オランダ料理とは何なのか、オランダは何故不味いのか、オランダの美味しい食べ物
2021/05/12
オランダはとても興味深い国です。見所も多いのですが、誰もオランダ料理については話したがらない。グルメな国が多いヨーロッパの中で、アンチ美食の国とさえ呼ばれる異色の存在です。ヨーロッパ在住20年のフードライターが、世界中で世界中を食べ尽くすの記録。今回はオランダの食べ物について。
グルメな国はカトリック教国
私はスペインに住んでいます。周りのスペイン人達はよくイエス・キリストの言葉をもじって 「人はパンのみによって生きるにあらず。前菜もメインディッシュもデザートだって必要だ。」 なんて冗談をとばします。
ヨーロッパでは一般的にカトリック文化圏は美食の国、プロテスタント文化圏は美食を好まず、なんて認識をされています。ヨーロッパはグルメな地として有名ですが、確かに有名なのはスペインをはじめ、イタリア、フランスなどのカトリック教徒国が殆どです。
オランダ料理と宗教の関係
オランダの宗教はプロテスタント。更には厳しいカルヴァン派の影響が色濃く残っている国です。美食の国のラテン人が「食べるために生きる」なら、オランダ人は「生きるために食べる」人達。古くから「食事とは味わうものではなく、空腹を満たすためのもの」との認識があります。
そんなオランダ人の食生活は至ってシンプル。経済力のある人達なのに、貧相とすら思える程の内容です。寒い国なので野菜や果物の種類が少なく、芋や豆などを使った安価で高カロリーな料理が多いのも特徴の一つです。
食にこだわらないオランダ人
勤勉、質素、倹約を重んずるオランダに、グルメを求めてもしょうがないかと思います。オランダ人は味覚音痴とまで言われますが、美味しいものは美味しいときちんと感知出来ています。ただ単に食にこだわらないだけなのだと思います。
学生時代にオランダ人の誕生日パーティに招かれた時のカルチャーショックは、未だ忘れられません。メインがパスタにハムとチーズを細かく切って混ぜただけの料理でした。そしてそんな料理に戸惑っていたのが、カトリック系の国の人達だけだったのです。
オランダ人が大好きな食べ物
食に無頓着なオランダ人ではありますが、好きな食べ物は存在します。コロッケです。コロッケは何処の国でも人気のある食べ物ですが、オランダ国民のコロッケ好きは世界的に有名です。
オランダを旅行した人達は無数のコロッケ屋さんの存在に驚きます。オランダにはコロッケの自動販売機まであります。一個100円ぐらい。お金を入れるとショーケースの蓋が開けられるようになっていて、中のコロッケを取り出す事が出来ます。
回転が速いし、そんなに作り置きもしていないそうなので、カリッとした美味しいコロッケが何時でも手軽に食べれます。街中のレストランやカフェでもコロッケは定番中の定番、一番人気の料理。日本のカニクリームコロッケのカニの味がしないコロッケみたいな味で、まぁ、普通に以外と美味しいです。
オランダ人と牛乳
揚げ物と言えばビールですが、オランダ人は何故か牛乳と一緒に食べます。 コロッケに限らずオランダ人は牛乳を良く飲むんです。牛乳は家で飲むものだと思っていましたが、オランダ人達は違います。何時でも何処でも牛乳を飲んでいます。
夕暮れ時に普通のカフェバーで、スーツ姿の男性達が揃ってコロッケをつまみながらコップに入った牛乳を飲んでいる姿を良く見かけました。世界で一番平均身長が高いのはオランダ人なのだそう。この牛乳好きがオランダ人達をスクスクと成長させているのかもしれません。
オランダのシーフード
オランダは海に面しているので「美味しいシーフードが食べられる国」なんて誤解をしている方もいらっしゃるかもしれません。でもオランダのスーパーを見れば一目瞭然。魚貝類の品揃えは貧相で残念な感じです。
オランダ人が好んで食べる魚はタラなどの白身魚系、そしてニシンぐらい。でも家で食べるより、街の至る所にある魚フライの売店で食べる事の方が多いです。魚フライなので不味くなりようがなく味は普通に美味しいです。
美味しいオランダの食べ物
コロッケよりもオランダ人が大好きな食べ物がありました。ニシンです。ニシンは一年を通して食べらている、オランダで一番人気の魚。中でもオランダ人が心から愛して止まないのが6月の中旬前後の解禁日直後に出回る初ニシン。
ホ-ランツェ・ニューヴェ(Hollandse Nieuwe)と呼ばれ、待ちに待った解禁日となるとオランダ中が大フィーバーとなります。日本のボージョレ・ヌーボの解禁日なんかとは比較できない程の熱狂です。
この生タイプのニシン、ハーリングはオランダ人が大好きな食べ物ってだけでなく、オランダで一番美味しい食べ物だと思います。ニシンに関しては、別記事で詳しくまとめました。これだけを食べにオランダへ行ってもいい位に至福の味です。
オランダの有名なスイーツ
オランダで一番有名なスイーツはオリボレンと呼ばれる揚げドーナツです。冬が近くなると街中の至る所にこの「オリボレン」の売店が出現します。小麦粉、卵、イースト、牛乳で作るボール状の生地を、高温の油で揚げたシンプルなドーナツ。
寒い冬に食べる揚げたてのドーナツは本当に美味しいです。優しい味がして心がほっくりします。まさにクリスマスのシーズンに相応しい味。最近では色々な味のオリボレンが売られるようになりました。オランダ人の味覚も進化しているのです。
レーズン、砂糖漬けの果物の皮、アップル、クリームチーズなどの揚げドーナツが人気です。オランダ人は食べる前に粉砂糖やシナモンをトッピングして食べますが、ドーナツ自体が少し甘いし、何よりも大きいので、日本人は砂糖無しで丁度良いかと思います。
オランダ土産にお勧めのお菓子
オランダのお土産には、ストロープワッフルを買いましょう。薄いカリカリに焼いた2枚のワッフルでキャラメルシロップを挟んだオランダの伝統的なお菓子です。食べる前にコーヒーカップの上に少し置いて中のキャラメルを温めると更に美味しくなります。
お土産には日持ちのするスーパーなどで売っているパッケージに入ったストロープワッフルが適しています。でもオランダを訪れたからには、出店で作っている出来立ての手作りストロープワッフルを食べてみて下さい。
出来立ては本当に最高に美味しいです。市販品より大きくて、焼きたてなのでホカホカして、もう本当に比べようがないくらい最高に美味しい。見かけたら迷わず購入して下さい。人通りの多い道、広場によく出店が出没しています。
オランダ料理とは何なのか
オランダ料理を食べたいと思っても、典型的なオランダ料理を見つけるのは難しいかと思います。日本の寿司、インドのカレー、などのように世界的な知名度のあるオランダ料理が存在しません。
ただレストランは何気にレベルが高いので、典型的なオランダ料理にこだわらなければ美味しい物が食べられるかと思います。これと言ったオランダ料理はないのですが、美味しい物はきちんと存在します。
前述の生ニシンや、料理ではないけれどチーズやビールのクオリティは素晴らしく、世界中に輸出されています。オランダは九州程の大きさしかない小さな国ですが、世界に誇るものが結構沢山あるんです。別記事でオランダの有名なものをまとめました。
オランダの国の成り立ち
オランダはグルメには弱い国ですが、それを補って余るほど魅力に溢れた国です。個人的にはオランダ人気質が一番の見所だと思っています。オランダと言えば風車、オランダの国を作った立役者です。別記事で詳しくまとめたので是非こちらも読んでみて下さい。