江戸の情緒を今に伝える「小江戸」巡り旅:歴史と美食を堪能する週末トリップ

円安で海外旅行が高くつく今、ぜひ国内に目を向けてください。今回は、観光ガイドの私が厳選した、日本各地の「情緒溢れる小江戸の街並み」を紹介します。着物に身を包み、古き良き日本を感じながら、ゆっくりと流れる時間を過ごす。そんな贅沢な週末を過ごしてみませんか?

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政治の中心「城下町」vs 経済と文化の憧れ「小江戸」

小江戸と城下町の違いをご存じですか?一言で言えば、「城下町」は軍事・政治の拠点として造られた街で、「小江戸」は江戸の文化や経済が色濃く移り住んだ街を指します。「江戸」の流行や、蔵造りの建築様式、祭りなどの文化を強く受け継いだ街で、主に舟などの物流を通じて江戸と密接に繋がっていました。「江戸のように栄えている」「江戸を彷彿とさせる」という意味を込めて、後に小江戸と呼ばれるようになったのです。

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【栃木・栃木市】蔵の街を流れる巴波川。遊覧船から眺める白壁の絶景

katorisi, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons

栃木県栃木市は、江戸時代に巴波川(うずまがわ)の舟運で栄えた商都。川沿いには白い壁の「蔵」が整然と並び、その美しい景観から「蔵の街」として親しまれています。

注目すべきは、栃木市が「日光例幣使街道」の宿場町でもあった点です。京都から日光へ向かう朝廷の使者が通った道で、豊かな富と洗練された文化がこの地に集まりました。

巴波川をゆく「蔵の街遊覧船」の癒やし

ここでの楽しみは、なんといっても「蔵の街遊覧船」です。船頭さんの情緒あふれる唄を聴きながら、水面から見上げる蔵の景色は格別です。地元のJ2サッカーチーム「栃木シティFC」が昇格を記念してこの遊覧船でパレードを行うなど、地域の人々に愛されるシンボルとなっています。

どこか懐かしい!「ポテト入りやきそば」とお土産

栃木市のB級グルメといえば「ポテト入りやきそば」です。意外な組み合わせですが、ホクホクのジャガイモがソースに絡み、一度食べるとクセになります。これは戦後の食糧難の際、麺をボリュームアップさせるために地元の知恵で加えられたのが始まりなのだそう。栃木県民のソウルドリンク「レモン牛乳」もぜひお試しください。

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【大分・杵築】日本唯一!「サンドイッチ型城下町」で江戸の坂道を巡る

shikabane taro, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons

九州にも素晴らしい小江戸があります。それが大分県にある杵築(きつき)です。ここは「サンドイッチ型城下町」と呼ばれる珍しい地形をしています。南北の高台に武士の屋敷が、その谷間に商人の町が配置されており、その断面がサンドイッチのように見えることから名付けられました。

絶景の坂道「酢屋の坂」と「塩屋の坂」

杵築を象徴するのが、商人の町を挟んで向かい合う二つの美しい石畳の坂道です。「酢屋の坂」の頂上から見下ろす景色は、数々の時代劇やドラマのロケ地にもなっています。

特筆すべきは、「和服特典」。着物を着て街を歩くと、公共観光施設の入館料が無料になるほか、市内飲食店での割引サービスも受けられます。まさに大人のための「江戸体験」がここにあります。

殿様が愛した「うれしの」と豊後肉の饗宴

杵築の名物といえば、江戸時代の藩主が病の際に「うれしいのぉ」と喜んで食べたという逸話が残る「鯛茶漬け『うれしの』」です。また、大分ブランドの「豊後牛(ぶんごぎゅう)」を使ったランチも絶品。食後には、歴史ある建物を改装したカフェで、地元産の和紅茶を楽しむのも一興です。

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【埼玉・川越】都心から一番近い江戸。時の鐘と縁結びの聖地を歩く

Zairon, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

都内から電車で1時間以内。アクセス抜群の「小江戸・川越」は、日帰り旅行の王道です。蔵造りの街並みが並ぶ「一番街」を歩けば、黒塗りの重厚な建物が当時の繁栄を物語っています。

川越の蔵造りの建物がなぜ「黒い」のかをご存知でしょうか。これは「江戸黒」と呼ばれる江戸時代の流行色で、耐火性を高めるための漆喰に松煙(煤)を混ぜているためです。当時の最先端の防火技術と粋なデザインが融合した姿と言えます。

街のシンボルである「時の鐘」は、川越市の指定文化財。現在も、午前6時、正午、午後3時、午後6時の1日4回、川越の空に美しい音色を響かせています。この音を聴きながら、かつての町衆たちがどのような暮らしを送っていたのか想像するのも、歴史旅の醍醐味です。

若者に大人気!「川越氷川神社」で良縁を釣る

縁結びの神様として絶大な人気を誇る「川越氷川神社」。2026年も、SNSで話題の「鯛みくじ」は健在です。専用の竿で縁起物の鯛を釣り上げる体験は、旅の思い出にぴったり。また、季節ごとに変わる「花手水」や、毎月デザインが更新される「月替わり御朱印」を求めて、御朱印コレクターも多く訪れています。

川越でしか味わえない!黄金色のサツマイモ・グルメ

川越の代名詞といえば「サツマイモ」。最近では、厚切りにしたおさつチップスや、サツマイモのソフトクリームが人気ですが、サツマイモをふんだんに使った「懐石料理」もおすすめです。江戸時代、川越芋は「栗(九里)よりうまい十三里」と称され、焼き芋として江戸っ子たちに大流行しました。その歴史背景を感じながら味わうサツマイモ料理は格別です。

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【千葉・佐原】水郷の情景が広がる「北総の小江戸」で極上の舟旅を

Katorisi, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

千葉県北東部に位置する佐原(さわら)は、「北総の小江戸」として知られる美しい水郷の街です。江戸時代から利根川の水運を活かした物資の集積地として繁栄し、川沿いには今も当時の面影を色濃く残す歴史的な建造物が軒を連ねています。また、日本地図を完成させた伊能忠敬の旧宅があることでも有名です。

あやめ祭りと伝統の「花嫁舟」

佐原を訪れるなら、5月下旬から6月にかけて開催される「水郷佐原あやめ祭り」の時期が特におすすめです。この時期の目玉は、なんといっても「花嫁舟」。かつて水郷地帯で実際に行われていた嫁入りの儀式を再現したもので、白無垢姿の花嫁が手漕ぎのサッパ舟に乗り、ハナショウブが咲き誇る中を静かに進む姿は、息を呑むほどの美しさです。

創業300年の老舗が並ぶ!鰻と日本酒の極上マリアージュ

佐原といえば「鰻(うなぎ)」です。江戸時代から続く老舗が多く、秘伝のタレで焼き上げた香ばしい鰻は、旅の疲れを癒してくれます。また、地元の老舗酒蔵「馬場本店酒造」などで作られる日本酒をお土産にするのも大人の楽しみ。江戸時代から変わらぬ製法で作られる最高級のみりんなども、料理好きにはたまらない一品です。

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【滋賀・彦根】国宝・彦根城と屋形船。井伊家ゆかりの城下町で歴史の息吹を感じる

Yoshio Kohara, CC BY 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by/3.0>, via Wikimedia Commons

徳川四天王の一人、井伊直政を祖とする井伊氏の拠点として築かれた「彦根城」。この名城を中心とした城下町は、近畿地方を代表する小江戸の街並みです。

彦根城の天守は、姫路城や松本城などと並び、日本にわずか5つしかない「国宝」のひとつ。ちなみに、城内の石垣には「牛蒡(ごぼう)積み」という珍しい手法が使われており、その堅牢さは必見です。

優雅に楽しむ「お堀の屋形船」

お城の周囲を巡るなら、江戸時代のサイズを忠実に復元した「屋形船」がおすすめです。お堀の水面から見上げる石垣や多門櫓(たもんやぐら)は迫力満点。船頭さんの語る歴史トリビアを聴きながら、ゆったりとお堀を一周する体験は、まさに殿様気分を味わえます。

日本三大和牛!「近江牛」の贅沢ランチ

滋賀といえば「近江牛」です。彦根城周辺には近江牛のすき焼きやステーキを楽しめる名店が揃っています。また、伝統的な「ふなずし」に挑戦してみては?

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【山梨・甲府】武田信玄の故郷。甲府城の城下町で味わう伝統と最新の「甲州夢小路」

戦国時代の英雄・武田信玄のイメージが強い甲府ですが、江戸時代には徳川家にとっても重要な直轄地(甲府藩)として栄えた歴史を持ちます。甲府城(舞鶴城公園)周辺には、その名残を感じさせる石垣や歴史遺産が大切に保管されています。

江戸時代の甲府は「柳沢吉保」によって整備され、文化の香り高い街として発展しました。城跡から富士山を望む絶景は、今も昔も変わりません。

「甲州夢小路」で現代に蘇る江戸の賑わい

さかおり, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons

甲府駅北口から徒歩すぐの場所にある「甲州夢小路(こうしゅうゆめこうじ)」は、明治から大正、そして江戸の城下町を再現した注目スポットです。

山梨の伝統工芸品「甲州印伝(いんでん)」のショップや、地元の食材を活かしたレストラン、お土産処が立ち並び、多くの観光客で賑わっています。古材を使用した風情ある建物は、どこを切り取ってもフォトジェニックです。

ソウルフード「ほうとう」と「甲府鳥もつ煮」の誘惑

山梨のソウルフード「ほうとう」は外せません。さらに、2026年のトレンドは「甲州ワインビーフ」を使ったグルメバーガーや、甲府名物の「鳥もつ煮」。地元のワイナリーが提供する甲州ワインとのペアリングも最高です。甘辛いタレが絡んだ鳥もつは、赤ワインとの相性が抜群。

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次の週末は、歴史と文化が息づく「小江戸」へ

日本各地に点在し、それぞれ異なる魅力を持つ「小江戸」の街。日常からほんの少し足を伸ばすだけで、江戸時代の知恵や美意識に触れ、心が豊かになる素晴らしい体験があなたを待っています。現代に生きる私たちだからこそ、あえてゆっくりと歩き、歴史のささやきに耳を傾ける時間は、何物にも代えがたい贅沢となるはずです。

著者プロフィール

ヨーロッパ在住の旅と食のプロガイド

主にスペインに拠点を置いて30年。プロの観光ガイドとして、これまで数多くの日本人旅行者の皆様を世界各地でご案内してきました。また、日本国内ではスペイン語圏からの観光客をお迎えするガイドとしても活動。

ガイド業の傍ら、その土地ならではの「食」と「旅」の魅力を伝えるライターとして、雑誌や専門メディアにて、現地発의 リアルな情報を多数掲載しています。「ガイドの視点」と「食へのこだわり」で、皆様の旅がより豊かなものになるよう、最新の情報をお伝えします。

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