世界食べ尽くしの旅 

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グルメ派ならスペイン北部のガリシア地方へ行こう。そこでしか食べる事が出来ない食材エイ。

      2019/05/17

皆さんはエイを食べた事がありますか?釣り好きな人は結構食べている人もいるようですが、見かけがあんな感じなので、食べる事が出来る魚とは知りませんでした。スペイン北部にあるガリシア地方の一部の地域で、住民達から一番愛されている食材がエイです。何処でも食べる事が出来る食材ではないので、そこへ行って食べるしかないご当地の味です。ヨーロッパ在住18年目のフードライターが素敵な人達に出会いながら、世界中を食べ尽くすの記録。今回はスペイン北部ガリシア地方でエイを食べて来ました!

 

スペイン北部、そこでしか食べる事の出来ない味を求めて旅をする


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ガリシア地方に住んでいる友達から、面白い食材があるから食べにおいでよ、とのメールを受け取りました。スペイン北部は魚介類で有名な地域なので、そっち系の食材だろうとは想像していましたが、エイが出てくるとは思ってもいなかったのでびっくりしました。エイって食べられるんですね。日本でもスペインでも今まで食べた事がなかった食材です。

今回訪れたのはスペイン北西部、ポンテべドラ県にあるサンシェンショの街。この辺りのリゾート観光の中心地で、夏になると人口が10倍に膨れ上がります。サンシェンショの街はとても近代的なのですが、周辺には趣のある雰囲気抜群の漁村が点在しています。

人口は1万7千人程。この街を有名にしているのがエイです。ご当地自慢の食材で、余り他の地域で見る事がありません。サンシェンショの街は毎年エイ祭も開催していて、多くの観光客が訪れます。

 

 スペイン北部、リアス・バイシャス地方の名物料理 エイ

エイのカルデイラダ(CALDEIRADA DE RAYA)はガリシア地方沿岸部で古くから食べられている伝統的な料理。でもガリシア地方を訪れれば何処ででも食べられるという料理ではなく、ポルトガル北部と国境を接するリアス・バイシャス(RIAS BAIXAS)地方特有の郷土料理です。

他の地域で入手する事が難しい食材なので、リアス・バイシャスの故郷を後にした人達が一番恋しく思うのがエイなのだそう。エイには骨格がなく、軟骨質で骨が無く、調理するのも食べるのも簡単です。なのでこの地方では一番最初に子供に食べさせる魚がエイ。そしてお年寄りが安心して食べる事の出来る魚もエイです。

 

美味しい料理には素材の力が大切 美味しいエイの選び方

エイは調理する前に下準備が必要です。良く洗って、上部の暗い色の部分の皮をそがなくてはなりません。リアス・バイシャス地方では既にきちんと下準備がしてある状態で魚屋に売られている事が多いので安心、楽ちんです。

エイを調理する上で一番大切なのはエイの鮮度。もうこれだけで味の殆どが決定するのだそう。一番質が良いのは大西洋で獲れたエイ。海水の温度が低いので身が引き締まった美味しいエイとなります。

見分け方のコツは魚の腹の部分。そこが白く、少しピンクがかって光沢があれば大西洋で獲れたエイの証拠です。シンプルな料理なので素材がとても重要です。新鮮なエイが大前提ですがパプリカパウダーやオリーブオイル、豚のラードも品質の良い物を使って欲しいのだそう。

 

 スペイン北部ガリシア地方特有の食べ物

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エイのカルデイラダは何処でも食べる事の出来る料理ではありません。メインの材料となるエイがリアス・バイシャス地方以外だと入手するのが困難だからです。

エイだけではありません。ウント(HUNTO)と呼ばれる上質な豚のラードを手にする事も難しいです。ウントは豚の腸を覆っている脂身で、取り出してから塩漬けにして円筒状に紐で縛って温度の低い場所につるして乾かします。

少なくとも30日から40日程乾かす事が重要で、ガリシア地方では台所で乾かす家庭が多いです。そうする事によってウントにスモークの味をつけるんです。ウントはガリシア地方の料理を作るのに欠かせない食材で、殆どの伝統料理にウントが隠し味として使われています。


どんな味がするんだろうかと興味津々だったエイ。想像してた以上に美味しかったです。柔らかくて、つるんとして、ちょっとトロトロな感じもある。何よりも骨が無いのが食べやすくて良いです。世界全国もっとエイを食べるべきだと思いました。

でも残念ながらエイは余り見かける事のない食材です。腐るのが早く、鮮度が落ちると味も落ちてしう。それに下準備が大変な魚なんです。とても厄介な食材なので、スペインでは限られた一部の海岸線、リアス・バイシャス地方でしか扱っていません。

何でも食べられるようになった今の時代に、そこでしか食べる事の出来ない味がある。それを求めて旅をするのも、旅の醍醐味の一つです。

 

スペイン北部ガリシア地方名産のエイを食べるのにお勧めのレストラン

今回はエイの本家、ガリシア地方北部のサンシェンショの港にあるレストラン、セルべセリア・アソール(CERVECERIA AZOR)のメインシェフ、ヴァレンティン・フォンタン・ボウサダ(Valentin fontan bouzada)さんにエイの伝統的なレシピを教えて頂きました。

エイ料理のコンクールにも参加し、昔からの伝統を守りながら新しいアレンジも取り入れているエイ料理が美味しいと評判のレストランです。少し不便な所ではありますが、わざわざ足を伸ばすだけの価値は絶対ある地域です。皆さんも是非、サンシェンシを訪れて美味しいエイ料理を堪能してください。

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セルべセリア・アソール Cervecería Azor

住所:Rua Rafael Pico N 36 Bajo,36970, PortonovoSanxenxo (Pontevedra)

電話: +(34)617468679

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