ホームスティで学ぶスペイン人の暮らしと食事(祭りの日編)世界ホームスティ紀行
2021/03/06
世界中をホームスティしながら各国の暮らしを学ぶ、世界ホームスティ紀行。今回はスペイン東部の地方都市、アルコイの街の世界的に有名な祭、イスラム教徒とキリスト教徒の祭を見に遊びに行ってきました。スペイン人にとって自分達が住む街の祭はとても重要。小さな町になればなるほどその傾向は強くなり、街全体がお祭りモード一色となります。大切な日だからこそ、家族皆が集まって、そうなるとやっぱりご馳走を作ります。スペイン人達は祭の日にどんなものを食べているのでしょうか。
アルコイの祭はスペイン屈指の規模

スペイン版リオのカーニバル、アルコイのイスラム教徒とキリスト教徒の祭は本当に豪華絢爛です。世界中から観光客を集めるこの有名な祭は、アルコイ市民にとって大きな誇でもあります。祭りに関する詳細はこちらの記事でまとめました。
市民全体がとても重要な行事と認識しているので、祭が近くなると大型連休をとって故郷に戻ってくる人達が殆どです。つまり祭の日とは日頃バラバラな街に住んでいる家族達が全員集合する日でもあるんです。
そんなお祭り騒ぎの中、アルコイの人達はいったい何を食べるのでしょうか。今回はダビ(DAVID)さん家族がアルコイ祭の正しい、美味しい過ごし方を教えてくれました。
アルコイの祭の日に食べる料理
アルコイの祭は三日間続き、その間色々な催しが開催されるのですが一番大切なのはパレードの日。午前中のキリスト教徒のパレードは朝の10時から13時半まで3時間半続きます。長丁場なので朝からがっつり食べるのが基本。アルコイ市民たるもの途中退席なんてありえません。

キリスト教徒とイスラム教徒、紅白に分かれたオムレツ。3段重ねになっていて一番下がマッシュルーム、中段がホウレンソウ、一番上がジャガイモのオムレツです。このオムレツをバゲットに挟んでカフェオレと一緒に食べる。祭の日のアルコイ市民の典型的な朝食です。
お腹にずっしりくるサンドウィッチを食べ、いざ参戦。若者達はパレードの合間合間にバーへ行って飲み食いもするのですが年配の方達は全くパレードの場所から動きません。
キリスト教徒のパレードが終わると皆一目散に家へ帰って昼ごはんを食べます。ノソノソしてると午後五時から始るパレードに間に合いません。時間がないからと言ってお昼もサンドウィッチという訳にはいかない特別な日です。お母さん達は前日から食事を用意してオーブンに入れておき、家に帰ると同時に暖めて食べるのです。
ダビの家では毎年決まって祭の昼ご飯は赤ピーマンの中にお米を詰め、オーブンで焼いた料理です。玉ねぎ、ニンニク、トマト、ひき肉をオリーブオイルで炒めてからサフランと米を洗わずに加えます。米が透明になったらヘタをくり抜いた赤ピーマンの中に詰めます。
不思議で何度も聞き直してしまいましたがお米を炊かずに赤ピーマンの中に入れるんです。種を取り除いたヘタで蓋をしてオーブンで焼くだけでお米が柔らかくなるのは炒めた肉や野菜、肉厚の赤ピーマンから充分な水分が取れるからなのだそう。こんなお米の調理の仕方もあるのかとびっくりしました。

お昼もガッツリ食べたら再びパレードです。午後はイスラム教徒のパレードで5時から9時まで続きます。お昼にワインをたんまり飲むので午後の部は皆さん大変ご機嫌です。更にはメンティレタと呼ばれるアルコイ祭特有のアルコールも登場します。
これは祭の期間中誰もが必ず飲むお酒です。大きな容器にストローを沢山さして皆で廻し飲みするのが基本。コーヒーリキュールをレモネードを割った飲み物なので甘くて苦くて酸っぱい。とっても飲みやすいのでグイグイ飲んでしまいますがアルコール度が高いので結構危険です。
耐久レースのようなパレードが終わり、かなりアルコールも入ったので皆さんご機嫌で帰途につきます。夜ご飯も勿論前日からの作り置き。アルコイ市民は祭の期間中、眠る暇もない程です。
夕食もオーブン料理、または冷蔵庫で保存して直ぐに食べられる料理が基本。今回はキノコのソテーが中に入った魚の形をしたパイ。ジャガイモとツナをマヨネーズであえ、薄く焼いたオムレツで包んだもの、チーズのサラダなどがありました。

夕食は時間もたっぷりあるので手作りデザートも出てきました。チョコと練乳のムースです。

夜ご飯を食べ終えると若者達は再び街へくりだします。祭の期間中は野外ステージで無料コンサートがあるので朝まで飲んで踊っての繰り返し。飲み物はやっぱりメンティレータです。
春にスペインを訪れる機会があったら、見応えたっぷりのアルコイのイスラム教徒とキリスト教徒の祭を是非訪れて下さい。迫力に圧倒されると思います。スペインにはアルコイの祭以外にも素晴らしい祭が沢山あります。こちらの記事でスペインの有名な祭をまとめました。