今や国際的な知名度をもつ宮崎駿監督とスタジオジブリですが、そのきっかけとなったのは『千と千尋の神隠し』。アカデミー賞の長編アニメ映画賞をはじめ各国の映画祭で数々の権威ある賞を獲得し、宮崎駿監督とスタジオジブリの名を世界的なものとしました。今回は、『千と千尋の神隠し』のモデルとなった場所を紹介します。
唯一の公認モデル地:江戸東京たてもの園

Kestrel, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
スタジオジブリのサイトによれば、「ここが舞台です」と公式に表明できる作品は少なく、フィクションの中にさまざまな地域が少しずつ取り入れられているといいます。特に『千と千尋の神隠し』に関しては公認のモデル地が少ないです。
『千と千尋の神隠し』で、スタジオジブリが唯一公式に認めているモデル地は「江戸東京たてもの園」だけ。江戸時代から戦前にかけての文化的価値の高い建築物を復元、保存、展示している野外博物館で、『千と千尋の神隠し』だけでなく、多くのジブリ映画のモデル地となっています。
近所にスタジオジブリ
江戸東京たてもの園はスタジオジブリの近所にあり、以前は宮崎駿監督が散歩でたびたび訪れていました。そして、スタジオジブリの作画スタッフも頻繁に訪れ、園内でスケッチをしているといいます。
油屋のインスピレーション:子宝湯
千尋が働く油屋のモデルとなったのは、1929年に足立区に建てられ、江戸東京たてもの園に移築された銭湯「子宝湯」の玄関です。
釜爺の仕事場を彷彿とさせる:武居三省堂

TANAKA Juuyoh (田中十洋), CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
壁を埋めつくす無数の引き出しが特徴的な釜爺のボイラー室は「武居三省堂」がモデルとなっています。明治初期に創業した文房具屋で、壁一面の引き出しには商品の筆などが入っていたといいます。
両親が迷い込んだ不思議な店:鍵屋

TANAKA Juuyoh (田中十洋), CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
1856年に酒問屋として建てられ、その後は居酒屋として営業していた「鍵屋」。映画冒頭で両親が大皿料理を食べて豚になってしまうシーンは、この鍵屋を参考にして作られたといいます。
千尋が乗ったあの電車:都電7500形

Cassiopeia sweet, CC BY-SA 3.0 <http://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0/>, via Wikimedia Commons
千尋がカオナシと一緒に乗る海原電鉄のモデルとされているのが都電7500形です。1962年に製造され、渋谷駅前を起終点として新橋方面に走っていました。
地元グルメ
園内の「蔵」で食べることのできる「武蔵野うどん」は、地元の小麦の香りが強く絶品です。
新橋の烏森口と有楽町駅のガード下/東京

Stephen Kelly from San Francisco, CA, USA, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
美術監督の武重洋二氏は「宮崎監督は新橋の烏森口や有楽町のガード下の歓楽街を想起しながら不思議の町の飲食店街を造形した」と明かしています。
日本最古の温泉宿:道後温泉/愛媛県

Arnaud Malon, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
さらに同氏は、「ジブリの社員旅行で行った四国の道後温泉は、油屋の外装を描く際に参考になった」と語っています。道後温泉の本館は日本最古の温泉宿のひとつ。
名物・名物
「坊っちゃん団子」や、瀬戸内の新鮮な「鯛めし」が有名です。
日光東照宮/栃木県

くろふね, CC BY 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/4.0>, via Wikimedia Commons
美術監督の武重氏は日光東照宮も油屋の参考にしたといいます。江戸幕府初代将軍・徳川家康がまつられた神社で、世界遺産にも登録されています。
名産・名物
日光を訪れたら、ぜひ「湯波(ゆば)」料理を堪能してください。
積善館(せきぜんかん)/群馬県

Kentaro Ohno from Tokyo, Japan, CC BY 2.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/2.0>, via Wikimedia Commons
宮崎駿監督は「油屋」の建物について「色々な温泉が入っていて特定のモデルはない」と語っています。しかし、「油屋」に似ているとメディアで取り上げられ話題となり、聖地となった温泉地がいくつかあります。
そのひとつが群馬県にある四万温泉「積善館」本館。元禄4年(1691年)に建てられた現存する日本最古の木造湯宿建築で、群馬県の指定文化財です。この本館前にある赤い橋や温泉宿の階段などが、映画の世界を彷彿とさせると多くのメディアで話題になりました。
また、積善館の館内通路も映画冒頭に登場する神々の世界と実世界をつなぐトンネルに似ていることから、ファンたちから人気の写真スポットとなっています。
ホテル雅叙園東京/東京都

Suicasmo, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
1931年に建てられた国内初の総合結婚式場「ホテル雅叙園東京」は、豪華絢爛な装飾が有名で「昭和の竜宮城」と呼ばれています。宮崎監督はこのホテルも油屋内部の参考にしたといいます。
その他の温泉街
その他にも長野県の渋温泉や、山形県の銀山温泉、群馬県の伊香保温泉などが、『千と千尋の神隠し』の世界に浸れる聖地として人気を集めています。いずれも古き良き温泉情緒が楽しめる場所です。
『千と千尋の神隠し』以外のジブリ映画のモデルとなった場所は、別記事にまとめました。



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