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モロッコ料理に使うタジン鍋の仕組み、モロッコのタジン料理に関する全て

      2021/02/15

モロッコを代表する料理とは何でしょうか。世界的な知名度ではクスクスかなと思いますが、実際にはタジンだと思います。三角形の帽子のような蓋が特徴的なタジン鍋は、究極のスローフード製造機と呼ばれています。健康ブーム真っ盛りのヨーロッパで、最近人気急上昇中の調理器具。今回はそんなタジン鍋とタジン料理を徹底解説します。

モロッコ料理を代表するタジン料理

タジン料理とは、独特の形をしたタジン鍋の中に、肉や魚を野菜と層になるように並べ、蒸し煮にした料理です。タジン鍋を使って作れば全てタジン料理、そんな幅の広い料理なので、モロッコ人ならタジン料理を毎日食べていると言えます。

素材の組み合わせは自由自在。季節や家庭の懐具合によっても異なります。タジン料理には、タジン鍋を使う家庭の分だけレシピがあるのです。基本的にはコトコト長時間火にかける料理なので、高い肉は使用しません。高価なラム肉を使うなら首、肩、脛などの安い部位を使います。

モロッコのタジン料理の味の決め手

タジンは素材の水分だけで調理するので、焦げないように水分の多い野菜を必ず入れます。味付けはもう本当に人それぞれ。唯一の共通点は、何処の家庭でもふんだんにスパイスを使うこと。シナモン、サフラン、しょうが、ウコン、クミン、パプリカ、数えきれない程色々なスパイスを使います。

リンゴ、洋ナシ、アプリコット、レーズン、プルーンなどの果物や、ナッツ類も加えます。そして忘れてはならないのが塩レモン。レモンを長時間塩に漬けて作る、モロッコ版の梅干しのような存在です。

モロッコのタジン料理の味は、複雑で奥深いです。スパイシーさと同時に感じるフルーツのほのかな甘み、更に加わるナッツ類の香ばしさ。覚悟して下さい。タジンは本当に本気で美味しいです。

タジン鍋とはどんな調理器具なのか

三角帽子のような形をしたフタを持つ土鍋。これをタジンと呼び、このタジンで作られる料理全てがタジン料理です。同じ素材と味付けで料理したとしても、タジン鍋以外で料理したのならタジンと呼んではいけません。それぐらいタジン鍋は料理の味に影響を与えます。

蓋の形が特徴的なモロッコの土鍋、タジン。その独特の形には訳があります。とんがり帽子の上部の細い空間では対流が起こりにくく温度が低くなります。調理する際に食材から出る水蒸気や香りの成分が、この上部の狭い部分にたまり、冷やされ結露し、再び水滴となって食材のもとへ戻るのです。

タジン鍋のシステムで作る料理は、素材そのもの味がギュギュッと凝縮されて本当に美味しくなります。美味しいだけでなく、料理する時に水を使わないので水溶性のビタミンやミネラルを、調理の際に流出させる事がありません。

養が損なわれず、味が水っぽくならない。そして蒸し煮をする調理器具なので油を使う必要がありません。健康的なダイエットフードを作る事が出来るので、ヨーロッパで大人気の調理器具となったのです。

タジン鍋と圧力鍋の違い

普通の鍋で料理すると、美味しい匂いがどんどん外に流れ出ていってしまいます。匂いの成分には限りがあるので、加熱すれば加熱するほど匂いがなくなってしまいます。

時間の無い今の時代、皆さん圧力鍋を良く使います。短時間で食材をとても柔らかく調理する事が出来るので重宝されていますが、圧力鍋だと確実に風味が損なわれます。柔らかくはなるけれど匂いがなくなってしまうからです。だから圧力鍋を使って作る料理は何を食べても同じような感じになってしまう。

タジン鍋のシステムで調理すると料理の香が飛ぶのを防ぎ、風味を逃がしません。料理の美味しさを決めるのは香りの部分に担う事が大きいんです。どんなに美味しい食べ物でも香りがないと美味しさを感じる事が出来ません。

モロッコのタジン鍋の更なる凄さ

タジン鍋の凄さはそれだけではありません。タジン鍋は計算されつくした本当にクレバーな調理器具。フタの部分に高さがあるので、かさばる野菜を盛り上げて収める事が出来ます。調理されて野菜のカサが小さくなったら新しい野菜を付け足す事も可能です。

タジン鍋が全世界でブームとなったのは、そんな機能的な理由だけではありません。その不思議な容姿が何とも可愛らしくて、そのままテーブルに出す事が出来ます。蓋が食べ物を冷めにくくもしてくれるので正に一石二鳥です。

モロッコのお土産としてのタジン鍋

モロッコでは色々なサイズのタジン鍋が売られています。綺麗な模様の入ったタジン鍋も多いです。どれもが可愛いくて全部買いたくなってしまうのですが、本当の料理器具として使うなら素焼きのしっかりしたタジン鍋を買うのが一番良いかと思います。

タジン鍋は強火にかけると割れてしまう事があります。だから毎回使用する前に20分から30分水に浸してから、常に弱火で使うのがタジン鍋を長持ちさせる秘訣なのだそう。

モロッコでは何時でも何処でもタジン鍋が安価で手に入るし、水がタジン鍋よりも貴重なの水に浸す事はしませんが、強火での使用は絶対に避けています。調理の後はフタの上部まで熱くなっているので、ミトンなどを使ってフタを空けないと火傷してしまうので注意しましょう。 

モロッコのレストランで食べるタジン

タジンはモロッコのどの地域でも、どのレストランにも必ずある料理。基本的に家庭料理なので、どんな食材を使ったとしても、それ程高くはならない料理です。だから町のレストランを物色して、一番安い所で食べてもいいし、雰囲気の良い可愛らしいレストランを選んでも良いです。ただきちんとタジン鍋を使って調理されているのかどうかはチェックしましょう。

お勧めはレストランのセットメニュー。大抵のレストランにはお得なランチメニューが存在し、安ければ500円位で食べる事が出来るかと思います。そしてイスラム圏なので、レストランの価格だって交渉してみるべきです。メニューの価格自体は安くはならないけれど、ミントティやオレンジジュースなんかをサービスしてくれたりします。

美味しいモロッコ料理のすすめ

タジン鍋は時間がかかるデメリットもあります。でも本当に美味しいモノは、時間をかけて作られるものなのです。それにタジン鍋はモロッコの風土にかかせない調理器具。モロッコを含め砂漠地帯では水がとても貴重なので、素材の水分だけで調理出来るタジン鍋は大変理にかなった砂漠地帯の調理器具なのです。

モロッコにはタジン料理の他にも美味しいものが沢山あります。こちらの記事に美味しいモロッコの料理をまとめておきました。

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