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スペイン通だけが知っている美味しいスペイン料理の珍味

      2022/02/04

スペイン料理最大の魅力は、郷土料理の豊富さです。スペイン在住20年のフードライターがおすすめする、地方色豊かな珍しいスペイン料理のリスト。今回は、その土地でしか食べる事の出来ないスペインの珍味だけを集めました。基本的なスペイン料理に関しては、別記事で詳しくまとめてあります。

港町特有のスペイン料理

スペインの海岸線の港町で良く目にする料理がイソギンチャクのフライ、オルティギジャス・フリタス (Ortiguillas fritas)です。昔はスペイン南部の海岸線限定で味わえた珍味だったのですが、近年は結構色々な場所で見かけます。

とは言っても内陸部では絶対に出会う事の出来ない珍味。一緒に居たスペイン人が「こんなん食べるのムリムリ」みたいな感じになっていたので、一般的にはゲテモノ系だと思います。でも日本人なら普通に大好きな味。

イソギンチャクって毒なかったっけ?と疑心暗鬼で口に入れたら、サクッの後にプニュっとなって磯の香がブワッと口中に充満します。もう本当にブワッて感じ。その後にはウニのようなクリーミー感溢れる旨味がやって来ます。

大いなる海を食べている感じで、驚愕する美味しさです。ビールのおつまみに最強の珍味。偶に魚屋で見かけますが、結構エグイ容姿をしているので、デリケ―トな方は食べ物のフライになる前の姿形は目に入れない方がいいかも。昔、日本の有明海沿岸で食べたイソギンチャクと同じような味がしたので、種類が一緒かもしれません。

バルセロナで一番愛されている郷土料理

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バルセロナを中心としたカタルーニャ地方を代表する郷土料理がカルソッツ (Calçots)。12月から3月までの期間限定の料理で、バルセロナ近郊で栽培される独特のネギを炭火で焼き、外側の焦げた部分は捨て中のトロトロした部分だけを食べます。

カルソッツは都心のレストランでは見かけない料理で、郊外のカルソッツ専門レストランで食べます。バルセロナの人達はカルソッツ大好き人間なので、週末になるとこぞって職場の人達や仲間同士を誘い合って出かけます。

バルセロナの人達は毎年本当にカルソッツのシーズンを心待ちにしているので、レストランの予約を取るのがとても難しい。バスを借りて大人数でカルソッツを食べに行くグループが多いので、団体さんの予約が優先されます。少人数だと予約すら受け付けて貰えない事があり、色々とハードルが高い料理です。

カルソッツ用のネギは生産量が少ないのに、バルセロナだけで消費されてしまうので県外に全く出回らない食材です。

食べる事が出来るシーズンや場所が限定されていて、レストランの予約を取るのが難しく、更にはカルソッツ用のネギは生産量が少ないのに、バルセロナだけで消費され県外に全く出回らない食材です。運よくカルソッツを食べる事が出来たのなら、有難みを持って食べましょう。

ただの焼きネギでしょ、なんて言わないで下さい。驚愕の美味しさです。ネギ自体の美味しさも普通じゃないし、ネギにつけるロメスコソースも絶品です。スペインで一番美味しい野菜料理と言えるのではないでしょうか。カルソッツに関しては別記事で詳しく解説しています。

アストゥリアスで一番人気のスペイン料理

スペインはどの地域も美味しいのですが、中でもイチオシなのがスペイン北部のアストゥリアス地方。海と山の幸を上手に使うのが特色です。何を食べても美味しいのですが、絶対食べなくてはならない料理がカチョポ (Cachopo)です。

薄く伸ばした牛肉で生ハムとチーズをはさんで揚げた食べ物。登場すると、まずはその大きさにびっくりします。とてもインパクトあるボリュームで、大人2人でも食べきれない程。アストゥリアス地方の食べ物は何でも大きいのですが、カチョポの大きさは尋常じゃないと思います。

大きいだけでなく、勿論美味しい。牛肉、生ハム、チーズ、材料の全てがアストゥリアス地方の名産品です。地元の特産物を惜しげなく使って作るカチョポ。地元の人達からとても愛されている料理で、沢山のカチョポ愛好会が存在しています。

カチョポ専門レストランも多く、一番美味しいカチョポを決めるコンテストなども毎年開かれています。ただアストゥリアス地方以外では全く見かける事のない料理なので、食べたいと思ったらアストゥリアス地方まで行かないと食べれません。

アンダルシアの禁断の郷土料理

かつてスペイン南部アンダルシア地方の名物だった料理が、カタクチイワシの稚魚のフライ、チャンケーテス (Chanquetes) です。近年スペインでは観光保護の為、魚の稚魚を獲る事が法律で禁止されました。

特にアンダルシア地方のマラガ県では、昔から愛されていた食べ物だっただけに、地元の人達は嘆き悲しみました。表上は魚屋やレストランから姿を消したイワシの稚魚。でもある所にはあるんです。

シレっと注文するとコソッと店の奥から出してくれたりします。マラガの海岸線にある小さな漁港に朝早く行けば、地元の漁師さん達が誤って網にかかってしまったイワシの稚魚を内緒で売ってくれるのだそう。

レストランで堂々とメニューにあるのは、中国産の輸入品のイワシの稚魚です。日本人が日本産にこだわるように、スペイン人も地元産にこだわります。チャンケーテスとされても、イワシの種類が違うし、味も全く異なるのだそう。スペインでは禁断の味なので自己責任で食べましょう。

ムルシア地方だけのスペイン料理

スペインのムルシア地方でしか食べられない郷土料理が、ミートパイ、パステル・デ・カルネ・ムルシアーナ (Pastel de carne murciana) です。サックサクのパイ生地の中に牛肉のミンチ、生ハム、ソーセージ、茹で卵、オリーブの実などが入ってます。

個人的に世界で一番美味しいミートパイだと思います。何で他の地域で販売してくれないのでしょうか。ムルシア特有の珍しい食材を使っている訳ではないので可能なはずです。余りにもサクッサクのパイ生地が、門外不出の企業秘密なのかもしれません。

ビールのお供に最高のパイです。エストレージャは全国で展開している大手ビールメーカーなのですが、地方限定のビールも出しています。緑色のラベルだったらムルシア限定のビール。相性が抜群なので是非セットで楽しんで下さい。

ガリシア地方特有のスペイン料理

スペイン北部ガリシア地方を訪れたら、絶対に食べて欲しい食材がガリシアのエイ、ラジャ・ア・ラ・ガジェガ (Raya a la gallega) です。エイはとても腐りやすい魚なので、港から離れた場所では食べる事が出来ません。

エイは軟骨しかないので、小骨の心配をしなくていいのが最大の特徴。子供やお年寄りに大人気の食材です。エイは本当に面白い食材で、柔らかく、魚なのに魚っぽくないプルプルした食感で、クセのない美味しさです。

食材のエイ自体が美味しいのですが、ガリシア地方特有のオレンジ色のソースも大変美味です。ガリシア地方特産のパプリカパウダーと豚のラードで作ります。ガリシア風エイに関しては、別記事で詳しくまとめました。

バレンシア地方の名物料理

スペインと言えばパエリア。世界的にも有名なパエリアを、米ではなくショートパスタで作った料理がフィデオワ (fideua)です 。パエリア同様、バレンシア地方発祥の郷土料理で、ニンニクがたっぷり入ったアリオリソースと一緒に食べます。

フィデウアはバレンシア地方で漁業を営んでいた漁師さんが、売れ残りの魚貝類を使ってパエリアを作ろうとした際に米を切らしていた事に気付き、代わりにパスタをポキポキ折って使ったのが始まりなのだそう。

フィデオアは珍味ではないのですが、本当に美味しいフィデウアを見つけるのが難しいです。名実共にスペインを代表する料理であるパエリアも同様で、特に観光客が多い土地だと、本場であってもひどい味のものしか食べる事が出来ません。

特にフィデウアは、味だけでなく麺のタイプも重要です。極細でないと美味しくない。レストランによっては太い麺でフィデウアを作り、茹で過ぎたパスタのようになってしまっています。

フィデオアもパエリアも、エビやムール貝などの具が沢山のっている方が美味しそうに見えますが、究極にオイシイのは具が殆どない、でも出汁の効いたバージョンだと思います。頑張って本当に美味しいフィデウアを見つけ出して下さい。

アンダルシア地方の珍味

酒飲みが泣いて喜ぶ食べ物が、スペイン版のカラスミ、ウエボ・デ・ムホル (Huevo de mujol) です。まったりした海の味で、日本のカラスミに近い味です。かなり塩辛いので、スペインの甘口のシェリー酒と合わせて食べるのが一番美味しい。

ウエボ・デ・ムホルはタラ系の魚の卵を塩漬けにしてから天日で干した食べ物。魚卵ではなくマグロの身で作ったものが、モハマ(Mojama) 。どちらもスペイン南部アンダルシア地方を代表する珍味として有名です。

珍しいアリカンテの郷土料理

アリカンテ地方のアルコイの街でしかお目にかかった事がない料理が、アビシニオス・デ・アルコイ(Abisinios de Alcoy)、卵のフライです。卵の上にグラタンソースをのせてフライにした食べ物。

とても美味しいのですが、白身が半熟で、どうやって作っているのかが謎です。作り方を聞いても、絶対教えてくれない門外不出のレシピ。アルコイの街を代表する郷土料理ですが、アルコイの人達も作り方を知りません。

アルコイでは毎春、世界的に有名なイスラム教徒とキリスト教徒の祭が開催されます。この日に絶対食べなくてはならない郷土料理なのですが、お店によってはただの茹で卵のフライだったりするので当たり外れが大きい。見極めましょう。

カタルーニャ地方の名物料理

カタルーニャ地方を代表する郷土料理が、干し鱈のマリネ、エスカリヴァダ・デ・バカラオ (Escalivada de Bacalao) です。干しタラが一番有名ですが、他にも色々な食材を使ってマリネにします。

フランスとの国境近くの漁村で食べたエビのエスカリヴァダが最大に至福の味でした。スペイン人は魚介類を生で食する習慣がなかったのですが、近年の日本食ブームが定着し、良く見かけるようになりました。

エスカリヴァダは日本人にはドンピシャリの味だと思います。ホタテ貝のエスカリヴァダを食べた事のある人が、興奮してその素晴らしさを説いてくれました。もし見つけたら是非ご一報下さい。何なら一緒に食べにいきましょう。

スペイン料理を極める

スペインに20年以上住み続けていても、未だ新しい味に出会う事の出来るスペイン料理の奥深さ。別記事でライフワークとしてスペイン料理の辞書を作成しています。今のところ170品。今後更に品数を増やしていくつもりです。

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