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イギリスのフィッシュ&チップスの魚の種類、フィッシュ&チップスの注文の仕方と食べ方

      2024/07/17

イギリスでフィッシュ&チップスを注文するには、魚の種類を指定しなければなりません。世界100カ国を食べ尽くしたフードライターが、世界のグルメを解説するブログ。今回はイギリスを代表する料理、フィッシュ&チップスに関する全て。

フィッシュ&チップスとは何なのか

イギリスではどんなに達者な英語で「フィッシュ&チップス下さい」とオーダーしても、困った顔をされます。英語の発音以前の問題で、イギリスには「フィッシュ・アンド・チップス」というメニューが存在しないからです。

私はそれを知らなかったので、レストランでドヤ顔して「フィッシュ&チップス下さい。」と注文しました。優しそうな英国ジェントルマン風のウエイターさんは、素敵な笑顔で「遠くからようこそ」と歓迎してくれた後「どれにしますか?」と聞いてきました。

「えっ、今、私、フィッシュ・アンド・チップスって言いましたよね。それでいいです。」かなり動揺して答えると、ウエイターさんは笑顔を絶やさないまま「はい、勿論です。どの魚をお望みですか?」と予想外の質問。

「イギリスと言えばフィッシュ・アンド・チップス」の知識しかなかったので、まさか魚の種類を選ばなくてはならないとは全く想定外の事。頭が真っ白になり、更にはフィッシュ以外の単語が出てこず四苦八苦しました。

皆さんが私のようにイギリスのジェントルマンの前でアタフタしないよう、フィッシュ・アンド・チップスの全メニューを解説したいと思います。そして、沢山ある魚の種類の中で、どれが一番おすすめで美味しいのでしょうか。

フィッシュ&チップスとは何なのか?

フィッシュ&チップスとは、魚とジャガイモのフライを意味します。イギリスを代表する国民食で、イギリス人は週に1回はフィッシュ&チップスを食べているとされます。それだけ人気のある料理なので、イギリスにはフィッシュ&チップスを扱う店が沢山あります。

スタンド式の売店、レストラン、専門店、パブ、カフェ、フィッシュ&チップスはイギリスのありとあらゆる場所で食べる事が出来ます。フライとなる魚は白身の魚。専門店へ行くと色々な種類の魚を揃えているので、自分の食べたい魚を指定して注文します。

王道はコッドとハドック。専門店でなくても、イギリスでは大抵の店でコッドとハドックのどちらかを選べるようになっています。専門店ともなれば、魚の種類が更に増えます。まずは王道のコッドとハドックの違いをみていきましょう。

コッド・アンド・チップス

フィッシュ&チップスと言えば、一般的にはコッド・アンド・チップス(Cod and Chips)を意味します。コッドはタラ科に属するタイセイヨウダラの事で、肉厚の柔らかい淡泊な味が特徴で、フィッシュ&チップスの王道的存在の魚です。

大抵のイギリス人は、色々な魚の種類があってもコッドを注文します。サイズを選ぶ際には注意しましょう。イギリス人は普通に完食しますが、ラージサイズはサイズがかなり大きいです。小食な人ならレギュラーサイズでも量が多いかと思います。

ハドック・アンド・チップス

コッド・アンド・チップスの次に人気が高いのが、ハドック・アンド・チップス(Haddock and Chips)。ハドックもタラ科の魚ですが、もっと小ぶりなモンツキダラに属します。小さい分ハドックはコッドよりもギュっと濃縮されたような味がします。

値段もコッドよりハドックの方が若干高め。コッドに比べて小さなサイズの魚なので、お皿の上に魚フライがど〜んと1つ来るのではなく、2個ついて来る事が多いです。個人的にはコッドよりハドックの方が断然おすすめです。

その他おすすめのフィッシュ&チップスの魚の種類

ロックサーモン

ロックサーモン(Rock salmon)は、サーモンの名が付きますが小さなサメの一種で、ハス(Huss)とも呼ばれます。日本語だとアブラツノサメ。サメと聞けば珍味のように感じますが、日本ではちくわやはんぺんなどの元となっている大変身近な魚。

サメは脂質と旨味を多く含む本当に美味しい魚なので、メニューで見かけたら是非とも食べて頂きたい。でも美味しいが故にヨーロッパでは乱獲が酷く、年々個体数を減らしています。もう以前のような大衆魚的な扱いを出来ない魚となってきています。

スケート&チップス

お値段は高いのですが是非とも食べて頂きたいのがスケート&チップス(Skate and Chips)。エイの一種であるコモンカスベ、またはガンギエイを使います。エイは腐りやすいので取扱がとても難しい魚。冷凍技術が発達した現代でも、海沿いの漁港付近で食べるのが一番美味しいかと思います。

エイの一番の特徴は軟骨しか持たない事。白身はプルプルでジューシー。フィッシュ&チップスにすると白身のプルプルと軟骨のコリコリが混ざり合って、何とも言えないハーモニーを作ります。とてもお勧めの魚ですが、高級店では「時価」と表記される事が多いので、注文する前に値段を必ず確認しましょう。

レモン・ソール&チップス

レモン・ソール(Lemon sole)はカレイ科のババガレイに属する魚。カレイの仲間にしては肉厚でジューシーな白身が特徴です。厚くて大きなレモン・ソールだと、ちょっとした高級魚の扱い。お値段がお手頃だったら食べて損の無い美味しさです。

その他フィッシュ&チップスの魚の種類

ドーハ―・ソール

イギリスの高級魚の中でも別格とされるのが、ドーバー沖で採れるドーバー・ソール (Dover Sole)。カレイ科の魚で、弾力のある肉厚の白身は良く締まり、ほんのりとした甘さを感じます。

イギリスではドーバー・ソールもフィッシュ&チップスにして食べますが、魚本来の美味しさを楽しむなら、焼いて食べるのが一番美味しい。高級魚ならなおさらで、ムニエルにして食べるのが一番だと思います。

プレイス

カレイの一種のツノガレイがプレイス(Plaice)です。日本のカレイとほぼ同じ味で、思わず醤油が欲しくなります。家に持ち帰って衣をはいで醤油で食べたら本当に美味しかった。でも、まぁ、それなら別にフィッシュ&チップスで食べる意味はないと思います。

ハリバット

イギリスの高級魚としては、ハリバット (Halibut) と呼ばれるオヒョウも有名です。何時でも何処でも食べる事の出来る魚ではないし、お値段も凄いのでワンランク上のフィッシュ&チップスの位置付けです。ただ本心を言えば高級魚は、フィッシュ&チップスとしては絶対食べたくないなと思います。

スクラップ

魚に衣をつけて揚げた後に出る、日本で言う「天かす」がスクラップ(Scrap)です。地元の人が沢山出入りするレストランなら、無料で子供達やビールのつまみに振る舞われています。そうゆう店は必ず美味しいし、居心地が良くて、やけに人懐っこいお客さんも多いので大変おすすめです。  

フィッシュ&チップスの注文時の注意点

フィッシュ&チップス専門店へ行くと、魚の種類が多過ぎて注文の際に迷ってしまうかもしれません。ちなみに殆どのイギリス人はコッドかハドックを食べます。庶民的な店なら尚更その傾向が強いようです。私は断然ハドック派。

コッドを食べたいなら、お店の回転具合と作り置きされた魚のフライに注視しましょう。大抵のイギリス人はコッドを食べるので、コッドは作り置きされている事が多いです。回転の悪いレストランだと少し冷めたコッドが出てきたりもします。

フィッシュ&チップスは揚げたてが一番。「やはりイギリスは不味い」なんて間違った認識を持たないよう、揚げたてを食べさせてくれる店を選んで下さい。作り置きでなく、注文の後で揚げてくれるレストランが大前提。

ただ大抵のイギリス人はフィッシュ&チップスをテイクアウトして自宅に帰ってから食べるので、揚げたてを気にする人がいないので注意が必要です。揚げ物は絶対的に揚げたてが命なのです。

 フィッシュアンドチップスの食べ方

ケチャップ、マヨネーズ、マスタード、タルタルソース、カレーソース、近年はフィッシュ&チップスに色々なソースをかけて食べる人が多いようです。おすすめは手作りのタルタルソース。フィッシュ&チップスとの相性が抜群です。

伝統的には酢と塩だけで食べるので、昔ながらのフィッシュ&チップス専門店では今でも酢と塩しか置いていない店の方が多いです。酢はモルトビネガー。イギリス特有の麦芽を原料とした茶色いビネガーを使います。

レモンのような強い香りと、甘味の少ないスッキリした味が特徴。このモルトビネガーを魚だけでなく、ポテトフライにもバシャバシャかけて食べるのがイギリス風です。モルトビネガーは食べ慣れていないとクセが強い酸味なのですが、一度慣れると病みつきになります。

そしてフィッシュ&チップスとの組み合わせは最強です。慣れれば癖になる美味しいお酢なので、素早く耐性を強め、本場のイギリス風に魚と芋にバシャバシャかけて食べましょう。

イギリス料理は本当に不味いのか

イギリスと言えばフィッシュ&チップス。でも他にも美味しい食べ物が沢山あります。イギリスを訪れたら絶対食べたい美味しいイギリス料理を別記事でまとめました。イギリス料理、世間で酷評されているほど不味くはないと思います。

それではなぜ「イギリス料理は不味い」のイメージが世界的に定着したのでしょうか。世界100か国以上を食べましたが、イギリス料理、そんなに悪くないと思います。イギリス料理が何故不味いとされるのか、別記事で詳しくまとめました。

フィッシュ&チップスのレシピ

日本でもフィッシュ・アンド・チップスの本場イギリスの味を簡単に再現する事が出来ます。お好みの白身魚に衣をつけて揚げるだけ。衣は小麦粉、コーンスターチ、ベーキングパウダーを卵と水で溶きます。

ちょっとした苦みと、カリカリした食感を与える為にビールを加えるのがコツ。日本で再現する際に問題となるのはモルト・ビネガーでしょうか。私が住んでいるスペインでも入手が困難なので、日本ならもっと難しいかもしれません。

ただモルト・ビネガーは例え手に入ったとしても大変クセのある味なので、フィッシュ&チップス以外での使い道が無く持て余してしまうかも。

昔はフィッシュ・アンド・チップスは新聞紙にくるんで提供されました。偶に魚の衣に印刷の文字が写ってしまったりして、それがまた味わい深かったのですが、最近は衛生上の問題で新聞紙は全く使われなくなってしまいました。何だかちょっと残念です。

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