世界100ヵ国以上を食べ歩いたフードライターが、自信を持っておすすめする美味しいドイツ料理のリスト。ヨーロッパは美食の国が多いので目立ちませんが、ドイツ料理、かなり底力のある美味しさだと思います。
- ドイツのソーセージ文化:1500種類の迷宮へようこそ
- 【衝撃の食感】メット (Mett):ドイツ流「生豚肉」の真実
- 【発祥の地】フランクフルター:本場のウィンナーは何が違う?
- 【バイエルンの朝食】ヴァイスヴルスト:白ソーセージの正しい作法
- 【最強のおつまみ】ビアヴルスト:名前の由来と本当の正体
- 【南ドイツの国民食】レバーケーゼ:レバーもチーズも入ってない?
- 【屋台の王様】テューリンガー:ゲーテも愛した600年の歴史
- 【世界最小の美食】ニュルンベルガー:鍵穴を通るソーセージ?
- 【ベルリンの魂】カリーヴルスト:戦後復興の味
- 【好き嫌いが分かれる珍味】ブルートヴルスト:天と地の結合
- 【スーパーフード】ザワークラウト:2026年の腸活トレンド
- 【肉食の頂点】シュバイネハクセ:バイエルンの豪快なご馳走
- 【日曜日の正餐】シュヴァイネブラーテン:肉汁こそが命
- 【酸味の魔法】ザウアーブラーテン:世界が認めるマリネ肉
- 【ベルリンの冬の味】アイスバイン:プルプルのコラーゲン爆弾
- 【国民的カツレツ】シュニッツェル:薄さこそ正義
- 【皇帝の味】ヴィーナー・シュニッツェル:本物を見分ける方法
- 【哲学者の愛した味】ケーニッヒスベルガー・クロプセ:東プロイセンの遺産
- 【おふくろの味】ルラーデン:日曜日のごちそうロール
- 【シチューの起源】グラーシュ:ハンガリー生まれドイツ育ち
- 【滋味深いスープ】レバークネーデルズッペ:バイエルンの元気玉
- 【北海の恵み】ヘリングスゲリヒテ:マティエスの旬を知る
- 【港町のファストフード】フィッシュブロートフェン:世界一の魚サンド
- 【もう一つの選択肢】フィッシュフリカデッレ:ブレーメンの味
- 【冬の定番】カルトッフェルズッペ:地域で変わる具材
- 【モチモチの誘惑】クネーデル:ドイツ料理の名脇役
- 【クリスマスの香り】カルトッフェルプッファー:甘辛の無限ループ
- 【家庭料理の基本】ブラートカルトフェルン:究極のジャーマンポテト
- 【手打ちの極み】シュペッツレ:ドイツ版パスタの実力
- 【カロリー爆弾】ケーゼシュペッツレ:ドイツ風マック&チーズ
- 【パリパリの誘惑】フラムクーヘン:アルザスの炎のタルト
- 【白い黄金】シュパーゲル:春を告げる貴族の野菜
- 【世界遺産】ドイツのパン文化:3000種類の多様性
- 【黒いパンの代表】プンパーニッケル:24時間焼かれる奇跡
- 【ビールの親友】プレッツェル:形の秘密と地域差
- 【食べる宝石】マルツィパン:リューベックの誇り
- 【アドベントの楽しみ】シュトレン:幼子イエスの形
- 【薄生地の芸術】アプフェルシュトゥルーデル:新聞が読めるほど薄く
- 【お菓子の王様】バウムクーヘン:日本とは違うドイツの事情
- 【北ドイツの赤い宝石】ローテ・グルッツェ:爽やかな夏の味
- 【呼び名の論争】ベルリーナ:JFKも間違えた?
- 【醸造大国】ドイツビール:1516年からの純粋な約束
- 【赤ワインの革命】ドイツワイン:甘口だけじゃない実力
- 【フランクフルトの血】アップルワイン:ベンベルとゲリプテス
- 【聖夜の温もり】グリューワイン:心も体も温める魔法
- 【大人の嗜み】コルン:ドイツが誇る純粋な蒸留酒
ドイツのソーセージ文化:1500種類の迷宮へようこそ

ドイツはソーセージ、ヴルスト (Wurst) が有名な国。ドイツを訪れたからには、ソーセージ三昧を楽しみましょう。3食ソーセージでも食べきれないほどの種類があり、ドイツ全土で1500種類以上ものソーセージがあるのだそう。
全てを食べるのは不可能なので、まずは性質の異なる4つのタイプのソーセージを制覇しましょう。生タイプのソーセージであるロー・ヴルスト (Rohwurst)、茹でるソーセージのブリュー・ヴルスト (Brühwurst)、焼くソーセージのブラート・ヴルスト (Bratwurst)、調理されたソーセージコッフヴルスト (Kochwurst) です。
★フードキュレーターの補足メモ:ドイツの職人魂「マイスター制度」
2026年の現在、ドイツでは伝統的な個人経営の精肉店(Metzgerei)が見直されています。ドイツのソーセージがこれほど多種多様なのは、中世のギルド時代から続く厳格な「マイスター制度」のおかげ。地域ごとに異なるハーブやスパイスの配合は、まさに職人のアイデンティティそのものです。スーパーのパック詰めも進化していますが、ぜひ街角のMetzgereiで量り売りを買ってみてください。「Bio(オーガニック)」認証を受けた、持続可能な畜産によるソーセージもトレンドの主流となっています。
【衝撃の食感】メット (Mett):ドイツ流「生豚肉」の真実

ドイツを訪れたら絶対に食べなくてはならないのが、ロー・ヴルスト (Rohwurst) と呼ばれる生タイプのソーセージ。代表格がメット (Mett)で、個人的にドイツで一番美味しいソーセージだと思います。
生の肉を使って作るソーセージと言うか、うっすらと味付けされた生ひき肉そのものです。メットの語源も「脂身なしの刻んだ豚肉」を意味します。生の豚肉は危ない、は世界的な認識です。なのにドイツでは豚の生肉を食べるんです。
特殊な方法で処理してあるので、サルモネラとかは大丈夫らしいです。とは言え安心確実のドイツでしか食べる事の出来ない食べ物だと思います。そして安心確実のドイツでも偶にあたる人がいるらしい。。。
バゲットタイプのパンにバターを塗って、メットをのせて食べるのが美味しいです。ドイツの法律では、メットは35%以上の脂肪分を含んではならないとされています。同じメットの名が付けられていても、北と南では様子が異なります。
北部のメットは硬くサラミに近い感じ。おすすめは南部名物の柔らかい生肉タイプのメットです。ドイツ在住の日本人は、メットに刻んだネギを加え、ネギトロ風にしてご飯にのせて食べているのだそう。
確かに食感がトロです。私が住むスペインには生タイプのソーセージが無いので、メチャクチャ羨ましいと思いました。生なだけにお土産には適さず、まさにドイツでしか食べる事の出来ない味だと思います。
★フードキュレーターの補足メモ:厳格な衛生法と「メットのハリネズミ」
ドイツで生豚肉が食べられる背景には「ひき肉令(Hackfleischverordnung)」という非常に厳しい法律が存在します。製造当日に販売しなければならない等、徹底した鮮度管理が義務付けられています。
また、パーティでの定番として「Mettigel(メットイーゲル)」という文化があります。これはメットをハリネズミの形に盛り付け、生の玉ねぎを刺して針に見立てたもの。1970年代に流行しましたが、2020年代に入り「レトロで映える」として若者の間で再ブームが到来しています。
【発祥の地】フランクフルター:本場のウィンナーは何が違う?
茹でるタイプのソーセージ、ブリュー・ヴルスト (Brühwurst)の代表格が、フランクフルター‣ヴュルストヒェン (Frankfurter Würstchen) 。日本ではウィンナーの名でソーセージが定着していますが、元を辿ればこのフランクフルター。
13世紀にフランクフルトで生まれたソーセージを、19世紀にウィーン人の職人が自国に持ち帰り、世界へ発信したのでウィンナーと呼ばれるようになりました。本家本元のフランクフルターは長く、20cm以上でなくてはならない決まりがあります。
★フードキュレーターの補足メモ:EUが守る「本物」の証
「Frankfurter Würstchen」という名称は、1860年以来、原産地呼称保護(PGI)の対象です。つまり、フランクフルト地域で作られたものしかこの名前を名乗れません。最大の特徴は、低温で長時間燻製することによる独特の香りと、豚肉のみを使用すること(対してウィーン風のウィンナーは牛肉と豚肉の合い挽きが一般的)です。
【バイエルンの朝食】ヴァイスヴルスト:白ソーセージの正しい作法

ドイツ南部、バイエルン地方の伝統的なソーセージがヴァイスヴルスト (Weisswurst)、茹でるタイプの白いソーセージです。パセリ、ナツメグ、レモン、玉ねぎ、カルダモン、ショウガなどで味付けされた、フワフワした食感が特徴のソーセージ。
とても傷みやすいので、ヴァイスヴルストには12時の鐘の音を聞かせるな、とされていました。冷蔵庫のある現在でも、白ソーセージは朝ごはんに食べる人が多いです。ソーセージにビールは付き物なので、バイエルン地方では朝ごはんからビールです。
とにかく鮮度が命のソーセージなので、少し遅めの朝ごはんとして食べましょう。合わせるのは絶対に白ビール、バイエル地方特産の甘いマスタードを付けて食べます。白ソーセージ、ヴァイスブルストに関するあれこれを、こちらの記事で詳しくまとめてあります。

★フードキュレーターの補足メモ:皮は食べるな!「ツッツェルン」の儀式
バイエルンっ子にとって、ヴァイスヴルストの皮をナイフで切って食べるのは野暮とされています。伝統的な食べ方は「Zuzeln(ツッツェルン)」と呼ばれ、ソーセージの端を噛み切り、中身を口の中に吸い出す技術です。最初は難しいので、ナイフで縦に切れ目を入れて皮を剥く「解剖式」でも許容されますが、皮ごと食べるのはNGです。
ちなみに2026年現在、ミュンヘンの老舗ビアホールでは、ヴィーガン向けの「植物性ヴァイスヴルスト」も登場していますが、伝統派との間で熱い議論が交わされています。
【最強のおつまみ】ビアヴルスト:名前の由来と本当の正体

肉と脂身にたっぷりの香辛料とニンニクを効かせて作る、ピリ辛サラミのようなソーセージがビアヴルスト (Bierwurst)。ビールのソーセージと呼ばれているのは、 ビールのお供に最適だから。なのでビール無しにこのソーセージを食べては絶対にいけません。
★フードキュレーターの補足メモ:実はビールは入っていない?
名前に「ビア(ビール)」と付いていますが、原材料にビールは一切使われていません。バイエルン地方が発祥とされ、スモークの香りと粗挽き肉の食感、そして強めの塩気が特徴です。通常は「Aufschnitt(アウフシュニット)」と呼ばれるスライスされたコールドカットとして提供され、ドイツの夕食「Abendbrot(アーベントブロート)」には欠かせない存在です。黒パンに乗せ、ピクルスを添えれば、それだけで極上の晩酌セットの完成です。
【南ドイツの国民食】レバーケーゼ:レバーもチーズも入ってない?

ひき肉に細かく刻んだ玉ねぎやスパイスを加え、良く練って長方形の型に入れて蒸し焼きしたものをレバーケーゼ (Leberkäse)と呼びます。腸詰ではないのですが、腸詰の一種とされています。
ドイツ南部の郷土料理で、名前も見た目もレバーのパテっぽいけど、そんなにレバー率は高くない、と言うか殆どレバー入ってません。元々のレシピにはレバーが入っていたのだそう。
バイエルン地方ではソーセージよりもレバーケーゼの方が好まれているので、街で良く見かけるソーセージスタンドもレバーケーゼを扱う事の方が多いです。小さなフランスパンに挟んでくれるので、ファーストフードとして小腹が空いた時に食べます。
★フードキュレーターの補足メモ:名前のミステリーと「Leberkassemmel」
名前の「Leber」は肝臓ではなく、古いドイツ語で「残り物・塊」を意味する「Laib」が語源という説が有力です。「Käse」もチーズではなく、型に入った形状がチーズに似ていたから。ただし、食品法により「バイエルン風レバーケーゼ」以外(例えばシュトゥットガルトなどで作られるもの)は、実際にレバーを含まなければこの名前を使えないという複雑なルールがあります。
焼きたての厚切りレバーケーゼをカイザーロール(丸パン)に挟み、甘いマスタードをたっぷりかけた「Leberkassemmel(レバーカスゼンメル)」は、バイエルンの最強ソウルフードです。
【屋台の王様】テューリンガー:ゲーテも愛した600年の歴史

ドイツの屋台料理の定番がブラート・ヴルスト (Bratwurst) と呼ばれる 、鉄板や網で焼いたソーセージ。その中でも一番ポピュラーな焼きソーセージが、テューリンガー (Thüringer Rostbratwurst) です。
テューリンガーと呼べるのは、原料などの細かい規定をクリアした、ドイツ中東部にあるテューリンガー地方で作られたソーセージのみ。屋台で焼かれているソーセージの殆どがこのソーセージなので、ドイツ滞在中に一番良く見るソーセージです。
★フードキュレーターの補足メモ:ドイツ最古のレシピ
テューリンガー・ロストブラートヴルストの歴史は古く、1404年の修道院の請求書に最初の記録が残っています。このソーセージの味の決め手は「マジョラム(ハーブ)」と「キャラウェイ(キュンメル)」、そしてニンニクです。EUの地理的表示保護(PGI)を受けており、伝統的に炭火で焼かれます。文豪ゲーテもこのソーセージの大ファンで、わざわざテューリンゲンから取り寄せたという逸話が残っています。
【世界最小の美食】ニュルンベルガー:鍵穴を通るソーセージ?

ドイツの家庭で一番良く食べられているのが、ニュルンベルク・ロストブラート(Nürnberger Rostbratwurst)。他のソーセージより細くて短く、白っぽいのが特徴です。
脂肪分が多いのでとてもジューシー。マジョラムの味がとても良いアクセントとなっています。スーパーでとても安く売られているので、学生はニュルンベルガ―を食べて育つとされています。
★フードキュレーターの補足メモ:なぜこんなに小さいのか
ニュルンベルガーは、重さ20〜25グラム、長さ7〜9センチと非常に小さいのが特徴です。中世の伝説では、夜遅くに城門が閉まった後、お腹を空かせた旅人のために、宿屋の主人が城門の「鍵穴」から差し入れできるよう小さく作ったと言われています(実際は肉の価格高騰時に品質を維持しつつコストを下げるため小さくした説が有力)。
レストランでは「Drei im Weggla(ドライ・イム・ヴェックラ)」と注文してください。パン(ヴェックラ)に3本のソーセージを挟んだ、ニュルンベルク定番のストリートフードが出てきます。
【ベルリンの魂】カリーヴルスト:戦後復興の味
ベルリンを代表するファーストフードがカリーヴルスト (Curry Wurst)。焼いたソーセージにトマトケチャップとカレー粉を混ぜたものをかけます。ベルリンの至る所で見かける屋台料理の定番で、スタンドでの立ち食いが基本です。
付け合わせは冷凍のポテトフライ、ソーセージは大量生産系、ケチャップにカレー粉がかかっているだけのジャンク料理なのに、何でこんなにベルリン人から愛される食べ物なのか不可思議です。でもこのチープな味が偶に妙に恋しくなる時もあります。
★フードキュレーターの補足メモ:皮あり派?皮なし派?
1949年、ベルリンのヘルタ・ホイヴァーという女性が、英国兵から入手したカレー粉とケチャップを混ぜて提供したのが始まりと言われています。ベルリンでは年間7000万本が消費されるとか。
重要なのは「Darm(皮あり)」か「Ohne Darm(皮なし)」かを選ぶこと。旧東ベルリンでは皮なしが主流で、西側は皮ありが主流でした。
面白いことに、フォルクスワーゲン社の工場でも「VWカリーヴルスト」が作られています。もともとは同社の社員食堂用に製造していたのですが、現在ではスーパーマーケットなどでも販売されています。
【好き嫌いが分かれる珍味】ブルートヴルスト:天と地の結合

ブタの血で作る赤黒い色のソーセージがブルートヴルスト (Blutwurst) です。スライスしてパンやサラダと一緒に食べたり、厚めに切ってフライパンで焼いて食べます。人によって好き嫌いが分かれる味で、ダメな人の方が多いかも。
★フードキュレーターの補足メモ:伝統料理「天と地」
ケルン地方などでは、この血のソーセージを使った「Himmel un Ääd(天と地)」という有名な郷土料理があります。「天」は木になるリンゴ(アップルソース)、「地」は土の中のジャガイモ(マッシュポテト)を表し、そこに焼いたブルートヴルスト(ケルン方言でFlönz)を添えます。リンゴの酸味と甘みが、血のソーセージ独特のコクを見事に中和し、驚くほど洗練された味わいになります。食わず嫌いをせずにぜひ挑戦してほしい一皿です。
【スーパーフード】ザワークラウト:2026年の腸活トレンド

ソーセージはザワークラウト(Sauerkraut)と一緒に食べましょう。ドイツ版キャベツの漬物です。発酵による乳酸の酸っぱさなので、酢を加えている訳ではありません。ビタミンCを多く含むので、かつては長い航海による壊血病を防ぐ保存食として重宝されていました。
今でも長い冬の間の貴重なビタミンC供給源となっています。そのまま、または肉や野菜などと一緒に煮込んで食べます。スーパーの市販のものより、手作りの浅漬けが断然美味しい。ソーセージとの相性は抜群だし、栄養バランスを考えても絶対に食べるべきです。
★フードキュレーターの補足メモ:加熱殺菌か、生か?
2026年の現在、健康志向の高まりと共に「プロバイオティクス(腸内環境改善)」食品としてザワークラウトが再評価されています。スーパーの缶詰や瓶詰めの多くは加熱殺菌されており、乳酸菌が死滅しています。健康効果を期待するなら、冷蔵コーナーにある「Frisch(フレッシュ)」と書かれた非加熱のものか、市場で樽から量り売りされているものを選びましょう。乳酸菌の力強さをダイレクトに感じられます。
【肉食の頂点】シュバイネハクセ:バイエルンの豪快なご馳走

バイエルン地方の郷土料理で、豚の膝の部分をオーブンで焼いたものがシュバイネハクセ (Schweinshaxe)。その大きさと美味しさに、絶対驚愕するはず。外皮はパリパリで肉はジューシー、本当に心から絶対おすすめの一品です。
セリ科のキャラウェイの種、ニンニクなどでマリネしてから焼きます。骨付きの大きな肉の塊がドーンとお皿にのって出てくるので、とても迫力ある料理。フォークとナイフが肉にぶっさしてある場合が多く、豪快でとにかくインパクトのあるインスタ映え料理です。
★フードキュレーターの補足メモ:北の「アイスバイン」との違い
同じ豚のすね肉を使いますが、南ドイツ(バイエルン)ではローストして皮をパリパリにしたものを「シュバイネハクセ」と呼び、北ドイツ(ベルリンなど)では塩漬けにして茹でたものを「アイスバイン」と呼びます。バイエルンのビアホールで注文する際は、巨大なジャガイモ団子「Knödel(クネーデル)」と、濃厚なビールソースが添えられているのが定番スタイルです。
【日曜日の正餐】シュヴァイネブラーテン:肉汁こそが命

バイエルン地方名物の、脂身の無い部位の豚肉を使った豚のローストビーフみたいな料理がシュヴァイネブラーテン (Schweinsbraten) 。薄切りにして食べますが、ドイツ人の感覚で「薄切り」なので、それ程薄くはないです。
★フードキュレーターの補足メモ:皮の争奪戦「クルステ」
バイエルン人にとって、この料理で最も重要なのは肉そのものよりも、実は「Kruste(クルステ)」と呼ばれる、皮のロースト部分です。オーブンでじっくり焼くことで飴色になり、カリッカリの食感に仕上がった皮は奪い合いになるほどの美味しさ。ソースは「Dunkelbiersoße(黒ビールソース)」が基本。日曜日の教会帰りに家族で囲む食卓の主役です。
【酸味の魔法】ザウアーブラーテン:世界が認めるマリネ肉

塊肉をあらかじめ酢などでマリネしてからじっくり煮た料理がザウアーブラーテン (Sauerbraten) 。牛肉の他にマトン、豚、馬、色々なバージョンがあります。地域によって味付けが異なるので、色々な場所で食べ比べてみて下さい。
★フードキュレーターの補足メモ:ライン風の甘酸っぱい秘密
最も有名な「ライン風ザウアーブラーテン(Rheinischer Sauerbraten)」では、ソースにレーズンと「Printen(プリンテン)」と呼ばれるスパイスの効いたジンジャーブレッドを砕いて入れます。これにより、酢の酸味、レーズンの甘み、スパイスの風味が混然一体となった濃厚なソースが完成します。元々は硬い馬肉を柔らかくするために数日間酢に漬け込んだのが始まりですが、現在では牛肉が一般的です。
【ベルリンの冬の味】アイスバイン:プルプルのコラーゲン爆弾

塩漬けにされた豚肉の塊を、柔らかくなるまでコトコト煮込んで作る料理。アイスバイン(Eisbein)とは、氷の脚を意味します。煮込むことによって溶け出す、肉に含まれたゼラチン質が固まると、氷のように見えた事から名付けられました。ドイツ人が大好きな料理です。基本的にドイツ料理は大きいのですが、アイスバインもかなりの大きさ。
★フードキュレーターの補足メモ:緑色の相棒「エンドウ豆のピューレ」
ベルリンでアイスバインを注文すると、「Erbspüree(エルプスピュレ)」と呼ばれる黄色または緑色のエンドウ豆のピューレと、ザワークラウトが添えられることが多いです。塩気の効いたトロトロの肉を、豆の甘みとザワークラウトの酸味で中和しながら食べるのが正統派。名前の由来には、かつて動物のすね骨をスケート靴の刃(氷の上を滑るための骨)として使っていたから、という説もあります。
【国民的カツレツ】シュニッツェル:薄さこそ正義

薄く伸ばした豚肉に衣をつけて揚げた料理をシュニッチェル (Schnitzel)と呼びます。日本のより細かいタイプのパン粉を使ったトンカツ的な食べ物。肉は大きければ大きい程よいとされ、皿からはみ出すぐらいで合格です。ただ大きい分厚みは少ない。ドイツ人が大好きな料理なので、シュニッチェル専門のレストランが多いです。
★フードキュレーターの補足メモ:揚げ焼きの技術「スフレ」
美味しいシュニッツェルの条件は、衣が肉にべったりと張り付かず、ぷっくりと波打って浮いていること。これを「soufflieren(スフレさせる)」と呼びます。大量のバター(澄ましバター)の中で、フライパンを絶えず揺すりながら揚げ焼きにすることで、この理想的な衣が完成します。レモンを絞るだけで食べるのが基本ですが、キノコソースをかけた「イェーガー(猟師風)」や、パプリカソースの「ツィゴイナー(※現在はバルカン風などと呼ばれる)」も人気です。
【皇帝の味】ヴィーナー・シュニッツェル:本物を見分ける方法
豚肉ではなく子牛肉を使うとヴィナー・シュニッチェル(Wiener Schnitzel)、ウィーン風のシュニッチェルと呼んで区別します。シュニッツェルは本来オーストリアの郷土料理。子牛バージョンだけをウィーン風と呼び、その他の肉を使ったものはドイツ料理とみなしているようです。
★フードキュレーターの補足メモ:法律で守られた名称
ドイツやオーストリアでは、メニューに「Wiener Schnitzel」と書くためには、必ず仔牛(Kalb)の肉を使わなければならないと法律で定められています。豚肉(Schwein)を使ったものは「Schnitzel Wiener Art(ウィーン風スタイルのシュニッツェル)」と表記しなければなりません。仔牛肉は豚肉よりも淡白で上品な味わいがあり、価格も倍近くします。
【哲学者の愛した味】ケーニッヒスベルガー・クロプセ:東プロイセンの遺産
ベルリンや東ドイツに住む人達にとって、一番人気のある家庭料理がカリーニングラード風ミードボール、ケーニッヒスベルガー・クロプセ (Königsberger Klopse) 。ロシアの飛び地であるカリーニングラードの名が付いているのは、戦前はドイツの領土で、ドイツ人が住んでいたから。
ホワイトソースに牛乳を使わない事、ソースにケッパーのピクルスを入れる事、ミートボールにアンチョビを混ぜる事、ソースにとろみをつけない事、などのルールを厳格に守って作られるミートボール。少し酸味があるので、さっぱりした味わい。
★フードキュレーターの補足メモ:カントも食べたアンチョビの隠し味
ケーニッヒスベルク(現カリーニングラード)出身の哲学者イマヌエル・カントも、この料理を好んだと言われています。最大の特徴は、肉団子に練り込まれたアンチョビ(塩漬けイワシ)の塩気と、ホワイトソースに入ったケッパーの酸味の絶妙なバランス。付け合わせには、塩茹でジャガイモとビーツのサラダが添えられるのが伝統的です。ドイツの国民的アンケートでも常に好きな料理の上位に入る、ノスタルジックな味です。
【おふくろの味】ルラーデン:日曜日のごちそうロール

薄く切った牛肉、または豚肉で色々なものを巻いた料理を、ロウラーデン (Rouladen)と呼びます。薄い肉とは言え日本のように薄くはないです。巻くものは牛脂や野菜。マスタードを塗って巻く事が多いです。ソースはクリーム系が多い。
★フードキュレーターの補足メモ:中身の黄金比率
古典的なルラーデン(Rinderroulade)の中身は、「ベーコン、玉ねぎ、ピクルス(酸っぱいキュウリ)」の3点セットが鉄則です。肉の内側にマスタードを塗り、これらを巻いて煮込むことで、ピクルスの酸味が肉を柔らかくし、ソースに深いコクを与えます。「おばあちゃんの味」の代名詞であり、肉汁から作る濃厚なグレイビーソースを、紫キャベツ(Rotkohl)とジャガイモ団子に絡めて食べるのが最高の贅沢です。
【シチューの起源】グラーシュ:ハンガリー生まれドイツ育ち
グラーシュ (GULASCH)はハンガリー起源の料理ですが、ドイツでも良く食べられています。ただドイツのはもっと肉がゴロゴロ入ってトロミがあり、ビーフシチューに近い感じ。味もハンガリーのようなスパイシーさはありません。
★フードキュレーターの補足メモ:グーラッシュカノーネ(大砲)の歴史
ドイツのイベントやお祭りでよく見かける、煙突のついた移動式スープ調理器を「Gulaschkanone(グーラッシュカノーネ)」と呼びます。元々は軍隊の野外炊事車でしたが、大量に作って煮込むほど美味しくなるグラーシュは、ドイツの野外イベントに欠かせないソウルフードとなりました。ドイツ版ではキャラウェイシード(Kümmel)とレモンの皮を加えることが多く、これが独特の爽やかな風味を生み出しています。
【滋味深いスープ】レバークネーデルズッペ:バイエルンの元気玉
レバー団子のスープをレバークネーデルズッペ (Leberknödelsuppe) と呼びます。固くなってしまったパンを水に浸けて柔らかくしてから搾り、細かく刻んだレバーや卵と混ぜて団子にします。
レバー団子をブイヨンなどのスープで茹でたら完成で、他の野菜などは入らないシンプルなスープです。最近は冷凍食品が多くなってしまいましたが、手作りのレバー団子は本当に美味しい。
★フードキュレーターの補足メモ:二日酔いの特効薬?
バイエルンやオーストリアでは、ボリュームたっぷりのこのスープをメインディッシュとして食べることもあります。濃厚なビーフコンソメ(Rinderbrühe)に浮かぶレバー団子は鉄分豊富で消化も良く、地元では「二日酔いの翌日に食べると元気になる」とも言われています。
【北海の恵み】ヘリングスゲリヒテ:マティエスの旬を知る

ドイツ人は基本的に肉食ですが、ニシンは大好き。特に生タイプの酢漬けを好みます。ニシン料理で一番ポピュラーなのがへリングスゲリヒテ (Heringsgerichte)と呼ばれる、ヨーグルトにリンゴを混ぜたソースをかけた酢漬けのニシン。付け合わせは絶対に茹でたジャガイモです。ジャガイモはドイツの主食で、肉は勿論魚と合わせて、常に何時でも食べます。
★フードキュレーターの補足メモ:若いニシン「マティエス」
特に5月末から6月初旬に解禁される、産卵前の脂が乗った若いニシンを塩漬け・熟成させたものを「Matjes(マティエス)」と呼びます。口の中でとろけるような食感は、普通の酢漬けニシン(Bismarckhering)とは別格です。今回紹介したヨーグルトソース和えは「Hausfrauenart(主婦風)」と呼ばれる最も伝統的な家庭料理です。
【港町のファストフード】フィッシュブロートフェン:世界一の魚サンド

北ドイツの名物、魚のサンドウィッチがフィッシュブロートフェン (Fischbrötchen) です。肉のイメージが強いドイツですが、海に面した北の方では魚を良く食べます。色々な種類の魚のサンドウィッチがありますが、一般的にはフィッシュブロートフェンと言えば、ニシンの酢漬けと玉ねぎ、トマトやピクルスなどをパンで挟んだものを指すようです。
★フードキュレーターの補足メモ:北ドイツの「世界フィッシュサンドの日」
ハンブルクやリューベックなど北ドイツ沿岸部では、毎年5月の第1土曜日を「Welt-Fischbrötchen-Tag(世界フィッシュサンドの日)」として祝います。ニシンだけでなく、北海小エビ(Nordseekrabben)や、燻製ウナギなどを挟んだ豪華なバージョンも存在します。クリスピーなパンと、冷たい魚のコントラストが最高です。
【もう一つの選択肢】フィッシュフリカデッレ:ブレーメンの味
魚のサンドイッチの中で、フィッシュフリカデッレ (Fischfrikadelle) と呼ばれるのは、パンに魚のすり身のコロッケを挟んだもの。前述のニシンの酢漬けのサンドウィッチと人気を分ける魚のサンドウィッチです。私も何時もどちらにしようか迷います。
★フードキュレーターの補足メモ:レムラードソースが決め手
いわゆる「魚ハンバーグ」ですが、ドイツのものは魚の身がゴロゴロしており食べ応えがあります。必須なのが「Remoulade(レムラード)」というハーブ入りマヨネーズソース。これが温かい魚のパテと絶妙に合います。ブレーマーハーフェンなどの港町で、潮風に吹かれながら食べるのが一番の調味料です。
【冬の定番】カルトッフェルズッペ:地域で変わる具材
ジャガイモのスープをカルトッフェルズッペ (Kartoffelsuppe)と呼びます。スープと言うか具沢山のシチューで、ドイツの冬の定番料理です。前菜に頼むとメインが食べれなくなる量なので注意しましょう。ドイツはパンが美味しいのでスープとパンだけでも充分満足です。
★フードキュレーターの補足メモ:ソーセージを入れる派?
ドイツ全土で愛されるこのスープですが、地域によって具材が異なります。ベルリン周辺ではソーセージのスライスを入れるのが定番、ラインラント地方ではベーコン、北部ではなんと「プラム(Zwetschgen)」を入れる甘じょっぱい変種も存在します。2026年には、多様な種類のジャガイモを使ったカラフルなポテトスープもモダン・ドイツ料理店で人気を博しています。
【モチモチの誘惑】クネーデル:ドイツ料理の名脇役

ドイツの北西部ではクロース(Kloß)と呼び、ドイツの南東ではクネーデル (Knödel)と呼ばれるジャガイモ団子です。茹でたジャガイモと固くなったパンをこねて丸めて団子にして茹でます。
そんなに美味しいものではないのですが、ドイツ人は好んで食べます。肉料理の付け合わせとして食べる事が多いのですが、キノコと生クリームのソースなどと一緒に単品で食べる場合もあります。生地の中に果物のピューレを包み、バニラソースをかけてデザートとして食べるバージョンもあります。
★フードキュレーターの補足メモ:テューリンゲンのこだわり
特に有名な「テューリンガー・クロース(Thüringer Klöße)」は、生のジャガイモのすりおろしと、茹でたジャガイモのマッシュを特定の比率で混ぜて作ります。真ん中にカリカリに焼いたクルトンを入れるのが正統派。ソースを吸い込むスポンジのような役割を果たし、ソースが命のドイツ肉料理には欠かせない存在なのです。
【クリスマスの香り】カルトッフェルプッファー:甘辛の無限ループ

擦ったジャガイモに卵、小麦粉、細かく刻んだ玉ねぎなどを加えて作るポテトパンケーキをカルトッフェルプファー (kartoffelpuffer) と呼びます。肉料理や魚料理の付け合わせにしたり、リンゴやベリーのジャムと一緒にデザートとして食べます。レストランは勿論、冬の屋台の定番料理です。
★フードキュレーターの補足メモ:ライベクーヘンとアップルソース
ラインラント地方(ケルンなど)では「Reibekuchen(ライベクーヘン)」と呼ばれます。たっぷりの油で揚げ焼きにした塩気のある芋餅に、冷たい「Apfelmus(アップルソース)」をたっぷりつけて食べるのがドイツ流。熱々×冷たい、塩気×甘味のコンビネーションは、極寒のクリスマスマーケットで食べると至福の味わいです。
【家庭料理の基本】ブラートカルトフェルン:究極のジャーマンポテト
ドイツ風のジャーマンポテトをブラートカルトッフェルン (bratkartoffeln) と呼びます。ジャーマンポテトなのにドイツ風を付けるのは、日本のジャーマンポテトは日本の料理でドイツには存在しないからです。ジャガイモを豚のラードと玉ねぎで揚げ焼きした料理で、日本のジャーマンポテトとは異なるけど美味しいです。
★フードキュレーターの補足メモ:カリカリに仕上げるコツ
美味しいブラートカルトフェルンの秘訣は、Festkochend(煮崩れしない硬質)のジャガイモを使うことと、鉄のフライパンで触りすぎずにじっくり焼くことです。ドイツの人達は、前日に茹でて冷ましておいたジャガイモを使うのが一番カリッと仕上がると知っています。ベーコンと玉ねぎと共に、キャラウェイシードを少し振るのが本場の味です。
【手打ちの極み】シュペッツレ:ドイツ版パスタの実力

ドイツ版手作り生パスタをシュペッツレ (Spätzle)と呼びます。卵と小麦粉で作るパスタと言うかニョッキっぽいモチモチしたマカロニというか。レバーのミンチやホウレンソウが入るバージョンもあります。
★フードキュレーターの補足メモ:スズメのような形?
シュペッツレとは「小さなスズメ(Spatz)」という意味。南西部のシュヴァーベン地方が発祥です。最も伝統的な作り方は、木の板にのせた生地をナイフで沸騰したお湯の中に細く削ぎ落す「Handgeschabt(ハンドゲシャープト)」という職人技。不揃いな形こそがソースとよく絡み、手作りの証とされます。
【カロリー爆弾】ケーゼシュペッツレ:ドイツ風マック&チーズ
シュペッツレにおろしたチーズをかけてオーブンで焼いた料理をケーゼシュペッツレ (Käsespätzle)と呼びます。単品で食べるよりソーセージの付け合わせっぽく登場する事が多いです。
★フードキュレーターの補足メモ:山小屋の味
アルプス地方の山小屋(Hütte)での定番ランチです。使うチーズは強い香りのある「Bergkäse(山のチーズ)」やエメンタールチーズがたっぷり。そして何より重要なのが、上に乗った大量の「Röstzwiebeln(フライドオニオン)」です。このカリカリ感とトロトロチーズの相性は罪深い美味しさです。
【パリパリの誘惑】フラムクーヘン:アルザスの炎のタルト
ドイツ風ピッツァがフラムクーヘン (Flammkuchen) です。かなり薄い生地にサワークリームを塗って、色々なものをトッピングして焼きます。パリパリで美味しい。トマトソースやチーズをのせないのでピッツァとは異なります。ビールのお供に最高。
★フードキュレーターの補足メモ:国境を越えた味
フランスのアルザス地方(かつてドイツ領だった地域)が発祥で、フランス語では「タルト・フランベ」と呼ばれます。昔、パンを焼く前に釜の温度を確かめるために薄い生地を焼いたのが始まり。伝統的なトッピングは「ベーコン、玉ねぎ、サワークリーム」のみですが、最近ではリンゴとシナモンを乗せてフランベするデザートタイプも人気です。
【白い黄金】シュパーゲル:春を告げる貴族の野菜

シュパーゲル (Spargel)とはホワイトアスパラガスの事。そのまま茹でて食べるのが王道ですが、スープやパイに入れても美味しいです。街中にホワイトアスパラガスを売るスタンドが立ち並び、「シュパーゲルあります」の看板がレストランに掲げられるようになると、ドイツの長い冬がやっと終わった事を意味します。
ドイツに嬉しい春の訪れを告げるのは何時だってホワイトアスパラガス。だからシュパーゲルを見るとドイツ人は自然と笑みがこぼれてしまいます。美味しいのはもちろんのこと、他の意味でもドイツ人が愛して止まない食材。シュパーゲルに関しては別記事で詳しくまとめました。

★フードキュレーターの補足メモ:終了日は「聖ヨハネの日」
ドイツのホワイトアスパラガス・シーズンには厳格な終了日があります。6月24日の「聖ヨハネの日(Johannistag)」です。これ以降は翌年の収穫のために株を休ませます。「さくらんぼが赤くなる頃、アスパラガスは死ぬ」という古い諺があるほど。ホランソース(オランダソース)、茹でジャガイモ、生ハムまたはカツレツを添えるのが、春のドイツで最も豪華な一皿です。
【世界遺産】ドイツのパン文化:3000種類の多様性
ドイツはパンが美味しいです。何を食べても美味しいし、1000以上の種類があるといいます。ドイツは気候的に小麦の栽培が難しかったので、ライ麦を使ったパンが主流となりました。ただライ麦だけだと発酵しないので、小麦粉を混ぜます。
小麦粉の割合によって味や食感が異なってくるので、ドイツには沢山の種類のパンが存在するのです。ライ麦を使ったパンは、香ばしさや噛みごたえがあり、小麦粉と比べてカロリーが低く、ビタミンやミネラルが豊富です。いいところ尽くしのパンなのです。
★フードキュレーターの補足メモ:ユネスコ無形文化遺産
「ドイツのパン文化」は2014年にユネスコの無形文化遺産に登録されました。実際には3000種類以上のパンが存在すると言われています。ドイツの夕食が「Abendbrot(夕方のパン)」と呼ばれる通り、パンは生活の中心。2026年には古代穀物(スペルト小麦やエンマー小麦)を使ったパンが再評価され、よりヘルシーで原点回帰したパンがブームになっています。
【黒いパンの代表】プンパーニッケル:24時間焼かれる奇跡
ドイツのヴェストファーレン地方発祥の、少し酸味のある重量感のあるライ麦パンがプンパニッケル (Pumpernickel) です。現在ではドイツ全土だけでなく、世界各国でも製造されている、とてもインターナショナルなパンです。粗びきライ麦を90%以上使用する事、16時間以上の熟成時間をかけて製造するのが特徴。薄くスライスして、バターやクリームチーズなどを塗ってからハムやスモークサーモンを乗せて食べる事が多いです。シチューなどの煮込み料理に添えられるのも、このパン。
★フードキュレーターの補足メモ:焼くのではなく「蒸す」
本物のプンパーニッケルは、実は焼いているのではなく、蓋をした型の中で低温(100度前後)で24時間近く「蒸し焼き」にされています。あの漆黒の色は焦げているのではなく、長時間の加熱によるメイラード反応(糖のカラメル化)によるもの。そのため、独特の甘みと湿り気があります。消化が良く保存がきくため、非常食としても優秀です。
【ビールの親友】プレッツェル:形の秘密と地域差

ドイツ発祥で世界的にも有名なパン。塩の粒がついた香ばしいパンでビールとの愛称が抜群です。これをつまみにビールを飲む人率が高い。そのまま、中に何か挟む、ネギバターを塗る、どうやって食べても美味しいパン。
★フードキュレーターの補足メモ:バイエルン対シュヴァーベン
プレッツェル(Brezel)には2つの派閥があります。バイエルン風は、太い部分(お腹)が裂けていて食感が均一に近いのに対し、シュヴァーベン風(シュトゥットガルト周辺)は、腕の部分が非常に細くカリカリで、お腹の部分が太くモチモチしており、食感のコントラストを重視します。また、焼く前に苛性ソーダ(ラウゲン液)に浸すことで、あの独特の茶色い照りと風味が生まれます。
【食べる宝石】マルツィパン:リューベックの誇り

マルツィパン (MARZIPAN)は砂糖とアーモンドの粉を練って作るお菓子。独特の風味の中東起源の食べ物で、トルコ経由でヨーロッパに広まりました。ドイツでは1407年にリューベックの街が飢饉となり、政府が市の倉庫に大量にあったアーモンドを使って何か作って欲しいとパン職人に依頼して生まれたのがマジパンだったとされています。市庁舎近くにあるニーダーエッガーのマジパンが世界的に有名で、一番人気はマルツィパンをふんだんに使ったケーキ。
★フードキュレーターの補足メモ:アーモンドの比率が命
「リューベックのマジパン(Lübecker Marzipan)」はEUの地理的表示保護(PGI)を受けています。高品質なマジパンの条件は、砂糖の量を極力減らし、アーモンドの比率を高めること。ニーダーエッガー社のものはアーモンド100%のペーストを使用しており(砂糖は添加のみ)、安価なマジパンとは香りが全く異なります。現地のカフェで食べる「ヌストルテ(ナッツケーキ)」は絶品です。
【アドベントの楽しみ】シュトレン:幼子イエスの形
クリスマスの伝統菓子シュトレン (Stollen)は、ドレスデンの街が起源とされています。酵母の入った生地にレーズン、レモンピール、オレンジピール、ナッツなどが練り込まれています。焼いてから冷まし、粉砂糖をふりかけて食べます。クリスマスの時期に少しづつ薄く切って食べるのがドイツの冬の風物詩。
★フードキュレーターの補足メモ:金色のシールの意味
本物の「ドレスナー・クリストシュトレン」には、アウグスト強王の肖像が描かれた金色の楕円形シールが貼られています。これは厳しい品質検査に合格した証。真っ白な粉砂糖に包まれた独特の形は、おくるみに包まれた幼子イエスを象徴していると言われています。バターの使用量が多く、熟成させるほど味が馴染むため、クリスマスの4週間前から少しずつ食べるのが正しい流儀です。
【薄生地の芸術】アプフェルシュトゥルーデル:新聞が読めるほど薄く

煮たリンゴを薄いパイ生地でくるんで焼いたものがアプフェルシュトゥルーデル (Apfelstrudel)です。リンゴの他にチェリーやクルミ、ケシの実など色々な種類があります。どれを食べても美味しいけれど、一番はケシの実の黒い餡のやつだと思います。
★フードキュレーターの補足メモ:生地職人の腕の見せ所
オーストリア・ハプスブルク家の影響を受けた料理ですが、南ドイツでも定番です。良いシュトゥルーデルの条件は、生地が「透かして新聞が読めるほど」薄く伸ばされていること。温かいシュトゥルーデルに、冷たいバニラソース(Vanillesoße)をたっぷりかけて食べるのが至高の組み合わせです。
【お菓子の王様】バウムクーヘン:日本とは違うドイツの事情
バウムクーヘン (Baumkuchen)は日本で一番有名なドイツの菓子。でもドイツではそれ程メジャーではありません。製法が特殊で、普通のオーブンでは作れないので売っている店が限られているからです。
日本の方が遥かに入手が簡単で、ドイツ人が日本のお土産として買って帰ったりしています。ドイツのバームクーヘンは、菓子職人の高度な技術と経験が必要な特別なお菓子。菓子職人のマイスター試験の課題にもなっているのだそう。
★フードキュレーターの補足メモ:発祥の地ザルツヴェーデル
ドイツ北部、ザルツヴェーデル(Salzwedel)という街が発祥とされ、ここには多くの専門店があります。ドイツの定義では「油脂はバターのみ」「ベーキングパウダー不使用」など厳格なルールがあり、日本のものよりずっしりと重厚で、スパイスが効いているのが特徴です。薄くスライスして食べるのが正解。
【北ドイツの赤い宝石】ローテ・グルッツェ:爽やかな夏の味

ローテ グルッツェ(Rote grütze)は、ベリー類を煮込んでコーンスターチでトロミをつけたデザート。ゼリーほど固まってはいないのが特徴です。ブラックベリーで作ったのが一番美味しい。
★フードキュレーターの補足メモ:ミルクかバニラか
ハンブルクやデンマーク国境付近の夏の定番です。ラズベリー、スグリ、チェリーなどをミックスして作ります。酸味が強いので、たっぷりの冷たい牛乳、または生クリーム、あるいはバニラソースをかけて、赤と白のコントラストを楽しみながら食べるのが伝統的です。
【呼び名の論争】ベルリーナ:JFKも間違えた?

ジャム入りの揚げパンをベルリーナ (Berliner) と呼びます。イースト入りのパン生地を油で揚げ、中にジャムやクリームなどのフィリングを詰めます。ドイツでは大晦日にベルリーナを食べる習慣があります。
★フードキュレーターの補足メモ:ベルリンでは「ベルリーナ」と呼ばない
面白いことに、首都ベルリンではこのお菓子を「Pfannkuchen(プファンクーヘン)」と呼びます。南ドイツでは「Krapfen(クラップフェン)」です。かつてケネディ大統領が「Ich bin ein Berliner」と演説した際、「私はジャムパンです」という意味にも取れるとして有名な都市伝説になりました。大晦日には、一つだけ中にマスタードが入った「当たり(ハズレ?)」を混ぜてロシアンルーレットのように楽しむ遊びもあります。
【醸造大国】ドイツビール:1516年からの純粋な約束
ドイツと言えばビール。5000ぐらい種類があって全国各地1200の場所で作られています。絶対飲みたいのは白ビール。小麦を多く使用して醸造するので色が白っぽく、苦味が少なくすっきりとした味なので、夏の間はホワイトビールって人が多いです。
★フードキュレーターの補足メモ:ビール純粋令と2026年のトレンド
1516年に制定された「ビール純粋令(Reinheitsgebot)」は、麦芽、ホップ、水、酵母以外の使用を禁じる世界最古の食品法の一つです。2026年の現在でも多くの醸造所がこれを守り続けています。一方で、若手ブルワーによる「クラフトビール革命」も定着し、ベルリンを中心に純粋令の枠を超えた実験的なビールも増えています。ミュンヘンの「Helles(ヘレス)」や、ケルンの「Kölsch(ケルシュ)」など、その土地でしか飲めない地ビールを巡る旅がおすすめです。
【赤ワインの革命】ドイツワイン:甘口だけじゃない実力
ドイツのワインは基本的に白です。寒い土地なので赤は作れません。日光が少ないので十分な糖分が出ないので、たまに加糖された赤ワインを作るワイナリーがあります。加糖が許せる人なら悪くない味。
★最新のドイツワイン事情(2026年版)
現在、ドイツは「Trocken(辛口)」の白(リースリング)が主流で、世界的にも最高評価を受けています。
さらに驚くべきは赤ワインです。温暖化の影響で、アール地方やバーデン地方の「Spätburgunder(ピノ・ノワール)」は、フランス・ブルゴーニュに匹敵する高品質なものが作られるようになりました。「ドイツ=白」というイメージは完全に過去のものです。
【フランクフルトの血】アップルワイン:ベンベルとゲリプテス
アルコール度数5%前後で、リンゴの甘みは全くありません。甘めのお酒が好きな人は、サイダーで割るのをお勧めします。ドイツ人もアップルワインはそのまま飲むのは勿論、ミネラルウォーターやサイダーで割って飲んでいます。大抵何処の街でもアップルワインの酒場が軒を連ねている一角があり、リンゴの匂いがプンプン漂っています。
★フードキュレーターの補足メモ:地元の飲み方「エッベルヴォイ」
フランクフルトでは「Ebbelwoi(エッベルヴォイ)」と呼ばれます。青い模様の入った陶器の壺「Bembel(ベンベル)」に入れられ、表面にダイヤモンドカットが施されたグラス「Geripptes(ゲリプテス)」で飲むのが伝統。炭酸水で割った「Sauergespritzt」が最もポピュラーな飲み方です。ザクセンハウゼン地区の古い酒場で飲むのが最高の体験です。
【聖夜の温もり】グリューワイン:心も体も温める魔法
香辛料を混ぜて作るホットワインをグリューワイン (Glühwein) と呼び、クリスマスマーケットの定番となっています。シナモン、グローブ、ナツメグなどのスパイス、更にはシロップを加えて甘くします。ドイツではグリューワイン用のミックススパイスも市販されているのでお土産にどうでしょうか。ホットワインはアルコール分が飛ぶので、ドイツ人はラム酒などを足して飲みます。
★フードキュレーターの補足メモ:マグカップはお土産に
クリスマスマーケットのグリューワインは、毎年デザインが変わる可愛いマグカップで提供されます。飲み終わった後にカップを返却すればデポジット(Pfand)が返ってきますが、そのまま持ち帰ってお土産にすることも可能です。さらに強い度数を求める人には、ワインに浸した砂糖の塊にラム酒をかけて火を灯す「Feuerzangenbowle(フォイヤーツァンゲンボウレ)」がおすすめです。
【大人の嗜み】コルン:ドイツが誇る純粋な蒸留酒
ドイツ西部で生産される蒸留酒(シュナップス)がコルン (Kornbrand) 。穀物から作ったブランデーを意味するライ麦を原料とした蒸留酒です。無色透明で、いっさい味付けしないのが特徴。アルコール度数は32度以上。
★フードキュレーターの補足メモ:ビールとのセット「ヘレンゲデック」
コルンはウォッカに似ていますが、オーク樽での熟成が許可されている点で風味に深みがあります。伝統的な居酒屋(Kneipe)では、ビールとコルンのショットをセットにした「Herrengedeck(紳士セット)」として注文するのが粋なスタイル。消化を助ける食後酒としても愛されています。


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