キューバの物価は世界で一番安いけど二重通貨システムを理解する必要あり
2019/05/17
キューバは安いのか高いのか。それはあなたがどの通貨を使用して旅をするのかによります。キューバには不思議な事に2つの通貨が存在するんです。このキューバの通貨に関する記事を読む前に前回のキューバの基本記事を先に読んでいただくと、この不可思議な国キューバに対する理解と愛が深まるかと思います。→キューバとはどのような国なのか?
キューバの物価は安いのか高いのか。世にも不可思議な二重通貨のシステム。
キューバには2つの通貨が存在します。ペソ・コンベルティブレ、通称クック(CUC)と呼ばれる国際的に認められ海外でも両替出来る通貨、そしてキューバ
国内で使用される通貨が2種類あるだけでも複雑なのに、1クック(CUC)に対してペソ・クバーノが25。なんとその差が25倍もあるんです。そんな大きな差のある2つの通貨を、キューバ人達は日々の生活で問題なく使い分けているのが本当に不思議です。
一般的にキューバは社会主義国家の割には物価が安くないと思われています。それは多くの外国人観光客達がキューバ・ペソの存在を知らず、25倍のクックの世界のみで旅行を終えてしまうからです。
キューバでは贅沢品と思われる物、外国人が係ると思われるもの全てにクックが適用されています。なので普通に旅行者として動き回っている限り、現地通貨を使う機会が全く無いです。そしてクック通貨の世界で生きている限り、キューバの物価は私の住むスペインのバルセロナの物価と変わりがない。下手するとバルセロナよりも割高な気がします。
決して安くはない物価なのに提供される物の質が悪かったり、サービスが悪かったりするので、外国人観光客達はキューバの物価を不満に思う事が多いです。
通常外国人観光客はクックしか使いません。でもペソ・クバーノを使うと、よそゆきじゃない、本当のキューバが見えてきます。本来のキューバはペソ・クバーノの世界に隠されています。
社会主義の基本は持つ者と持たざる者の差を無くす事
例えペソ・クバーノの存在を知っていたとしても、この通貨を使いこなす事はとても難しいです。言葉が分からないと更にハードルが高くなります。
そもそも少し前までは外国人がペソ・クバーノを使う事は禁止されていました。法律が変わって、今では外国人でもペソ・クバーノを使用する事が可能になりました。でもその法律が変った事を知らないキューバ人も沢山居ます。
それに例え知っていたとしても、社会主義国家のこの国には、持っている人は持っていない人の為にお金を使うべきだとの信念があります。だから裕福だと思われている外国人は出来るだけ多くのお金をキューバで使うべきだと思っている人が多いんです。 そんな理由で外国人の差し出すキューバ・ペソの受け取りを拒否する人達も沢山います。
そうなると1ペソ・クバーノの商品を25倍の1クックで買わなければならない。その不条理に支払を拒否すると、じゃ、売らない、なんて事になって商品が買えないので、泣く泣く25倍のお金を支払って購入することになるんです。
例えばこれが商魂逞しいイスラム諸国なら、最終的には何が何でも売りたいが為に、「じゃ、買わない」なんて態度をとれば即座に値段交渉合戦が始まります。購入するまで確実に値引いてきます。でもキューバの場合、嫌なら買わなくていいよ的なスタンスの人が圧倒的に多いです。
キューバは世界で一番安い国、ただしペソ・クバーノ通貨を使用した時に限る
イスラムやアジア圏では当たり前の値段交渉。キューバでは完全に不可能です。そして外国人がペソ・クバーノを使う事をよろしく思わない人達が沢山います。だからペソ・クバーノのみで旅をしようとするとかなり高度なコミニケーション能力が必要となってくるでしょう。
でももしあなたがペソ・クバーノだけで旅をする事が出来たら、キューバは多分、他の何処の国よりも安いです。インドやタイなどのアジア諸国から流れてきた旅行者でさえ、キューバの物価の安さに驚く程ですから。
外国人は問答無用でクックを使うべし、な雰囲気をモノともせず、ガンガン使って欲しいです。キューバでペソ・クバーノを使わずに旅するのは大変もったいない事だと思うんです。だってペソ・クバーノの世界には、よそいきでない本当のキューバが、思いもよらない世界が広がっているのですから。
ペソ・クバーノの恐るべし世界
まずは1クックを25ペソ・クバーノに両替しましょう。空港では換金出来ないので街中の銀行で両替しなければなりません。一度両替してしまうとペソ・クバーノからクックへの再両替は出来ないので、小まめに必要な分だけ両替するのが賢い方法です。
迂闊に1000円なんて大金(ペソ・クバーノの世界では)を両替すると、お財布に入りきらないぐらいの分厚い紙幣を持ち歩くことになるので注意が必要です。
しかもこのペソ・クバーノ、なかなか減らないです。現在のレートで1クック(CUC)が95円。100円が25ペソ・クバーノ。さてこれで何が買えるか検証してみましょう。1クックだけでもビックリするぐらい色々と楽しめます。
私は幼かった頃を思い出しました。きっと貴方もかつて100円を握りしめて見た、無限の可能性が広がる駄菓子屋の甘い記憶が駆け巡ることでしょう。
キューバでは有機栽培の完熟フルーツジュースが8円で飲める
キューバ滞在中一番お世話になったのがこのフルーツジュースです。季節のフルーツしか取り扱わないので、私が訪れた時はパパイヤのジュースが主流でした。
キューバの農業は有機農業が基本です。ギラギラな太陽の恵みを受け、科学的なモノを一切加えず育った新鮮なフルーツの生ジュースが一杯2ペソ・クバーノ。日本円で8円ぐらい。
100%フルーツのジュースだし、抜群に美味しい。だから外国人の感覚からしたら2CUC、200円でも安いと思うんです。だから多くの外国人観光客は疑いもせず2CUC支払っていますが、実際には2ペソ・クバーノ。
抜け目の無いキューバ人は数字の後ろにドルマークを入れて、あえてクックともペソ・クバーノとも言及しない事が多いんです。
実際の値段は2ペソ・クバーノなので、一人の外国人がCUCで支払えば、その日の25人分の売り上げが達成されます。だから親切にこれはクックじゃなく、ペソ・クバーノだよ、なんて教えてくれるお店は少ないのです。
キューバ人がペソ・クバーノで支払しているのを見て、自分もペソ・クバーノを差し出したのに受け付けてもらえない時もあります。無理強いすると本当に売ってくれないんで、キューバ人、まじ手強いです。
キューバは暑いので喉が渇きます。でもミネラルウォーターやコカ・コーラなどのボトル、缶飲料がメチャクチャ高いです。日本と同じぐらいの値段します。それなのに新鮮フルーツの生ジュースが8円。本当に何とも不思議な国です。
100%フルーツはフルーツなんですが、キューバでは何もかもが砂糖入りで売られてしまうんです。そして砂糖の量が半端ない。それでも美味しく飲めるのはキューバの砂糖も有機栽培で、とてもナチュラルな味だからなのでしょう。でも出来れば砂糖無しで果物の甘さを堪能したいです。
キューバの激安スイーツは手押し車に乗ってやってくる
この大きさで1個2ペソ・クバーノ。8円です。甘いことは甘いのですが、有機栽培の砂糖きびの甘さは、ほっこりした何とも優しい甘さで、砂糖が苦手な私もキューバの甘さは大丈夫でした。
キューバのスウィーツは乳母車や手押し車に乗って町中を徘徊します。全部売切れたら本日の営業終了。ケーキと一緒に何故かネジとか鳥かごも一緒に売ってたりもしますが、そうゆうミスマッチが全然気にならなくなりだしたら、キューバに慣れてきた証拠です。
スウィーツ天国キューバでは新鮮フルーツたっぷりの手作りアイスも8円
新鮮なフルーツがたっぷり入ったアイス、2ペソ・クバーノ。つまり8円。この写真のアイスにはでっかいパイナップルがゴツゴツ入ってました。もう本気で本当に美味しすぎて、更にこの値段で、涙でそうになりました。本気でキューバのアイス輸出したいと思いました。スペインにも100キロぐらいお持ち帰りしたかったです。
キューバで最近流行りのオシャレ系スウィーツ
最近キューバで大人気なのがタルト系のスウィーツ。これが本当に美味しい。洗練された素朴な味とでも申しましょうか。キューバの不思議そのままの味です。
写真はメレンゲが上にのったピーナッツたっぷりタルト。1つ5ペソ・クバーノと若干お高め。と言えども20円ですから破格のお値段。余りにも美味しかったので50個大人買いしてスペインへ持ち帰りました。ちなみにこのタルトを持ち帰る用に購入したタッパーの方が値段が高かったです。キューバではプラスチック類が異常に高価なんです。
キューバは大きな駄菓子屋です。小さい頃に100円を握りしめて見たトキメキの世界が広がっています。買い食いしまくっても、全然お金が減らない天国のような国。そして駄菓子屋と大きく異なるのは、合成着色料や保存料だとかの化学物が全く使われていない事。
キューバではそうゆう科学的なものの方が高くつくんです。だから天然素材の手作りお菓子が駄菓子屋価格で食べられる夢の国。それがキューバです。