世界食べ尽くしの旅 

世界のグルメ、観光名所、世界遺産、色々な世界の情報を詰め込んだブログ

エストニアで見つけたヘルシーフード、カラスク。小麦粉より断然ヘルシーな大麦粉を使ったパン。

      2017/04/18

把瑠都 凱斗(ばると かいと)の活躍で少しだけメジャーになったエストニアですが、バルト3国はまだまだ日本人には未知なる地域です。エストニア、ラトビア、リトアニア。いずれの首都もユネスコの世界遺産に登録されていて、ヨーロッパでは結構人気の観光地なんです。ヨーロッパ在住18年目のフードライターが、素敵な人達に出会いながら世界中を食べ尽くすの記録。今回はIT大国として有名な最先端の国エストニア。伝統料理であるカラスクに関する全て。

 

エストニアの伝統的なパン、カラスクは小麦粉ではなく大麦粉を使って作る

IMG_2167

エストニア料理、と聞いて皆さん何を思い浮かべるでしょうか。殆どの人が全く何にも思い浮かばないかと思います。かくいう私もそうでした。色々な人に聞きまくった結果、エストニアにはカラスクと呼ばれる伝統料理があるのだそう。それは一体どのような料理なのでしょうか?

エストニアの郷土料理、伝統料理であるカラスクはパンだけどケーキのような、おかずパンのような、まあ、つまりパンです。その昔カラスクはエストニアの主食、そして国民食でした。特に月末のお金が無いとき、冷蔵庫に食材がない時、エストニア人は今あるものを使ってカラスクを作りました。

カラスクの主材料はとてもシンプル。卵、牛乳そして大麦粉です。小麦粉ではなく大麦粉を使うところが大きな特徴。この主材料に冷蔵庫にある食材を放り込んで色々なアレンジをするので、冷蔵庫の残り物によって甘かったり、辛かったりするパンがカラスクです。

なのでカラスクは各家庭の冷蔵庫の残り物具合で全く様相が異なってくる料理。同じ名前の料理でここまで形も味も違う料理は初めてです。共通の特徴としては、ズッシリ腹持ちが良く、栄養価が抜群な事。エストニアは今でも経済状態が余り良くないので、月末になるとカラスクの登場回数がとても多くなるのだそう。

 

健康志向の今だからこそ見直したい大麦の力。小麦粉と大麦粉の違いとは。

現代に生きる私達は小麦粉を大量消費しています。でも大麦は小麦に比べて繊維も多く、カルシウム、鉄分、ビタミンB1、ニコンチン酸などが多く含まれた大変健康的な食材。日本でも最近の健康ブームで麦ご飯などが見直されてきていると聞きます。でも基本的には日本人に関わらず、全世界で良く食べられているのは大麦よりも小麦です。主食となるパンや麺類の原料となるのが小麦だからです。

小麦にはグルテンと呼ばれるたんぱく質が豊富に含まれています。小麦粉に水を加えてこねると粘りと弾力性が出ます。この粘りと弾力性を生み出すのがグルテン。グルテンによってパンはふっくらとし、麺類はグルテンの粘りのおかげで細長く成形しやすくなります。だからこのグルテンが含まれない大麦でパンを作るととても固い、ひび割れたパンになります。そして麺にするとつなぎの性質が弱いので切れ切れになってしまいます。世界中の主食がパンやパスタを主流としている今、現代人の食生活を担う大きな部分が小麦粉となっているのです。

ちなみに大麦は小麦よりも水の吸収率が良いのでご飯にするなら大麦の方が優れています。小麦でご飯を作るとパサパサした不味いご飯になってしまうからです。とは言っても現代人の小麦粉主流の食生活は、もう変わりようがない気もしています。

IMG_2264

 

フードプロセッサーのおかげで大麦の消費が増えるかもしれない期待

エストニアのカラスクが時代と共に人々の食卓から消えてしまったのは、大麦の粉を入手する事が難しくなった事も理由にあげられます。昔の人々は家で麦をひいて食べていました。今はスーパーマーケットで買いますが、通常スーパーでは大麦の粉は売られていません。

健康を意識する人、食材にこだわる人が増えた最近では健康食品屋さんで大麦粉が手に入るようになりました。そしてフードプロセッサーを持つ家庭も増えたので、ヘルシーフードにこだわる人達は大麦を自分で粉にして使っているのだそう。

 

古いからこそ新しい。更には安全で健康な食べ物カラスク。

古い物を時代遅れだとする風潮。安易に入手できる素材を使って大量生産をする現代。でも本当に健康を意識するなら小麦より大麦の方が断然良いです。そして何よりも添加物を何もいれない、昔ながらのレシピで作る食べ物が一番です。カラスクは自然の材料だけで作り保存料や着色料を一切使いません。そしてカラスクの最大の特徴は小麦粉ではなく大麦粉を使う事。今後はもっとカラスクが食べられるようになるかもしれません。

街中ではカラスク専門店も見かけました。オーナーさんにお話を伺うと、貧しい食べ物、古い食べ物、お腹を満たすためだけの食べ物、そんなマイナスイメージしかなかったカラスクを少し今風にアレンジして販売してみたら凄く良く売れたのだと嬉しそうに話してくれました。予想に反して若者達からの反応がとても良かったのだそう。エストニアのカラスクはどうやら進化もしているみたいです。

 - エストニア , ,