実りの秋、祭りの秋。日本の各地で受け継がれる「秋のお祭り」には、その土地の歴史、人々の祈り、そして自然への感謝が凝縮されています。今回は、日本を代表する「日本三大秋祭り」をはじめ、観光ガイドが選りすぐった秋の祭事と、その周辺で味わえる絶品グルメをご紹介します。
- 異国情緒溢れるダイナミックな演舞「長崎くんち」(長崎県)
- 豪華絢爛な動く美術館「秋の高山祭(八幡祭)」(岐阜県)
- 3万食が煮える!「日本一の芋煮会フェスティバル」(山形県)
- 秋の味覚の王様を堪能「石狩さけまつり」(北海道)
- 14世紀から続く伝統の熱気「久慈秋まつり」(岩手県)
- 杜の都が音楽に染まる「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」(宮城県)
- 430年の歴史を繋ぐ火祭り「松明あかし」(福島県)
- 11日間続く江戸の「生姜祭り」!「だらだら祭り」(東京都)
- 色彩のシャワーを浴びる「両神山麓花の郷ダリア園」(埼玉県)
- 落花生の聖地で楽しむ「やちまた落花生まつり2026」(千葉県)
- 鍋ぶたで火を消す奇祭「タバンカ祭り」(茨城県)
- 赤子の元気な泣き声が響く「生子神社の泣き相撲」(栃木県)
- 古代の王が現代に蘇る「かみつけの里古墳祭り」(群馬県)
- 葉たばこの歴史を未来へ繋ぐ「秦野たばこ祭り」(神奈川県)
異国情緒溢れるダイナミックな演舞「長崎くんち」(長崎県)

©Nagasaki Prefecture, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
国の重要無形民俗文化財であり、日本三大くんちの一つ。2026年は10月7日(水)〜9日(金)に開催されます。奉納踊は、オランダや中国の影響を受けた独特のスタイル。巨大な鯨が潮を吹く「鯨の潮吹き」や「龍(じゃ)踊」は圧巻の迫力です。
北九州のくんち
「くんち」とは北九州における「秋祭り」の呼び名です。旧暦の9月9日は「重陽(ちょうよう)の節句」にあたり、収穫を感謝する大切な日。この日にお祭りを行ったことから「くにち」→「くんち」と呼ばれるようになりました。現在では10月や11月に行われることが多いのですが、呼び名だけが伝統として残っています。
【ここでしか食べられないグルメ】
長崎の伝統料理「卓袱(しっぽく)料理」や、屋台で手軽に楽しめる「角煮まんじゅう」がおすすめです。
豪華絢爛な動く美術館「秋の高山祭(八幡祭)」(岐阜県)

Chme82, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
日本三大美祭のひとつに数えられるのが高山祭。2026年は10月9日(金)・10日(土)に開催されます。秋の「八幡祭」は、櫻山八幡宮の例祭。見どころは、精巧な彫刻と刺繍で彩られた「屋台」の曳き揃えです。夜には各屋台に約100個の提灯が灯り、幻想的な世界が広がります。
高山祭のここが見どころ
屋台に施された「からくり奉納」に注目してください。江戸時代から続く高度な技術は、現代のロボット技術のルーツとも言われています。
【ここでしか食べられないグルメ】
やはり「飛騨牛」は外せません。お祭り散策には、とろけるような「飛騨牛の握り寿司」が最適です。
3万食が煮える!「日本一の芋煮会フェスティバル」(山形県)

U-D.I.E., CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
山形県の秋の風物詩といえば、馬見ヶ崎川の河川敷で開催される「日本一の芋煮会フェスティバル」です。2026年は9月20日(日)に開催が予定されています。
直径6.5メートルの大鍋「三代目鍋太郎」を使い、大型のバックホー(工事用車両)を駆使して調理される様子は、もはやお祭りの域を超えたエンターテインメント。里芋3トン、牛肉1.2トン、こんにゃく3,500枚といった圧倒的なスケールで、約3万食が振る舞われます。
秋の味覚の王様を堪能「石狩さけまつり」(北海道)
北海道石狩市では、サケが川を遡上する9月下旬、市内3箇所で「石狩市三大秋祭り」が繰り広げられます。その中でも最大規模を誇るのが、2026年9月26日(土)・27日(日)に開催予定の「石狩さけまつり」です。
石狩さけまつりの見所
最大の見どころは、豪快な「鮭のつかみ取り」と、一度に数千食分を調理する巨大な「石狩鍋」です。石狩鍋は、江戸時代から漁師たちの栄養源として親しまれてきた郷土料理。
【ここでしか食べられないグルメ】
祭り会場で供される本場の「石狩鍋」は格別です。味噌仕立てのスープに、鮭の身だけでなくアラから出る出汁が溶け込み、隠し味の山椒が味を引き締めます。石狩産の新米と鮭を組み合わせた「究極の親子丼」ブースも新設され、北海道の秋を丸ごと味わえます。
14世紀から続く伝統の熱気「久慈秋まつり」(岩手県)

くろふね, CC BY-SA 4.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/4.0>, via Wikimedia Commons
岩手県久慈市で2026年9月18日から9月20日に開催されるのが、北三陸に秋の訪れを告げる「久慈秋まつり」です。1300年代、南北朝時代を起源に持つとされるこの祭りは、豪華絢爛な手作りの山車が街を練り歩く様が圧巻です。
特に、高さ最大12メートルにも及ぶ山車が、建物の軒先をかすめながら進む様子はスリル満点。2026年は、最新のデジタル技術を融合させたライトアップ演出も一部の山車で予定されており、伝統と革新が交差する瞬間を目の当たりにできます。
【ここでしか食べられないグルメ】
ドラマ『あまちゃん』でも有名になった「まめぶ汁」が絶対のおすすめです。クルミと黒砂糖を包んだ小麦粉の団子が入った汁物で、甘いのかしょっぱいのか不思議な感覚がクセになります。
杜の都が音楽に染まる「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」(宮城県)
杜の都・仙台のケヤキ並木を舞台に、街全体がステージへと変貌を遂げるのが「定禅寺ストリートジャズフェスティバル」です。2026年は9月12日(土)・13日(日)の開催となります。
「ジャズ」という名前ですが、ジャンルは不問。ロック、フォーク、ワールドミュージックなど、世界中から集まったミュージシャンたちが、路上で自由に演奏を繰り広げます。
【ここでしか食べられないグルメ】
仙台といえば「牛タン焼き」ですが、お祭り期間中は定禅寺通りの各所で「牛タンつくね串」や、食べ歩きしやすい限定メニューが登場します。
430年の歴史を繋ぐ火祭り「松明あかし」(福島県)
日本三大火祭りの一つとされる「松明(たいまつ)あかし」は、福島県須賀川市で2026年11月14日(土)に行われます。
天正17年、伊達政宗の攻撃によって落城した須賀川城の将兵を弔うために始まったとされる松明あかしは、長さ10メートル、重さ3トンにもなる巨大な松明が30本、夜空に炎を上げます。
【ここでしか食べられないグルメ】
須賀川のご当地グルメ「かっぱ麺」が人気です。キュウリの産地であることに因んだ冷やし麺で、特製の味噌ダレとシャキシャキのキュウリの相性が抜群です。
11日間続く江戸の「生姜祭り」!「だらだら祭り」(東京都)
港区の芝大神宮で、9月11日から21日にかけて11日間も続くのが、日本一長い期間行われる「だらだら祭り」です。2026年もその期間、都心のど真ん中で江戸情緒が味わえます。
かつて神社の周辺に生姜畑が多かったことから、別名「生姜祭り」とも呼ばれます。参道では「生姜」が売られ、それを食べると風邪を引かないという言い伝えがあります。粋な神輿渡御も見どころの一つです。
【ここでしか食べられないグルメ】
参道や周辺の老舗で買える「生姜糖」。ピリッとした生姜の風味と砂糖の甘さが、お散歩の疲れを癒やしてくれます。
色彩のシャワーを浴びる「両神山麓花の郷ダリア園」(埼玉県)
埼玉県秩父郡小鹿野町にある「両神山麓花の郷ダリア園」は、厳密には「お祭り」とは異なりますが、地域住民の情熱が結集した「花の祭典」です。2026年度も9月1日から11月3日まで開園が予定されています。
約10,000平方メートルの広大な敷地には、地元ボランティアの方々が丹精込めて育てた約350種、5,000株ものダリアが咲き誇ります。9月が見頃となり、ダリアはその花言葉に「優雅」「気品」を持つ、一輪一輪が主役級の存在感です。
【ここでしか食べられないグルメ】
秩父・小鹿野に来たなら、名物の「わらじかつ丼」は外せません。器からはみ出すほどの大きなカツが2枚、甘辛いタレに潜らせてあり、ボリューム満点です。
落花生の聖地で楽しむ「やちまた落花生まつり2026」(千葉県)
千葉県八街市は、生産量日本一を誇る落花生の街。2026年9月20日(日)前後には、千葉県誕生150周年以降の盛り上がりを継承した「やちまた落花生まつり」が開催されます。
収穫したての落花生を味わえるだけでなく、地元の若手農家による「最新のピーナッツスイーツ」のコンテストも同時開催予定です。
【ここでしか食べられないグルメ】 この時期の八街でしか食べられないのが「茹で落花生」です。生落花生を塩茹でしたもので、ホクホクとした食感と濃厚な甘みは別次元の美味しさです。
鍋ぶたで火を消す奇祭「タバンカ祭り」(茨城県)
下妻市の大宝八幡宮で毎年行われる「タバンカ祭り」。2026年は9月5日(土)に開催されます。むかし寺の僧の宿舎から火が出たとき、畳と鍋ぶたを使って火を消し止めたことがありました。その逸話を催事として後世につたえるのが「タバンカ祭り」なのだそう。境内の松明の火を、畳と鍋ぶたで激しく叩きつけるようにして消す動作を繰り返す珍しいお祭りで、その勢いで火の粉が舞い散る様子は迫力満点。
【ここでしか食べられないグルメ】
下妻市はメロンの産地としても有名です。秋には「茨城キング」という品種を使った贅沢なメロンパフェが楽しめます。
赤子の元気な泣き声が響く「生子神社の泣き相撲」(栃木県)
栃木県鹿沼市で江戸時代末期から続く「生子(いきこ)神社の泣き相撲」は、2026年9月20日(日)に開催されます。「泣く子は育つ」という言葉通り、力士に抱えられた赤ちゃんが先に泣いた方が勝ち(あるいは元気な泣き声を競う)という微笑ましくも神聖な儀式です。国の選択無形民俗文化財にも指定されており、2026年も全国から健やかな成長を願う家族が集まります。
【ここでしか食べられないグルメ】
鹿沼の名物といえば「シウマイ」です。崎陽軒の初代社長が鹿沼出身であったことから、近年「シウマイのまち」として盛り上がっています。
古代の王が現代に蘇る「かみつけの里古墳祭り」(群馬県)
高崎市の上毛野(かみつけの)はにわの里公園で、10月中旬に開催されます。5世紀後半から6世紀にかけての東国文化の中心地であったこの場所で、当時の王の葬儀や即位の儀式を考古学的な知見に基づき忠実に再現。ボランティアによる古代衣装のパレードは、まるでタイムスリップしたかのような錯覚を覚えます。コスモスが揺れる古墳の上での劇は一見の価値ありです。
【ここでしか食べられないグルメ】
高崎は「パスタの街」として有名。独特の太麺を使ったボリューム満点の「高崎パスタ」をぜひ味わってください。
葉たばこの歴史を未来へ繋ぐ「秦野たばこ祭り」(神奈川県)
秦野市で2026年9月26日(土)・27日(日)に秦野たばこ祭りが開催されます。かつて最高級の葉たばこ「秦野葉」の産地として知られた歴史を背景に、たばこ耕作の苦労をねぎらうために始まりました。現在は栽培こそ行われていませんが、花火大会やパレード、そして「火生り(ひなり)」と呼ばれる炎の演出など、街を挙げての賑わいは健在です。
【ここでしか食べられないグルメ】
名水で作られた「秦野そば」や、地元産ピーナッツを使った和菓子が絶品です。
著者プロフィール
ヨーロッパ在住の旅と食のプロガイド
主にスペインに拠点を置いて30年。プロの観光ガイドとして、これまで数多くの日本人旅行者の皆様を世界各地でご案内してきました。また、日本国内ではスペイン語圏からの観光客をお迎えするガイドとしても活動。
ガイド業の傍ら、その土地ならではの「食」と「旅」の魅力を伝えるライターとして、雑誌や専門メディアにて、現地発のリアルな情報を多数掲載しています。「ガイドの視点」と「食へのこだわり」で、皆様の旅がより豊かなものになるよう、最新の情報をお伝えします。


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