日本最高峰であり、ユネスコ世界文化遺産でもある富士山。その雄大な姿は、いつの時代も日本人の心を捉えて離しません。2026年現在の富士山観光は、オーバーツーリズム対策の新ルールや、待望の新施設のオープンなど、大きな変化を迎えています。今回は、初めての方からリピーターの方まで、「富士山」を楽しみ尽くすための最新情報をお届けします。
2026年度版・富士山登山の新常識とルート選び

Denis Lintner, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
富士山は荒涼とした急勾配が続く山で、登山はあたかも修行のよう。しかし、周囲に遮るもののない独立峰からの景色は、他の山では味わえない格別の感動を与えてくれます。ルートは主に4つあり、一番人気は富士スバルライン5合目から出発する「吉田口ルート」。初心者にも適しており、登山者の6割以上がこのルートを選びます。
注意:2026年の最新登山規制と通行料について
吉田ルートでは、2024年から導入された登山制限が2026年も厳格に運用されます。1日の登山者上限は4,000人となっており、通行料として1人あたり2,000円に加え、任意の保全協力金(1,000円)が求められます。2025年からは一部の決済や予約システムが更新されており、山小屋予約がない場合の夜間通行規制も強化されています。事前予約なしでは入山できない可能性があるため、必ず「富士登山オフィシャルサイト」での事前手続きを行ってください。
また、静岡県側の3ルート(富士宮・御殿場・須走)においても、2025年より「静岡県FUJI NAVI」という事前登録システムの運用が本格化しており、入山証の提示がスムーズな登山の必須条件となっています。
トリビア:富士山頂は誰のもの?
富士山の8合目から上は、実は「私有地」であることをご存知でしょうか。徳川家康が富士山本宮浅間大社に寄進したという経緯があり、戦後の長い裁判を経て、現在は同大社の奥宮の境内地として認められています。ただし、気象観測所など公共性の高い場所については国が管理しています。
混雑回避:山道の大渋滞を避けるスマートな計画
富士山の開山期間は7月上旬から9月上旬まで。この2ヶ月の間に30万人を超える登山者が集中するため、特にお盆や週末のご来光の時間帯は参道が大渋滞します。スムーズな登山を楽しむなら、こうしたピーク時を避けた計画を立てるのが賢明。最近では、ライブカメラでリアルタイムの混雑状況を確認できるサービスも充実しているので、活用をおすすめします。
富士山麓の食文化を堪能する:歴史が隠し味の絶品グルメ
富士宮やきそば:国際的なルーツを持つB級グルメの王道

しんかわな, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
富士山のご当地グルメの筆頭といえば「富士宮やきそば」です。B-1グランプリで殿堂入りを果たし、その名は全国に轟いています。一般的な焼きそばとは一線を画すコシの強い蒸し麺、肉かす(豚の背脂の揚げ物)、そして仕上げに振りかけるイワシの削り粉が、独特の旨みと食感を生み出します。
トリビア:台湾との意外な接点
富士宮やきそばの最大の特徴である「硬い麺」。このルーツは、指定製麺所である「マルモ食品工業」の創業者にあります。戦後、台湾から引き揚げてきた創業者が、戦地で食べた台湾のビーフンの食感を再現しようとしたことが始まり。当時は米粉(ビーフン)が手に入りにくかったため、小麦粉を用いて水分を極限まで減らして蒸し上げる製法を編み出し、この独特のコシが誕生しました。
吉田のうどん:織物の街の歴史が育んだ力強い歯ごたえ

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富士吉田の名物といえば、日本一硬いとも称される「吉田のうどん」です。非常に力強い歯ごたえの麺が特徴で、味噌と醤油を合わせた出汁とともに味わいます。具材にはキャベツと甘辛く煮た馬肉を乗せるのが伝統。また、吉田のうどんには「すりだね」と呼ばれるゴマ油、山椒、赤唐辛子などを混ぜた薬味がかかせません。
トリビア:なぜ男性がうどんを打つようになったのか?
かつて富士吉田市で盛んだった織物産業。織り手であった女性たちの手が荒れないよう、また作業を中断させないようにと、昼食のうどん作りは行商に出る男性たちが担当しました。力強い男性が思い切り練り上げることで、この強烈なコシと硬さが生まれたと言われています。愛する家族を支える「男の優しさ」から生まれたうどんなのです。
ほうとう:戦国武将・武田信玄が愛した滋養の味
富士山麓の冷涼な気候の中で、体を芯から温めてくれるのが山梨の郷土料理「ほうとう」です。小麦粉を練って平たく切った麺を、カボチャや里芋、季節の野菜とともに味噌で煮込みます。うどんとは違い塩を加えて生地を打たないので、麺にコシがでず柔らかいのが特徴。そのため、スープに適度なとろみがつき、優しい味わいが楽しめます。
トリビア:信玄公の「宝刀」伝説
名前の由来には諸説ありますが、戦国武将・武田信玄が、自らの「宝刀(ほうとう)」で食材を切ったことからその名がついたという説が有名です。また、ほうとうは「麺類」ではなく「野菜料理」の一種として扱われることもあります。山梨県民にとっては、カボチャが完全に煮崩れてスープが黄金色になった状態こそが、最も栄養価が高く美味しい「完成形」とされています。
新倉山浅間公園:世界が恋する「JAPAN」の風景

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富士山、五重塔、そして桜。これら日本の象徴が一枚の絵に収まる場所として、世界中から観光客が訪れるのが新倉山浅間公園です。特に4月中旬、約650本の桜が満開になる時期は圧巻の美しさ。近年は展望デッキが整備され、より安全に絶景を楽しめるようになりました。
トリビア:平和のシンボル「忠霊塔」
朝倉山浅間公園に建つ五重塔は「忠霊塔」と呼ばれ、日露戦争以降の戦没者を祀るために建てられたものです。398段の階段を登りきった後に広がる景色は、平和への祈りと日本の伝統美が融合した、唯一無二のもの。2026年現在、オーバーツーリズム対策として桜のシーズンは完全予約制のシャトルバスや入場制限が導入されることがあるため、最新情報の確認が必須です。
ダイヤモンド富士とパール富士:太陽と月が描く奇跡の瞬間

Tatsuya0530, CC BY 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/4.0>, via Wikimedia Commons
富士山の山頂に朝日や夕日が重なり、印象的な輝きを放つ現象を「ダイヤモンド富士」と呼びます。10月中旬から2月末の良く晴れた日に見ることができ、代表的な撮影スポットは山中湖です。冬は空気が澄んでおり、湖面に富士山が映り込む「逆さ富士」と共に「ダブルダイヤモンド富士」を狙えます。
一方、太陽ではなく満月が山頂に重なるのが「パール富士」です。こちらは3月から9月の満月の日に観測チャンスがあります。太陽の鋭い輝きとは異なり、月の柔らかい光が富士を照らす様子は非常に幻想的で、カメラマンたちを魅了し続けています。
四季を彩るイベント:富士五湖の花火と花の競演
富士五湖花火大会:湖上の夜空を彩る伝統のバトン
毎年8月1日から5夜連続で、富士五湖の各湖で花火大会が開催されます。フィナーレを飾る河口湖の「湖上祭」は、大正時代から続く伝統あるお祭りで、約1万発の花火が打ち上がります。2026年にはドローンと花火を融合させた最新の演出も予定されており、夏の富士観光のハイライトとなります。5つの湖が日替わりで開催するため、連泊して「花火巡り」を楽しむのも粋な過ごし方です。
花の都公園:標高1,000mの「二度目の春」

funk bass, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons
インスタ映えスポットとして人気を博しているのが山中湖花の都公園。富士山を背景に四季折々の花々を楽しむことができます。5月上旬のチューリップやネモフィラ、8月のひまわりが有名ですが、初夏のポピーも見逃せません。ポピーは春の花として知られていますが、花の都公園は標高が1,000mあるので6月下旬から7月中旬までが見頃となっています。2026年には新たな温室エリアの改修も完了し、天候に左右されず一年中花々を楽しめるようになりました。
富士本栖湖リゾート:ピンクの絨毯と最新「うまいもの」

京浜にけ, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
4月中旬から5月下旬にかけて開催される「富士芝桜まつり」は、首都圏最大級の約80万株の芝桜が咲き誇る人気イベント。地面を覆い尽くす鮮やかなピンクと富士山のコントラストは、この時期だけの特別な景色です。会場内の「富士山うまいものフェスタ」で提供される地元ブランド牛「甲州牛」の串焼きや、特産の桃を使った最新スイーツを食べ逃がさないで!
河口湖:ラベンダーと紅葉が織りなす色彩美

Hiroaki Kaneko, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons
河口湖の夏を彩るのが「河口湖ハーブフェスティバル」のラベンダーです。6月中旬から7月中旬、大石公園からはラベンダー越しに遮るもののない富士山を望むことができます。
また、秋には11月から「富士河口湖紅葉まつり」が開催され、約60本のもみじが連なる「もみじ回廊」がライトアップされます。夜の闇に浮かび上がる燃えるような赤は、息を呑む美しさです。
トリビア:大石公園は「対称富士」の聖地
大石公園から見える富士山は、障害物がなく左右の裾野が最も綺麗に対称に見える場所の一つとして、世界中のプロカメラマンが位置取りを競うスポットです。湖畔の「河口湖自然生活館」では、地元の完熟ブルーベリーを贅沢に使ったソフトクリームが不動の人気を誇っています。
西湖いやしの里根場:茅葺屋根が守る日本の心の故郷

Davide Mauro, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
西湖のほとりにある「いやしの里根場」は、かつての美しい茅葺集落を再現したスポットです。伝統工芸の体験プログラムが充実しており、日本の原風景の中でゆったりとした時間を過ごせます。近年は「ワーケーション」スポットとしても注目され、古民家を改装した静かな環境で仕事をする人が増えています。
トリビア:不屈の精神で蘇った村
この場所は、1966年の台風災害で失われた集落を復元したものです。「失われた風景をそのままの姿で後世に伝えたい」という地元住民の強い想いから誕生しました。単なる観光施設ではなく、地域の歴史と災害の教訓を刻んだ「生きた博物館」なのです。
白糸の滝:富士山の湧水が描く絹糸の芸術

Big Ben in Japan, CC BY-SA 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/2.0>, via Wikimedia Commons
富士山の雪解け水が、絶壁から幾筋もの白い糸のように流れ落ちる「白糸の滝」。高さ20m、幅150mに及ぶ滝の姿は、国の名勝および天然記念物です。滝壺周辺の遊歩道がバリアフリー化され、より多くの方が間近でマイナスイオンを浴びられるようになっています。隣接する高さ25m、幅5mの豪快な「音止めの滝」との対比も見どころです。
トリビア:川がないのに流れる滝?
白糸の滝の最大の特徴は、一般的な滝のように「川から落ちる」のではなく、岩の隙間から「富士山の湧水が直接湧き出している」点にあります。何十年もかけて富士山の地層で濾過された水が、ここで初めて地上に現れるのです。そのため、水温は一年中約12度に保たれており、夏は驚くほど涼しく、冬は不思議な温かみを感じさせます。
富士急ハイランド:絶叫の聖地から「癒しの新エリア」へ

Dick Thomas Johnson from Tokyo, Japan, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
1969年の開業以来、世界一にこだわっている富士急ハイランド。「FUJIYAMA」や「高飛車」など、数多くのギネス世界記録を持つアトラクションで知られています。しかし、2026年の富士急ハイランドは、単なる「絶叫の聖地」を超えた進化を遂げています。
2026年待望のオープン!「サンエックスエリア」
かつて「ミニ富士」があったエリアの跡地に、リラックマやすみっコぐらし、たれぱんだなどでおなじみの人気キャラクターたちが大集合する「サンエックスエリア」が誕生します。約6,500平方メートルの敷地に、キャラクターの世界観に没入できるアトラクションや、ここでしか味わえない「カワイイ」をテーマにした食体験が提供されるのだそう。絶叫系が苦手な方も、リラックマたちに癒される新しい富士急の魅力をぜひ体験してください。


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