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アルゼンチン流マテ茶の飲み方、マテに必要な道具、スーパーフードのマテの効能

   

マテ茶とは何なのか

マテ茶はモチノキ科に分類される常緑樹、イェルバ・マテの木の葉や茎を乾燥させて粉砕したものに、お湯や水を加えて作る飲み物です。アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルの3ヵ国、特にパラナ川とウルグアイ川流域を中心に生産されています。

マテ茶は、紅茶、コーヒーと共に世界三大飲料の一つです。アルゼンチンとウルグアイを中心にパラグアイ、ブラジル、チリ南部など、南米の広い範囲の国々に渡って飲まれています。

ビタミンやミネラルを豊富に含み、栄養価が極めて高い事から「飲むサラダ」とも呼ばれているマテ茶。日本でも2012年から販売が開始されています。健康志向の高い今の時代の流れに乗って、今後は更に知名度を上げてゆくのではないでしょうか。

マテ茶の歴史

マテ茶の歴史はとても古く、1000年以上前の遺跡からも出土されました。世界三大瀑布の一つであるイグアスの滝周辺に住んでいた先住民、グァラ二族がマテの葉を噛んだり煎じて飲んでいたのが始まりとされています。

グァラニ族はマテ茶の事を活力を与えてくれる不思議なお茶として崇め、「神々の飲み物」と呼んでいました。ジャングルの中で長距離移動しなければならない時は、マテの葉を常に携帯していたとされています。

マテ茶とヨーロッパ

マテ茶を南米一帯に広めたのは、16世紀にやってきたイエズス会の宣教師達。大規模な栽培が行われるようになり、ヨーロッパにも持ち込まれました。ところがマテ茶、ヨーロッパでは全く流行りませんでした。

ヨーロッパには南米から多くの物が持ち込まれ、その殆どが定着したのですが、マテ茶は全くダメでした。正確な理由は分かりませんが、その独特の青臭さ、特に苦味がヨーロッパの人達には刺激が強すぎたのかもしれません。

ヨーロッパの人達って、苦味にとても弱いんです。かつては苦さを毒の味と認識していた文化を持ちます。緑茶ですら大量の砂糖を投下して飲むような人達なので、更に苦味の強いマテ茶は受け入れ難かったのではないでしょうか。

マテ茶と日本

ヨーロッパでは全く流行らなかったマテ茶ですが、日本ならどうでしょうか。苦味に耐性があり、それを美味しいと感じる事が出来るのが日本人です。だからこそマテ茶の味は、日本の人達に絶対受け入れられると思うんです。

マテ茶には苦味だけでなく、深いコクもあります。後に残らない苦味でもあるので、飲んだ後口の中がすっきりします。南米の人達の食生活のような、油っこい食べ物や肉を中心に食べている人達には広く受け入れられる味なのではないでしょうか。でも本当に注目すべきなのは、マテ茶の味ではなく効能です。

マテ茶の効能

マテ茶に含まれているのはビタミンA、B1、B2、C、F、10種類以上のアミノ酸、亜鉛、鉄分、マグネシウム、ナトリウム、カリシウム、食物繊維、クロロフィル、フラボノイド。生きる為に必要な栄養素が全て含まれているとされています。

カルシウムやマグネシウムは紅茶やウーロン茶の倍以上、鉄分に関しては4倍の含有量。そして飽食の今の時代、特に注目されているのがクロロフィルという成分です。クロロフィルとは植物の緑色を作る色素。

光合成に必要不可欠な成分で、発芽に必要な成分を作ったり、水や二酸化炭素から酸素を作って排出したりします。実はこのクロロフィル、植物だけでなく人間の体の中でも同じような働きをするんです。

血のめぐりを良くし、血液中の悪玉コレステロールや中性脂肪などの不要な物質を体外へ排出してくれるので、高血圧や脳梗塞の予防に大変効果的なのだそう。クロロフィルには抗菌作用もあるのでニキビや吹き出物を改善し、肌の調子を良くする美容効果もあります。

そんなミラクルな成分クロロフィルだけでなく、マテ茶には抗酸化作用のあるフラボノイドも含まれています。コレステロールや血糖値を下げる働きの他、細胞の酸化を防ぐのでアンチエイジングの効果があります。マテ茶とは栄養が豊富で、健康に良いだけでなく、美容そしてアンチエイジングにもなるスーパー飲料だったのです。

マテ茶の効能はまだあります。マテにはカフェインに似た成分、マテインが含まれているので血液の循環を良くし、中枢神経に刺激を与えるので集中力が上げります。南米では試験勉強中の学生達が手にするのは、コーヒーよりマテ茶なんです。

南米はコーヒーと縁が深いのですが、日常的に飲んでいるのはマテ茶です。マテ茶には頭の働きが良くなる他に、豊富なミネラルによって筋肉の中の乳酸が増えるのを抑制する働きもあるので、運動神経も向上します。サッカー選手達、例えばマラドーナなんかも試合前には必ずマテ茶を飲んでいました。

マテ茶の凄さ

かつての先住民達はマテ茶を元気をくれる薬として常飲していました。マテ茶の長い歴史の中では、飲料としてではなく、薬として捉えられていた時代の方が長いです。

後の南米の大草原を牛の群れを追って生活するガウチョ達、そして野菜の栽培が困難な荒れた土地に住む人達は、マテ茶をただの飲み物ではなく、大切な栄養摂取源の一つとして捉えていました。

現代においても超が付く程肉食である南米の人達の野菜不足を解消する重要な飲み物です。南米の人達にとってマテ茶とは、嗜好品でもあるけれど、健康を考えた時も飲むべき健康飲料の役割もしているのです。

国によって異なるマテ茶

恩恵深いマテ茶はとても広い範囲の国々で飲まれているお茶なので、国によって飲み方が全く異なります。例えば暑い国の人達は蜂蜜や砂糖などの甘味料を加えて冷蔵庫で冷やしてから飲みます。

最近では何処の国でもスパイスやハーブなどを加えて、新しいフレーバーのマテ茶を楽しむ人が増えてきました。そんな中でも王道と呼ばれるマテ茶の飲み方は、マテ茶生産高世界一のアルゼンチンの飲み方でしょうか。今回はそんな正統派、アルゼンチン流マテ茶の飲み方を紹介したいと思います。

アルゼンチン流マテ茶に必要なもの

◇マテ茶

各国の色々なメーカーがマテ茶を販売していますが、飲み方によって製造方法が異なるので、アルゼンチン流に飲むのならアルゼンチンで売られているマテ茶を用意しなければなりません。

日本ではアルゼンチン産とブラジル産のマテ茶が購入し易いかと思います。ティーパックタイプのマテ茶も存在しますが、アルゼンチン流に飲みたいのなら必ずアルゼンチン産のマテ茶を用意して下さい。

マテ茶は高額なものほど確実に美味しいです。味の深みが全く異なります。日本茶のように値段の振り幅がそれ程大きくはないので、懐が許す限り高額なマテ茶を購入して下さい。

ただ良いマテ茶は苦味と独特の青臭さが強いです。マテ茶の味に慣れるまでは安いお茶を購入し、徐々にグレードアップして舌を慣らしていくのも良い方法です。

◇器

木製、ガラス製、アルミニウム製、磁器、角製。色々な素材のマテ茶専用容器があります。一番伝統的なのは、ひょうたんをくり抜いたものでしょうか。ひょうたんや木製の容器は購入して直ぐ使用する事は出来ません。準備が必要です。

まずは熱湯で洗います。ひょうたんの場合は容器の内側についている表皮を取り除きましょう。器にマテ茶の葉を4分の3程入れ、ふちギリギリまでお湯を注ぎます。そのまま一晩放置し中身を捨て、同じ作業をもう一晩繰り返します。茶葉と一緒にオレンジの皮を交ぜると風味が更に良くなるのだそう。

◇ボンビージャ

マテ茶を飲む専用のストローをボンビージャと呼びます。先端がスプーン状に膨らんでいて、沢山の小さな穴が空いているのが特徴です。スプーン状になっているのは、飲み終わった後、器の底の茶葉を掻き出して捨てる為です。

このボンビージャを使ってマテ茶を飲む事は栄養学的にもとても重要です。飲んだ時に口当たりの悪い大きな葉や茎は通さず、でも粉末や小さ目の葉や茎などは液体と一緒に体内に取り込む事が出来ます。

アルゼンチン流マテ茶は飲んだ時、少しザラっとした感覚が舌に残りますが、こうして茶葉を食べる事によって栄養価の高いマテ茶の成分を効率よく体内に取り込む事が出来るのです。

これは先住民達の時代からある習慣で、かつては葦などの植物の茎を切り、節の部分に針で無数の穴をあけ、それをストローにしてマテ茶を飲んでいました。そのストローをスペインの征服者達の子孫達が、当時ボリビアで大量に採れた銀を使って作るようになりました。

現在ではより安価なステンレスが主流となりましたが、贈り物やお土産用には今でも銀製のボンビージャが好まれています。ボンビージャは国によってサイズが異なります。アルゼンチンのマテ茶用の器は他の国と比べるとかなり小ぶりです。

他の国で作られたボンビージャを使うと口が狭すぎて中に入らないので注意しましょう。マテ茶専用の器とボンビージャはどの国でも売られていますが、同じ国のもので揃えるのが基本です。マテ茶の葉と同様に、それぞれの国に合わせて茶葉と器を揃える事が重要なのです。

◇保温効果の高いステンレス製の魔法瓶

マテ茶はゆっくり時間をかけて楽しむもの。お湯が冷めないように魔法瓶は絶対必要不可欠な道具です。アルゼンチンでは外出する時も魔法瓶を持ち歩いている人が多く、レストランやガソリンスタンドなどで気軽にお湯を入れて貰えます。

アルゼンチン流美味しいマテ茶の淹れ方

1 器にマテ茶の葉を入れます。容器の3分の2位の茶葉が目安です。

2 手で容器の口を覆い、逆さにしてよく振ります。
※マテ茶には葉と茎と粉末の部分があるので、しっかり混ぜて味を均衡させます。

3 容器を傾け茶葉を片側に寄せ、量の少なくなった方にボンビージャを刺します。一度刺したらボンビージャには出来るだけ動かさないようにします。

4 ボンビージャをつたわすようにお湯を少しずつ入れます。
※お湯は沸騰する寸前の、細かい泡がたって白く濁った瞬間ぐらいが一番適温だとされています。90℃以上の熱いお湯を使うとマテ茶の味が壊れてしまいます。プラスして鉄製のストローで飲むので、お湯が熱すぎると火傷してしまうので注意して下さい。

マテ茶を飲む際の注意点

マテ茶は出来るだけ時間をかけず、器の中の全てを飲み干す事が大切です。アルゼンチン流だと小ぶりの器を使うので、一気に飲んでもお腹がチャプチャプにはなりません。全てを飲み干してから、まだ飲み足りなかったらお湯を再び加えます。

お湯を入れっぱなしで放置する事は絶対に止めましょう。マテ茶の味が無くなったらスプーン状のボンビージャで葉を掻き出して捨て、新しい茶葉と取り替えます。目安として1リットル弱位は同じ茶葉で飲む事が出来ます。

苦味が強いお茶なので、甘味料を加えて飲むのは邪道とするアルゼンチンでも子供たちの為には牛乳や蜂蜜を加えたマテ茶を作ります。マテ茶を甘味料なしで飲む事が出来ると、大人になったと認められるのだそう。

栄養価の高いマテ茶は、忙しい今の時代、飲むだけで手軽に体内に取り込む事の出来る栄養供給減です。更には美容や健康にも良いスーパー飲料。日本の人達には絶対受け入れられる味だと思うので、近い将来もっともっとマテ茶が日本に浸透すればよいなと思います。

不可思議なアルゼンチン人

今回はアルゼンチンとマテ茶の関係をご紹介しました。マテ茶があるからこそ、アルゼンチン人という超肉食の人種が完成したのだと思います。アルゼンチン人は本当に肉しか食べません。アルゼンチンと牛肉に関する全てを別記事にまとめました。

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