乾燥させているので楽しいです。

そんな訳で、今年のカンタレリはまだ小さかったので去年モッキが森で採った乾燥カンタレリを使ってキノコスープを作りました。夏でも雨や寒い日が多いフィンランド。温かいスープは年中食べる定番の料理です。

スカンジナビア諸国ではスープと言えばサワークリームがベース。フィンランドのスープは牛乳がベースです。オーランドの人達は自分達の事をフィンランド人だと言い張りますが食文化はスウェーデン寄りだよな、と思いました。

 

オーランド人とはスウェーデン語を話すフィンランド国籍のオーランド人

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モッキの好物はワイルドオニオンスープとキノコスープ。どちらもしっかりサワークリームがベースのスウェーデン風ですがモッキの心もやっぱりフィンランドだと言います。そして何時もの決め台詞です。「でも何よりもオーランド人だけどね。」

話す言語がアイデンティにはならない稀有なケースがオーランド諸島の人達です。人種的にも文化的にもスウェーデンの方が近いのに、かたくなにフィンランド人だと言い張るオーランド人。そんな何とも不思議なオーランド人家庭でのホームスティはまだまだ続きます。

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