「生け花」の深遠なる世界へ:歴史・流派・引き算の美学

7世紀以上前から日本に伝わる「生け花」では、花や草木を器に独自の方法で生けて、その美しさを表現しています。今回は、生け花の歴史や、欧米で盛んなフラワーアレンジメントとの違いなど、生け花にまつわるあれこれをご紹介していきましょう。

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生け花:空間、調和、そして心の平穏

Henry Kellner, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

生け花は、色や形だけでなく、空間を意識して花や草木を器に生けます。全体の調和とバランスを図ることも大切。また、生け花を習うことで礼儀作法や集中力が養われ、花と向き合うことで自身の内面を見つめ直し、心の平穏を追求できるとされています。

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「引き算」と「足し算」:生け花とフラワーアレンジメントの決定的な違い

華道の家元である池坊(いけのぼう)のサイトによれば、生け花は「引き算の美学」で、フラワーアレンジメントは「足し算の美学」だといいます。できるだけ少ない数の花で、さらには枝や葉も最小限にして空間を生かすのが生け花。そして、多くの花で空間を埋めていくのがフラワーアレンジメントなのだそう。

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正面から鑑賞し、持ち運びできないのが生け花

Gryffindor, CC0, via Wikimedia Commons

また、生け花は一方から見る「一方見(いっぽうみ)」、フラワーアレンジメントは多方向から見る「三方見(さんぽうみ)」が基本です。そして、生け花は一度生けたら動かすことを前提としないため、持ち運びができないこともフラワーアレンジメントとの大きな違いとなっています。

【日本人の空間認識】

Hasegawa Tōhaku, Public domain, via Wikimedia Commons

日本人が「余白」に美を感じるのは、生け花だけでなく水墨画や庭園づくりにも共通する文化遺産です。生け花における「空間」は、単なる隙間ではなく、そこにある「空気」や「風」を感じさせるための演出なのです。

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生け花発祥の地は京都「頂法寺(六角堂)」

6世紀に仏教が日本に伝来すると、仏様に花を供える風習が一般化しました。そうした中、室町時代中期に京都の「頂法寺」の僧侶が、アレンジを加えた花を仏様に供えました。これが生け花の起こりだと言われています。

この仏前に供える花が、室町時代後期になると座敷に飾られるようになり、江戸時代には庶民の間に広まりました。その後、生け花は女性の教養の一環となり、昭和初期には花嫁修業の一部とみなされるようになりました。

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実践!生け花の基本構成と美のポイント

Henry Kellner, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

主材を選ぶ

では、基本となる生け方をみていきましょう。まずは主材(しゅざい)を選びます。主材とは、上に伸びる線的な花材のことで、3本に分かれた枝ものを選ぶ人が多いです。生け花の骨格となるので、美しいラインを意識しましょう。

配材(はいざい)を選ぶ

次にメインとなる花、配材を選びます。生ける前に、どの角度が最も綺麗に見えるのかを探しましょう。配材は2本を基本として剣山に刺すのが一般的です。

あしらいの生け方

「あしらい」とは主材と配材の隙間を埋める花や草木のことです。メインの花とは異なる色合いを選べば鮮やかさをプラスでき、緑の葉を選べばメインの花の美しさをより引き立てることができます。

根締め(ねじめ)の生け方

最後に根締めを行います。作品の足元部分に緑を足すことで、剣山などの花留めを隠したり、作品全体を引き締める役割を担います。

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世界を魅了する「池坊」と「生ける心」

生け花には様々な流派があり、技術やスタイル、哲学などが異なります。現在、300以上ある流派の家元として位置付けられているのが池坊。日本最古、そして世界最大の会員数を誇ります。

前述のアレンジした花を仏様に供えていた僧侶は、池のほとりに住んでいたことから「池坊」と呼ばれていました。この生け花の起こりである僧侶が池坊の始祖で、それから流派が300以上に分かれて現在の華道界ができあがりました。

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池坊の特徴

池坊は花や草木をあるがままの自然の形で生かすことを大切にしています。綺麗な花だけでなく、枯れかけの花や虫に食われている葉などもそのまま使い、そこに美を見出して調和とバランスを重視することが「生ける心」だと言います。

池坊はアメリカ、カナダ、ヨーロッパ、南米、アジア、アフリカ、オーストラリアなど、世界各国に約120の拠点をもち、多くの人達が生け花を学んでいるのだそう。

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日常に彩りを:生け花は「季節を招く」こと

Toyohara Chikanobu, Public domain, via Wikimedia Commons

生け花と聞けば、敷居が高いイメージもあります。しかし、部屋に生け花があることで、季節を家の中に招き入れることができます。特別なものと認識するのではなく、日常にあるものととらえることが肝心です。まずは一輪の花、一本の枝から、あなたの日常に「和の呼吸」を取り入れてみませんか?

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