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パタゴニア最大のウプサラ氷河、世界遺産のロス・グラシアレス国立公園でウプサラ氷河クルーズ

      2021/10/26

パタゴニアの氷河ツアーで通訳として働いていた時に、博識のガイドさんから教えてもらった、パタゴニアのロス・グラシアレス国立公園にある、南アメリカ最長のウプサラ氷河に関する色々な情報をまとめました。

パタゴニアのウプサラ氷河の見所

パタゴニア氷河観光で一番有名な場所が、ロス・グラシアレス国立公園 (Los Glaciares National Park) 。総面積7,269平方kmのアルゼンチン最大の国立公園で、南極、グリーンランドに次ぐ、世界第三の大きさを誇る南パタゴニア氷原を有します。

ロス・グラシアレス国立公園には47の氷河が点在しています。数ある氷河の中で一番有名なのがペリト・モレノ (Perito Moreno) 氷河。これを見ずしてパタゴニアを訪れたとは言えない、とされるほど大変重要な観光地です。

そのため多くの人がペリト・モレノ氷河だけを訪れて帰ってしまうのですが、ロス・グラシアレス国立公園にはもう一つ、とても重要な観光名所があります。ロス・グラシアレス公園内最大で、南パタゴニア最長の規模を持つウプサラ (Upsala) 氷河です。

見る者を圧倒させるスケールの大きさも魅力的ですが、ウプサラ氷河の一番の見所は、湖にプカプカ浮かぶ氷山の景色だと思います。氷河は日本人にはとても珍しいものですが、世界の至る所にあります。実は氷山の方が見る事の出来る場所が限られていて貴重なんです。

ロス・グラシアレス国立公園のペリト・モレノ氷河は、ただの氷河とは全く異なるので絶対に見なくてはならない景色。でもウプサラ氷河もまた、絶対に見逃す事の出来ない、負けず劣らずの素晴らしい観光名所だと思います。

氷山や氷河は何故青く見えるのか

氷河は、降り積もった雪が長い年月をかけて押しつぶされて巨大な氷の塊となって出来上がります。何万年という時をかけて、自身の重みで空気を押し出すので、空気を殆ど含まない透明な氷となります。

氷河の氷は太陽の紫外線の波長の短い青い光だけを反射して、他の色を吸収します。美しい青色は氷河特有の色。途方もない時を閉じ込めた色です。美しいブルーの世界を楽しんで下さい。

ウプサラ氷河の特徴

ウプサラ氷河 (Glaciar Upsala) は、世界遺産にも登録されているロス・グラシアレス国立公園内にあります。表面積は595平方メートル、南パタゴニア氷原からアルヘンティーノ湖まで60kmに渡って伸びています。

ロス・グラシアレス公園内で最大、南アメリカ最長の氷河です。パタゴニアはペリノ・モレノ氷河が人気が高く有名ですが、ウプサラ氷河の雄大さは別格で、ペリト・モレノ氷河の2倍の大きさを持ちます。

ペリト・モレノ氷河とは全く異なる景色を見せてくれます。ペリト・モレノが氷河の崩壊の大迫力スペクタクルなら、ウプサラ氷河の売りは湖に浮かぶ氷山の幻想的な景色。大小様々な形の氷山が沢山プカプカ浮かんでいて、観光船は氷山の合間を縫うように進みます。

ウプサラ氷河は面した湖の底まで氷河が届いていないので浸食が起こり、分解した氷河は氷山となって湖に流れ出ます。ペリト・モレノ氷河周辺では殆ど見る事のない氷山が、ウプサラ氷河周辺には沢山浮かんでいます。

ウプサラ氷河と氷山

ウプサラ氷河には陸路からのアクセスがありません。船が唯一のアクセス手段なのですが、ウプサラ氷河周辺は氷塊が多いので余り近寄る事は出来ません。ウプスラ氷河から15km位が、ギリギリ近付ける距離なのだそう。

そのため間近で氷河を見る事は出来ませんが、クルーズ船は氷山にはかなり近づいてくれます。氷山の一角の言葉通り、氷山は水面上に見えている部分はほんの僅か、殆どの部分が水面下にあります。

タイタニックにならないか不安になりますが、流石プロ、器用によけて氷山の合間をクルーズしてくれます。そしてウプサラ氷河クルーズは、近場にあるスぺガッツィーニ氷河もセットで訪れてくれる事が多いです。

ロス・グラシアレス公園内で最も高く、高低差のある氷河なので迫力があります。ただ迫力で言ったら高さ60m、幅4kmに及ぶ氷壁の、目と鼻の先にボートを近付けてくれるペリト・モレノ氷河のクルーズが一番だと思います。

ウプサラ氷河クルーズ

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クルーズ船はエル・カラファテの町から西へ約40kmの距離にある波止場、プンタ・バンデーラ (Punta Bandera) から出ています。ウプサラ氷河観光は5時間のクルージングツアーが主体なので、ペリト・モレノ氷河と同日で周るのはかなり難しいかと思います。

クルーズ船はバンデラス港を出港すると、まずはウプサラ氷原を目指します。結構遠くて1時間半ほどかかります。ウプサラ氷河周辺を遊覧した後、一時間かけてスぺガッツィーニ氷河へ向かい、再びまた出発地へ戻ります。

観光船では浮かんでいる氷河を拾って、ウィスキーのロックを作って売っています。何万年もの歳月が詰まった氷で飲むウィスキーの味は格別です。是非楽しんで下さい。ちなみにウプサラ氷河の名前は、この地域の最初の氷河研究を資金的に支援したスウェーデンのウプサラ大学が元となっています。

ウプサラ氷河の問題点

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ウプサラ氷河は、パタゴニア氷原から60kmに渡って伸びる南米最長の氷河です。でもかつては100km近くありました。地球温暖化が原因で、100年にも満たない間に40km近くの氷床が後退してしまったのです。

かつて一面が氷河で覆われていた場所には、大きな湖が出来ました。余りにも急速に氷河が消失してしまったので、周辺は植物など何も生えていない、荒涼とした土地が広がっています。

ウプサラ氷河ツアーに参加すると、ガイドさんが1931年と2006年に同じ場所で撮ったウプサラ氷河の写真を見せてくれます。著しい氷河の後退が手に取るように分かり、びっくりしてしまいます。

現在も年間200mの速さで後退しているのだそう。このウプサラ氷河の後退に関しては、ドキュメンタリー映画「不都合な事実」で詳しく知る事が出来ます。この美しい氷河を次世代にも残せるよう、何か出来る事はないか真剣に考えてしまいます。

パタゴニアのロス・グラシアレス国立公園

ロス・グラシアレス国立公園周辺は、南極とは異なり冬でも気温が-5度前後しか下がらないので、氷河が溶けたり凍ったりを繰り返しています。その結果氷河地帯として珍しく、ダイナミックな氷河の動きを見る事が出来ます。

アンデス山脈の上部にある氷河の重みが増し、山の下の方の氷河が溶けると、山頂にある氷河が山の斜面を伝って押し出されるように動き出します。気温が上る夏になると、その動きが更に活発化し、押し出された氷河の端は湖にどんどん落ちていきます。

それが大きな氷山となっているのがウプサラ氷河周辺。ペリト・モレノ氷河周辺だと、ビル程の高さがある巨大な氷の塊が、大音響と共に一気に湖に崩れ落ちます。これらは他ではなかなか見る事の出来ない、ロス・グラシアレス国立公園だけの大スペクタクル。だからこそ世界中からの観光客を引き寄せています。

パタゴニアのペリト・モレノ氷河

数あるロス・グラシアレス国立公園内の氷河の中で、一番の人気を誇るのは、文句なくペリト・モレノ氷河 (Perito Moreno) です。駐車場から歩いて直ぐの展望台から、壮大な氷河を観察する事が出来るアクセスの良さに加えて、ペリト・モレノ氷河は大規模な氷の崩壊が起こりやすいからです。

ペリト・モレノ氷河は毎日2~4mも移動しているので、氷河の先端部分は非常にもろく、崩れやすくなっています。通常の氷河の動きが一日数センチから数十センチなので、この速さは本当に驚異的な数字です。

ウプサラ氷河も本当に素晴らしい観光名所ですが、ペリト・モレノ氷河なくしてパタゴニアは語れません。世界で一番美しく、有名な氷河、ペリト・モレノに関する様々な情報は、別記事で詳しくまとめてあるので是非こちらも読んでみて下さい。

パタゴニア観光の拠点カラファテ

パタゴニアのエル・グラシアス国立公園を観光する際に、拠点となるのがエル・カラファテ (El Calafate) の町です。人口1万人にも満たない小さな町ですが、パタゴニアを旅行する殆どの人が、この町をパタゴニア観光の発着地点とするので、常に観光客で溢れています。

ロマンティックな伝説を持つ、アルゼンチンで一番大きな湖、アルヘンティーノ湖に面したパタゴニア観光の拠点、エル・カラファテの町に関しては、別記事で詳しくまとめてあります。

南極の氷河

パタゴニアで世界で3番目に大きい氷河を見たのなら、世界で一番の氷河を見たくなりませんか?パタゴニアから南極まではほんの鼻の先。パタゴニア最南端から南極行きの船が出ています。南極に関しては別記事で詳しくまとめました。

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