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世界的に有名なスペインのリンゴ酒:エル・ガイテロ

   

世界各国で親しまれているリンゴ酒。リンゴの果汁を発酵させてつくる発泡酒で、フランス語圏ではシードル、英語圏ではサイダーと呼ばれています。リンゴ酒といえば、フランスとイギリスが有名ですが、実はスペイン産のリンゴ酒もとても有名で人気があります。

ヨーロッパで大流行したリンゴ酒

リンゴ酒はとても歴史が古い飲み物で、紀元前のローマ時代から存在していました。特に中世ヨーロッパでは水の衛生状態が悪かったため、子どもから大人までリンゴ酒を水代わりに飲んでいたとされます。

2007年に猛暑がヨーロッパを襲った時、氷を入れてキンキンに冷やして飲むリンゴ酒がヨーロッパ中で大流行しました。近年世界的な猛暑が続いているので、2007年ほどではありませんが、リンゴ酒の人気は衰えることを知りません。

リンゴ酒の産地

世界各国でつくられているリンゴ酒。北米、南米、オーストラリア、日本でも青森県や長野県などのリンゴの産地を中心に醸造されています。とはいえ、リンゴ酒の世界三大産地はヨーロッパ。フランス北西部、イギリス南部、スペイン北部です。

ワイン造りの条件

ヨーロッパといえばワインのイメージが強いので、意外に思う方も多いかもしれません。確かにヨーロッパは昔からワイン作りが盛んな土地なのですが、ブドウの栽培には適切な気候条件が必要です。年間の平均気温が10度から20度、日照時間が1000から1500時間、降雨量は500から900ミリ。

これらの気候条件が全て揃わないと美味しいブドウは育ちません。北半球なら北緯20度から50度の間の地域で、ワインベルトと呼ばれています。このワインベルトの北限の外側に位置するヨーロッパの地域では、良質のブドウが収穫できないため、古くからワインよりもリンゴ酒の方が親しまれてきたのです。

世界へ広まったリンゴ酒

リンゴ酒の世界三大産地の中で、一番知名度があるのはフランスのブルターニュ地方とノルマンディー地方。そのため、日本ではフランス語の「シードル」の名で定着しています。しかし、リンゴ酒を広く世界に普及させたのはイギリス人とスペイン人です。

18世紀の大英帝国時代は、第二次植民地帝国とも呼ばれ、世界中に領土を拡大していた時代です。当時イギリスで良く飲まれていたリンゴ酒が、開拓者たちによって北米やオーストラリアに持ち込まれ定着しました。

時を同じくして18世紀の終わり頃。貧困にあえいでいたスペイン人たちは、新大陸である南米に大きな夢を抱いて移住する人が増えていました。特にスペイン北部の人たちが多かったので、ワインよりもリンゴ酒の方が南米大陸に広まりました。

そのため、リンゴ酒は世界各国で造られていますが、北米やオーストラリア大陸ではイギリス風のリンゴ酒、中米から南米にかけてはスペイン風のリンゴ酒が普及しています。

スペインで一番有名なリンゴ酒

スペインにおけるリンゴ酒の産地は、カンタブリア海沿岸にかけて。特に有名なのがアストゥリアス地方で、ビジャビシオッサに工場を構える「エル・ガイテロ(El Gaitero)」は、スペイン最大規模の生産量を誇ります。

さらにはリンゴ酒を輸出する最大手企業でもあるので、エル・ガイテロのリンゴ酒は国内だけでなく、世界的にも有名です。エル・ガイテロの創立は1890年。当時、すでに多くのアストゥリアス人が、南米に移住していました。

アストゥリアス地方の小さな田舎町、ビジャビシオッサ在住の裕福な商人が、地元に大規模な工場を建て、南米に移住した同胞たちのためにリンゴ酒を大量輸出しようと考えエル・ガイテロが誕生したのです。

エル・ガイテロ

ビジャビシオッサはリンゴの栽培が盛んな土地であることに加え、大きな船も入ることができる河口に面した町です。南米大陸へ向かう大型船の発着港であるヒホン港からも近く、全ての条件が揃っていました。

唯一問題となったのが、スペインから南米大陸までの長い航海の間に、リンゴ酒を最適な状態で保つ方法でした。

炭酸入りのリンゴ酒

そこで目に付けたのが、当初は医療分野に使用されていた炭酸です。リンゴ酒に炭酸を注入することで状態が安定し、栓を開けるまで風味を保ち、劣化を防ぎました。こうしてエル・ガイテロのリンゴ酒は、古くからスペイン北部で親しまれていたリンゴ酒とは、かなり異なった形で輸出されるようになりました。

しかし、この炭酸がスペイン北部よりも暑い中南米で、大人気となったのです。炭酸入りのリンゴ酒は、移住したアストゥリアス人だけでなく、中南米の人々から愛され、終には逆輸入の形でスペイン
に広まり、スペインの人たちも炭酸入りのリンゴ酒を飲むようになりました。

エル・ガイテロは100年以上前から、1004万平方メートルある敷地内の工場で世界最高峰のリンゴ酒を作り続けています。年間の生産量は2000万本。スペイン国内だけでなく、世界中に輸出されています。

リンゴ酒の製造方法

1:リンゴの収穫

秋から冬にかけてリンゴを収穫します。以前は輸入された安いリンゴも使用してリンゴ酒を造っていたのですが、現在は地元アストゥリアス地方で採れるリンゴを100%使用しています。エル・ガイテロの工場周辺にもリンゴの木が沢山植えられていました。

食用のリンゴより小ぶりな黄色いリンゴが多かったです。リンゴ収穫のピーク時になると、工場周辺のリンゴ園に加え、他の場所のリンゴも大量にトラックで運ばれてきます。工場周辺は、リンゴを積んだトラックで大渋滞になるのだそう。

2:追い熟成と洗浄

運ばれたリンゴを屋外で広げ、空気にさらして更に熟成させます。その後、小枝や葉などの余分なものを取り除き洗浄します。

3:破砕と圧搾

洗浄したリンゴを破砕し、圧搾機にかけてゆっくり果汁を絞り出します。リンゴの豊かな香りを最大限にひきだし、奥深い味にするために、エル・ガイテロでは低温の環境でじっくり12時間かけて果汁を絞り出します。

4:発酵

果汁をステンレス製のタンクに入れ、低温で時間をかけて発酵させます。リンゴの果汁に含まれる糖分が酵母と反応することでアルコールに変化します。

5:澱引き

発酵が終わったら澱引きをします。澱引きとは浮遊物や沈殿物である澱を一度濾過してクリアにする作業。基本的にスペインのリンゴ酒は澱引きせずに作るのですが、エル・ガイテロのリンゴ酒は輸出のための長期保存を一番に考えています。

品質を安定化させ、保存状態を良くするためにしっかり澱引きします。また、澱引きすることで、リンゴの果実の味をしっかりと際立たすことができます。

6:樽で熟成

澱引きしたリンゴ酒を樽に詰めて熟成させます。よく熟成させた後で他の樽のリンゴ酒とブレンドし、オリジナルの味を作ります。

7:瓶詰

瓶に詰めて出荷します。

リンゴ酒の飲み方

一般的には冷蔵庫で冷やしてから飲むのですが、暑い季節には氷を沢山入れた背の高いグラスに注いで飲んでも美味しいです。リンゴ酒は食事中はもちろん、食前・食後酒としても楽しめます。料理との相性も抜群。

甘いリンゴ酒はブルーチーズとの相性が最高で、辛口のリンゴ酒はどんな料理にも良く合います。アルコール度数が少なく、さっぱりすっきりした味わいなので、日本の方達にはお風呂上りの一杯に最高な飲み物です。

リンゴ酒以外の製品

エル・ガイテロは甘口から辛口、微炭酸から強い炭酸、様々なタイプのリンゴ酒を醸造しています。リンゴ酒だけでなく、リンゴジュースやノンアルコールドリンクも展開中。更には、リンゴを使用したお菓子なども生産しています。エル・ガイテロのリンゴ酒は日本でも販売されているので、是非一度スペインが誇るリンゴ酒を試してみてください。

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