キューバとはどんな国なのか。どこまでも不自由で閉ざされた国の実情。
2021/05/28
キューバの独裁者、フィデル・カストロが病に倒れ死去しました。強力なカリスマ性を持つフィデル・カストロがいなくなった今、キューバの欧米化がもの凄いスピードで進んでいます。今後のキューバはもう本来のキューバではなくなってしまうはず。私は決して悪いだけじゃなかった社会主義国家キューバに2か月間滞在していました。不自由な国で自由に生きる底抜けに明るい人達の記録をお届けします。
キューバ第一の問題点。情報が無い。閉ざされた国キューバ。
キューバと聞いて何を思い浮かべるだろう。カリブ海、サルサ、野球、葉巻、ロン、チェゲバラ、フィデル・カストロ、そして社会主義国家。今まで色々な国を旅してきた。でも社会主義国家を訪れた事はない。
何時ものように事前にネットで情報を収集しようとした。でも情報が少なくて驚いた。現地の人からの発信が全く見当たらない。キューバの情報が少ないのはインターネットの使用が公に認められていないからだ。ごく限られた人達にしかインターネットに接続する機会がない。
キューバは人気のある観光大国でもあるから、外部の人達からの情報は色々とある。でも私が知りたかったのは現地に住んでいる人達の声。それが全く聞こえてこない。
ちょっと不安に思っていた時、友達がスペインに住むキューバ人を紹介してくれた。彼女の名前はマルタ。7年前からバルセロナで歯医者として働いている。彼女から色々な情報を事前に聞けたのは本当にラッキーだったと思う。
キューバ第二の問題点。国外に住むキューバ人は現在のキューバの情報を持たない。
彼女のように国外に住んでいるキューバ人は結構いる。私が住むバルセロナにもコミュニティがあるらしい。ある日マルタはキューバ人が集まるパーティに招待してくれた。
色々な話を聞きたい。そう思ってはいたけれど、国外に住んでいるキューバ人達は大抵何だか複雑な事情を持つ。「16年間祖国の地を踏んでいない」なんて人も居て、そんな彼らから今のキューバの情報を引き出すことは不可能だった。
マルタもそんな複雑な事情を持つ一人。彼女はキューバで歯医者だった。国からベネズエラへ研修として派遣された時、そのまま亡命して国には帰らなかった。だから彼女は罰を受け、7年間祖国の地を踏むことが出来ない。彼女の家族も罰を受け、彼女に会う為に国外へ出る事が禁止されている。
キューバの第三の問題点。想像もつかないほど不自由な国キューバ。
そもそもキューバ人は国を出る事が出来ない。最近やっと法律が変わった。キューバ人も外国へ行く事が可能になった。それでも期間が2年間までと限定されていて、まだまだ自由に海外旅行なんて訳にはいかない。
それに飛行機代が一般庶民には全く手の届かない金額なのだ。海外に行きたくても何処からそんな大金を調達したらいいのか分からない人達だらけ。日本に生まれてスペインに住んでいる私には、想像も出来ない不自由さだ。
そして私はキューバへ行く。物不足のキューバに支援物資という愛を届けに。
「キューバに行きたい。」 そう告げた時、マルタはとても喜んだ。 「キューバは不自由な国だけど、みんな逞しく明るく生きている。とても安全な国だから安心して、私の分まで楽しんで。」 そう言って私にサンタクロースのような大きな袋を押し付けた。袋の中には大量の薬をはじめ、オリーブオイルやソーセージ、バスタオルなんかが入っていた。
「キューバでは色々な物が不足していて皆とても困っているの。キューバはとても貧しい国。貴方は日本人だから、大きなギャップに驚くと思う。でもね、貧しくても、不自由でも、キューバ人はとっても明るい。それに私のママの料理は世界で一番美味しいのよ。あなた絶対良い記事が書けると思うわ。」 マルタはウインクしながら笑って、それから私をギュッと抱きしめて言った。
「でね、ママに会ったら、こうやって抱きしめて、愛してるって伝えて。」
彼女が遠い遠い異国の地で、どんなに頑張っているか、どんなに沢山の人達から愛されて生きているかを伝えたい。心からそう思った。伝えたい事は山ほどある。今程、それをきちんと伝えられる自分の語学力を嬉
こうして私の新しい旅が始まった。リュックはパンパン。まるで行商のおばさん状態。ずっしり重く感じるのは石鹸やらオリーブ油のせいじゃなく、愛が沢山つまっているからなんだろう。
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