セネガル共和国とゾウの密猟
西アフリカに位置するセネガル共和国。首都はダカールで、かつてパリ・ダカールラリーのゴールだったことで有名です。そんなセネガルに生息するゾウが、現在危機的状況となっています。
セネガル共和国とはどんな国?
アフリカ大陸最西端のセネガル共和国。アフリカの中でもかなり民主化が進んだ国で、1815年から1960年に独立するまでフランスの植民地でした。そのためフランスからの移住者も多く、ヨーロッパの文化が浸透しているので、アフリカらしさを求めてセネガルを訪れると少しがっかりしてしまうかもしれません。
アフリカゾウ
それほどアフリカにあって、アフリカらしからぬ国セネガルでは、かつてオランダ人、イギリス人、そしてフランス人が象牙をめぐって争った歴史があります。ゾウは世界最大の陸上動物で、特にアフリカゾウは体が大きくオスだと体重が10トン近くに達します。
象牙と密猟
これだけ大きいと天敵は存在しないのですが、ゾウには牙があります。この牙があることで、ゾウは世界中の密猟者から狙われる存在となってしまいました。1979年の時点で134万頭近くいたアフリカゾウが、現在では42万頭まで激減しています。
近年、密猟監視のパトロールや違法取引の水際対策を、国際協力のもと国家的な取り組みで強化したおかげで、アフリカ南部ではゾウの個体数が増加傾向にあります。
危機的状況のセネガルのゾウ
アフリカ南部では増加傾向にあるゾウなのですが、セネガルでは絶滅危惧種になっていて、ニオコロ=コバ国立公園内のアシリク山近辺にしか生息していません。さらにはそんな状況でありながら、未だに毎年2万頭近くのアフリカゾウが密漁の犠牲となっています。
日本と象牙の関係
日本とは関係のない話だと考える方も多いかもしれません。しかし、日本は世界各国が象牙取引を禁止している中、一定の規制はあるものの国内の象牙取引を合法的に続けている国の一つです。
アフリカでゾウの密猟が横行していた1970年代、高度経済成長を遂げていた日本は世界最大の象牙輸入国だったのです。当時日本へ輸入されていた象牙の多くは、密猟品であった可能性が高いとされています。
現在の日本の問題点
そして現在、日本には大量の象牙が存在しています。それが違法な形で中国へ輸出され押収された事例が数多く報告されています。日本の象牙取引の不充分な規制に対し、世界各国が厳しい非難の声をあげているのです。
生態系に必要不可欠なゾウ
ゾウは移動しながら一日に300から500キロ近くの植物を食べますが、4割ほどしか消化しない
ので他の動物がゾウの糞をエサにしています。また、ゾウのお腹の中で水分を吸収し、暖めら
れてから糞として排出され発芽する種も多いです。
このようにゾウはアフリカの生態系に必要不可欠な存在となっています。しかし、そのゾウが絶滅の危機に瀕している。らには遠い国の問題ではなく、日本はかなりの当事者です。知らなかったとすますだけではなく、当事者としての責任を感じ厳しい対策をとる時がきたのではないでしょうか。