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スペインの世界遺産ランキング、おすすめ順スペインの世界遺産

      2023/07/23

スペインはイタリア、そして中国に次いで世界遺産の数が多く、全て合わせて46カ所あります。総じてスペインの世界遺産はレベルが高いのですが、中にはパスしてもいいかなと思える世界遺産もあります。色々と考慮して、おすすめ順のランキング形式で、スペインの世界遺産を解説します。

実はスペインには世界遺産以上に見応えのある、魅力的な観光名所が沢山あります。世界遺産も含めた総合的なスペインの見所70選を、地域別に詳しく別記事でまとめてあります。スペイン旅行のルート作りに是非役立てて下さい。

絶対に訪れるべきスペインの世界遺産

1位:アントニ・ガウディの作品群

アントニ・ガウディは、スペインのモデルニスモ(アール・ヌーヴォー)を代表する建築家です。モデルニスモとは、19世紀末から20世紀初頭にかけてヨーロッパを中心に開花した、従来の様式に囚われない装飾性や素材を使った新しい芸術様式の事。モデルニスモはカタルーニャ地方を中心に大流行したので、バルセロナの街には数多くのモデルニスモ様式の建築物があります。

その中でもガウディの作品群がとても有名で、世界中の観光客を虜にしています。ガウディの主要作品は、サグラダ・ファミリア(Sagrada familia)、グエル公園(Parque Güell)、カサ・ミラ(Casa Mila)、カサ・バトリョ (Casa Batlló)。いずれも世界遺産に登録されています。

ガウディの作品群の中で一番人気を誇るのが、サグラダ・ファミリア。スペインを訪れたら絶対に見るべき世界遺産の筆頭です。面白いのは「生きている建築」である事。未だ未完成で建設中なので、塔が伸びたり、装飾が増えたり、毎日少しづつ成長しています。ちなみにサグラダ・ファミリア周辺は、世界で一番のスリ多発地帯。身を引き締めて観光しましょう。

アントニ・ガウディの生涯

ガウディはサグラダ・ファミリア建設中に、路面電車に跳ねられて死亡しました。当時既に偉大な建築家として有名で、バルセロナの誇りですらあったのに、事故死した小汚い老人がガウディだとは誰も気づきませんでした。

ガウディの死亡時、ポケットにはチリ紙しか入っていなかったとされます。ガウディは自身の才能だけでなく、彼の財産、そして人生の全てをサグラダ・ファミリアに注ぎました。その熱い思いを現在は世界中の建築家達が受け継いで、サグラダ・ファミリアの完成を目指し頑張っています。

バルセロナの見所

ガウディの作品群があるバルセロナは、見所がとても多い街です。ガウディ以外のアール・ヌーヴォー建築物も見逃せませんが、他にも素晴らしい観光名所が沢山あります。最低でも2日はないとキツイかと思います。ガウディの作品群全ての内部見学をするつもりなら更に時間が必要です。ただ、入場料がとても高いので、全て見るのは時間的、経済的にも大変です。

2位:グラナダのアルハンブラ、ヘネラリーフェ、アルバイシン

スペイン南部アンダルシア地方のグラナダの街にあるアルハンブラ宮殿 (Palacio de la Alhambra)、ヘネラリーフェ (El Generalife)、アルバイシン (El Albayzín)が、世界遺産に登録されています。中でもアルハンブラ宮殿は、スペインを訪れたら絶対に見逃す事の出来ない名所の一つ。

アルハンブラ宮殿を建築していた時代は、既にイスラム勢力が終焉を迎えていたので、お金をかける事が出来ませんでした。貧相な建材を使用していたのを隠す為に、美しくて緻密な装飾で壁面を覆い尽くしました。苦肉の策が功を奏し、イスラム建築の華とまで歌われるようになりました。

アルハンブラ宮殿に関する注意点

アルハンブラ宮殿は絶対にネットで事前予約して下さい。せっかく訪れたのに、チケットが売り切れで入場出来なかった、なんて悲劇が起こります。特にハイシーズンなら猶更予約が必須で、アルハンブラ宮殿に限っては常にハイシーズンに近いです。

アルハンブラ宮殿の一角は、パラドールと呼ばれる国営ホテルになっていて宿泊も可能です。人気が高く予約を取るのが難しいのですが、世界遺産に泊まる滅多にない機会なので是非頑張ってみて下さい。

グラナダの見所

世界遺産に登録されているのはアルハンブラ宮殿だけでなく、イスラム人が思い描く天国をイメージした夏の離宮ヘネラリーフェ、グラナダで最も古いイスラム教徒のための居住区、アルバイシン地区も含まれます。

世界的に有名なアルハンブラ宮殿だけを見学して他の街へ移動してしまう強者もいますが、見所が沢山あり美味しいタパスでも有名な街なので、最低でも一泊する人が殆どです。

3位:コルドバ歴史地区とメスキータ

アンダルシア地方に属するコルドバ(Cordoba)の街は、後ウマイヤ朝の都として栄えていた美しい古都。旧市街全体とメスキータが、ユネスコの世界遺産に登録されています。スペイン語でモスクを意味するメスキータ(Mesquita) は、コルドバ最大の観光名所。

785年にイスラム教の寺院として建築されたメスキータが、カトリック勢力に征服された為、内部の一部にカテドラルが建築されました。イスラム教とキリスト教、2つの宗教様式が同じ場所に同居する、大変珍しい建築物となっています。

圧巻は850本の馬蹄形のアーチがある礼拝堂。元ある宗教建築の美しさを尊重しながら、自らの宗教建築を遠慮なくぶち込む。寛容なのか横暴なのか分からない、とてもスペインらしい建築物だと思います。

コルドバの街の見所

コルドバは毎年5月に開催されるパティオ祭も有名です。ユネスコの無形文化遺産にもなっています。最悪メスキータだけを見学して他の街へ移動しても良いです。ただ旧市街全体が大変美しく、アンダルシア地方の他の観光地と比べてゆったりとした雰囲気で居心地が良いので、是非一泊して頂きたい素敵な街です。

4位:セビリアのアルカサル、大聖堂、インディアス総合古文書館

スペインを代表する観光都市セビリア(Sevilla)の、グラナダのアルハンブラ宮殿を強く意識したムデハル様式のアルカサル(Alcázar)、世界3位の大きさを持つ大聖堂(Catedral de Sevilla) 、重要な史料が収められているインディアス総合古文書館(el Archivo de Indias) が世界遺産に登録されています。

セビリアの見所

見所がとても多い街なので、最低でも一泊必要です。春は有名な祭があるので、世界中から観光客が押し寄せホテルを取るのが不可能に近いです。そして夏は「飛ぶ鳥が焼け落ちるほど暑い」とされる地域なので、避けた方がいいかも。

スペイン南部アンダルシア地方の見所

スペイン南部アンダルシア地方は、観光名所が盛沢山の地域。アンダルシア地方だけを訪れても良いぐらい、魅力あふれる地方です。アンダルシア地方だけにスポットを当てた、絶対に見逃せないアンダルシアの観光名所を別記事で詳しくまとめてあります。

5位:セゴビア旧市街と水道橋

スペイン中央部、カスティーリャ・イ・レオン州にあるセゴビア(Segovia)の街の旧市街全体が、世界遺産に登録されています。主要となる観光名所が、保存状態の良い水道橋(Acueducto) 、ディズニーの白雪姫の城のモデルとなったアルカサール(Alcázar)、セゴビア大聖堂(Catedral de segovia) 。

中でも一番の見所となるのが、古代ローマ時代に作られた水道橋。全長813m、最高部の高さが28,5m、128のアーチからなるスペイン最大の水道橋です。花崗岩を積み上げて作った橋で、セメントなどの接着剤を使わず、自身の岩の重みだけで2000年を超えて存在する凄い建築物です。

更には19世紀末まで現役として街に水を供給していたと聞かされて、古代ローマ人の土木技術の確かさに驚かされました。首都マドリッドから1時間位なので日帰りも可能です。公共の交通機関でのアクセスが抜群に良い観光地です。

6位:トレド旧市街

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「もしスペインに1日しか滞在しないのなら、とりあえずトレドへ行け」との格言があるほど美しい古都、トレド(Toledo)。旧市街全体が世界遺産に登録されていて、町全体が丸ごと博物館のような場所です。

スペインのカトリック総本山である大聖堂をはじめ見所が沢山あるのですが、旧市街を囲む川の向こう側の丘の上から、トレドの町の全景を眺めるだけで満足出来ます。何だかもう、自分がどの時代に居るのか分からなくなります。

ルネサンス期のスペインを代表する画家、エル・グレコの作品が沢山ある事でも有名な街。トレドの伝統工芸である繊細な金銀細工が特徴のダマスキナードは、お手軽価格のアクセサリーが多いので、お土産として大変人気が高いです。

首都マドリッドからバスで1時間ぐらいの場所にあり、バスの本数も多いので日帰りで行く人が殆どですが、是非とも宿泊してゆっくり滞在して頂きたい、スペインを色濃く感じる事の出来る、大変美しい古都です。

7位:サンティアゴ・デ・コンポステーラ旧市街

スペイン北部ガリシア地方にあるサンティアゴ・デ・コンポステーラ(Santiago de Compostela) の街は、エルサレム、バチカンと並ぶキリスト教の三大巡礼地の一つです。旧市街一帯が世界遺産に登録されています。

同じく世界遺産となっている「巡礼の道」の終着地として、今も昔も多くの巡礼者を迎え入れて来ました。宗教の町として有名ですが、そのくくりに入りきらない、魅力盛沢山の町です。

スペイン北部ガリシア地方の魅力

美しさもさることながら、サンティアゴ・デ・コンポステーラは美食の地としても大変有名です。特に魚介類が最高。スペインは観光だけでなく、地方で全く異なる美味しい郷土料理を楽しめるのも大きな魅力の一つです。

ガリシア地方は雨が多いので緑が多く、日本の原風景みたいな景色が広がっています。魔女伝説でも有名で、雰囲気的にも何か出そうな感じ。太陽、フラメンコ、闘牛。そんな明るくて力強いイメージのあるスペインとは、全く正反対の顔を見せてくれるのがガリシア地方です。。

8位:サラマンカ旧市街

サラマンカ(Salamanca)はイスラム様式、ゴシック様式、バロック様式、ルネッサンス初期のプラテレスク様式、沢山の時代の建築物が集まる稀有な場所です。建築が好きな人は、絶対に訪れるべきだと思います。

酸化鉄を多く含む赤みのある石で作られた街なので、夕日にあたると赤く燃えます。それが泣けてくるほど美しい。見所は沢山ありますが、サラマンカ大学の正面玄関はプラテレスク様式の最高傑作と呼ばれています。

「プラテレスク」とはイスラム文化の影響を受けた、綿密で多量の装飾を施した建築様式。これでもかって程のゴテゴテ感が、何ともスペインらしい芸風です。プラテレスクも凄いのですが、スペインで一番美しい広場とされるマヨール広場が圧巻です。

スペインどころか世界で一番美しい広場だと、世界100国以上を旅した私が密かに思っています。フランスのパリ大学、イタリアのボローニャ大学に次ぐ古い歴史を持つ、スペイン最古の大学がある街でもあります。

9位:アビラ旧市街と市壁外の教会

アビラ(Avila)の旧市街一帯が世界遺産となっています。圧巻は何と言っても城壁。後述するルーゴの城壁も素晴らしいのですが、アビラの城壁はアニメとかゲームの世界感が強いです。もうまるで進撃の巨人の世界。

全長2,5km、平均の高さ12m、厚さ3mの城壁が、旧市街をぐるっと囲んでいます。城壁の上を歩く事も出来ますが、町から少し離れた小高い丘の上から全体像を眺めるのがいいです。何かもう現実世界とは思えません。

16世紀の聖テレサの修道院改革の中心地で、世界中の崇拝者が訪れる宗教の街でもあります。でも個人的にはアビラは肉。アビラ牛のステーキを食べる為だけにアビラを訪れても後悔しないと思います。スペイン最高峰の牛肉を堪能して欲しいです。

10位:ルーゴのローマ城壁

ルーゴ(Lugo)は旧市街全体が、ぐるっとローマ時代の城壁に囲まれています。城壁の全長は2km。10個の門があり、城壁の上は無料の遊歩道になっています。この城壁の上からの景色が、まさに空中散歩。素晴らしく美しいです。

ルーゴは大変美しい街であると同時に、美味しい事でも有名です。素晴らし過ぎる観光資源を多く抱えているのに、余り観光客が訪れないので物価が安いのも魅力の一つ。美しくて、美味しくて、安い、スペインの穴場だと思います。

ルーゴの温泉

ルーゴは温泉でも有名な土地。川沿いに無料の露天風呂があります。本当に魅力盛沢山のルーゴが、これほどまでに無名なのか本当に理解不能です。もっと評価されるべき場所ではありますが、このまま観光客が少ない街でいて欲しい願望が強いです。

訪れるべきスペインの世界遺産

11位:エル・エスコリアル修道院とその遺跡

マドリッドから45kmの場所にある、とにかく巨大な建築物。宮殿、修道院、博物館、図書館を兼ねた複合施設です。外側の印象は巨大で無機質な箱。中はびっくりの豪華絢爛です。余り期待しないで行くと、余計に驚かされます。

首都マドリッドから日帰りで行ける素晴らしい観光地で、修道院自体も凄いけど、エル・エスコリアルの街もまた雰囲気が良いです。スペインは見所盛沢山の国なので、余り目立たない存在ではありますが、影の実力派だと思います。

12位:バルセロナのカタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院

バルセロナはガウディだけじゃないんです。ガウディの人気が凄すぎて、モデルニスモと言えばガウディという風潮になってしまいましたが、バルセロナには他にも沢山のアール・ヌーヴォーの作品があります。

個性的な建築物を全部ガウディの作品だと思うのはやめましょう。例えばリュイス・ドメネク・イ・ムンタネー。当時、名実共にモデルニスモを代表していた建築家です。バルセロナの建築学校で、ガウディに教えていた教授で、後にライバルの関係となりました。

ドメイク・イ・モンタネルの代表作は、カタルーニャ音楽堂とサン・パウ病院。いずれもスペインを代表するモデルニスモの傑作です。サン・パウ病院は2009年まで実際に診療が行われていた場所。病院のイメージとは程遠い、とても奇抜な建築物です。

カタルーニャ音楽堂は、とにかく内装が素晴らしいです。ガウディのサグラダ・ファミリアは、中に入らなくても十分楽しめますが、ムンタネーの2つの建築物は中に入らないと意味がない。

入場料を払う価値は充分にあるけれど、カタルーニャ地方は何事も入場料が高いので、全部見るとなるとえげつない金額になります。ガウディ建築群は絶対に外せないので、予算に余裕がない人は泣く泣くパスするしかないかも。

13位:水銀の遺産アルマデン

スペイン中央部、カスティーリャ・ラ・マンチャ州にあるアルマデン鉱山(Minas de almaden) は、世界最大の水銀鉱床です。古代ローマ時代から2500年もの期間に渡って、25万トンの水銀が採掘されました。これは全人類が使用した水銀の3分の1に値するのだそう。

16世紀からは新大陸での金銀の搾取が始まり、水銀を使用して鉱石から金銀を取り出したので需要が一気に増えました。アルマデンで採掘した水銀を陸路でセビリアまで運び、船で新大陸へ持ち込んでいたのだそう。

水銀の需要が減った為、2001年に閉鉱されました。現在は水銀鉱山の歴史や、採掘方法、実際に使用していた場所や工具などを紹介してくれる、素晴らしいツアーを開催しています。

とても興味深い場所で、個人的に本当に楽しめたので上位に食い込ませてしまいましたが、ツアーはスペイン語だけです。専門用語が多いので、スペイン語が分からい人は余り楽しめないかもしれません。

アルマデンは鉱山だけでなく、世界で唯一の6角形の形をした闘牛場もあります。そしてこの闘牛場、3つ星ホテルになっています。鉱山以外も色々と興味深い場所なので、個人的にメチャクチャおすすめです。

14位:ブルゴス大聖堂

カスティーリャ・イ・レオン州ブルゴスの街にある大聖堂 (Catedral de Burgos) は、300年かけて作られたスペイン・ゴシックの最高傑作です。巨大で豪華、独自性もある事から、スペイン3大カテドラル(大聖堂)の一つとされています。

23個ある美しい礼拝堂、有名なバラ窓、とても見所の多い圧巻の大聖堂です。ブルゴスは交通の要所でアクセスが良く、周辺には観光名所が多いので、最悪ブルゴス大聖堂だけを見学して他の町へ行っても良しとしましょう。

ただブルゴスは旧市街の雰囲気が良く、安くて美味しいタパスを食べさせてくれるBARが沢山ある街です。はしご酒が楽しい地域なので、宿泊するとかなり楽しい事になると思います。

15位:カセレス旧市街

カセレス(Cáceres)の街は、地味代表のエストレマドウーラ州を代表する観光地。古い市壁に囲まれた旧市街全体が、世界遺産に登録されています。地味だけど地味なりに何かいい、そんな感じの場所です。

カセレスは紀元前25年にローマ人によって建設されました。大きな見所は無いけれど、全体的に地味に凄いです。中世の街並みがそのまま残るので、多くの映画の撮影地となりました。コウノトリの巣が多い事でも有名です。

16位:アラゴンのムデハル様式の建築物

スペイン特有のムデハル様式は、イスラム文化を取り入れたキリスト教の建築様式です。12世紀から16世紀にかけて、アラゴン州を中心に流行り、10個のムデハル様式の建築物が世界遺産に登録されています。

全て見るのは難しいかと思うので、主要となる4つのムデハル建築物があるテルエルを訪れましょう。「スペイン版のロミオとジュリエット」と呼ばれるテルエルの恋人達の伝説で有名な町でもあります。

アラゴン州のおすすめ観光地

テルエルを訪れた後で余力があったら、アラゴン州の州都であるサラゴザ(Zaragoza)の街も訪れて欲しいです。世界遺産になっていないのが不思議な程、有名で美しいピラール聖堂があります。バルセロナとマドリッドの中間にあり、アクセスもとても良いです。

テルエルから35km先の渓谷には、スペインで最も美しい町とされるアルバラシン (Albarracin) の町があります。アクセスは悪いのですが、おとぎ話の世界そのままの風景を楽しめるので、是非とも訪れて頂きたい大変おすすめの町です。

17位:アンテケラのドルメン遺跡

スペイン南部アンダルシア地方のアンテケーラ (Antequera) の街にある、ドルメン遺跡(青銅器時代の埋葬地)が世界遺産に登録されています。紀元前3000年の歴史を感じる重要な遺跡ではありますが、ただただ巨大な石とも言えます。

ドルメン遺跡だけならアンテケーラをこの順位には入れなかったのですが、街自体がとても美しいスペインの白い村で、近場にはヨーロッパ有数のカルスト地形で知られるトルカル・デ・アンテケーラ (Torcal de Antequera) があります。

大古に海底だった石灰岩の土地が隆起し、雨や風の侵食を受けて奇妙な形の奇岩群が形成されています。トルカル・デ・アンテケーラも世界遺産に含まれているので、珍しい自然の景色とセットで、是非とも訪れて頂きたい素敵な場所です。

18位:サンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院

スペインのエストレマドゥーラ州に属する、サンタ・マリア・デ・グアダルーペ王立修道院 (Real Monasterio de Nuestra Señora de Guadalupese) は、山に囲まれた標高650mの台地にあります。

13世紀後半にこの地で羊飼いが聖母像を発見し、礼拝堂を建てました。多くの奇跡を起こしたとして、4世紀以上に渡ってスペインの最も重要な修道院として君臨しています。

町とは言え修道院しかないイメージですが、その修道院が素晴らし過ぎます。一部がホテルに改築されているので、絶対に宿泊して下さい。修道院に泊まらないとグアダルーペは魅力が激減します。

19位:オビエド歴史地区とアストゥリアス王国の建造物群

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スペイン北部オビエド (Oviedo) は、かつて炭鉱の町として栄えていました。スペイン史上とても重要な街で、キリスト教徒達はこの土地からレコンキスタ、イベリア半島をイスラム勢力から再征服していきました。

スペインで唯一、イスラム勢力に支配されなかった土地なので、純スペインの風格があります。同時にスペインのこんな北の端までイスラム勢力に追い詰めらていたのだと、感慨深くなります。

オビエドの歴史地区は世界遺産ではありますが、スペイン内戦で殆どが破壊されてしまったので、古いものは残っていません。旧市街より注目したいのが、同じく世界遺産となっているアストゥリアス王国の教会群。

オビエド中心部から少し離れた場所にあり、特にサンタ・マリア・デル・ナランコ教会の高貴さは、一見の価値があります。アストゥリアス地方はグルメの地としても大変有名です。何を食べても美味しくて、でかい。

可能なら訪れたいスペインの世界遺産

20位:テイデ国立公園

カナリア諸島のテネリフェ島にある、スペイン最高峰(3718m)のテイデ山とその周辺がテイデ国立公園(Parque nacional del Teide) として世界遺産となっています。テイデ山は世界第三位の規模を持つ火山で、古くから噴火を繰り返してきました。

1909年を最後に活動を休止していますが、噴火の度に甚大な被害をもたらしています。火山特有の火星のような景色が美しく、世界中から多くの観光客を引寄せています。本来ならもっと上位にあるべき世界遺産ですが、スペインと言うよりほぼアフリカの位置にあるので19位としました。

21位:サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ

同じくテネリフェ島の北部にある大学都市、サン・クリストバル・デ・ラ・ラグーナ(San Cristóbal de La Laguna) も世界遺産に登録されています 。スペインが新世界で築いた最初の非要塞型都市で、多くのラテンアメリカの都市建設のモデルとなりました。

世界遺産ではありませんが、カナリア諸島は他の島も見所が多いです。位置的にスペインではなくアフリカですが、スペインから安いツアーも多く出ているので、是非訪れて欲しい場所です。

22位:サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路

フランスからピレネー山脈を経由して、キリスト教の三大巡礼地の一つであるサンティアゴ・デ・コンポステーラまで続く巡礼の道全体が、ユネスコの世界遺産に登録されています。

巡礼の道は1000年以上の歴史を持ち、現在でも年間10万人以上の人達が歩いています。スペイン国内だけで800kmあり、普通に歩いて一か月、自転車で2週間程かかります。現在は昔のように宗教的な思いで巡礼する人は少なく、トレッキングの拡大バージョン的な捉え方をされています。

巡礼の道にはお布施的に任意で支払う宿泊施設が点在しているので、お金を使わず楽しめる、とても人気の高いレジャーと化しています。私も宗教的意味合い抜きで二回程歩いたのですが、色々と学んだ事が多かったです。

荷物は重ければ重いほど辛いので、物を捨てながら歩いていたら、生きる上で本当に必要な物は実は少ない、と気づかされたのが一番の悟りでした。世界中からやってくる、気さくな巡礼者達と共に歩き、楽しい時も過ごせます。

巡礼路も趣があり、点在する村や教会、全てが素晴らしいです。基本的に歩く、食べる、寝るを繰り返すだけなので、お金を使わない最高の娯楽だと思いました。時間があるなら、一部分だけでもいいので是非歩いてみて欲しいです。

23位:バル・デ・ボイのカタルーニャ風ロマネスク様式教会群

ピレーネ山脈にある、9つのカタルーニャ風初期ロマネスク様式の聖堂群です。これ程密集して存在する場所は珍しいので、ユネスコの世界遺産に登録されました。交通の便が悪く山道なので、運転の上手い人とレンタカーで行くのが一番。

素朴で力強い初期ロマネスク様式は、本当に神秘的です。聖堂群の背景となるピレーネ山脈の大自然も美しく、本当に圧巻の景色です。是非訪れて欲しい世界遺産なのですが、アクセスの悪さでパスするしかないかも。

行けばそれなりに楽しいスペインの世界遺産

24位:歴史的城塞都市クエンカ

カスティーリャ・ラ・マンチャ州のクエンカ(Cuenca)の街を散策していると、切り立った崖の上に飛び出る形で家が建てられていてびっくりします。「宙吊りの家」と呼ばれる14世紀に建てられた建築物群で、クエンカの町の代名詞となっています。

旧市街一帯が世界遺産に登録されていますが、これと言った見所は宙吊りの家ぐらいです。それでも美味しいレストランが多いし、のんびりできるので、マドリッドから週末に泊りがけで訪れる人が多いです。

25位:アルカラ・デ・エナーレスの大学と歴史地区

アルカラ・デ・エナーレス(Alcala de henares)は、首都マドリッドから電車で一時間程の街。世界で聖書の次に売れている、ドン・キホーテの作者、ミゲル・セルバンテスの出生地として有名です。セルバンテスの人生はまさに波乱万丈。詳しくは別記事でまとめました。

コウノトリの巣で有名な街で、趣があります。マドリッドで働く人達のベットタウン的な場所なので、治安の悪いマドリッド泊を避けて、アルカラ・デ・エナーレスに宿泊するのは悪くない手だと思います。

26位:ウベダとバエサのルネサンス様式の記念碑的建造物群

見所の多いアンダルシア地方の中で、地味代表のハエン県にある2つの街、ウベダとバエサが世界遺産に登録されています。8kmほど離れてはいますが、双子に例えられる程印象が似通った街。15世紀にオリーブの生産で繁栄し、ルネサンス様式の建造物が数多く建てられました。

スペイン王室御用達の最高峰オリーブオイルの産地である為か、どこもかしこもスペイン王室の息がかかったような高貴な雰囲気を持ちます。これと言った見所はありませんが、雰囲気がとても良いので、のんびり滞在して欲しいです。

27位:コルドバのメディナ・アサーラ

コルドバ中心部から西へ7kmの所にあるメディナ・アサーラ(ザフラ―宮殿)。イスラム王国の後ウマイヤ朝の時代、936年に造られました。歴史的価値があり、かなり素敵な場所ですが、アクセスがややこしい。シャトルバスの時間が限られているのもメンドクサイ。

28位:ポブレー修道院

修道院と宮殿を兼ね合わせた珍しいタイプの建築物です。ポブレー修道院の敷地内にはワイナリーがあります。シトー会のワインは昔から有名で、この地にやって来た修道院達もワインを作り続けました。現在は世界的規模のワイナリーグループの協力を得ているので、更に本格的にワインを作っています。修道院と共にワイナリーも見学できるので、一度で二度オイシイ世界遺産です。

行かなくてもいいスペインの世界遺産

29位:メリダの遺跡群

エストレマドウーラ地方にあるメリダ(Merida)の街のローマ遺跡群は、紀元前25年にローマ人によって造られました。ローマ帝国にとって重要な都市のひとつだったので、貴重なローマ建築が数多く残っています。

歴史的、芸術的に重要なローマ遺跡が幾つかあり、プチ・ローマ的な場所で観光客も多いのですが、個人的な好みで27位に居ます。スペインっぽくないからです。イタリアへ行かないなら訪れてもいいけど、イタリアで見ればいいじゃんって感じです。

30位:バレンシアのラ・ロンハ・デ・ラ・セダ

マドリッド、バルセロナに次ぐスペイン第三の都市バレンシア (Valencia) は、スペインを代表する料理、パエリア発祥の地として有名です。スペイン3大祭の一つである火祭りが開催される事でもとても有名。美しいビーチと温暖な気候、美味しい食事。個人的には大変好ましい土地なのですが、意外にも観光名所が少ないです。世界遺産となっているのはロンハ・デ・ラ・セダ(La lonja de la Seda) のみ。15世紀後半に建てられた絹の商品取引所です。スペインの祭に関しては別記事で詳しくまとめてあります。

31位:アランフエスの文化的景観

アランフエス(Aranjuez)は、首都マドリッドから南に50kmの所にある街。アランフエス協奏曲が有名過ぎて、名前負けしているような気がします。宮殿は確かに綺麗なのですが、宮殿しか見所がない。そして宮殿の規模が小さいので、わざわざ行かなくてもと思います。

40位:アタプエルカの考古遺跡ブルゴス県にあるアタプエルカ(Atapuerca)の洞窟で、120万年前のヨーロッパで最も初期の人類が残した人骨、石器類などが発見されました。歴史的に大変重要な場所ではありますが、スペイン人ですらその存在を知らない人が多いです。

32位:タラゴナ

タラゴナ(Tarragona)は、古代ローマ時代に築かれた水道橋や円形劇場などのローマ遺跡が残る町です。遺跡の規模が小さいので、わざわざ行く必要は無い気がします。美しいビーチのついでに行くと丁度いい感じ。しょせんスペイン的ではないローマ遺跡だし。

33位:エルチェの椰子園

バレンシア州にあるエルチェ(Elche)の町の、ヨーロッパ最大級の椰子園が世界遺産に登録されています。144万㎡の広大な土地に、樹齢300年の1万1千本以上のナツメヤシが植えられています。

エルチェにナツメヤシが植えられるようになったのは、紀元前5世紀のカルタゴの時代から。古い歴史のある場所ですが、椰子園なだけにわざわざ行くほどでもないかな。エルチェは聖母の被昇天を描く宗教劇が町の教会で演じられる事の方が有名です。

この「エルチェの神秘劇」は無形文化遺産に登録され、世界的に有名となった事で、更には教会内という箱の小ささから、世界で一番入場券を入手する事が難しい劇、とされています。

34位:ビルバオのビスカヤ橋

スペイン北部ビルバオ(Bilbao)の街にある、世界最古の運搬橋です。軽量鉄ケーブルの使用が画期的で、産業革命期の貴重な建築物として世界遺産となりました。橋は遊歩道みたいになってるので、高い所が好きな人なら楽しめます。

橋の仕組みが独特で面白いのですが、これだけを見にわざわざ行く程のものではないと思います。ただバスク地方はスペインで一番グルメな土地。美味しいものを食べに行くついでに見るのはアリだと思います。

35位:ラス・メドゥラス

スペイン北西部ポンフェラーダに位置するラス・メドゥラス(Las Médulas)は、帝政ローマ時代に最盛期を迎えた金鉱山の跡地です。ラス・メドゥラスの金鉱の枯渇がローマ帝国滅亡の遠因になったとされています。

ローマ人が採掘の為に水の力を利用して山を崩し、その結果人工的に出来上がった不思議な景観が魅力です。個人的には興味深い場所でしたが、アクセスも悪く、わざわざ日本から見に行くほどのものではないと思います。

36位:ヘラクレスの塔

スペイン北部ガリシア地方のア・コルーニャにあるローマ建築の灯台です。ローマ時代から今なお現役で活躍しているのが、一番地味に凄いです。雰囲気の良い場所にあるので、天気の良い日に周辺をゆっくり散歩するのが楽しいです。

37位:サン・ミジャンのユソ修道院とスソ修道院

公共の交通手段がないので、ツアーまたはレンタカーでしか訪れる事の出来ない修道院なので、世界遺産マニアでない限り無理して行くことはないかなと思います。

38位:コア渓谷とシエガ・ベルデの先史時代の岩絵遺跡群

2万年まえに描かれた岩絵の歴史的価値は絶大です。でも個人的には岩壁に描かれた線を見るだけだったので、それほど感動はしませんでした。

39位:アルタミラ洞窟とスペイン北部の旧石器洞窟美術

スペイン北部カンタブリア州サンティアナ・デル・マルにあるアルタミラの洞窟は、旧石器時代に描かれた壁画がある事で世界的に有名な場所です。色彩豊かな野牛、イノシシ、馬、トナカイなどを描いたのが、1万8000年前のクロマニョン人かと思うと、神々しさすら感じます。

ただその肝心の壁画が、外気に触れて痛みがひどくなったので公開されていません。現地にあるのは本物そっくりのレプリカなので、個人的には訪れなくてもいいのではないかと思います。

自然系なのでランクしずらいスペインの世界遺産

トラムンタナ山脈の文化的景観

バレアレス諸島に属するマヨルカ島にあるトラムンタナ山脈(Sierra de Tramontana) を切り開いて作られた段々畑や石垣などが文化的景観として世界遺産に登録されました。農業に全く不向きに見える急斜面に石垣と棚田をコツコツ何世紀もかけて築いた素晴らしさは認めます。でも普通に山です。でも美しいです。

ドニャーナ国立公園

スペイン南部アンダルシ地方にあるヨーロッパ最大級の自然保護区。鳥好きにはたまらない場所で、バードウオッチングのメッカです。地球的に絶滅が危惧されているネコ科の動物、スペインオオヤマネコの最後の生息地でもあります。生物学的には物凄く重要な場所。

ピレーネ山脈のペルデュ山

石灰質の山としてヨーロッパ最高峰となる3,352mのモン・ぺルデュ山。ピレーネ山脈は純粋に美しいです。トレッキングに最高の場所。

行った事がないので順位をつけられない世界遺産

リスコ・カイドとグランカナリア島の聖なる山々の文化的景観

2019年に世界遺産となったばかりので、行った事がないのでどんな場所なのか全く想像出来ません。

イビサ、生物多様性と文化

ガラホナイ国立公園

カルパティア山脈とヨーロッパ各地の古代及び原生ブナ林

スペインの美味しいグルメ

スペインは世界屈指の観光大国。美しい景色も自慢ですが、美味しいグルメも大きな魅力です。スペインを訪れたら絶対食べるべき、美味しいスペイン料理を別記事で詳しくまとめました。

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