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オランダの名物、ハーリングの食べ方、オランダとニシンの関係とは?

      2021/05/01

美食の国が多いヨーロッパの中で、残念ながらオランダの立ち位置は「食には決して期待してはいけない国」。そんなオランダで最高に美味しい食べ物を見つけちゃいました。その名はハーリング。ヨーロッパ在住20年のフードライターが世界中を食べ尽くすの記録。今回は不味いオランダで見つけた最上級の味、オランダのニシンに関する全て。

オランダの夏はハーリングと共に始まる

オランダで夏の始まりを告げるのは何時だってハーリング(HARING)。ハーリングとは北海で取れる若いニシンを生の状態で丸一日塩に漬け、塩抜きした後にそのまま食べる料理です。

オランダ人は本当にハーリングが大好きで、毎年今か今かと待ち望むのが夏の初めのニシン漁の解禁日。年によって違いますが例年6月の中旬前後。その年初のニシンは女王に献上され大ニュースとなり、その後一般に解禁されます。

以前は解禁日前にニシンを売り始める行為が目立っていたのだそう。でも2007年から法律で厳しく罰せられるようになり、今では全国何処でも全くフライング無し。キチンと解禁日が守られています。  

ニシンは一年を通して食べられている、オランダで一番一般的で定番の魚。でも解禁日直後のニシンは本当に特別で、この時期のニシンはホ-ランツェ・ニューヴェ(Hollandse Nieuwe)と呼ばれます。

待ちに待った解禁日になると、オランダ国中、ボージョレ・ヌーボの解禁日なんかとは比較できない程フィーバーします。各地でハーリング祭が開催され、ハーリングの売店には行列が出来ます。

その人だかりを見て「あ、解禁したんだ」と嬉しそうに叫ぶ人、ニコニコしながら浮き足立ちで売店に吸い寄せられていく人、この時期にオランダを訪れると本当に皆ハーリングが大好きなんだなぁと実感出来ます。

オランダとニシンの関係

ニシンはオランダに限らず、北ヨーロッパ全般で良く食べられれている大衆魚。焼いたり、フライにしたり、干したり、燻製にしたり、マリネにしたりして食べます。中でも一番人気があるのがハーリング。

欧米の食生活には生の肉を食べる習慣はあるのですが、生の魚を食べる習慣がありません。その唯一の例外が生の魚を塩漬けにする調理法、ハーリングです。これは中世のオランダで生み出された調理方法で、小骨と内臓をとってから海水でしめたのが元々の始まり。

この保存法によってオランダはニシンを輸出できるようになり、中世におけるオランダ経済の発展にハーリングはもの凄く貢献しました。今あるオランダの基礎は、ハーリングが作ったと言っても過言がないほどです。

美味しいだけでなく、古い歴史と深い深い恩義のあるハーリングだからこそ、オランダ国民のハーリングに対する思いは、何だか特別なものなのだと思います。

ハーリングは外国人のファンも多いです。殆どお刺身感覚だからでしょうか。特に海外生活が長い日本人からの人気が絶大です。今までハーリングが嫌いな日本人を見た事がありません。

健康にも良いニシン、ハーリング

解禁日直後のハーリングはデンマークやノルウェー沖の北海でとれる、最高の状態のニシンで作られます。この時期の大西洋ニシンは卵や白子がまだ発達していないので油が良く乗っているんです。

生臭さが気になる方もいらっしゃるかもしれません。でも一緒に食べる刻んだ玉ねぎが上手くそれを緩和していると思います。ビタミンA1、B1、B2、B6、B12、C、D、Eをたっぷりと含んだ健康にも良いハーリング。

それにオランダでは寄生虫対策として塩漬けにする前に氷点下45度以下に冷凍する事が法律で義務付けられています。オランダ人なら絶対こうゆう法律は守りそうなので危険な生魚もオランダでなら安心して食べる事が出来ます。

駅前のスタンドではハーリングだけでなく、色々な海の幸が売られています。どれも美味しいのですが、やっぱりこの時期、ハーリングに勝るものはありません。春のニシンはプクプクと太り、本当に良く油がのっています。

昨年は脂肪分が26%もあったんで最強に美味しかったです。プリプリしてほんのり甘い味がして。あぁ、もう本当に想像するだけでヨダレが出ちゃいます。プラスして塩加減が絶妙でジューシー。柔らく、でも張りがあってプルプル。もう本当に一口食べるごとに悶絶する程の美味しさです。

ハーリングの食べ方

九州程の大きさしかない、小さな国オランダ。それなのに地方によってハーリングの食べ方が違うんです。小ぶりのニシンの上に玉ねぎのみじん切りをかけ、尻尾を持ち上げて手づかみで食べるスタイルがデン・ハーグ風。

少し大きめのニシンを一口大にカットして玉ねぎとピクルスを添えて食べるのがアムステルダム風。小型で少し塩がきつめのニシンをパンと一緒に食べるのがオランダ南部風。どの食べ方も美味しいのでこの時期にオランダを訪れたなら各地のハーリングを食べ比べるのも楽しいかと思います。

不幸な事に一回しかハーリングを食べる機会を持てないなら、私なら迷わずデン・ハーグへ行きます。デン・ハーグには偉大な画家フェルメールの「真珠の首飾り」を見る事の出来るマウリッツハイス美術館があります。

オランダの首都はアムステルダムですが、デン・ハーグには国会、中央官庁、各国の大使館が集中し、政治の中心地となっています。そんなデン・ハーグの行政エリア、ビネンホフの入り口にあるのがオランダで一番有名なハーリングの売店。

毎年オランダ王にハーリングを献上している由緒正しい老舗ですが、立ち食いスタンドなので一匹3ユーロぐらいで食べる事が出来ます。生臭さが全く無く、塩加減も絶妙。本当にこのお店以上のハーリングはまた食べたことがありません。

勿論ハーリングはレストランでお行儀よくナイフとフォークで食べる事も可能です。でもやっぱり一番美味しいのは立ち食いスタンドで食べるハーリング。せっかくなので正しいハーリングの食べ方、デン・ハーグ風を伝授したいと思います。

これは私がハーリングを食べていたら、周りのオランダ人からダメだしをくらいレクチャーされました。手で魚のしっぽをつかんで持ち上げ、そのまま丸ごと口に入れて食べるのがデン・ハーグ風。刻んだ玉ねぎがトッピングされてるので、上手く落とさず食べるのに少し訓練が必要なのです。  

正しいハーリングの食べ方(デン・ハーグ風)

  • 待ちに待った解禁日が来たらその日のうちに駅へ行く。
  • 駅の前に出ている屋台でハーリングを購入する。勿論ビネンホフの売店に来るのが一番望ましい。
  • 買った後店から5メートル程離れて通行人の邪魔にならない場所を確保する。
  • 紙に包まれたハーリングを軽く一度ギュッと握る。そうする事でハーリングの上に乗った刻んだ玉ねぎが魚に張り付く。
  • 準備が整ったら足を左右に開く。
  • ハーリングの尻尾をつかみ持ち上げる。この際、ハーリングを包んだ紙を顔の下辺りで持ち掲げ、食す際の魚の落下等の不慮の事故に備える。
  • 空を見上げる。この時期のオランダで青空が拝めたら、自分は大変ラッキーな人間だと感謝してから大きく口を開く。
  • ハーリングを頭の方から口の中に入れ、かぶりつき、可能ならば一口で食べる。

日本人とハーリング

そのまま食べても、パンにはさんで食べても美味しいハーリング。ヨーロッパ歴が長い日本人は、ハーリングを家に持ち帰り、わさび醤油と白米で食べるのだそう。刻みネギを加えて丼にしたりすると更に美味しくなるとの事。

私が住む南欧のスペインにはハーリングを食べる習慣が無いので、羨ましい限りです。もう直ぐ皆が待ちに待つニシンの解禁日。今年のニシンはどんな味なのか。オランダ人だけでなく、私も興味津々です。

オランダに関するあれこれ

オランダの名物はハーリングだけではありません。オランダと言えばチューリップ。何故オランダはチューリップで有名なのでしょうか。オランダとチューリップの深い関係については、こちらの記事にまとめました。

オランダはとても興味深い国です。そもそも国の成り立ち自体が興味深い。オランダがどのようにして出来上がったのか、オランダに関するうんちくはこちらの記事にまとめました。

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