「イギリスは不味い」残念ながらこれは世界的な認識です。では実際に、イギリス料理は本当に不味いのでしょうか?ヨーロッパ在住20年のフードライターが、「イギリスは不味い」のイメージが定着してしまった理由を解説します。
英国料理の味付け:『後付けの味』に隠された文化的背景とは?

イギリス料理の不味さの秘訣は味付けにあります。基本的に英国料理は味が無いです。ただ茹でただけの料理が多いので「オウムの餌」とも呼ばれています。味がないのは素材の味を大切にしているから。なんて事は絶対になく、味が無いから市販されているソースをたっぷりかけて食べます。
ケチャップやマヨネーズは勿論、バーベキュー、カレー、異国風、色々なタイプのソースをふんだんにかけて食べるイギリス人。イギリスでパブやレストランに行くと、机の上に色々な種類のソースが置いてあります。料理に味がないことが前提なので、各自好きなソースで好みの味付けをして食べるのです。
このソースがフランスなどのように手の込んだもの、又は手作り系だったら良かったんです。しかし、何故だかイギリス人は市販のソース、化学調味料たっぷり系のチープな味が大好きです。イギリス料理における醤油的な位置付けのグレイビーソースも、化学調味料の風味が強い。
グレイビーソースを筆頭に、イギリス人は何にでも市販の化学調味料系のソースをたっぷりふりかけて食べるので「イギリス料理はロマノフ朝時代の毒殺技術の結晶」なんて呼ぶ人もいます。
実はイギリスにはソースなんて概念はなかったらしいです。英国料理への痛烈な批判として、ヴォルテールが「イギリスには42の宗教があるが、ソースは1つ(溶かしバター)しかない」という世界的に有名なフレーズがあります。そんな過去がトラウマとなり、現在はこれでもかというほどソースを使用するようになったのかもしれませんね。
【フードキュレーターの補足】
イギリス人の「ソース愛」は凄まじく、特に「HPソース(ブラウンソース)」は国民的調味料です。興味深いことに、2026年現在、イギリスを代表する伝統調味料ブランド(HPソースのライバルであるブランストン・ピクルスやサーソンズ・ビネガーなど)の多くは、日本のミツカングループが所有・製造しており、イギリスの「伝統の味」を日本企業が支えているという逆転現象が起きています。
産業革命の代償?イギリス料理が『不味い』と言われ始めた真の理由

化学調味料系の味付けに加え、食材の乏しさもイギリス料理の不味さの理由にあげられるかと思います。イギリスは気候が寒冷で地味が痩せています。地中海沿岸の温暖な地域と比べると、採れる野菜や果物の種類が圧倒的に少ないです。
今では普通に食べる事の出来る緑黄色野菜も、かつてのイギリスでは入手が大変困難でした。経済学者のポール・クルーグマンは、イギリスの産業化が生鮮食品を遠くに輸送する技術が生まれる前に内陸の都市部で進んでしまった事を、イギリス料理の不味さの大きな原因としています。
イギリスは食材の乏しい内陸部から国が発展したため、冷蔵の必要が無く、長期保存がきく食材に依存せざるをえませんでした。そんなヴィクトリア朝時代の生鮮食品抜きの不味い食事が、食文化としてイギリスに定着してしまった。それがイギリス料理が不味い理由だと言うのです。
【学術的な補足】
ポール・クルーグマンの説は「供給側の論理」ですが、2026年現在の最新研究では、第二次世界大戦中から1954年まで続いた「食糧配給制度(Rationing)」が、イギリス人の味覚の多様性を完全に破壊したという説も有力です。14年間にわたりスパイスや油が制限された結果、シンプルな調理法しか残らなかったのです。しかし、現代のイギリスは「再生型農業(Regenerative Agriculture)」の先進国となり、コッツウォルズなどで生産される有機野菜や職人によるチーズは世界最高峰の品質を誇っています。
『茹ですぎ』からの脱却:ビクトリア朝の衛生観念と現代イギリスの革新

新鮮な食材を入手する事が困難だったイギリスでは、更なる弊害がおこります。食材を加熱殺菌する衛生上の知識が広まったことで、必要以上に食材を加熱するイギリス的調理法が確立し、イギリス全土に普及していったのです。
伝統を重んずるイギリス国民。冷蔵技術が発展した現代においても、肉は肉汁が出ないぐらい徹底的に焼く人が多いです。野菜なども本来の味や食感が全く分からない位徹底的に加熱調理してしまいます。
そのためイギリス料理は、どれも似たような食感を持ちます。寒い国でもあるので煮込み系の料理が多く、何を食べてもドロッとした、具の一つ一つを個別に判断するのが難しい系の料理となっています。
【調理科学の視点】
かつてのイギリスで野菜がクタクタになるまで茹でられたのは、19世紀のバイブル『ミセス・ビートンの家政読本』が「生野菜は消化に悪く病気の元」と説いたためです。しかし2026年、現代のイギリス料理はメイラード反応を最大限に活かす方向に進化しました。低温調理器(Sous-vide)の普及率は欧州でもトップクラスであり、特にロンドンのレストランでは、野菜の食感を生かした「アルデンテ」な調理がスタンダードとなっています。
自虐の美学:イギリス人が自国料理を『不味い』とジョークにする文化的理由

イギリスは不味い。このイメージが世界に定着した理由の一つにイギリス人の性格もあげられます。イギリスと聞いてまず思い浮かべるのが音楽。ビートルズ、クイーン、レッド・ツェッペリン、オアシス、数えきれないほど有名バンドが存在します。
そしてスポーツ。イギリス生まれのスポーツって結構多いんです。サッカー、ラグビー、ゴルフ、競馬、ポロ、カーリング、水球、そしてテニス。だからこそ、ウィンブルドンが世界最古の大会となっています。
その他にも政治家、アーティスト、学者、イギリスには世界的な影響力を持つ人が沢山居ます。そして多くの、いや殆どのイギリス人は皮肉屋。国際的に目立つ立場の人達が、そして更には民間レベルでも自国の料理の不味さを自虐的なジョークとして口にします。
それが世界中のメディアを駆け巡り、定着してしまった。こうしてイギリス料理を食べた事がない人達にも「イギリスは不味い」の認識を植え付けてしまっているのです。
大英帝国の発展はイギリス料理のおかげ、食べ物が不味すぎて他国に美味しさを求めたからだ、とも言われていますが、そのような事を言うのは大抵イギリス人です。そんな風に自ら進んでイギリス料理をけなしつつ、そんなイギリス料理を愛しているのです。
欧州ガストロノミー対決:フランス・イタリアを凌駕する2026年の英国産ワイン

味がなく、食材が乏しく、食感はどれも同じ。美味しい不味い以前に、イギリス料理はかなり単調です。それに加えてジャンキーな化学調味料系の味が大好きなイギリス人の味覚。
イギリス料理は皆が言うほど不味くはない、とは思うのですが、イギリス周辺の国々は、グルメな国として有名です(ただし、オランドは除く)。比較対象が優秀過ぎるのも、イギリス料理の立場を悪くしています。
他国のグルメと比べると、イギリス料理はやっぱり少し見劣りしてしまうのです。以前住んでいた国でもあるので、何とかイギリス料理のイメージ回復に貢献したいのですが、特にフランス、イタリア、スペインなどのラテン系の国々と比べれば、不味いとされても仕方がない気もします。
【2026年の新常識】
現在、イギリスの「不味い」というイメージを完全に覆しているのがイングリッシュ・スパークリングワインです。気候変動の影響で、イングランド南部の土壌がシャンパーニュ地方とほぼ同じ条件になり、2025年の世界大会ではフランス勢を抜いてトップに輝きました。もはや「イギリス=不味い」と笑っているのは情報が古い証拠、と美食家の間では言われています。
2026年に訪れるべき!イギリス料理の概念を覆す至高の絶品グルメガイド

イギリスは国際的に有名なものが多いです。シェイクスピア、コナン・ドイル、アガサ・クリスティ、ロイヤル・ファミリー、オックスフォード大学、バーバリー、ガーデニング、ヴィヴィアン・ウエストウッド。
色々な分野にわたって数えきれないほど世界的に有名なものがあります。それではイギリスを代表する料理とは何なのでしょうか。フィッシュ&チップス、ローストビーフ、スコーン。
多くの人が「イギリスは不味い」との認識を持ちますが、これらのイギリス料理、全く悪くないです。それ以外にも、結構美味しいイギリス料理が存在します。別記事に有名なイギリス料理を詳しくまとめたので、是非読んでみて下さい。

【旅のアドバイス】
2026年にイギリスを訪れるなら、高級レストランよりも「ガストロパブ(Gastropub)」を狙ってください。伝統的なパブの雰囲気の中で、ミシュラン星獲得シェフが地元の新鮮な食材を振る舞うスタイルが全盛期を迎えています。特にロンドンの「セント・ジョン(St. John)」や、地方の「ハンド・アンド・フラワーズ(The Hand & Flowers)」は、イギリス料理の真髄を体験できる場所として予約困難な人気を誇っています。


コメント
確かに~。私もシェファーズパイやらチップスやら好きだから&ギネス♡別にイギリス料理は不味くないよと思っていたけど、フランスに行ったら…・(/ω\)っとなった思い出が。&味無しのマヨネーズのサンドイッチ思い出しちゃった。現地の人には、自分で好きな味加減にできるじゃん(料理)と言われてなんか納得したょ。
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