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南ドイツの観光地10選、南ドイツで何を見て、何を食べるべきか

      2022/02/04

南ドイツでお勧めの観光地

南ドイツは本来農業が盛んな土地でした。1970年代からドイツ御三家と呼ばれるBMW、アウディ、メルセデスベンツの自動車産業が発達し、他にも色々な分野の大企業の本社が置かれた為、ドイツ経済の中心地となりました。

経済だけでなく、南ドイツにはノイシュヴァンシュタイン城やロマンティック街道など、ドイツを代表する観光地が揃っています。ドイツ観光の中心地でもあるので、多くの観光客が訪れます。

ルードヴィヒ2世の3つの城

ルートヴィヒ2世は、莫大なお金を費やして南ドイツに3つの城を作りました。世界で一番有名な城となったノイシュヴァンシュタイン城、ヴェルサイユ宮殿をそっくりそのまま模したヘレンキームゼー城、唯一完成させる事の出来たリンダ―ホーフ城です。

政治を全く顧みず城造りに没頭し、国の財政を悪化させたことで、ルートヴィヒ2世は王位を剥奪されます。皮肉な事に現在では、彼の作った3つの城が一大観光地となり、南ドイツに大きな観光収入もたらしています。

ルートヴィヒ2世の夢と理想を閉じ込めた、我儘で個性豊かなお城達は19世紀の作品群。古建築ではないので世界遺産にはなれないと考えられていましたが、登録基準の見直しがあり、3つの城は現在ウェイティングリストの中。世界遺産となる日も近いかも知れません。

ルートヴィヒ2世の生涯

「ヨーロッパで一番美しい王」と呼ばれる美貌のルートヴィヒ2世は、「狂王」の名で知られています。破滅的な浪費を繰り返し、40歳の若さで不審な死を遂げました。生涯妻を持たず、美少年のみを愛したので「童貞王」とも呼ばれています。数奇な人生を生きたルートヴィヒ2世を知る事で、3つの城の見学が更に面白くなるはずです。

1845年に生まれたルートヴィヒ2世は、ゲルマン神話や騎士伝説の物語を読み耽る幼少時代を過ごしました。19歳で王位に就いた時、まず最初にした事は音楽家ワーグナーのパトロンとなる事。

幼少の頃に酔いしれた物語の世界がワーグナーのオペラの世界感とぴったり重なった為です。膨大な額の援助をしていましたが、同時に良き王であったともされています。

中世への憧れを具象化するロマンティックな城を造ろうと決意し、24歳の時に始めたノイシュヴァンシュタイン城の建築を皮切りに、リンダ―ホーフ城、ヘレンキームゼー城の建設に財力と精神の全てを注ぎ込むようになります。

ルードヴィヒ2世が生きた時代は、どの国の王政も存在の危機に迫られていました。そんな時代に、ルードヴィヒ2世は太陽王ルイ14世に自分を重ね、絶対的な権力を持とうとしていました。

それでいて政治からは目を背け、膨大な借金を積み重ね城作りに没頭しました。これに危機感を募らせたバイエルン政府は、ルートヴィヒ2世を形ばかりの精神病鑑定にかけ、統治不能者としてミュンヘン郊外のシュタルンベルク湖のそばの離宮に幽閉します。

翌日、ルートヴィヒ2世は溺死体となって発見されました。付き添っていた医者も溺死体で発見され、首を絞めた跡がありました。ルードヴィヒ2世の死因は未だ解明されていません。

ノイシュヴァンシュタイン城

ノイシュヴァンシュタイン城 (Schloss Neuschwanstein) は、ディズニーランドの眠れる森の美女の城のモデルになった事で世界的な知名度を得ました。世界中から年間130万人以上の人達が訪れる、ドイツで一番人気の観光地です。

ルートヴィヒ2世が憧れた「中世のドイツ騎士の城」をコンセプトに建てられたので、19世紀には存在しない弓矢や騎馬兵などを想定した時代遅れの城。見た目を重視したので、建築家ではなく宮廷劇場の舞台美術を担当していた画家に城全体のデザインを任せました。

見かけは中世の城ですが、セントラルヒーティングによる暖房、自動回転串グリルがあるキッチン、電話、自動水洗トイレなど、当時のハイテクを完備した鉄骨とコンクリートを使用して造られた城です。

生前ルードヴィヒは「私が死んだらノイシュヴァンシュタイン城を破壊せよ」と遺言していました。実際にはルートヴィヒ2世の死が確認されると直ぐに工事が中止され、未完成部分を残したまま一般公開されるようになりました。

夏の混雑が酷いので、雪の季節をお勧めします。この世のものとは思えない美しさを堪能出来ます。一番の撮影ポイントはマリエン橋からのノイシュヴァンシュタイン城。少し歩きますが城を一望出来る素晴らしいビューポイントです。

ホーエンシュバンガウ城

ノイシュヴァンシュタイン城の隣に、廃墟になっていた12世紀の古城を改装した19世紀に完成したホーエンシュヴァンガル城 (Schloß Hohenschwangau) があります。ルードヴィヒ2世が造った城ではありませんが、幼年時代を過ごした城です。

ノイシュヴァンシュタイン城だけを見て、この城はスキップされる事が多いのですが、当時の王族の暮らしぶりが良く分かる城です。ルートヴィヒ2世の現実離れした城との対比も面白いかと思います。

ルードヴィヒ2世の原点ともなる場所なので、時間があれば是非見学して下さい。ルードヴィヒ2世は、この城からノイシュヴァンシュタイン城の建設工程を見守ったそうです。

ヘレンキームゼ―城

ミュンヘンの南東70km程の所にあるヘレンキーム城 (Schloss Herrenchiemsee) は、ルートヴィヒ2世がキーム湖に浮かぶ島を買い取って作った城です。島にある城なので、フェリーが唯一の交通手段です。

崇拝するルイ14世のヴェルサイユ宮殿を、完全に正確にコピーして完成させる予定だったのですが、ルートヴィヒ2世の死で中断され、一部は取り壊されました。

ヴェルサイユ宮殿の完全な模倣が理想だったのですが、200年の時の隔たりがあります。随所に技術の進歩や生活の変化を反映された箇所があり、それを見つけ出すのも楽しいです。

例えば17世紀はおまるが使われていたので、ヴェルサイユ宮殿にはトイレがありません。ヘレンキームゼ―城には多数のトイレ、更には温水プールまであります。

ヘレンキームゼ―城の見所

ヴェルサイユ宮殿より大きな鏡の回廊
ヴェルサイユ宮殿をほぼ完璧にコピーしてありますが、本家より8m長いです。天井には、敬愛するルイ14世の25枚の天井画があります。

世界一巨大なマイセン陶磁器のシャンデリア
ヨーロッパで最初に白磁を作り出す事に成功したマイセン。名実ともに西洋白磁の頂点に君臨する名窯です。ヘレンキームゼー城では、素晴らしいマイセン作品の数々を見る事が出来ますが、中でも一番の注目は食堂にある世界で一番大きな陶磁器のシャンデリア。

美しいロマン主義の庭園
庭園もヴェルサイユ宮殿を模して造られているので、幾つかの噴水は本家にそっくりです。流石にヴェルサイユ宮殿ほどの規模はありませんが、ルードヴィヒ2世が愛したロマン主義の典型的な形式で、美しい噴水と像が沢山あります。

冬に訪れると凍結対策で噴水の水などが抜かれてしまうので、美しい庭園が目当てなら春から秋の間に訪れて下さい。

リンダ―ホーフ城

リンダ―ホーフ宮殿 (Schloss Linderhof) は、ヴェルサイユ宮殿の離宮、大トリアノン宮殿を手本にして作られました。ヴェルサイユ宮殿を完全に模倣したヘレンキームゼー城とは異なり、ルネサンス様式にバロック様式を加わった、ルートヴィヒ2世のオリジナル要素が強い宮殿です。

ルートヴィヒ2世が建設した3つの城の中で、唯一存命中に完成したものなので、多くの時間をここで過ごしました。

リンダ―ホーフ城の見所

食堂の真下に台所を設置し、セッティングしたダイニングテーブルを階下からせり上げる構造になっています。夢想の世界に浸るルードヴィヒ2世の邪魔にならないように、人の出入りなしで給仕する事が出来ました。

庭園には崇拝するルイ14世をはじめ、マリー・アントワネットやルイ15世夫妻の像や天使像が置かれ、ルートヴィヒ2世はその像が生きているかのように話しかけて時を過ごしたとされます。

ヴィーナスの洞窟 (Venusgrotte) は、ワーグナーのオペラ「タンホイザー」に登場する洞窟を模して造られた、ヨーロッパ最古の人工洞窟です。小さな湖も作って本物の白鳥を放ち、金色の貝の船に乗って幻想の世界を楽しんだのだそう。

照明の色を変える事が出来るので、オペラの場面に合わせたドラマティックなライトアップをして、劇場に居る臨場感も味わえました。暖房設備も整っていたので、湖で泳ぐこともあったといいます。

本来はこの場所にヘレンキームぜー城を建てる予定だったのですが、ヴェルサイユ宮殿を再現するには狭過ぎる事が判明したのでリンダ―ホーフ城を建てました。

城自体は小ぶりなのですが、敷地内にムーア風モスク、狩りの小屋、モロッコハウスなど見所のある小屋を配置しています。全部見るとかなり歩くので、時間に余裕を持ってプランを練って下さい。

世界遺産のヴィース教会

ヴィース教会 (Wieskirche) は、草原の中を意味する、ヨーロッパで一番美しいとされるロココ様式の教会です。世界遺産にもなった事で、小さくて不便な場所にある教会ですが、ドイツ観光の一大人気スポットとなっています。

観光客だけではありません。ヴィース教会には多くの巡礼者が訪れます。ある農夫が貰ったキリスト像が涙を流し、ヴィースの涙の奇跡として広まりました。多くの巡礼者が農家を訪れるようになり、巡礼者は増える一方だったので、1745年に12年をかけて近くの牧草地に教会を建てました。

現在も主祭壇には涙を流した「鞭うたれるキリスト像」が安置されています。外観はとてもシンプルなのですが、一歩足を踏み入れると夢の世界のような煌びやかさ。特に天井画は「天から降ってきた宝石」と呼ばれています。

エッタール修道院

オーバーアマガウの町から8km程の所にあるエッタール修道院 (Kloster Ettal)は、有名なヴィース教会に負けないほど美しく、壮大な天井画を持つ事で有名です。

アクセスが不便なので、スキップされる事が多いのですが、是非訪れて欲しい素敵な修道院。14世紀に建てられ、火災で大部分が焼失したので18世紀にバロック様式で再建されました。

ドイツ3大名城

ドイツには1000近くもの古城が残ります。数多い古城の中で、「ドイツ3大名城」と呼ばれているのがノイシュヴァンシュタイン城、ホーエンツォレルン城、ハイデルベルク城。全ての城が南ドイツにあります。

ちなみにドイツ三大美城と呼ばれるのが、ノイシュヴァンシュタイン城、ホーエンツォレルン城、エルツ城なので、前者の2つは二冠達成です。

ホーエンツォレルン城

ホーエンツォレルン城 (Hohenzollern Castle) は、ドイツ南西部のシュヴァーベン地方の山の頂にある城です。12世紀に建てられた城が2度ほど再建され、現在あるのは19世紀のもの。

条件が揃う事で雲海が発生すると、城がまるで雲の上に佇むように見えるので「天空の城」とも呼ばれています。360度、何処から見ても完璧に美しい城なので、多くの映画やドラマの撮影場所となりました。不便な場所にあるにも関わらず、年々観光客が増えていて、今では年間30万人の人が訪れるのだそう。

ハイデルベルク城

ハイデルベルク城 (Heidelberger Schloss) は、ドイツ南西部の街ハイデルべルグにある古城です。13世紀に建設された後、破壊と修復を繰り返したのでゴシック、ルネサンス、バロックなどの色々な建築様式がミックスされています。

17世紀にフランス軍によって破壊されてしまったので、内部の殆どは廃墟です。でもその崩れかけに趣があり、当時の面影も強く残すので、世界各国から多くの観光客が訪れます。

ゲーテ、カント、ショパンを筆頭に、幾人もの芸術家達がハイデルベルク城に魅了され、インスピレーションを得たとされます。城のテラスからの眺望も素晴らしく、ハイデルベルクの旧市街を一望できます。

ロマンティック街道

ロマンティック街道はドイツのヴュルツブルクからフュッセンまで伸びる約400kmの観光ルートです。このルート上に点在するのが、ローテングルクやディンケルスビュールなどの中世そのままの都市、ノイシュヴァンシュタイン城をはじめとした素晴らしい城、ヴィース教会などの美しい宗教建築です。

ドイツを代表する観光地が一同に揃う観光街道なので、ドイツを旅行する観光客に一番の人気を誇ります。

南ドイツの観光の拠点ミュンヘン

ミュンヘン (München) は、人口150万人弱の、ベルリン、ハンブルクに次ぐ第三の都市です。ドイツの経済、金融、交通、文化の中心都市で、世界で最も移住に適した都市4位を獲得するほど住み心地の良い街です。

おすすめの美味しいドイツ料理

南ドイツを代表する郷土料理は白いソーセージです。南ドイツでは朝からビールと一緒にソーセージを食べる習慣があります。詳細はこちらの記事にまとめました。

ドイツを訪れたら、絶対食べるべき美味しい料理に関するあれこれは、こちらの記事で詳しくまとめました。

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