ウクライナの物価と治安、ウクライナの交通と宿泊、ウクライナのおすすめ
2021/04/09
ウクライナの物価
一般的に物価が安いとされているのは東南アジア。でもウクライナは今、ヨーロッパにありながら東南アジア並みの物価です。今、というのを強調しなければならないのは、ウクライナは常に安い国ではないからです。
東ヨーロッパに位置するので、西ヨーロッパと比べれば安い国ではありました。でも今はもう、換算する度にびっくりする程安いです。それはウクライナの通貨フリブニャの価値が大暴落しているからなんです。
2014年まで1フリブニャは12円位でした。今では4円程になっています。一概には言えませんが、2014年までにウクライナを旅行していた人より、3分の1の価格でウクライナを旅行する事が出来るのです。
ウクライナの複雑な政情
どうしてウクライナの通貨は、大暴落したのでしょうか。2014年に内乱のようなものが起き、現在は平和を維持してはいますが、ロシアとの国境沿いでは相変わらずの紛争が続いています。
クリミア半島はロシアに編入され、東側の工業地帯の街は、新しい国として独立を宣言し、ウクライナが今後どうなっていくのか、全く予想がつかない状態です。政情がとても不安定なので通貨が大暴落しました。紛争の理由など、詳しい事はこちらにまとめました。
ウクライナの治安
政情不安の状況でありながら、紛争地帯にさえ近づかなければ至って平和な国である事が不思議です。だからこそ旅人が物価安を謳歌しています。でもこれは本当に勝手な旅行者の目線。現地の人にしてみたら、大変辛い状況です。突然自分達の通貨が、3分の1の価値になってしまったのです。
ウクライナは幸いな事に、食べ物を自給自足できる農業国。食糧に困るような事は、今後もないかとは思いますが、輸入品の価格はどんどん上がっています。このまま通貨の価値が下がったままだと、今後色々な問題が出てくる事でしょう。
それでも治安の不安は滞在中に全く感じる事はありませんでした。でもこれはあくまでも西ウクライナに限った事。外務省から渡航禁止の指示が出ているウクライナの東側には、決して近づくべきではありません。政情は不安定なままなので、常に新しい情報を入手して、少しでも不安要素があれば旅行はキャンセルした方がいいと思います。
ウクライナの人々の暮らし
ただの通行人である旅人の私達が、安い安いと喜々するのはウクライナの人達の事を考えたら不謹慎かなと思います。でもウクライナって本当に不思議なんです。こんな状況にありながら、国も人々も全然普通なんです。危険な感じも悲壮な感じも全くなし。
もともとウクライナ人達は、大らかな性格で有名です。どんな状況でもどーんと受け止める懐の深さがあります。それにEUへの渡航にビザがいらなくなったり、EUの窓口がキエフに設置されたり、明るい未来を予想させる進展も沢山ありました。
徴兵制度も復活して、未だ問題は山積みですが、それでもウクライナの人達は普通に、何事もなかったかのように、そして今後も何も悪い事は起こらないって感じの長閑さすら醸し出しながら、全く普通の生活を営んでいます。
ウクライナでの宿泊先の選び方
バックパッカー御用達の安宿は、100UAH前後で見つかります。2021年のレートで500円以下なので、本当に安いと思います。ただ物価が安い今だからこそ、少しグレードをアップした宿泊施設に泊まるのも手です。
最安値の宿だと、観光客よりも住んでいる人達の方が多いです。労働者、移民の人達、住んでいた場所が戦地となってしまった人達。色々な事情の人が多く住んでいるので、独特の雰囲気があります。
皆さん悪い人達ではないけれど、旅行者ではないので生活パターンが違います。言葉も通じないので、色々と戸惑う習慣や出来事もあるかと思います。色々な意味で最安値の宿は避けた方が無難かなと思います。
特に首都キエフなら、最低でも160UAH以上の宿が安心です。通貨が暴落している今だからこそ、日ごろはドミトリーで節約派のあなたも、シングルルームを選択してみてはどうでしょうか。300UAHぐらいからツインルームを利用出来ます。
他の国ならドミトリーの値段で一人部屋に泊まれるので、長旅の疲れを癒すのにもってこい。物価が安いからこそ、思い切って星付きのリッチなホテルに泊まるのもありです。今だからこそ出来る贅沢を楽しんで下さい。
地方によって物価が異なるウクライナ
ウクライナの中では、リヴィウ (Liviv) が一番物価が安いです。首都キエフの方が、競争が激しく最安値のものが多いのですが、クオリティを考えたらリヴィウの方が断然安いです。
宿泊施設に限定すれば、余り観光客が行かない小さな地方都市に行くとドミがなく、シングルルームも高いです。ただ観光客が居ない分、宿泊施設以外のものが現地人価格なので、プラマイ0になるかもしれません。
クリミア半島がロシアに編入されてしまったので、ウクライナの人達にとってビーチはオデッサ周辺にしかありません。そのためオデッサ周辺の宿は、かなり値上がりしています。特に海水浴客の増える夏になると、宿だけでなくオデッサまでの電車も空席がなくなる程なので注意が必要です。
世界中のノマドワーカーが集まる国
ウクライナには素敵なカフェが沢山あります。お洒落なだけでなく、ケーキなども美味しく、サクサクなWIFIもビュンビュン飛んでます。物価が安く住み心地の良いウクライナは、パソコン一つで仕事するノマドワーカー達の天国となっています。
ウクライナの人達はゆったりとしたリズムで生活しています。カフェではコーヒー1杯でずっとお喋りしている人達や、学校の課題をしている人達が多いので、大抵の席にコンセントがついています。居心地が良く、長時間の作業にも適しているカフェが多いので、世界中のノマドワーカー達が終結しています。
ウクライナのカフェ
ウクライナのカフェは、質、居心地共に最上級。ただ1杯のコーヒーが30フリブニャ位なので、値段的に西ヨーロッパとさほど変わりません。ウクライナの人達にとっては、かなり高級品だと思います。だからこそ、長時間居ても嫌な顔されないし、クオリティが高いのだと思います。
道端にはコーヒーの屋台も沢山並んでいます。きちんとエスプレッソマシンを使った本格派で、カフェより値段が安いので、ただコーヒーを飲みたいだけなら屋台のコーヒーでもいいかも。
とは言っても、そんなに値段が変わる訳ではないので、オシャレなカフェで飲んだ方がいいと思います。美味しいケーキも40UAH位からあります。甘過ぎない大変レベルの高いケーキが多いので是非お試しあれ。
ウクライナのレストラン
平日のランチタイムは特におすすめです。スープとメイン、飲み物、デザートまでついて500円もしない価格で食べる事が出来ます。せっかくなので5つ星ホテルのランチを狙って下さい。大抵どこのホテルでもランチメニューを提供していて、換算すればびっくりする程安いです。
ランチメニューがないレストランでも、昼時の12時から16時の間は全メニュー20%引きの場所が多いです。夜食べるより断然お得に食べられるので大変お得です。
夜ご飯は、地元の人も観光客も大好きなウクライナ版ファミレス、プザタハタ(Пузата Хата)がお勧めです。80UAHもだせばお腹一杯食べられます。ビュッフェ形式なので、目で見て選べるのが嬉しい。ファミレスの味はしますが、レベルは高いと思います。ウクライナで何を食べるべきかはこちらの記事が詳しいです。
ウクライナのアルコール
ウクライナはアルコールが安いです。500mlのドラフトビールが、30UAH位。それに300mlと500mlの値段が殆ど同じなんです。だから300mlを飲んでる人、ウクライナでは見た事がないです。
そしてウクライナの人、本当にお酒が強いです。ウォッカで育つ彼らにとって、ビールなんて水と同じ存在なんだと思います。ちなみにレストランで水を注文すると、ビールより高い値段を取られる事が多いので、結局水替わりに飲むのがビールです。
ウクライナの公共の交通機関
ウクライナのタクシー
言葉が通じないのでハードルが高いタクシー。でも使いこなす事が出来れば、かなり便利で安いです。通常の流しタクシーは価格設定が高く、ぼられる事も多いので、宿の人に頼んでUBERを呼んで貰うのがお勧め。
共産圏はどこもそうなのですかエレベーターが余りありません。大きな荷物を持っての移動は本当に不便。宿から空港、駅などに行く場合は、タクシーも選択肢に入れて下さい。
でも流しのタクシーではなく宿の人にUBERでタクシーを呼んで貰うのが絶対条件。地元の人達も流しのタクシーではなくUBERを使います。キエフなら街の中心から空港まで200UAH位から行けるようです。
ちなみに空港まで行くバスは高いです。メインステーションから出ていて80UAH位。メインステーションまで行かなきゃならないのも大変だし、1時間の距離を考えたらタクシーの方が断然安いと思います。
ウクライナの地下鉄とバス
キエフには地下鉄もあります。金額は一律で4フリブニャ。首都でここまで安い公共の交通手段は初めてです。切符ではなくプラスチック製の丸いコインを使うのも面白くて可愛い。
バスも同じ値段です。基本的に前の入り口から乗る時に運転手さんに支払います。混んでる時は後ろのドアから入り、お金を前の人に託すとバケツリレーのような形で運転手さんまで運んでくれます。お釣りも同じようにしてバケツリレー式で前の方から戻ってきます。信頼関係のなせる業。
もし無賃乗車したら40UAHの罰金です。他の国と比べたら大したことない罰金ですが、ウクライナの人達を見習ってきちんと払いたいものです。チケットに刻印するのを忘れないように。
ウクライナの長距離移動
長距離移動には電車が断然おすすめです。時間はかかりますがとにかく安い。そして旅をしている情緒があります。特に最高で超お勧めなのが寝台列車。もう素晴らしいの一言。安いだけでなく快適です。
上の段より下の段が便利で快適。貴重品を収納し、蓋をするところに寝るので自分が寝てる限り誰も自分の荷物盗めない安全感も素晴らしい。ちなみにバックパッカーなら入るかもだけどコロコロだと入らないかも。貴重品だけ入れましょう。
枕、布団、シーツもくれるので快適に眠る事が出来ます。キエフからリヴィウまで7時間で1700円ぐらいでした。12時間かかるやつは半額位。こんなに快適なら12時間のにすればよかったと思いました。
寝心地も最高。ウクライナは英語が全く通じないので駅の窓口で買うよりネットで買った方がいいです。 自分の好きな席が選べるし、駅の窓口はメチャクチャ混んでいるので時間の短縮になります。殆どのチケットが印刷する必要がなく、携帯だけで乗れます。めちゃ便利。
ウクライナの鉄道HP→https://www.uz.gov.ua/en/
ウクライナのエンターテインメント
ウクライナへ行ったらオペラ座を大活用して下さい。ただシーズンがあり、キエフの劇団だと夏の間は日本を中心に海外へ遠征してしまうので見れません。今回私が見たオペラは7つ(カルメン、奥様女中、ジャンニ・スキッキ、リゴレット、ナブッコ、トスカ、アイーダ)、バレエは8つ(くるみ割り人形、白鳥の湖、スペイン系2本、ドン・キホーテ、ウィンナーワルツ、ジゼル、シェヘラザード)です。
価格が安い事も素晴らしいのですが、チケットの取りやすさも魅力です。ヨーロッパだと当日券でオペラを見るのはほぼ不可能。何か月も前からの事前予約が必要です。ウクライナでは演目にもよりますが、当日でもチケットが残っているケースが多いです。
ちなみにバレエを見るのにお勧めの席は2階のバルコニー席の、一番舞台に近いところ。オペラなら一番上の安い席の真ん中の音響が素晴らしいです。席にこだわりたいなら、ネットで買うのが一番です。キエフのオペラ座のサイトはこちらです。→https://www.opera.com.ua/en
カードで支払いをして印刷してもいいし、予約番号をもって劇場のチケット売り場で支払う事も出来ます。リヴィウやオデッサにもオペラ座がありますが、劇団としての質はやはりキエフが一番です。特にバレエは世界トップクラスの実力。日本では考えられない激安価格を楽しみましょう。