「フィッシュ&チップス下さい」は通じない?英国で恥をかかない注文方法と絶品魚種ガイド

イギリスでフィッシュ&チップスを注文するには、魚の種類を指定しなければなりません。世界100カ国を食べ尽くしたフードライターが、世界のグルメを解説するブログ。今回はイギリスを代表する料理、フィッシュ&チップスに関する全て。

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フィッシュ&チップスの真実

イギリスではどんなに達者な英語で「フィッシュ&チップス下さい」とオーダーしても、困った顔をされます。英語の発音以前の問題で、イギリスには「フィッシュ・アンド・チップス」というメニューが存在しないからです。

私はそれを知らなかったので、レストランでドヤ顔して「フィッシュ&チップス下さい。」と注文しました。優しそうな英国ジェントルマン風のウエイターさんは、素敵な笑顔で「遠くからようこそ」と歓迎してくれた後「どれにしますか?」と聞いてきました。

「えっ、今、私、フィッシュ・アンド・チップスって言いましたよね。それでいいです。」かなり動揺して答えると、ウエイターさんは笑顔を絶やさないまま「はい、勿論です。どの魚をお望みですか?」と予想外の質問。

「イギリスと言えばフィッシュ・アンド・チップス」の知識しかなかったので、まさか魚の種類を選ばなくてはならないとは全く想定外の事。頭が真っ白になり、更にはフィッシュ以外の単語が出てこず四苦八苦しました。

皆さんが私のようにイギリスのジェントルマンの前でアタフタしないよう、フィッシュ・アンド・チップスの全メニューを解説したいと思います。そして、沢山ある魚の種類の中で、どれが一番おすすめで美味しいのでしょうか。

【フィッシュ&チップスの起源】
実はフィッシュ&チップスは「移民の料理」として誕生しました。17世紀にポルトガルやスペインから逃れてきたユダヤ系移民が持ち込んだ「魚を衣につけて揚げる技術」と、19世紀に産業革命下の北部で普及した「フライドポテト」が出会い、1860年頃にロンドンのユダヤ系移民が最初の専門店を開いたと言われています。

今日、英国には約10,500軒もの専門店が存在します。これは英国におけるマクドナルドの店舗数の約8倍にあたるので、まさに英国のソウルフードと言えるでしょう。

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【保存版】コッドかハドックか?英国フィッシュ&チップスの2大巨頭を徹底比較

フィッシュ&チップスとは、魚とジャガイモのフライを意味します。イギリスを代表する国民食で、イギリス人は週に1回はフィッシュ&チップスを食べているとされます。それだけ人気のある料理なので、イギリスにはフィッシュ&チップスを扱う店が沢山あります。

スタンド式の売店、レストラン、専門店、パブ、カフェ、フィッシュ&チップスはイギリスのありとありゆる場所で食べる事が出来ます。フライとなる魚は白身の魚。専門店へ行くと色々な種類の魚を揃えているので、自分の食べたい魚を指定して注文します。

王道はコッドとハドック。専門店でなくても、イギリスでは大抵の店でコッドとハドックのどちらかを選べるようになっています。専門店ともなれば、魚の種類が更に増えます。まずは王道のコッドとハドックの違いをみていきましょう。

【2026年最新トリビア】
最近のロンドンでは、持続可能な漁業を支援する「MSC認証(海のエコラベル)」を受けた魚を使用する店舗が標準化しています。メニューに青いMSCマークがある店を選ぶことは、美味しいだけでなく、未来の海を守る選択でもあります。
また、支払いは完全キャッシュレス化が進んでいるため、小さな店舗でも非接触決済(コンタクトレス)の準備を忘れずに。価格の目安は、2026年現在、テイクアウトで£12〜16(約2,400円〜3,200円)、レストランでは£20〜28程度が相場となっています。

コッド・アンド・チップス(Cod and Chips)

フィッシュ&チップスと言えば、一般的にはコッド・アンド・チップス(Cod and Chips)を意味します。コッドはタラ科に属するタイセイヨウダラの事で、肉厚の柔らかい淡泊な味が特徴で、フィッシュ&チップスの王道的存在の魚です。

大抵のイギリス人は、色々な魚の種類があってもコッドを注文します。サイズを選ぶ際には注意しましょう。イギリス人は普通に完食しますが、ラージサイズはサイズがかなり大きいです。小食な人ならレギュラーサイズでも量が多いかと思います。

【味わいの特徴:コッド】
身は雪のように白く、大きな「フレーク(層)」にはらりとほぐれる食感が特徴です。味は非常にマイルドで癖がなく、クリーミーささえ感じます。衣の香ばしさと魚のジューシーさのコントラストを楽しみたい初心者の方には、まずコッドをおすすめします。

ハドック・アンド・チップス(Haddock and Chips)

コッド・アンド・チップスの次に人気が高いのが、ハドック・アンド・チップス(Haddock and Chips)。ハドックもタラ科の魚ですが、もっと小ぶりなモンツキダラに属します。小さい分ハドックはコッドよりもギュっと濃縮されたような味がします。

値段もコッドよりハドックの方が若干高め。コッドに比べて小さなサイズの魚なので、お皿の上に魚フライがど〜んと1つ来るのではなく、2個ついて来る事が多いです。個人的にはコッドよりハドックの方が断然おすすめです。

【味わいの特徴:ハドック】
コッドに比べて身が少し引き締まっており、ほのかな甘みと独特の旨味(ナッツのような風味とも表現されます)があります。また、身の水分量がコッドより少ないため、揚げた時に衣がベチャッとなりにくく、よりカリッとした食感を楽しめる傾向があります。「通」はハドックを選ぶことが多いと言われるのはこのためです。

■おすすめの訪問先:ポピーズ(Poppies Fish & Chips)
ロンドンで最も有名な老舗の一つ。1950年代のレトロな雰囲気の中で、東ロンドンの伝統的なスタイルと最高級の持続可能なハドックを味わえます。

アクセス情報:
地下鉄リバプール・ストリート駅(Liverpool Street Station)から徒歩約10分。またはオールド・スピタルフィールズ・マーケットのすぐそば(ハンブリー・ストリート店)。

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脱・定番!美食家が愛する「通」な魚たち:ロックサーモンからエイヒレまで

ロックサーモン

ロックサーモン(Rock salmon)は、サーモンの名が付きますが小さなサメの一種で、ハス(Huss)とも呼ばります。日本語だとアブラツノサメ。サメと聞けば珍味のように感じますが、日本ではちくわやはんぺんなどの元となっている大変身近な魚。

サメは脂質と旨味を多く含む本当に美味しい魚なので、メニューで見かけたら是非とも食べてみたい。しかし、美味しいが故にヨーロッパでは乱獲が酷く、年々個体数を減らしています。もう以前のような大衆魚的な扱いを出来ない魚となってきています。

2026年の課題
ロックサーモン(アブラツノサメ)は、2026年現在、IUCN(国際自然保護連合)のレッドリストで「絶滅危惧種」に指定されている地域が多く、英国やEUでは捕獲が厳しく制限されています。また、大型のサメ類は食物連鎖の上位に位置するため、水銀含有量が高い傾向にあります。倫理的消費(エシカル・コンサンプション)の観点からも、現在は推奨されないメニューとなりつつあります。

スケート&チップス

お値段は高いのですが是非とも食べて頂きたいのがスケート&チップス(Skate and Chips)。エイの一種であるコモンカスベ、またはガンギエイを使います。エイは腐りやすいので取扱がとても難しい魚。冷凍技術が発達した現代でも、海沿いの漁港付近で食べるのが一番美味しいかと思います。

エイの一番の特徴は軟骨しか持たない事。白身はプルプルでジューシー。フィッシュ&チップスにすると白身のプルプルと軟骨のコリコリが混ざり合って、何とも言えないハーモニーを作ります。とてもお勧めの魚ですが、高級店では「時価」と表記される事が多いので、注文する前に値段を必ず確認しましょう。

【美味しく食べるコツ】
スケートは扇形のヒレ(ウィング)の部分が提供されます。身は長い繊維状になっており、骨に沿ってフォークを入れると綺麗に剥がれます。鮮度が命の魚で、古くなるとアンモニア臭がするため、回転の良い人気店や海沿いの町(ブライトンやウィスタブルなど)で注文するのが鉄則です。

レモン・ソール&チップス

レモン・ソール(Lemon sole)はカレイ科のババガレイに属する魚。カレイの仲間にしては肉厚でジューシーな白身が特徴です。厚くて大きなレモン・ソールだと、ちょっとした高級魚の扱い。お値段がお手頃だったら食べて損の無い美味しさです。

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究極の贅沢とB級グルメの極み:ドーバーソールから無料の「スクラップ」まで

ドーバー・ソール

イギリスの高級魚の中でも別格とされるのが、ドーバー沖で採れるドーバー・ソール (Dover Sole)。カレイ科の魚で、弾力のある肉厚の白身は良く締まり、ほんのりとした甘さを感じます。

イギリスではドーバー・ソールもフィッシュ&チップスにして食べますが、魚本来の美味しさを楽しむなら、焼いて食べるのが一番美味しい。高級魚ならなおさらで、ムニエルにして食べるのが一番だと思います。

プレイス

カレイの一種のツノガレイがプレイス(Plaice)です。日本のカレイとほぼ同じ味で、思わず醤油が欲しくなります。家に持ち帰って衣をはいで醤油で食べたら本当に美味しかった。でも、まぁ、それなら別にフィッシュ&チップスで食べる意味はないと思います。

ハリバット

イギリスの高級魚としては、ハリバット (Halibut) と呼ばれるオヒョウも有名です。何時でも何処でも食べる事の出来る魚ではないし、お値段も凄いのでワンランク上のフィッシュ&チップスの位置付けです。ただ本心を言えば高級魚は、フィッシュ&チップスとしては絶対食べたくないなと思います。

スクラップス

魚に衣をつけて揚げた後に出る、日本で言う「天かす」がスクラップスです。地元の人が沢山出入りするレストランなら、無料で子供達やビールのつまみに振る舞われています。そうゆう店は必ず美味しいし、居心地が良くて、やけに人懐っこいお客さんも多いので大変おすすめです。

【地域による呼び名の違い】
この「天かす」ですが、イギリス北部では「Scraps(スクラップス)」、南部や他の地域では「Bits(ビッツ)」と呼ばれることが多いです。特に北部ヨークシャー地方では、チップスの上にたっぷりのスクラップスをかけてもらうのが地元の流儀。「Can I have some scraps, please?」と言えば、店員さんが笑顔で山盛りにしてくれるはずです。

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【2026年現地最新情報】失敗しない注文術と知っておくべき「チッピー」のルール

フィッシュ&チップス専門店へ行くと、魚の種類が多過ぎて注文の際に迷ってしまうかもしれません。ちなみに殆どのイギリス人はコッドかハドックを食べます。庶民的な店なら尚更その傾向が強いようです。私は断然ハドック派。

コッドを食べたいなら、お店の回転具合と作り置きされた魚のフライに注視しましょう。大抵のイギリス人はコッドを食べるので、コッドは作り置きされている事が多いです。回転の悪いレストランだと少し冷めたコッドが出てきたりもします。

フィッシュ&チップスは揚げたてが一番。「やはりイギリスは不味い」なんて間違った認識を持たないよう、揚げたてを食べさせてくれる店を選んで下さい。作り置きでなく、注文の後で揚げてくれるレストランが大前提。

ただ大抵のイギリス人はフィッシュ&チップスをテイクアウトして自宅に帰ってから食べるので、揚げたてを気にする人がいないので注意が必要です。揚げ物は絶対的に揚げたてが命なのです。

【現地マナーのアドバイス】
専門店(チッピー)で注文する際、チップス(フライドポテト)の量も尋常ではなく多いため、2人で1つのチップスをシェアするのも賢い選択です。また、最近では環境保護の観点からプラスチック製カトラリーが廃止され、木製のフォークが提供されますが、これが少し使いにくいこともあるため、マイ箸やマイフォークを持っていると非常に便利です。

また、注文時に「Open(オープン) or Wrapped(ラップド)?」と聞かれることがあります。「Open」はすぐに食べるために箱を開けた状態、「Wrapped」は持ち帰り用に紙で包んだ状態を指します。

【忘れてはいけないサイドメニュー】
2026年の今も変わらず愛されているのが以下のサイドメニューです。

  • マッシーピー (Mushy Peas):乾燥エンドウ豆を重曹で煮てペースト状にしたもの。甘みがあり、塩気のあるフライの箸休めに必須です。
  • カレーソース (Curry Sauce):日本のカレーに近い粘度のある甘口ソース。チップスにかけて食べるのが英国流。
  • ピクルド・エッグ (Pickled Egg):ゆで卵の酢漬け。酸味が強く、口の中をさっぱりさせます。
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英国流の作法:なぜ彼らは「モルトビネガー」と「塩」にこだわるのか

ケチャップ、マヨネーズ、マスタード、タルタルソース、カレーソース、近年はフィッシュ&チップスに色々なソースをかけて食べる人が多いようです。おすすめは手作りのタルタルソース。フィッシュ&チップスとの相性が抜群です。

伝統的には酢と塩だけで食べるので、昔ながらのフィッシュ&チップス専門店では今でも酢と塩しか置いていない店の方が多いです。酢はモルトビネガー。イギリス特有の麦芽を原料とした茶色いビネガーを使います。

レモンのような強い香りと、甘味の少ないスッキリした味が特徴。このモルトビネガーを魚だけでなく、ポテトフライにもバシャバシャかけて食べるのがイギリス風です。モルトビネガーは食べ慣れていないとクセが強い酸味なのですが、一度慣れると病みつきになります。

そしてフィッシュ&チップスとの組み合わせは最強です。慣れれば癖になる美味しいお酢なので、素早く耐性を強め、本場のイギリス風に魚と芋にバシャバシャかけて食べましょう。

【知っておくと自慢できるトリビア:偽物のビネガー?】
実は、イギリスの多くのチッピー(廉価なテイクアウト店)のカウンターに置いてある透明や茶色の液体は、本物のモルトビネガーではなく「Non-Brewed Condiment(非醸造調味料)」であることが多いのです。
これは水、酢酸、着色料で作られた合成酢で、醸造に時間をかけないため安価です。しかし、多くの英国人はこの「ツンとくる強烈な酸味」こそがフィッシュ&チップスの味だと認識しており、本物の熟成されたモルトビネガーよりもこちらを好む人さえいます。「本物」か「大衆の味」か、味比べをしてみるのも一興です。

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「英国料理は不味い」は過去の話?ロンドンが世界屈指の美食都市に進化した理由

イギリスと言えばフィッシュ&チップス。でも他にも美味しい食べ物が沢山あります。イギリスを訪れたら絶対食べたい美味しいイギリス料理を別記事でまとめました。イギリス料理、世間で酷評されているほど不味くはないと思います。

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【プロの視点:ガストロ・パブの台頭】
2026年の現在、ロンドンはミシュランの星付きレストランの数が世界でもトップクラスの都市です。特に注目すべきは「ガストロ・パブ(食事を重視したパブ)」の進化です。かつての冷凍食品を揚げただけのパブ飯ではなく、地元の旬の食材を使い、フレンチやイタリアンの技法を取り入れた高度な料理を提供するパブが増えています。フィッシュ&チップスも、トリプルクック(3度揚げ)したポテトや、クラフトビールを使った衣など、洗練された一皿に進化しています。

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おうちで英国気分!冷たいビールで作る「カリカリ・サクサク」衣の科学

日本でもフィッシュ・アンド・チップスの本場イギリスの味を簡単に再現する事が出来ます。お好みの白身魚に衣をつけて揚げるだけ。衣は小麦粉、コーンスターチ、ベーキングパウダーを卵と水で溶きます。

ちょっとした苦みと、カリカリした食感を与える為にビールを加えるのがコツ。日本で再現する際に問題となるのはモルト・ビネガーでしょうか。私が住んでいるスペインでも入手が困難なので、日本ならもっと難しいかもしれません。

ただモルト・ビネガーは例え手に入ったとしても大変クセのある味なので、フィッシュ&チップス以外での使い道が無く持て余してしまうかも。

昔はフィッシュ・アンド・チップスは新聞紙にくるんで提供されました。偶に魚の衣に印刷の文字が写ってしまったりして、それがまた味わい深かったのですが、最近は衛生上の問題で新聞紙は全く使われなくなってしまいました。何だかちょっと残念です。

【調理の科学:なぜビールなのか?】
ヘストン・ブルメンタールなど、多くの有名シェフが提唱するように、衣にビール(特にラガー)を使うのには科学的な理由があります。
1. **炭酸ガス:** 衣の中に気泡を作り、軽くサクサクした食感にします。
2. **アルコール:** 水よりも低い温度で蒸発するため、衣が素早く乾燥し、カリッと仕上がります。
3. **タンパク質:** ビールの泡が衣の構造を支え、長時間カリカリ感を維持します。
コツは、ビールも粉も「キンキンに冷やしておく」ことです。温度差が激しいほど、衣は爆発的に膨らみ、極上の食感を生み出します。

コメント

  1. […] […]

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