有名なロシア料理25選、ロシアの美味しい食べ物まとめ
2022/02/04
ボルシチ (борщ)
ロシア料理の中で多分一番有名なビーツを使った赤いスープ。でも実はウクライナの伝統料理なので、ボルシチをロシア料理と呼ぶとウクライナの人からかなり嫌な顔をされる。ロシア周辺のめちゃ広い範囲の国で食され、世界三大スープとされている。ボルシチの材料はビーツと冷蔵庫にある残り物全部。肉も野菜もあるもの全部鍋に放り込んで煮込む。ビーツさえ使って赤ければボルシチと呼ぶらしい。家庭料理の定番。
シチー (Щи)
キャベツのスープ。古くからロシア人と共に生きる料理。生のキャベツ、またはザワークラウトがたっぷり入ったスープ。最後にサワークリームを加え、黒パンと一緒に食べる。
ロシア名物としてボルシチの方が有名だけれど、異国ウクライナの料理なのでロシア人にとって味噌汁的存在はシチーの方。ボルシチと一緒で冷蔵庫にある残り物全てぶっこんで作る。
サリャンカ(Солянка)
シチーの豪華版がサリャンカ。キャベツ、ジャガイモ、ニンジンなどの野菜の他、肉や魚が入った具沢山スープ。香辛料が結構きいている。
食べる直前にレモンスライスを入れる。キュウリの酢漬けも入れるので酸味があってコクのあるどっしりしたスープ。ボリュームがあるのでメイン無で一品料理になる事も多い。
アクローシカ (окрошка)
夏の定番冷たいスープ。寒いイメージしかないロシアだけれど、夏はめちゃくちゃ暑い。体冷ましの冷たいスープは必需品。
ロシア語で「細切れにする」を意味するので、生の野菜(キュウリ、玉ねぎ、ハツカダイコン)や茹でたジャガイモ、卵、ハムなどを細かく切って、クワス(麦芽を発酵させた飲み物)と混ぜて作る。
昔からあるレシピではクワスを使うのでスープの色が茶色。最近はケフィと呼ばれるヨーグルトで作る事が多いので白い。
具はシャキシャキ感が損なわれないように、食べる直前に加える。冷た酸っぱくて、シャキシャキした暑い夏にぴったりのスープ。
オリヴィエ (Оливье)
ジャガイモ、ニンジン、卵、グリーンピースと鶏肉、キュウリなどを小さなサイコロ状に切ってマヨネーズであえたもの。1860年にモスクワの有名なレストランのコック、オリヴィエ氏が作り出した料理。
ロシアの冬の定番、特にクリスマスには欠かせない料理。私が住むスペインでもポテトサラダの事をロシア風サラダと呼ぶ。ロシアの家族が集まっての晩餐に必ず登場するサラダ。
セリョートカ・パド・シューボーイ Seledka pod shuboy
ポテトサラダ、酢漬けニシン、ビーツのマヨネーズ和えを層にした料理。赤のビーツがマヨネーズでピンク色になって、ポテトサラダの白に良く映える。華やかなパーティ料理の定番なので、家族のお祝い事があると必ず登場する。
Vinagret
茹でたビーツ、ジャガイモ、ニンジンなどを細かく切り、ピクルス、玉ねぎなどを加えてオイルとビネガーであえたサラダ。オイルはひまわりが主流。
ビーフストロガノフ (бефстроганов)
ロシア料理として有名だがそんなに古い歴史は持たない。牛肉のサワークリーム煮。ロシアの著名な貴族、ストロガノフ家のコックが生み出した料理。各国、各家庭によってレシピが違う。
コトレータ (котлета)
カツレツを意味するメンチカツ。肉や魚などを挽いて捏ね、パン粉をまぶして揚げた料理。スーパーのお惣菜コーナーの定番。可もなく不可もない味。
コトレータ・ポ・キエフスキ (Котлета по-Киевски)
バターを鶏の胸肉で巻き、パン粉をつけて揚げた料理。あつあつのうちに食べると中からバターが溶け出してくるので、ソースにして付けて食べる。ロシア料理の定番だけど、実はこれもウクライナの料理。こちらに関しては自国のものではないとの認識があるので名前にキエフ風と付く。
ガルブツィー (Голубцы)
ロシア風ロールキャベツ。酢漬けにしたキャベツで具を包むので、日本のロールキャベツより酸っぱい。具は挽肉と米。トマトソースで煮込むのが定番。
クラースナヤー イクラー (красная икра)
日本でもお馴染みのイクラ。実はロシア語で魚の卵を意味する。日本ではイクラと言えばサケ科の卵だけれど、ロシアでは魚の卵全般を意味する。だから日本で言うイクラが食べたい時は赤いイクラと指定しなければならない。
黒いキャビアに比べて手頃な値段で食べる事が出来る。ロシアの人達はバターを塗った食パン、またはクレープの上にイクラと刻んだネギをのせ、レモンを絞って食べる。
チョールナヤ イクラー (чёрная икра)
世界的に有名な高級食材キャビア。正確にはチョウザメの卵の塩漬けを意味するが、ヨーロッパでは魚の卵を総称してキャビアと呼ぶ事が多い。値段もピンキリで勿論チョウザメのキャビアが一番高い。
チョールナヤ イクラーとはロシア語で黒い魚の卵を意味する。カスピ海やアムール川で獲れるロシア産が一番最高級。特にベルーガと呼ばれるオオチョウザメの、粒が大きめのキャビアが希少価値が高い。現在ではロシア国内でも高価だけれど、ソビエト連邦時代は普通の値段で買えたのだそう。
ペルメニ(Пелмени)
小麦粉と卵で練った生地で肉や野菜を包んで茹でる。ロシア人家庭の冷凍庫に必ず常備されている。
冷凍品を茹でて溶かしバターとサワークリームで食べる。この気楽さが学生、独身者、働くお母さんから重宝されている。
ペリメニと他のダンプリングの違いは大きさ。ペリメニは小さい球状。ぺリメニには甘いバージョンはない。
ピロシキ (пирожки)
ロシアと周辺各国で食べられている総菜パン。パン生地で色々な具材を包みオーブンで焼くか油で揚げる。
生地には色々な種類がある。パン、折りパイ、練りパイ。中の具も肉や魚などのおかず系からジャムなどのお菓子系まで幅広く、それらが全てピロシキと呼ばれるので実際に目にするまで何が登場するのか分からない。
チェブレキ Cheburek
挽肉やマッシュポテト、キノコのソテーなどが入った揚げパイ。ロシア人は本当に大好きで、小腹が空いた時に何時も食べるオヤツ。クワスと呼ばれる微炭酸のジュースと一緒に食べるのが定番。
レストランなどで食べるより、屋台的な専門店で購入する。都会にはチェーン店もあるが、田舎の屋台のやつが一番美味しい。
ブリヌイ(Блины)
ロシア風クレープ。甘いのも辛いのもあり。一般的なクレープより小さくて厚め。いかにもロシア風を食べるならイクラ入りがおすすめ。またはロシア特有の森のベリー入り。
Prov (Плов)
ロシア風ピラフ。バターの味がしみ込んでて美味しい。
カーシャ (каша)
ロシア語で粥を意味する。穀物や豆類を水または牛乳で柔らかく煮たもの。色々な種類がある。
一番人気はソバの実。粥状に牛乳と砂糖で甘く煮たものは朝ご飯として子供達に大人気。メイン料理の付け合わせとして食べる時はご飯風。蕎麦の風味がして美味しい。日本でも流行って欲しい。
ロシア料理のまとめ デザート編
シローク Sirok Cырок
ロシアで一番ハマったお菓子がこれ。チーズをチョコでコーティングしてある。プレーンタイプのが一番美味しかったけれど、中にジャムやらチョコやらを入れた色々なタイプが販売されている。
スーパーの冷蔵庫で売られていてメチャ安い。ボソボソしたレアチーズケーキのような味と食感で、チーズ好きなら絶対好きになる。
Kissel
ジュースをでんぷんで固めたゼリー
スィルニキ Syrniki Сырники
カッテージチーズに卵、砂糖、小麦粉を加えて成形し、フライパンで焼いたお菓子。中にドライフルーツを入れる事が多い。サワークリームと一緒に食べる。
甘さ控えでベイクドチーズケーキ寄りのでもほぼチーズな味。作り方も簡単なので家庭で作られる事が多い。
ザビカンカ
ロシア風チーズケーキ。カッテージチーズを使ったベイクドチーズケーキ。さくらんぼうのシロップ漬け、または森のベリーが入ってる。
大抵のカフェテリアで定番メニュー。パン屋やケーキ屋でも買える。甘さ控えめでチーズの味が濃厚。
Vatrushka
パン生地の真ん中にフレッシュタイプのチーズとレーズンをのせて焼いた菓子パン。パン屋の定番商品。甘さ控えめで美味しい。
ポンチキ Пончик Ponchik
ロシア風の揚げドーナッツ。生地に柔らかい生タイプのチーズやジャム、クリームなどが入る。ポンチキ専門店に行くと物凄い種類のポンチキがあって楽しい。
よりロシアっぽくするならバラジャム入りポンチキを。カロリーが怖いが全種類制覇したくなる。
ロシア料理のまとめ 飲み物編
クワス (квас)
麦芽を発酵させて作る微炭酸の飲み物。1%前後のアルコール分を含む。
クワスの歴史は古く古代にまで遡る。ロシア人の夏の定番。最近ではコカ・コーラに人気が迫るほど人気復活。
Mors
ロシア名物フルーツドリンク。クランベリーやリンゴンベリーを中心としたベリー類を大量の水で煮て冷まして飲む。
ロシアの人達は夏の間に果物や野菜を瓶詰にして保存する。だからMORSも一年を通して飲む事が出来る。夏はキンキンに冷やして、冬は常温で。
Sbiten
ロシアの伝統的な蜂蜜ベースの飲み物
ヴォートカ (водка)
世界的に有名なウォッカ。穀物を原料とし、濾過と蒸留を繰り返して作るスピリッツ。
ロシアや東欧圏ではウォッカに混ぜ物をして飲むのは邪道とされる。ストレートでグイっと。
ソ連崩壊後、ロシア人のウォッカによるアルコール依存症が増え、平均寿命の短縮や自殺増加へつながり社会問題となった。
ケフィアкефир Kefir
コーカサス地方の伝統的な発酵乳製品であったケフィアをロシアは北欧を経由してヨーロッパ中に広めた。甘くないシャバシャバしたヨーグルト、でも厳密に言えばヨーグルトではない。
日本でも一時期ブームになったケフィ―ルの歴史は古く、ロシアではヨーグルトが出回る前に既に食されていた。ヨーグルトに比べて酸味が少なく、固まりが緩い。
ロシア料理の特徴
ロシア料理とは何なのか?まず把握すべきがロシアの大きさ。国そのものの大きさに加え、影響力の大きさも含む。ロシア料理は周辺各国に強く影響を与え、周辺各国の多様文化を飲み込んで生み出された食べ物。ロシア人ですら自国発の料理なのか他国から来たものなのか分からないものが多いので、ロシア料理の定義は本当に難しい。ヨーロッパ在住18年目のフードライターが世界を食べ尽くすの旅。ロシアは何気に物価が高いので、ロシア料理を堪能したいのなら、ほぼほぼ内容が似通っているウクライナに行くのもお勧め。