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スペインで一番有名なお菓子、トゥロンに関する全て。スペインのクリスマスのお菓子

      2018/03/16

スペインを代表するお菓子とは何でしょうか。クリスマスの時期になると誰もが必ず口にするトゥロン (Turron)です。トゥロンとはアーモンド等のナッツ類を蜂蜜と混ぜ合わせ板状にしたお菓子。老若男女、金持ちも貧乏人もクリスマスになると必ず絶対食べるお菓子、それがトゥロンです。

 

スペインのトゥロンとはどんなお菓子なのか

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トゥロンとはナッツ類と蜂蜜を練り合わせて作るシンプルなお菓子。硬いタイプと柔らかいタイプがあります。味は使うナッツの種類によって異なり、毎年のように新しい味のトゥロンが発売されていますが今も昔もこれからも、一番皆に愛され一番売れているトゥロンはヒホーナ。アーモンドと蜂蜜で作る柔らかいタイプのトゥロンです。

トゥロンの価格は本当にピン切りで、スーパーで200円ぐらいから購入出来ます。高いものだと1000円以上します。日本人には甘すぎる味なのか、トゥロンは苦手と思われる方が多いのも事実。でもそれは本当に美味しいトゥロンを食べた事が無いからなのだと思います。

 

トゥロンの価格と美味しさを決めるのは素材の力

ズバリ、価格が高いのが本当に美味しいトゥロンです。安いトゥロンと比べて同じ大きさなら4倍以上の値がつきます。でもこれには訳があるんです。まずはアーモンドの含有率が違います。とっても安いトゥロンだったら砂糖が使われている可能性が大きいです。

そして安いトゥロンは安い輸入品のカリフォルニア産のアーモンドが使われています。日本でも同じみのカリフォルニア産の細長いアーモンド。甘みが少なく水分が多いのでトゥロン作りには全くむいていないのです。

今回取材したトゥロン工場ではマルコナと呼ばれる丸い形、そして甘みと香りが特徴の国内産のアーモンドしか使いません。このアーモンド、スーパーでも売っていますがカリフォルニア産の3倍ぐらいの値段がします。

とても高級な食材なので、このアーモンドだけを使ったトゥロンが他の安い輸入アーモンドを使ったトゥロンより高い値段となるのは納得です。

例えばトゥロネス・ラ・コルメナ社のトゥロンは70パーセントがアーモンド、20%が蜂蜜。そんなシンプルなお菓子だからこそ、素材の確かさが全て。アーモンドのみならず蜂蜜も昔から良く知る地元のものしか使わないそうです。

 

スペインのトゥロンとフランスのヌガーは似ていてるけど全く違うお菓子

トゥロンは見かけはフランスのヌガーに似ています。それではヌガーとトゥロンの違いとは何でしょうか。アーモンド等のナッツ類の含有率です。

トゥロンのナッツ含有率は70%以上。ヌガーはナッツの割合が30%前後と低いです。勿論ヌガーにはヌガーの美味しさがあります。アロマ豊かで洗練された味。でもやっぱり私は質実剛健、ガッツリした味で食後感もどっしりくるスペインのトゥロンが大好きです。

 

スペインの有名なトゥロン工場から届いた季節外れの招待状

ある雑誌の取材でトゥロンの名産地であるヒホーナの街を訪れました。季節は夏。クリスマス特有の食べ物を取材するのに何故夏なのか。それはトゥロン工場の社長から戦場と化する冬場には絶対来ないで下さいとお願いされていたからです。

スペインにおけるトゥロンの位置付けは本当に独特で、年間を通して売られているのにも関わらず、スペイン人はクリスマスの時期にしかトゥロンを食べません。本当にかたくなです。そしてクリスマスになれば誰もが必ずトゥロンを食べるんです。

なのでトゥロン工場は9月の後半から12月にかけて、一気に年間生産量の殆ど全てを製造し販売します。そんな訳で随分前から取材をお願いしていたのですが「せっかく来て貰ってもお相手出来ないから、シーズンオフとなる夏場に取材しに来て下さい。」と懇願されていたのです。今回やっと念願のトゥロン工場を取材する事が出来ました。

 

スペインを代表するお菓子 トゥロンの故郷 ヒホーナ

お邪魔したのはトゥロンの生産で一番有名な町、ヒホーナにある1854年に創業された老舗トゥロネス・ラ・コルメナ社(Turrones La Colmena )です。ヒホーナの町はスペイン南東部地中海沿いのリゾート地アリカンテから少し山側に入った所にあります。

スペインでこの町の名前を知らない国民は居ません。それはトゥロンには色々な種類がありますが、古くから一番好んで皆から食べられているトゥロンがこの町で生まれ、商品名にもこの町の名前がつけられているからです。

トゥロンと言えばヒホーナ。ヒホーナと言えばトゥロン。それ程認知度が高い町なので、工場が立ち並ぶ大きな大きな町を想像していました。実際にヒホーナに辿り着いた時には本当にびっくり。人口7000人程の小さな町で、なのにトゥロンの看板を掲げた工場が山程あるんです。それこそ普通の家より工場の方が多いんじゃないかって程に。

ヒホーナの町には全世界へ向けてトゥロンを輸出しているような大きな工場から、家の一部を改造して家族だけで細々と製造している小さな工場だってあります。町の至る所でトゥロンを作っているので、製造のシーズンピークの冬場となると、町中に甘い甘い匂いが立ち込めるのだそう。

季節外れではありますがヒホーナの街に辿り着いた時、ほのかなに甘い香りがしました。小規模ながらもトゥロンは年間作り続けられているからです。スペイン人は本当にクリスマスにしかトゥロンを食べませんが、観光大国スペインのお土産としてNO1の人気を誇るお菓子はトゥロンなのです。

なのでシーズンオフでも工場は稼動しています。それでもやはり生産量の違いがあるので、シーズン外はトゥロンでは無い他のお菓子を作っている工場が殆どです。トゥロン・ラ・コルメナ社でもフルーツの砂糖漬けを生産していました。
 
 

トゥロンの作り方

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工場に運ばれたアーモンドは円形状の大きな機械でトーストされます。マスターと呼ばれるプロフェッショナルが常に横で様子を見ながらトーストし、頃合を見計らい、ここぞのタイミングで火から上げるのです。

どの工場にもマスターと呼ばれるプロフェッショナルがおり、トゥロンの品質の管理をします。特に温度の管理は重要で、なのにどの工場でも温度計は使いません。マスターに多大な信用が置かれ、どの機械に関してもマスターが手をかざし温度を測り、マスターの指示の元、常に完璧な温度に調節されるからです。

トーストされたアーモンドは重い石の臼で細かく砕かれます。油脂分が大変多いアーモンドなので砕く際に多くの油分が出ます。

細かく轢かれたアーモンドは蜂蜜と混ぜ合わせられます。このトゥロンを混ぜ合わせる機械は二重構造になっていて、外側に熱いお湯がはられ、蜂蜜が固まらないようになっています。この段階で少し大きめに砕いたアーモンドも投入され、柔らかいトゥロンに食感を与えます。

トゥロンを型に入れ冷やし、切断する前に24時間程寝かせます。この時に余分な油を出すのですが、油が出すぎても美味しいトゥロンは出来ないので、ここでもマスターが頃合を見図ります。

マスターが良しと判断したトゥロンをギターと呼ばれる機械で切断します。一塊500グラムの板に切断されたトゥロンは手作業で包装されます。

随分と昔から機械化が進んでいたトゥロンの製造ですが、要所要所は手作業で行われています。機械を使った手芸品のような、全てを機械任せには出来ないお菓子。そんなトゥロンだからこそ、他のお菓子と比べて高価なのかもしれません。

 

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スペイン人は何故だか皆かたくなに、絶対クリスマスにしかトゥロンを食べませんが、縁起が悪いとかの理由がある訳ではありません。スペインを訪れた際には是非、季節にとらわれずトゥロンも楽しんでみて下さい。でも購入の際には余り安いトゥロンは選ばないようお願いします。味が断然違います。

 

トゥロンのショップデータ

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http://turroneslacolmena.com/
Turrones La Colmena
C/ San Mateo, 14
03100 – JIJONA (Alicante)
Telf: 607 73 84 10 / 965 61 33 56
Fax: 965 61 33 57
E-mail: turroneslacolmena@gmail.com

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