世界食べ尽くしの旅 

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キューバでホームスティ③ キューバ人の食生活とキューバ人の温かさ

      2017/08/13

スペイン在住のフードライターが世界中を食べ尽くす旅に出ました。宝の地図を頼りに(詳しくは過去記事を読んで下さい♡キューバでホームスティ① キューバでホームスティ②)辿りついたのは首都ハバナから車で4時間の距離にあるピナール・デル・リオ。そこから更に馬車に揺られ、丘や川を歩いて渡って1時間程の所にある農園が私のホームスティ先です。

 

キューバのド田舎で始まった私のホームスティ

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電気も水もガスも通っていないド田舎の農園。そこには友人マルタのお婆ちゃんを含めた4人の兄弟が住んでいます。皆かなりのお年寄り。だから初めてこの農園に着いた時、最年長のチャチャはニコニコしながら私に言いました。
「老人ホームへようこそ。」

でも独立した子供たちとその家族が頻繁に出入りしているし、近所の人達も良く顔を出すので、農園は何時でも色々な世代の人達で賑わっていました。

ちなみに予想外に宝の地図はしっかりしいて、道には全く迷いませんでした。でも楽しすぎて時間をかけすぎた。家長のティトが暗くなると色々な動物が現れるからと心配して、自転車でそこら中を捜索してくれていました。

 

キューバでは牛肉を食べる事が禁止されている

農園は村から遠く離れているので自給自足が基本です。肉類は特別な日のご馳走で普段は野菜や果物がメイン。電気が通ってないので冷蔵庫が無く、その日に食べる分だけを毎朝収穫します。だから新鮮、そして有機栽培。

この農場での食事は、私の人生の中で一番美味しかった食事の記憶でもあります。楽しく思い出しながら農園での一日を振り返ってみたいと思います。

朝は日の出と共に起床します。私が起きる頃にはもう皆仕事をしているので何時に起きてるのか分かりません。ティトが何時もはめている腕時計は止まっているので、何時に起きるの?と聞いても分かりません。

ニワトリよりも早いらしく、まだ暗いうちから5人兄弟は働き始めているようです。まずはカフェオレから一日が始まるので牛の乳しぼりが最初の仕事です。

キューバでは牛肉を食べる事が禁止されています。それは宗教上の問題ではなく、牛の絶対数が少ないから。深刻な燃料不足を解決する為に、食用の牛は全て強制的に農作業用の牛となったからです。

それを徹底させる為に政府は大人が牛肉を食べる事を禁止しました。でも子供たちに限っては栄養不足解消のため学校で政府が支給する牛肉を食べる事が出来ます。

子供の時に食べた事があるのでキューバ人達は牛肉の美味しさを知っています。だから遠い昔の美味しい思い出が忘れられない牛肉に飢えたキューバ人達は口を揃えて言います。「海外に行ったらハンバーガーを沢山食べたい、死ぬほど食べたい。」

そんな状況なので牛乳でさえもこの国では高級品の一つです。ただ牛乳は禁止されている訳では無いので高いお金さえ払えば手に入ります。でも一般的なキューバ人にとって牛乳は高嶺の花的存在。だからキューバ人はコーヒーを飲む時は何時もブラックです。

老若男女みんな本当に良くコーヒーを飲むけれど、都心に住む一般の人達はブラックコーヒーが主流。でも多くの農園では農作業用の牛を保有しているので美味しいカフェオレを飲むことが出来ます。

カフェオレはキューバでとても貴重で高価な飲み物なので、農村に住む者だけのささやかな特権です。そして絞りたてのミルクで作るカフェオレは濃厚で本当に美味しいです。

 

キューバのタバコ農園でホームスティ

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勿論コーヒー豆も自給自足です。キューバのコーヒーはしっかりとしたコクがあって酸味が少ない。あり得ない程の砂糖をぶち込んで甘々にすればキューバ風コーヒーの出来上がり。

美味しいカフェオレを飲んだら農作業に出かけます。今日みんなが食べる野菜を収穫するのです。今日食べるモノを今日食べる分だけ収穫する。なんせ電気が通ってないので冷蔵庫がありません。冬でも暖かい国なので保存が出来ません。

「今日は何を食べたい?まだ収穫には早いけど、サツマイモ好きだろ。この前よく食べてたもんな。よし、今日はサツマイモにするか。」

私が好きなのは皆のそうゆう優しさです。ただでさえ美味しいこの農園の野菜が、更に愛情いっぱいで美味しくなる瞬間です。

 

ヤシの実はキューバで良く飲まれ、食べられている食材

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ヤシの実はキューバ人にとって大切な食材の一つです。実の中に入っている果汁でロンをわって飲んだり、そのままジュースとして飲んだり。硬い殻の内側にこびりついているココナッツの実は柔らく、ほんのりと甘味があって、そのニュルニュルとした食感も心地よく、大のお気に入りのデザートとなりました。

ただ実を割るのはとても大変です。これは主にネネの仕事で大きなナタを使ってワイルドに割ります。まずは中にある果汁を飲み干してからスプーンで中の実をほじって食べます。

「今日は本当に暑いなぁ。ヤシの実ジュース飲むか?」
そう言ってネネは毎日大量のヤシの実を割ってくれました。

「スペインに帰る時は農園にあるヤシの実全部採ってやるからな。全部持って帰るんだぞ。」
「ネネが何時も使ってるあの大きなナタ持ってないし、使い方も知らないよ。ネネが居ないとヤシの実食べられないから持って帰っても意味ないんだよ。」
「そうか。じゃあ今のうちに沢山飲め。ほら、もう一個割るから。」

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