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キプロスの治安、ヨーロッパの穴場キプロス島のおすすめ、キプロス共和国のすべて

      2022/01/15

ヨーロッパ在住20年のフードライターです。今回は日本では余り知られていないけれど、ヨーロッパで人気急上昇中のキプロス島に関するあれこれ。紛争地域なのに治安が良く、景色、気候、食べ物、全てにおいてレベルの高いヨーロッパの穴場的存在です。

キプロスの複雑な歴史

キプロス島は魅力溢れる素敵な場所です。紛争地区でありながら治安の良い、大変珍しい国でもあります。既にヨーロッパでは人気急上昇中で、まだ日本から訪れる観光客は少ないのですが、今後どんどん有名になっていくと思います。

キプロス共和国はトルコの南、東地中海に浮かぶ島です。地中海で3番目に大きな島ですが、四国の半分くらいの大きさしかありません。そんな小さな国、キプロスの歴史はとても複雑で、常に色々な国の支配下に置かれてきました。

エジプトの支配、ギリシャの支配、ローマ属州時代、十字軍の支配、オスマン帝国の侵略、1960年に独立を果たすまでは、80年間に渡って大英帝国の植民地でした。小さなキプロス島が、どうしてこれほど他国の干渉を受けるのでしょうか。

地図を見れば一目瞭然で、キプロス島はヨーロッパ、アジアそしてアフリカ文明の交差点に位置する島です。海上交通の要所として昔から重要な位置を占め、色々な国の干渉を受け翻弄されているのです。

分裂されたキプロス

独立を果たした後もキプロスはとても複雑な状態でした。少数であったトルコ系住民が分離独立を目指し、1964年に内戦が発生します。1974年にはトルコ軍がキプロス島に軍事介入し、国土の38%に及ぶ島の北部を占領しました。

その際多くの住民が虐殺され、行方不明となりました。1983年、島の北部は北キプロス・トルコ共和国として独立を宣言しますが、承認したのはトルコだけです。これ以上の衝突、混乱を避ける為に、北キプロスと南キプロスの間には国連によってグリーンラインと呼ばれる停戦ラインがひかれました。

グリーンラインはキプロス島のほぼ真ん中を300キロに渡って分絶するラインです。コンクリートや有刺鉄線、対戦車用の溝などからなり、国連のキプロス平和維持軍によって今でもパトロールされています。

現在もキプロス島は分裂されたままですが、以前はギリシャ系住民とトルコ系住民が平和に混住する複合民族国家でした。現在では島の北部がトルコ系の人達、南部はギリシャ系の人達が分かれて住む、2つの単一民族国家が共存する島となっています。

北と南への往来が可能となったキプロス

2つの国に分断されてはいますが、南北の国の間に干渉は無く、2008年には内戦が勃発してから封鎖されていたニコシア・レドラ通りに検問所が設けられ、南北間の行き来が可能となりました。

パスポートの提示一つで南北両国を簡単に行き来する事が出来、治安も良いので、現在は多くの観光客が南北を行き来しています。ただ北と南を行き来するにはパスポートコントロールを通ります。

特にギリシャを旅行したい観光客は注意が必要で、北キプロス入国のスタンプがパスポートにあるとギリシャに入国出来ない可能性があります。だまっているとパスポートに入国スタンプを押されてしまうので、別紙に押してもらいましょう。

北キプロスは世界中でトルコだけが存在を認めている国なので、簡単に行けるとは言え北キプロスへの入出国には色々と注意が必要です。一番良い方法は、南キプロスを拠点に日帰りで北キプロスを訪れる事だと思います。

キプロス島の治安

残念ながらキプロス島は現在も続く紛争地区です。ただ紛争と聞くと危険な感じしかしないのですが、キプロス島は紛争地区でありながら、驚くほど治安が良い不思議な国。北キプロスと南キプロスは決して仲良くはないけれど、お互い我関せずのスタンスでキプロス島に共存している感じです。

特にキプロス南部は殆どヨーロッパな感じで、実際に2004年にはEUにも加盟しました。紛争の雰囲気なんて皆無の大変のんびりした国ですが、紛争地区な事は事実です。紛争地区である限り注意は必要なので、政情は必ずチェックして下さい。

実際に旅をしての感想は、全くもって平和。特に南キプロスを旅する分には何も問題ないかと思います。美しくて、美味しくて、天気が良くて、物価が安い。キプロス島の人々も親切で、プラス要素しかない国です。

北キプロスに関しても、治安の問題は全く無い感じ。ただキプロスは北と南では印象が大きく異なります。北は少し遅れている感じで、何かと不便が多いです。何よりもパスポートを盗まれた場合は、北キプロスでは大きな問題になります。

北キプロスではパスポートの発行が出来ないからです。北キプロスも不思議な魅力を持った魅力的な国ですが、大事をとって南キプロスだけに留まるのが得策な気もします。チャレンジャーな方は、南キプロスに滞在しながら、日帰りで北キプロスを訪れましょう。

キプロス島は世界最古のワイン処

キプロス島は世界最古のワイン、コマンダリアの産地として世界的な名声を持ちます。蜂蜜のような甘さが特徴のデザートワインで、世界3大ワインの一つ。古くからとても評価の高いワインで、今も昔も世界中にコマンダリアワインのファンがいます。コマンダリアに関しては、別記事で詳しく解説しました。

キプロス島はヴィーナス誕生の地

コマンダリア・ワインの甘美な味は、昔から愛と美の象徴であるヴィーナスのキスよりも甘いと形容されてきました。キプロスを語るのにヴィーナスが度々登場するのには理由があります。

皆さんボッティチェリの有名な絵、ヴィーナス誕生を思い出して下さい。海から貝殻に乗って裸で現れたヴィーナスの絵です。ヴィーナスはキプロス島の近くの海の水の泡から生まれたとされています。

キプロス共和国のグルメ

キプロス島は食事の美味しさも大きな魅力の一つです。世界三大料理のトルコ料理、ユネスコの無形世界遺産のギリシャ料理、世界に名だたる2つの偉大な料理の影響を色濃く受けた食べ物です。

メゼと呼ばれる10種類以上の小皿で形成されるコースメニューが特徴で、肉、魚介類、野菜、果物、チーズ、オリーブ、豊かな風土で培われる食材をふんだんに使った料理を、少しづつ、世界最古のワインを飲みながら楽しみます。

小皿料理ではあるのですが、一皿ごとの量が多く、出てくる皿の枚数も多いので欲張って食べると最後までお腹が持ちません。何もかもが美味しいので、食べ過ぎないよう、ペース配分を忘れずに食べましょう。

キプロス島をおすすめする理由

キプロス島には何だって揃っています。ヴィーナスにまつわる逸話、世界遺産、素晴らしい遺跡の数々、美しい村々、透明度の高いビーチ、美味しい食事、そして何よりも気候が素晴らしいです。

温暖な地中海性気候の影響で、一年に340日間もの陽光に恵まれた国。年間の日照時間は、なんとアフリカ大陸の平均より長いんです。その為太陽が大好きな北ヨーロッパの人達から注目を浴び、人気急上昇中のバカンス地となっています。

美しさや美味しさ、気候の良さに加えて物価が安いのも大きな魅力の一つ。目安としては、ギリシアとトルコの中間位でしょうか。そして島の人々がまた素晴らしいい。観光地ズレしていなく、気さくで素朴、とても人懐っこい。

キプロスは観光客が求める全てが揃っている場所。今後どんどんメジャーになっていくかと思います。だからこそ今、まだヨーロッパの穴場的存在であるうちに訪れて欲しいです。おすすめのキプロス料理に関してはこちらの記事でまとめました。

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