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マレーシアを旅する前に知っておきたいオランウータンの悲しい物語

      2021/05/28

ヨーロッパに住んでいる私にとって、アジアはエキゾチック溢れる未知なる国。今回訪れたマレーシアもとても素晴らしい国でした。ヨーロッパ在住18年目のフードライターが素敵な人達に出会いながら世界中を食べ尽くすの記録。今回は普段何気なく私達が口にする食べ物の裏に隠れた悲しい物語について。

 

オランウータンは現在マレーシアにしか生息しない絶滅危惧種

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今回訪れたのは南シナ海に面したボルネオ島に位置するサバ州の首都、コタ・キナバル。人口55万人程の都市で、マレーシアの首都である近代的なクアラルンプールとは全く趣が異なる街です。

中心部には大型のショッピングセンターなどもありますが、少し車を走らせればマングローブの森や熱帯のジャングルに入ります。コタ・キナバル最大の観光資源は大自然。そしてそこには多様性豊かな生物が沢山生息しています。

特にコタ・キナバルを有名にしているのがオランウータン。現在、世界でボルネオ島とスマトラ島にしか生息しない、最も人間に近い霊長類です。

マレー語で森の住人を意味し、オラウータンと呼ぶ人もいますが正式にはオランウータン。その名の通り常に木の上で生活するので森にしか住めません。木をつたって移動する為、枝をつかむ握力がとても強い動物。

昔は東南アジアの島々やインドシナにも広く分布していたと考えられるオランウータン。今ではマレーシアでしか見る事が出来ません。100年前と比べて個体数が80%も減ったとされ、現在絶滅が心配されています。

 

パーム油を世界で一番生産しているのがマレーシア

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皆様はパーム油をご存知でしょうか。パーム油はアブラヤシの果実から採れる植物性のオイルです。

酸化しにくい油で食品の風味を変える事が少なく、年間を通じて大量に収穫できるので単価も安いです。コレステロール値が低く健康に良いともされているので、近年パーム油は世界的な規模で需要を伸ばしています。

生産の8割が食用に使われますが最近では化粧品や石鹸にもよく使われるようになりました。パーム油にはパルチミン酸が多く含まれているので、しわを抑えたり、ニキビを減らしたりする作用があるからです。

このパーム油の最大の生産地がマレーシアとインドネシア。この2カ国で世界の85%のパーム油を生産しています。

 

私達の生活に密接に係るパーム油、でも知っている人は少ない

日本は特にパーム油の恩恵に授かっている国です。ファーストフードのお店では揚げ油に使われ、インスタントラーメン、スナック菓子、ドライフルーツ、チョコレート、アイスクリーム、菓子パン、マーガリン、マヨネーズ、本当に色々な食品にパーム油が使われています。

なのに成分表では植物油脂とだけ記載される事が多いので、パーム油の名前すら知らない人の方が多いのではないでしょうか。

パーム油は現代の私達の生活に欠かせないものです。食用だけでなく、化粧品や洗剤、ペンキやプラスチック加工品などにも使われています。世界的に需要が伸びているので、マレーシア政府は国策としてパーム油の増産を推し進めています。

 

パーム油の裏に隠れた悲しい物語を知ってほしい

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私達の生活に密接に係るパーム油。そのパーム油の原料となるアブラヤシの農園を作る為にマレーシアの熱帯雨林がどんどん伐採されています。

オランウータンは現在マレーシアにしか生息していません。そしてオランウータンは森でしか生きられません。パーム油の需要が伸びれば伸びる度、オランウータンの住処が小さくなっているのです。

これはオランウータンだけの問題ではなく、他の多くの野生動物達にも影響を与えています。私達がパーム油を消費する度に、野生動物達の住処を奪っているのです。

パーム油は世界で一番生産されている油です。日本ではバスの燃料にさえなっているのだそう。

それ程私達の生活に密着した油なのに、私達はその存在すら知らなくて、しかもその油を生産するために、熱帯雨林が伐採され、棲息地を奪われたオランウータンが絶滅の危機に瀕している事も知りません。

そうゆう事に思いを馳せながらマレーシアを旅する事、とてもとても大切だと思います。

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