世界食べ尽くしの旅 

世界のグルメ、観光名所、世界遺産、色々な世界の情報を詰め込んだブログ

世界コーヒー紀行、トルコとコーヒーの関係、トルコ式コーヒーの淹れ方

   

世界中で飲まれているコーヒー。水とコーヒー豆だけで作る単純な飲み物なのに、国によって味が異なります。それは世界中に、その国の数だけコーヒーの淹れ方が存在するからです。今回はトルコを中心にバルカン諸国で親しまれているトルコ式コーヒーに関する全て。

トルコとコーヒーの関係

紅茶と言えばティータイムで有名なイギリス、またはセイロン紅茶で有名なスリランカを思い浮かべる人が多いかと思います。でも意外なことに、世界で一番年間紅茶消費量が多い国はトルコで、一日に20杯以上の紅茶をトルコの人達は飲んでいるといいます。

それほど紅茶が浸透しているトルコでは、コーヒー文化は育たなかったのでしょうか?実はトルコ、もともとはコーヒー文化の国で、コーヒーとは昔からとても強い繋がりがあります。そんなトルコとコーヒーの長い歴史と縁深さから、2013年トルコ式コーヒーはユネスコの世界無形文化遺産に登録されました。

トルコにおけるコーヒーの歴史

コーヒー発祥の地はアフリカ大陸のエチオピアです。エチオピアを中心に周辺各国で栽培されていたコーヒーがトルコにもたらされたのは約450年前。当時巨大な権力を持っていたオスマン帝国の皇帝に、イエメンの統治者がコーヒーを献上したのが切っ掛けでした。

やがてコーヒーはトルコ中に広まり、イスタンブールの旧市街ではコーヒーを振舞う店が登場するようになります。これがいわゆる現在のカフェの起源で、ヨーロッパにカフェが誕生するより1世紀近くも前の話です。

世界中で愛されているカフェ文化の発祥の地がトルコだった事に驚いてしまいました。それだけではありません。世界中でコーヒーが飲まれるようになったのも、トルコから商人達が色々な方面にコーヒーを広めていったからです。

その後オスマン帝国は衰退し、コーヒーの産地であったエジプト、イエメン、アラビア半島などを失います。国が縮小した事でコーヒーは自国の飲み物ではなく、外国のものとなってしまいました。

価格がとても高くなったのでトルコ内でコーヒーを飲む文化がすたれ、代わりに自国産の紅茶を飲むようになりました。今でもコーヒーはトルコ人にとって日常的な飲み物ではありません。だからこそコーヒーは特別な飲み物。きちんとした約束やデートの時は紅茶ではなくコーヒーを飲みに行きます。

トルコ式コーヒーとは何なのか?

トルコ式コーヒーとは、コーヒーの豆ではなく淹れ方を意味します。なのでトルコ式にコーヒーを淹れるのなら、どんな豆を使ってもトルコ式コーヒーとなります。ただ酸味の強いタイプの豆とは余り相性が良くありません。

トルコ式コーヒーを淹れるのに必要な道具

◇ジェズヴェ(Cezve)

トルコ式コーヒーに欠かせないのが、ジェズヴェ(Cezve)と呼ばれる真鍮、または銅製の小さな鍋です。これはトルコ式のコーヒーを淹れる為に特別に設計された道具で、長い取っ手が一番の特徴です。

ちょうどお湯が沸いた瞬間に、鍋を火から遠ざけなければならないので、長い柄がとても重要になります。これによって加熱している最中に手で触れても火傷しません。

ジャズヴェは一人用から6人用ぐらいまであり、人数によって大きさが異なります。2人用のジェズヴェは大きさ的にお土産に最適。どのお土産物屋さんでも人気の商品です。ただ日本のコンロだと鍋が小さ過ぎるので、コンロの上に網などを載せてから使う必要があります。

電化式コンロを使用するならジェズヴェの素材に気を付けましょう。最近ではIHクッキングヒーターに対応した素材のジェズヴェも販売していますが、昔ながらのジェズヴェは電化式コンロには使用出来ません。

トルコ式コーヒーは炭火で作るのが一番美味しいです。家庭用とは違う野外用のジェズヴェも存在し、柄が1メートルぐらいあるものもあります。野外で火を囲んで飲むコーヒーの味は格別。私はキャンプに行く時は必ずジャスヴェを持って出掛けます。

トルコ式コーヒー用のコーヒー豆

ジャズヴェの他にトルコ式コーヒーに欠かせないもの。それは細かく挽いたコーヒー豆です。殆どパウダーの状態で、通常のコーヒーミルではそこまで細かく挽く事は出来ないので専用の機械を使います。

この極細に挽いたコーヒー豆は、私が住んでいる西ヨーロッパでも入手する事が困難なので、トルコ方面に旅行に行く際は常に大量に持ち帰ります。トルコ式コーヒーは豆の種類は何だって構わないのですが、通常の挽き方をしたコーヒー豆で作っても全く美味しくありません。

トルコ式コーヒーの淹れ方

用具が揃ったらトルコ式コーヒーを淹れてみましょう。ジャズヴェの中に人数に合わせた容量の水、コーヒー豆、砂糖を入れます。一人前の水80ミリリットルに対してコーヒーの粉が8グラム、そして角砂糖が2つです。

もちろんいちいち計測したりはせず、デミタスカップ一杯分で、だいたいティースプーンたっぷり山盛り一杯ぐらいです。砂糖は本場風にこだわるのなら角砂糖を2つ、でもかなり甘めに仕上がるので日本人の味覚なら1個でも十分かもしれません。

ただ全く砂糖を入れないと苦すぎるし、トルコ式コーヒーの美味しさを十分堪能出来ないと思います。私は通常コーヒーはブラックで飲みますが、トルコ式コーヒーに限っては砂糖を多めに入れて飲みます。

ジェズヴェを火にかけます。火にかける前に軽くかき混ぜてから、始めは出来るだけ弱めの火にして熱していきます。じっくり、ゆっくり沸騰させていくのが大きなポイント。暫くすると沸騰しかけて泡がぐぐっと盛り上がってきます。

その沸騰寸前の表面が盛り上がった瞬間にジェズヴェを火から離します。火から外して何もせず、沸騰して盛り上がった泡が落ち着いたら再び火にかけます。これを3回程繰り返せば、トルコ式コーヒーが完成します。

トルコ式コーヒーを淹れる時は片時も目を離す事が出来ません。簡単なようでいてタイミングが難しいので、トルコで美味しいコーヒーを淹れるのは、花嫁修業の一環なのだそう。美味しいコーヒーを淹れる事ができ、晴れて立派な花嫁となるのです。

私は一度トルコ式コーヒーを作っている時に電話があり、酷い目にあいました。ちょっと目を離した隙に沸騰して吹きこぼれてしまい、コンロに広がった極細のコーヒー豆を掃除するのは困難を極めました。皆さん、気を付けて下さい。

トルコ式コーヒーの飲み方

トルコ式コーヒーは飲む時にも注意が必要です。出されたコーヒーを直ぐ飲んではいけません。暫く放置して、浮き上がっているコーヒーの粉が底に沈むのを待たなくてはなりません。そして上のほうだけを飲むます。

通常トルコではデミタスカップ程度の小ぶりなカップを使用してコーヒーを飲みます。カップの下2割程度はコーヒーの粉が沈んでいるので、欲張って最後の方まで飲んでしまうと、まるで泥を飲んでいるような状態になります。

トルコ式コーヒーでミルクを入れる事はしません。砂糖のみ。上だけ飲んだとしても少しドロっとした飲み心地が特徴で、アメリカンコーヒーに慣れている人はびっくりしてしまうかもしれません。

トルコ式コーヒーは、最初は戸惑うかもしれませんが、一度飲み慣れると、病みつきになる美味しさです。特にエスプレッソの濃いめのコーヒー味が好きな人は、絶対好きになる味だと思います。

見るからに、そして飲んで濃い、まるでトルコ人の見た目そのままのトルコ式コーヒー。私もすっかり心を奪われてしまいました。見かけも味も濃いのですが、意外にもカフェインはフィルターコーヒーの半分なのだそう。

トルコのコーヒー事情

トルコは地理的、文化的、そして人々の習慣的にもイスラム圏とヨーロッパの中間のような国です。特に大都市、アンカラやイスタンブールなどでは近代化が著しく、まるでヨーロッパにいるような感覚になります。

今ではスターバックスもトルコに進出し、ヨーロピアンテイストのカフェも増えてきました。特に若者達の間では、伝統的なトルコ式コーヒー離れが進んでいます。通常カフェに入ると2種類のコーヒーが存在し、カフヴェ(Kahve)がアメリカンコーヒー、そしてトュルクカフヴェシ(Türk kahvesi)が伝統的なトルコ式コーヒーを意味します。

コーヒーなんて、どう飲もうが変わらないと思っていました。トルコ式コーヒーは私達が日頃飲んでいるコーヒーとは全く別物。世界を旅していると色々な事を学べます。せっかくトルコまで足を伸ばしたからには、是非トルコ式のコーヒーを試してみて下さい。

美味しいトルコ料理のすすめ

観光大国トルコはグルメな国としても有名です。トルコ料理は世界三大料理の一つとされていて、美味しさに定評があります。トルコを訪れたら絶対に飲みたいトルコ式コーヒー。同時に美味しいトルコ料理も満喫して下さい。

 - まとめ記事, トルコ, バルカン諸国, 世界のグルメ , , ,