シナモンロールの歴史、スウェーデンとシナモンロールの関係
2022/02/04
シナモンロール発祥の地はスウェーデンです。スウェーデンではシナモンロールが愛され過ぎて、10月4日はシナモンロールの日と定められました。人口1000万人の国で、一日に800万個ものシナモンロールが販売されます。どれだけスウェーデン人がシナモンロールを愛しているのかが良く分かる、驚異的な数字です。
シナモンロールとは何なのか
シナモンロールと言えば、甘いアイシングがたっぷりかかったフワフワなシナモンロールをイメージする人が多いかもしれません。これは日本にも進出したアメリカのシナモンロール専門店の影響が大きいです。
シナモンロールはスウェーデンで生まれました。アメリカに移民したスウェーデン人がシナモンロールを広め、アメリカ風にアレンジされたものが日本へ持ち込まれたのです。
本場スウェーデンのシナモンロールは、私達がイメージするシナモンロールとは全く趣が異なります。甘さ控えめでスパイスの風味が効いた大人の味。戦後の苦しい時代に生まれた食べ物なので、とても素朴な感じです。
シナモンロールの歴史
シナモンロールが生まれたのは第一次世界大戦の後。外交の力と中立宣言によって、スウェーデンは戦場となる事は免れたのですが、経済は激しく落ち込みました。戦争の後は多くの家庭が、食材を切り詰めて生きていかなければなりませんでした。
そんな時代に生まれたのがシナモンロールです。貧しい戦後の時代でも手に入りやすかった食材だけを使って作るので、直ぐに大人気となりました。やがてスウェーデン国内だけでなく、北欧一帯、そして中央ヨーロッパにも普及しました。
スウェーデンのシナモンロールの特徴
スウェーデンのシナモンロールは、スパイスの効いたエキゾチックで大人の味がします。このスパイスとして使われているカルダモン。スウェーデンのシナモンロールの味を決定づける大きな立役者です。
シナモンロールと言うからにはシナモンが主役です。でもスウェーデンの人達にとってカルダモンはとても重要なシナモンロールの要素。カルダモンの入らないシナモンロールは、泡のないビールのようなものだと言います。
カルダモンはインドを原産とする、歴史的に最も古いスパイス。ショウガ科の植物ですがショウガの味はなく、でも同じような清涼感とピリッとした辛みがあります。更には気品のあるエキゾチックな香りとほろ苦さ。
その独特な風味から、スパイスの女王とも呼ばれています。スウェーデン人はこのカルダモンが大好きで、一人当たりの年間消費量が、アメリカの50倍はあると言います。
カルダモンはカレー料理に欠かせないスパイスで、肉料理の匂い消しなどにも使われます。スウェーデンに限らず北欧から中欧にかけては、カルダモンを料理より焼き菓子に使う事が多いです。
実に多くの焼き菓子にカルダモンが使用されていて、特にクリスマスのお菓子には必要不可欠なスパイスとなっています。だからクリスマス期間中に北欧近辺を訪れると、カルダモンの香りで溢れていると言います。
スウェーデン人とシナモンロールの関係
「シナモンロールが嫌いなスウェーデン人は存在しない」誰もがそう言い切ります。確かに何時でもシナモンロールはスウェーデン人の身近にあります。例えばお茶の時間をスウェーデン語で「フィーカ」と呼ぶのですが、このフィーカに欠かせないのもシナモンロール。
スウェーデンの人達は家に人を招くのも、招かれるのも大好きです。長く厳しい冬の間は家に中に閉じこもりがちになるので、本格的な冬が始まるまで友達や家族の家を行き来して楽しみます。
誰かを家に招いたら、まず初めにとりかかるのがシナモンロール作りの準備。シナモンロール抜きでお客様をお迎えするなんて、スウェーデンではあり得ない事なのです。
スウェーデンのシナモンロールの日
スウェーデン人はシナモンロールが大好き過ぎるので、1年に一回、シナモンロールを皆で称えて愛でる日を作りました。10月4日にシナモンロールを食べないスウェーデン人は変人扱いされるほどです。
パン屋、カフェ、レストラン、スーパー、コンビニ。スウェーデンでは街の至る所でシナモンロールが売られています。10月4日に限らず、何時でも何処でも食べられているのですが、この日は通常の3倍の売上となるのだそう。
スウェーデン風シナモンロールのレシピ
シナモンロールは北ヨーロッパを中心に、とても愛される食べ物となりました。シナモンロールを上手に焼ける事が、良いお嫁さんになる条件となる時代もありました。美味しいシナモンロールを地元スウェーデンの方に作ってもらった時のレシピを別記事に掲載してあります。
変化するシナモンロール
本場スウェーデンのシナモンロールは、ざらめのようなニブシュガーが散りばめられるだけでトッピングはされません。アメリカ版のシナモンロールはフワフワパンの上にアイシングと呼ばれる粉砂糖と水を練って作ったペーストが塗られます。
最近はバタークリームやクリームチーズなどのペーストが塗られたシナモンロールも見かけるようになりました。トッピングだけでなく、レーズンやオレンジピールなどを生地に混ぜたりして、アレンジは無限大です。
ただシナモンロールの本場スウェーデンをはじめ北欧の国々では、昔ながらのレシピのシンプルで素朴なシナモンロールしか見かけません。シナモンロールにチャラさを求めないのが北欧の人達の信念なのです。