スペイン在住30年のフードライターが、自信を持っておすすめする美味しいスペイン料理のリスト。スペイン料理は「地中海式ダイエット」と呼ばれる新鮮な果物、野菜、豆類、オリーブオイルをふんだんに使った、地中海沿岸地域の国々の食習慣をベースにした料理です。ヘルシーでバラエティの豊かさが大きな特徴です。
美食の宝庫:スペインの魚貝料理
タコ(プルポ)料理:ガリシアの誇りとアンダルシアの技
その容姿から悪魔の生き物とされ、忌み嫌われているタコ。実は、世界的に見てタコを食する国は少ないです。タコの消費量世界一は日本、第二位がスペイン。タコを愛する少数民族同士、通じあうものがあるのでしょうか。スペインのタコ料理は日本人の口に良く合います。
プルポ・ア・ラ・ガジェガ(ガリシア風タコ)

スペインで一番美味しい料理は何ですか?と聞かれたら、もの凄く悩みますが「ガリシア風タコ」プルポ・ア・ラ・ガジェガ (Pulpo a la Gallega) と答えます。これを食べずにスペインを立ち去ったとしたら、えっ、何の為にスペイン来たの?って位の美味しさです。
茹でたタコに粗塩、パプリカパウダー、オリーブオイルをかけるだけ。シンプルですが、シンプルがベスト。スペインは素材の味を生かした料理が得意なのです。スペイン人から絶大な人気を誇る料理で、元々はスペイン北部ガリシア地方の郷土料理なのですが、今ではスペイン全土で食べる事が出来ます。
地元のガリシア地方ではポルボ・ア・フェイラ (polbo á feira) と呼ばれます。ガリシア風タコを一口食べれば、タコの柔らかさに驚かされると思います。調理する前に棒で叩いて神経をとり、玉ねぎと一緒に茹でるのが秘訣なのだそう。
何処で食べても美味しい料理ですが、やはり本場が一番で、特にオウレンセの街のガリシア風タコが素晴らしすぎです。美味しいは勿論、安さとボリュームが凄い。ガリシア風タコは人類誰もが確実に美味しいと思うスペイン料理なので、絶対に必ず食べましょう。
フードキュレーターの補足メモ:銅鍋の科学
伝統的にガリシアではタコを銅鍋(Olla de cobre)で茹でますが、これには科学的な理由があります。銅イオンがタコの筋肉繊維のタンパク質を分解しやすくし、独特の柔らかさを生み出す効果があるとされています。また、「木の皿」で提供されるのも重要です。木が余分な水分を吸い取り、オリーブオイルとパプリカがタコに絡みやすくなるのです。
2026年現在、気候変動による海水温上昇の影響でガリシア近海のタコ漁獲量が減少し、価格が高騰しています。本場の「Polbeira(タコ専門店)」ではモロッコ産などの輸入タコを使用することも増えていますが、伝統的な調理法を守る店を選ぶことが重要です。
プルポ・フリート(小タコのフライ)

スペインで二番目に美味しいタコ料理は、スペイン南部アンダルシア地方名物の、小さいタコの丸ごとフライ、プルポ・フリト (Pulpo frito) だと思います。小さいタコ、しかも丸ごとじゃないと美味しさが激減するので要注意。
スペインは前述したガリシア風タコの人気が絶対的すぎて、他のタコ料理を扱うレストランが少ないです。色々な種類のタコ料理を食べたかったら、タコを名物とするスペイン北部を訪れるより、南部の海岸沿いに行きましょう。もしくはポルトガル。ポルトガルの方がタコ料理はバラエティが豊かです。
香ばしさの秘密
アンダルシアの海岸沿い(マラガやカディス)では、小麦粉ではなく、よりカリッと仕上がる「ヒヨコマメの粉」をブレンドして揚げているレストランが多いです。とても香ばしい仕上がりととなります。
エビ(ガンバ)料理:素材の甘みとアヒージョの魔力
スペイン人は極小のエビからロブスターまで、色々な種類のエビを食します。日本で食べるより断然安いし、日本では見かけないタイプのエビもあるので、スペインでは是非エビ三昧を楽しんで下さい。
ガンバ・ア・ラ・プランチャ(エビの鉄板焼き)

スペインのエビは茹でる、焼くが基本。ただ茹でたエビは普通に美味しいだけなので、スペインでは「エビの鉄板焼き」ガンバ・ア・ラ・プランチャ (Gamba a la plancha) をおすすめします。
シンプルに粗塩だけで食べるエビも美味しいのですが、香ばしく焼いた最後にオリーブオイル、ニンニク、パセリを加えるバージョンが最高に美味しいです。ニンニクの匂いが充満しているようなシーフードのレストランを狙って下さい。
フードキュレーターの推奨:デニアの赤エビ
もし予算が許すなら、メニューに「Gamba Roja de Dénia(デニアの赤エビ)」があるか探してください。バレンシア州デニア沖の深海で獲れるこのエビは、頭(ミソ)の旨味が別次元です。スペインのトップシェフであるキケ・ダコスタ氏も愛用しています。このエビは鉄板焼きで食べるのが一番美味しいです。
トルティジタス・デ・カマロネス(小エビのフリッター)

スペイン南部アンダルシア地方のカディス県を代表する郷土料理が小エビのせんべい、トルティジタス・デ・カマロネス(Tortillitas de camarones)です。水で溶いた小麦粉とひよこ豆の粉に、小エビ、小葱、パセリを加え、カリっとオリーブオイルで揚げた料理。安くて美味しい、ビールのお供に最高な食べ物です。
ガンバス・アル・アヒージョ

内陸部でエビを食べたくなったら、ガンバス・アル・アヒージョ(Gambas al ajillo)をおすすめします。土鍋にオリーブオイル、ニンニク、パセリ、鷹の爪を入れて熱し、具材を加えて油で煮揚げるように調理するアヒージョは、日本でも流行したスペイン料理です。
スペインでアヒージョと言えばエビが一般的ですが、ウサギ肉などの肉バージョンも存在します。具材の旨味が溶け出した、ピリ辛のオリーブオイルがとても美味しいので、パンでぬぐって食べましょう。エビのアヒージョはガンバス・アル・ピリピリ(Gambas al pil pil) と呼ばれる事もあります。
フードキュレーターの豆知識:「ピリピリ」の正体
「ピリピリ(Pil Pil)」という擬音語のような名前は、調理中に土鍋の中でオリーブオイルが跳ねる音に由来すると言われています。カスウェラ(土鍋)の保温性の高さが料理の鍵。しかし、本来の「ピリピリソース」はバスク地方のタラ料理(Bacalao al pil-pil)に見られる乳化したソースを指します。アヒージョとは別物なので要注意。
イカ(カラマール)料理:多彩な調理法と食感
スペインはイカの種類が豊富です。大、中、小、稚魚、様々なサイズのイカが食されていて、イカに関しては料理のバリエーションも豊富です。
チョピートス(イカの赤ちゃんフライ)

数あるイカ料理の中で一番お勧めなのが、イカの稚魚のフライ、チョピートス(Chopitos) 。スペイン全土何処ででも食べる事が出来ますが、海辺のレストランのテラスで、海を眺めながらチョピートスをつまみにビールを飲む。これがもう最高で、そしてこれこそが、スペイン人の正しいバカンスの過ごし方です。
地域による呼び名の違い
この料理は地域によって呼び名が変わります。アンダルシアでは「Puntillitas(プンティジータス)」と呼ばれることが一般的です。新鮮なものは、揚げても中からイカ墨がわずかに滲み出し、コクのある味わいを楽しめます。栄養学的にもタウリンが豊富で、夏の疲労回復に最適な一品です。
カラマーレス・ア・ラ・プランチャ(イカの鉄板焼き)

スペインではイカの大きさによって調理法を選んで食べて欲しいです。稚魚なら絶対にフライ、小さいイカなら鉄板焼き、カラマーレス・ア・ラ・プランチャ(Calamares a la plancha)が最高です。
カラマーレス・レジェ―ノス(イカの詰め物煮込み)

イカの中にひき肉などの具を詰め、イカ墨、サフラン、トマトなどのソースで煮込んだ料理。作る人によって全く異なるレシピとなりますが、イカの中に詰め物をした料理は全てカラマーレス・レジェ―ノス(calamares rellenos)と呼んでいます。
魚卵(ウエバス)料理:アンダルシアの珍味
スペイン人は魚卵を余り食べないのですが、スペイン南部の人達にとっては慣れ親しんだ食材。魚屋では色々な種類の魚の卵がごちゃ混ぜで量り売りされていますが、主にタラ科のメルルーサの卵を食べます。
ウエバス・デ・ぺスカード・ア・ラ・ビナグレタ(魚卵のマリネ)

茹でた魚卵と小さくカットした野菜を、オリーブオイルとワインビネガーで和えた料理がウエバス・デ・ぺスカード・ア・ラ・ビナグレタ (Huevas de pescado a la vinagleta)。スペイン南部アンダルシア地方の名物です。
ウエバス・デ・マルカ・エン・サラソン(スペイン風カラスミ)

アンダルシア名物で、高級食材または珍味としてもてはやされるのが、マルカの卵の塩漬け、ウエバス・デ・マルカ・エン・サラソン (Huevas de maruca en salazon) 。タラ科の魚の卵を塩漬けにして乾燥、熟成させたもので、味も食感も日本のカラスミによく似ています。
歴史トリビア:フェニキア人の遺産
「サラソン(Salazón)」と呼ばれる塩蔵技術は、3000年以上前にフェニキア人がスペイン南部のカディスやアリカンテにもたらした古代の保存技術です。日本のカラスミはボラ(Mújol)の卵ですが、スペインではこの「マルカ(Maruca/クロジマナガダラ)」の他、マグロの卵巣(Huevas de Atún)も同様に加工され、アーモンドと共に提供されるのが通の食べ方です。
貝(マリスコス)料理:ガリシアの宝とカタツムリ
スペインで一番良く食されている貝はムール貝。他の貝と比べて安価なので、色々な形で調理されます。しかし、スペインの海岸沿いを訪れたなら、ムール貝ではなく色々な種類の貝を楽しんで下さい。
メヒジョーネス・ア・ラ・マリネラ(ムール貝の漁師風)

スペインはメヒジョーネス、ムール貝を使った料理が豊富です。一番のおすすめは、漁師風ムール貝、メヒジョーネス・ア・ラ・マリネラーラ(Mejillones a la marinera)。ムール貝をトマトベースのソースで煮た料理。ムール貝の出汁が効いたソースが美味しいので、パンで拭って食べましょう。
ヴィエラ(ホタテのオーブン焼き)

スペイン北部ガリシア地方は、帆立貝、ヴィエラ(Vieira)が名物です。スペイン人はカキは生で食べますが、ホタテは生では食べません。オーブン焼きが主流。緑のソースやグラタンソースをかけて焼き上げます。
ガリシア地方同様、スペイン南部も魚貝類で有名ですが、焼くか揚げるの二択が多いです。スペインは一般的に北部の方が調理法が豊か。とは言っても、基本的にスペイン料理は素材の味を生かしたシンプルなものが多いです。
巡礼のシンボル
ヴィエラ(ホタテ貝)は「サンティアゴ・デ・コンポステーラの巡礼路」のシンボルでもあります。巡礼者が無事に旅を終えた証として持ち帰った歴史があり、ガリシア地方ではクリスマスなどの祝祭に欠かせない高級食材です。特に「Vieira a la gallega(ガリシア風ホタテ)」は、炒めた玉ねぎとハモン(生ハム)をのせ、パン粉を振って焼くスタイルが伝統的です。
カラコーレス(カタツムリ料理)

スペインを訪れたらカタツムリ、カラコーレス(Caracoles)を絶対に食べましょう。大・中・小、色々なサイズがあり、北部はフランスのエスカルゴのような大きいタイプ、南部は小さいカタツムリが主流です。
見るからにカタツムリなので、絶対無理、と最初は思うかも知れません。でも勇気を出して食べてみて下さい。絶対後悔しない美味しさです。カタツムリは煮込み意外の選択肢なし。でも作る人の数だけレシピがあります。
カタツムリは5月から6月にかけての短い期間でしか食べる事の出来ない食材。この時期にスペインを訪れると、至る所のレストランで「カタツムリあります」(Hay Caracoles)の看板が掲げられます。
食文化の深層:「チュパデオ」の儀式
アンダルシアでは、小さなカタツムリを食べる際に殻ごと口に含んで汁を吸うという行為が重要視されます。使用されるスパイス(ミント、フェンネル、カイエンペッパーなど)のエキスを吸い尽くすためです。マドリッドでは、より大きな品種「Cabrillas(カブリージャス)」を濃厚なソースの煮込みで食べるのが一般的です。
魚(ペスカード)料理:地域色が光る海の幸
一般的にスペイン北部は白身の魚、南部のアンダルシア地方は青身の魚、海のない中央部は川魚、またはタラの塩漬けの干物を使った料理を中心に食べています。
タルタル・デ・アトゥン(マグロのタルタル)

生の肉や魚を細かく刻み、スパイスで味付けした料理がタルタル。そのマグロバージョンがタルタル・デ・アトゥン(Tartar de atun)です。日本人なら確実に大好きな料理。スペインはマグロの捕獲量が世界第二位の国。日本で消費される黒マグロの7割近くがスペインから輸入されています。
紀元前からマグロを食べ続けているスペイン人ですが、伝統的に生魚を食べる習慣がありません。近年の日本食ブームで生魚に抵抗を持つ人が少なくなり、最近はサーモンやマグロのタルタルを扱うレストランが多くなってきました。
2026年の最新事情:持続可能なマグロ漁
スペイン、特にカディスのバルバテやサハラ・デ・ロス・アトゥネスで行われる伝統的な定置網漁「アルマドラバ」は、2026年現在も持続可能な漁業のモデルケースとして世界的に注目されています。産卵期に回遊してくる脂の乗ったマグロのみを捕獲するため、品質は最高級。現地では「Atún Rojo de Almadraba」というブランドで提供され、日本の大トロに匹敵する「Ventresca(ベントレスカ)」は絶品です。
モハマ(マグロの生ハム)

マグロ漁業で有名なアンダルシア地方のカディス県へ行くと、レストランのメニューがマグロ尽くしとなります。色々な形でマグロを食べさせてくれるので本当に楽しい。是非とも食べて頂きたいのは、海の生ハムと呼ばれるモハマ (Mojama)。
塩漬けにしたマグロの背肉を天日干しして作るマグロのジャーキーです。真空パックで販売されているので、良いお土産にもなるかと思います。海の香りがギュギュッと詰まった味がして本当に美味しい。でも最終的にはマグロは醤油とワサビで刺身にして食べたいとの結論に至ります。
チャンケーテス(イワシの稚魚)

スペイン南部、アンダルシア地方を訪れたら絶対に食べてもらいたいのが稚魚のフライ、チャンケーテス(Chanquetes)です。シラス位の大きさの魚を、小麦粉をはたいてオリーブオイルで揚げた料理。
ただ、スペインは環境保護のため稚魚の捕獲が法律で禁止されているので、現在食されているのは中国から輸入した淡水魚の稚魚です。そして、スペイン本土では禁止されていますが、マヨルカ島では食べることができます。
⚠️ 重要:2026年の法規制と代替品について
現在、本物のチャンケーテ(Aphia minuta)の捕獲・販売はEUの漁業法で厳格に禁止されており、違反店には高額な罰金が科せられます。多くのレストランで「チャンケーテス」として提供されているのは、合法的な代替品である「Pez de plata(シラウオの一種)」や、中国産の類似魚、あるいは「Chanquete chino(中国産シラスウナギの代替品)」であることがほとんどです。本物は絶滅危惧種保護の観点からも食べるべきではありません。ただし、マヨルカ島では合法的に食することが出来ます。
ボケローネス・フリートス(カタクチイワシのフライ)

スペイン南部のマラガ県はカタクチイワシが名物です。一番人気はフライのボケローネス・フリートス(Boquerones fritos)。レモンをしぼって頭も骨も丸ごと全部食べます。最近は身を開いて頭と骨を取り、レモンでマリネしてから揚げるバージョンも定着しました。
アンダルシア地方では通常の丸ごとフライと2種類用意しているレストランが殆どです。スペインの魚フライは小麦粉だけをまぶして揚げます。揚げ油はオリーブオイルでないとスペインの味になりません。安い店だとヒマワリ油などの安価の油で揚げているので注意が必要。匂いで嗅ぎ分けましょう。
ボケローネス・ア・ラ・ビナグレータ(カタクチイワシの酢漬け)

カタクチイワシはフライが王道ですが、マリネが個人的に一番だと思います。 ボケローネス・ア・ラ・ビナグレータ(Boquerones a la vinagreta)と呼ばれ、美味し過ぎてやばいやつです。カタクチイワシをワインビネガーでしめ、オリーブオイル、ニンニク、パセリで味付けます。
スーパーでも売られていますが、不味いので買わないで下さい。しかもオリーブオイルではなくヒマワリ油を使っていたりするので油臭い。スペイン全土、何処ででも食べる事が出来ますが、本場のアンダルシア地方が一番美味しいです。
⚠️ 食の安全情報:アニサキス対策
2026年現在、スペインのレストランでは法規制により、酢漬けなどの生に近い魚を提供する前に「-20℃で24時間以上」冷凍することが義務付けられています。これはアニサキス症を予防するためです。自家製(Casero)を謳うレストランでも、安全対策のために一度冷凍処理されたイワシで作ります。とは言え、心配な方は正露丸を用意しましょう。実は正露丸には、アニサキスを死滅させる働きがあるといいます。
ブニュエロ・デ・バカラオ(タラのフリッター)

水で戻した塩漬けの干しタラを小麦粉の生地に混ぜ、団子にしてフライにしたものがブニュエロ・デ・バカラオ(Buñuelo de bacalao)。ビールのつまみに最高ですが、タラ料理はお隣のポルトガルの方が得意。ポルトガルも訪れる予定なら、スペインではタラ料理をパスしていいかも。
カソン・エン・アドボ(サメのスパイス揚げ)

小さなサメの身をアドボと呼ばれる伝統的なスパイス液に漬け込んで衣を付け、カラット揚げた料理がカソン・エン・アドボ(Cazon en adobo) 。安くて美味しい、酒のつまみ代表格です。アドボには冷蔵庫の無かった時代に肉や魚を保存する役割もありました。
ニンニク、パプリカパウダー、オレガノ、クミン、ワインビネガーなどで作ります。サメの身のフワフワとした食感、カリっとした衣、スパイシーな魚の風味、全てのコンビネーションが最高です。ビールやスパークリングワインと合わせて下さい。
地域トリビア:「ビエンメサベ」の秘密
カディス県サン・フェルナンドでは、この料理を「Bienmesabe(ビエンメサベ=私にとって美味しい)」と呼びます。カソン(サメ)のアンモニア臭を消すために生まれた強いスパイス漬けの技法ですが、これが独特の旨味に変化しています。骨が全くなく、鶏肉のような食感のため、魚嫌いの子供にも人気があります。
情熱の肉料理:生ハムからジビエまで
豚肉料理:イベリコの至宝と伝統
スペインは豚肉生産量、そして豚肉や豚肉加工品の輸出量が世界第3位の国です。130ヵ国に輸出されていますが、スペイン国内で一番消費が多いのも豚肉。スペイン人が豚肉を主に食するのは、16世紀頃から始まった反イスラム主義の影響です。イスラム勢力から国を取り返す為に、イスラム教徒が禁じている豚肉を、国を挙げて推進したからです。
ハモン(スペイン産生ハム)

スペインと言えば生ハム、ハモン(Jamon)を食べないと何事も始まりません。残念ながら生ハムは、値段が高ければ高いほど美味しい食べ物。価格がダイレクトに味に反映するので、安い生ハムはそれなりの味しかしません。
遥々スペインを訪れたからには、奮発して高い生ハムを食べましょう。真のスペインの生ハムの実力を思い知って下さい。足の爪が黒いパタ・ネグラ (Pata negra) と呼ばれる品種が最高峰。放し飼いにされ、ドングリなど自然界にあるものだけを食べて育つ豚です。
プロの選び方:4色のタグを見極める
現在のスペインの法規制では、イベリコハムの品質は足首についているタグ(Bridas)の色で厳密に分けられています。
- ⚫ 黒タグ (100% Ibérico de Bellota): 最高級。純血種でドングリのみで育つ。
- 🔴 赤タグ (Ibérico de Bellota): 交配種だがドングリで育つ。
- 🟢 緑タグ (Cebo de Campo): 放牧され、穀物と草を食べる。
- ⚪ 白タグ (Cebo): 豚舎で穀物を食べて育つ。
「Pata Negra(黒い足)」という言葉は、厳密には「黒タグ」のみに使用が許されています。
メロン・コン・ハモン(生ハムメロン)
最上級の生ハムは、敬意を払って単体で厳かに食べますが、安い生ハムならメロンの上にのせて食べましょう。メロン・コン・ハモン(Melon con Jamon)と呼ばれ、暑い季節に好んで食べられています。
メロンの上に生ハムがのっていたら、単独で食べるのはキツイ位のレベルだと思って下さい。スペインの生ハムはしょっぱいと言う人は、このレベルの安い生ハムしか食べていないからだと思います。
本当に美味しいスペインの生ハムを食べたかったら・・・奮発して下さい。お値段が高くなればなる程、確実に美味しい生ハムとなります。安い生ハムはやたら塩辛いのですが、だからこそ甘いメロンとの組み合わせが美味しいのだと思います。
エンブティードス(腸詰め類)

スペインは生ハムが有名ですが、 エンブティードス(Embutidos)と呼ばれる腸詰類も美味しくて種類が豊富です。代表格はチョリソ―、サルチチョン、モルシージャ。腸詰に関してはスペインは余りにも種類があり過ぎるので、別記事で詳しくまとめました。スペインは生ハムだけじゃないんです!

ロモ・エン・マンテカ(豚肉のラード煮)

スペイン南部の田舎で定番の朝食が、豚の背肉をラードで煮揚げしたロモ・エン・マンテカ(Lomo en manteca)を挟んだサンドウィッチ。トーストしたバゲットに、たっぷりのラードと一緒に挟んで食べます。
白、またはオレンジ色のラードに漬けこまれていて、色付きは唐辛子などの香辛料が入っているからです。スーパーでも市販されていますが、田舎で手作りされたものがメチャクチャ美味しい。
ラードに漬けこまれる具材は豚の背肉の塊の他、細かく裂いた肉、レバー、ソーセージなど、色々な種類があります。ラードなだけに食べ過ぎるとお腹がもたれます。それでも辞められない美味しさ。最近都会では見かける事のなくなった伝統料理なので、アンダルシア地方の田舎を狙いましょう。
ラコン(ガリシア風ローストハム)

ガリシア地方特産のローストハムが、ラコン(Lacon) です。スペインでは生ハムの方が好まれますが、北部ではローストハムの方が主流です。日本のお中元などで頂く高級ハムに近い味で、厚めにカットしてオリーブオイルとパプリカパウダーをかけて食べます。
セラニート(アンダルシアの最強サンド)

アンダルシア地方の郷土料理セラニート(Seranito)は、豚の背肉、生ハム、揚げたピーマンをバケットで挟んだスペイン風サンドウィッチです。トマトや卵焼きが入るバージョンもありますが、シンプル版が一番美味しい。アンダルシア地方で小腹が空いた時は、絶対にセラニートを食べましょう。
ジビエ・牛・羊:通好みの肉料理
スペイン人の肉消費量の4割を占める豚肉。色々な理由がありますが、価格が安い事も大きいと思います。お値段は高くなりますが、スペインは牛、羊、狩猟で捕れるシカやイノシシの肉も美味しいです。
カルネ・デ・カサ(ジビエ料理)

スペインの田舎町を訪れたら絶対に食べて頂きたいのがシビエ料理。狩猟で捕れる肉、カルネ・デ・カサ (Carne de caza) です。シカとイノシシが中心で、とても野性味溢れる味です。狩猟の肉は中央ヨーロッパの人達が愛して止まない食材なので、90%が輸出されます。
スペインの都会のレストランだと、なかなかお目にかかれない食材なので、狩猟の盛んな田舎町を狙って下さい。スペインでは田舎なら何処でも狩猟が盛んで、スペインの殆どが田舎です。
コルデーロ・アサ―ド(子羊のオーブン焼き)

羊を使った料理で特に人気が高いのが、コルデーロ・アサ―ド (Cordero asado) と呼ばれる、子羊のオーブン焼き。味付けは粗塩と白ワインだけ。シンプルだからこそ肉の旨味を引き出して最高に美味しい料理となります。
子羊より更に小さい乳飲み子の羊は、コルデロ・レチャル (Cordero lechar) と呼ばれます。こちらの方が高価ですが断然美味しい。子豚の丸焼きとは異なり、頭ごと丸ごと出てくる料理ではないので、申し訳ない気持ちが若干薄れます。
美食の中心地:セゴビアとブルゴス
子羊(Lechazo)のローストなら、マドリッド北部のカスティーリャ・イ・レオン地方、特にブルゴスやセゴビアが聖地です。この地域には「Asador(アサドール)」と呼ばれる焼き料理専門店が多く、伝統的な薪オーブン(Horno de leña)で焼かれた肉は、皮はパリパリ、中はフォークで崩れるほど柔らかく仕上がります。
チュレトン(骨付きリブロースステーキ)

スペインは牛肉も美味しいです。特に骨付きの巨大なステーキ、チュレトン (Chuleton) がおすすめ。レストランのメニューに表記される値段は、キロ又はグラム単位の価格なので注意しましょう。1つ辺り2キロ近くあります。
薄く切って鉄板焼き、そのまま丸ごと炭火焼、どちらも美味しいです。日本の皆様は霜降り肉をもてはやすしますが、スペイン人は赤身の肉を愛します。チュレトンはマドリッド近郊のアビラの肉が最上級とされています。
2026年のトレンド:熟成肉(マドゥラシオン)の進化
近年、スペインでは牛肉の「Maduración(熟成)」ブームが続いています。特にガリシア産の「Rubia Gallega(ルビア・ガジェガ種)」の経産牛(10年以上生きた牛)の肉を、90日以上ドライエイジングしたチュレトンは、チーズやナッツのような芳醇な香りがして、世界のステーキ愛好家から「世界最高の肉」と称賛されています。
ラボ・デ・トロ(牛テールの煮込み)

スペイン風オックステールの煮込みがラボ・デ・トロ(Rabo de torro)。美味しいだけでなく、コラーゲンたっぷりなので美容に良いです。闘牛の盛んなアンダルシア地方の名物料理ですが、全国何処ででも食べられます。作る人の数だけ味付けが異なるので、何度食べても美味しい料理。
アルボンディガス(スペイン風肉団子)

スペイン風ミートボールがアルボンディガス(Albondigas)。トマトソースが一般的ですが、おすすめはアーモンドソースの肉団子。黄色のサフランソースも美味しいです。トマトソースのミートボールは普通に美味しいだけなので、赤いソースだったらパスしていいかも。スペインは食べるべき美味しい料理が沢山あり過ぎます。
究極の酒の友:タパスと小皿料理の世界
スペインの食文化を代表するのがタパス (Tapas) とピンチョス(Pinchos)。いずれも酒のつまみとなる小皿料理です。タパスとピンチョスに関する詳細は別記事で詳しくまとめました。


クロケータス(スペイン風コロッケ)

スペイン風コロッケがクロケッタス(Croquetas)。ベシャメルソースで作るクリーム系のコロッケです。色々な具材を入れますが、王道は生ハム入りのコロッケ。地方に行くと郷土色豊かな珍しいコロッケに出会う事が出来ます。
スペイン北部のアストゥリアス地方ならピリ辛のヤギのチーズに煮リンゴを組み合わせたコロッケが最強です。スペイン全土で食べる事の出来る、居酒屋定番の料理。スペイン人から絶大な人気を誇るので、コロッケ専門店も多いです。
文化論争:お母さん vs 有名シェフ
スペイン人にとって「世界で一番美味しいクロケータは?」という問いの答えは常に「自分のお母さん(またはお祖母ちゃん)が作ったもの」です。ジャガイモではなくベシャメル(ホワイトソース)で作るため、中のトロトロ加減と衣のカリカリ感のバランスが命。最近では、ミシュラン星付きレストランでも、独創的な具材(トリュフなど)を使った「グルメ・クロケータ」が競い合われています。
ケソ・マンチェゴ(羊乳チーズ)

チーズはフランスの方が圧倒的に種類が豊富です。スペインではマンチェゴと呼ばれるハードタイプのチーズを中心に食べます。チーズ売り場に行くと、ケソ・マンチェゴ(Quezo manchego)の名の元に、姿形は同じだけれど味と食感が異なるチーズが並んでいます。
丸くて大きいのですが、量り売りなので自分の好きな分量だけカットしてもらいます。味の違いはミルクの違い。牛→羊→ヤギの順番でクセが強くなります。食感の違いは熟成度の違い。古ければ古い程固く、高価なチーズとなります。
熟成度(Curación)のガイド
チーズを買う際の参考にしてください:
- Semicurado (3-6ヶ月): 柔らかくマイルド。万人受けします。
- Curado (6-12ヶ月): コクが増し、少し硬くなる。赤ワインに最適。
- Viejo / Añejo (12ヶ月以上): 非常に硬く、アミノ酸の結晶がジャリっとする。濃厚でスパイシー。
本物のマンチェゴチーズには、必ず「D.O.P.(原産地呼称保護)」のロゴが入っています。
エスカリバーダ(焼き野菜のマリネ)

バルセロナを中心としたカタルーニャ地方を代表する郷土料理が、エスカリバーダ (Escalivada) 。パプリカ、ナス、トマト、玉ねぎなどの野菜をオーブンで焼いてマリネにした料理です。結構作るのがメンドクサイので、最近は手作りする人が少なくなりました。
サルモレッホ(食べる冷製トマトスープ)

スペインは世界有数のトマトの産地。ありとあらゆる料理にトマトが入ります。数あるトマト料理の中で一番おすすめなのが、冷たいトマトのピュレー、いやディップ、何とも形容し難いサルモレッホ (Salmorejo) です。
スペインはトマトをメインにして作る冷製スープ、ガスパチョ(Gazpacho)が有名ですが、個人的に断然サルモレッホの方が美味しいと思います。ガスパチョは暑い季節に最高なのですが、酸味がかなり強いのでドレッシングを飲んでいるような気分にもなります。
サルモレッホは優しくまろやかな味。トマト嫌いな方でない限り、サルモレッホの方が絶対に日本人好みだと思います。もう絶対おすすめ。
フードサイエンス:乳化の魔法
コルドバ発祥のサルモレッホがクリーミーな理由は「乳化(Emulsión)」にあります。トマト、古くなったパン、ニンニクに大量のオリーブオイルを少しずつ加えながらミキサーで撹拌することで、マヨネーズのようなとろみが生まれます。ガスパチョが「飲むサラダ」なら、サルモレッホは「食べるクリーム」です。トッピングのゆで卵と生ハムが良いアクセントになります。
パタタス・ブラバス(ピリ辛ポテト)

ポテトフライにピリ辛ソースをかけた料理がパタタス・ブラバス(Patatas bravas)。大好きな料理ですが、最悪な場所だとケチャップにタバスコを混ぜただけの酷い代物が出てきます。当り外れの振り幅がメチャクチャに大きい料理。
価格が安い食べ物なので、外れたら諦める、そして再びトライの連続です。私を含めパタタス・ブラバスが大好き過ぎる人が多いので、ネットに情報が沢山あります。何処が一番美味しいのか事前にチェックしてから行くのがベストです。
私のようにレストランへ行ったら取り合えずパタタス・ブラバスを注文する人も多い。今の所バルセロナにあるBARトーマスのパタタス・ブラバスが総合的に一番美味しい。スペイン全土で食べる事が出来ますが、バルセロナ以外の地は総じてレベルが低いです。
地域対決:マドリッド vs バルセロナ
パタタス・ブラバスには2つの流派があります。
1. **マドリッド流:** 小麦粉、パプリカパウダー、肉の出汁で作る温かいオレンジ色のソース。
2. **バルセロナ(カタルーニャ)流:** アリオリ(ニンニク・マヨネーズ)に辛味オイルをかけたもの。これは「BAR Tomás de Sarrià」のスタイルで、世界中からファンが訪れます。
パタタス・ア・ラ・カブラレス(ブルーチーズポテト)

ポテトフライにヤギのチーズソースをかけた料理が、パタタス・ア・ラ・カブラレス (Patatas a la cabrales) 。スペイン北西部アストゥリアス地方の名物、ピリッとした辛さが特徴のヤギのチーズを使って作るソースです。
ポテトフライとの相性が最高過ぎますが、このチーズソース、アストゥリア人にとっては醤油の位置づけ。ポテトに限らず肉、野菜、魚、何にでもかけて食べます。他の地方では食べる事の出来ないソースなので、アストゥリアス地方を訪れたら絶対に食べましょう。
チャンピニオーネス・ア・ラ・プランチャ(マッシュルームの鉄板焼き)

丸ごとのマッシュルームの中に生ハム、ニンニク、パセリ、オリーブオイルを詰めて鉄板で焼いた料理が、チャンピニオーネス・ア・ラ・プランチャ (Champiniones a la plancha)。マドリッドにあるメソン・デル・シャンピニオンが一番有名ですが、スペイン全土何処で食べても美味しいと思います。
ピミエントス・デ・パドロン(シシトウの素揚げ)

スペイン北部特産の、辛くないシシトウガラシをオリーブオイルで揚げて粗塩を振っただけのシンプルな料理が、ピミエントス・デ・パドロン(Pimientos de Padron)です。スペイン人は飲みに行くと必ずとりあえず的にこの料理を注文します。
偶にとても辛いシシトウガラシが混ざっているので注意しましょう。通常は全く辛くない小ぶりなピーマンなのですが、偶に何本かメチャクチャに辛いのが存在します。シンプルだけどとても美味しく、ビールがクイクイ進みます。
フードサイエンス:辛さのロシアンルーレット
ガリシアのことわざに「Pimientos de Padrón, unos pican y otros no(パドロンは辛いのもあれば、辛くないのもある)」とあります。この辛さの元「カプサイシン」は、水不足や強い日差しなどのストレスを植物が感じた時に生成されます。そのため、晩夏(8月後半〜9月)に収穫されたものほど辛い個体(当たり)に遭遇する確率が高くなります。
お米の国スペイン:パエリアとその仲間たち
米(アロス)料理:出汁を吸わせる至高の技
スペイン人はヨーロッパの中で最も米を食べる人種だと思います。米料理の種類も多い。面白い事にスペインで米料理はオカズの扱い。パンと一緒に食べます。スペイン全土何処でも米料理を食べますが、米の産地であるバレンシアが一番種類が豊富です。
パエリア(スペインの国民食)

日本人はパエリアと呼びますが、スペイン人はパエージャ(Paella)と発音します。国際的に一番有名なスペイン料理。ただスペイン人はパエリアを余りレストランで食べません。週末に家族が揃った時、または海や山などへ行った時に作ります。
パーティピーポーなスペイン人は、野外で大きなパエリアを作って皆で食べるのも大好き。パエリア鍋は1人用から写真のような50人用、更にはもっと大きなサイズまで存在します。
クレーン車で用意した特大パエリア鍋を使って、年に一度の祭の日に村人全員にパエリアを振舞う事も多いです。パエリアは昼間に食べるもの。夜にパエリアを食べるのは外国人だけです。
それなりの味ではありますが、安くパエリアを食べたい人は木曜日にレストランへ行きましょう。パエリアの日と定めているレストランが多く、ランチメニューの前菜としてパエリアを食べる事が出来ます。
⚠️ 定義に注意:本物のパエリアとは
バレンシア人にとって「パエリア(Paella Valenciana)」の具材は厳格に決まっています。鶏肉、ウサギ肉、モロッコインゲン、ガラフォン豆(白い平豆)のみです。魚介が入ったものは「Arroz de marisco(魚介ご飯)」や「Paella de marisco」と呼び分けます。また、鍋底にできるお焦げは、メイラード反応による旨味の凝縮体であり、一番のご馳走とされています。
アロス・コン・ボガバンテ(オマール海老のパエリア)

予算に余裕があるならアロス・コン・ボガバンテ(Arroz con Bogavante)、ヨーロピアン・ロブスターのパエリアがお勧めです。ロブスターが丸ごと入った豪華版パエリアで、出汁の濃さと旨さが凄いです。
通常パエリアには汁気のないバージョンとオジヤ風の二種類あります。美味しいのは絶対に汁気のない方。特に鍋の底のオコゲが最高です。お米はパスタと同じ扱いなので、アルデンテで少し芯を残して炊き上げます。
アロス・ネグロ(イカ墨のパエリア)

イカ墨のパエリアがアロス・ネグロ(Arroz negro)。イタリアだとイカ墨はパスタの方が美味しいのですが、スペインなら絶対的にパエリアです。とても美味しいのですが、食べた後、歯がおはぐろ状態になるので歯磨きが必要です。
パエリアはレストランによって美味しさの当たり外れが激しいのですが、アロス・ネグロは何処で食べても安定の美味しさだと思います。マヨネーズのようなニンニクソースと一緒に食べると更に美味しい。
フィデオワ(パスタのパエリア)

パエリアの麺バージョンがフィデオワ(Fideua)です。漁師さん達が売れ残った魚貝類を使ってパエリアを作ろうとしたら米が無い事に気づき、しょうがないからパスタをポキポキ小さく折って米の代わりに使ったのが始まりだとされています。
色々なサイズのパスタを使いますが、極細のが一番美味。パエリアはスペインを代表する料理ですが、本当に美味しいパエリアを見つけるのはとても困難です。その点フィデオワは何処で食べてもそれなりに美味しい。ニンニクソース、アリオリとの相性も抜群です。
発祥の地:ガンディア
フィデオワはバレンシア州の港町ガンディア(Gandía)が発祥です。ここでは毎年「フィデオワ国際コンクール」が開催されています。米と違い、フィデオは油を吸いやすく、焼くと香ばしくなるため、調理の最初に麺をオリーブオイルでしっかり炒めるか、揚げてから煮込むのがプロの技です。
ミガス(羊飼いのパン料理)

スペイン中央部、エストレマドゥーラ地方を代表する郷土料理がミガス(Migas)。固くなってしまったパンを捨てずにリサイクルする魔法のレシピです。スペインはとても乾燥しているのでパンが直ぐに固くなります。
石みたいに固くなったパンをナイフで削り、オリーブオイルとニンニクで炒めて作る料理で、スペイン版のチャーハンみたいな食べ物です。調理する時に根気良くかき回して、パンが細かくなればなる程美味しいとされます。
ミガスは材料費は安いけれど、作るのがとてもメンドクサイ料理。なので最近は殆ど家で作る事のなくなった、スペインの伝統的な家庭料理です。一週間に一度、ミガスの日と決めているレストランが多いので狙って下さい。
癒やしのスペイン料理:伝統のスープ
ソパ・デ・カスティージャ(ニンニクとパンのスープ)

スペイン中央部、カスティージャ・イ・レオン地方を代表する郷土料理がソパ・デ・カスティージャ(Sopa de castilla)。たっぷりのニンニクとパン、そして卵が入ったスープです。スペインは硬くなったパンを再利用するレシプが豊富です。このスープもしかり。体がポカポカ温まる、寒い冬にお勧めの美味しいスープです。
歴史的背景:宗教とスープ
このスープは別名「Sopa de ajo(ニンニクのスープ)」とも呼ばれます。肉を使わず、パン、水、ニンニク、パプリカ、油だけで作れるため、歴史的に四旬節(復活祭前の断食期間)によく食べられていました。シンプルながら栄養価が高く、スペインの厳しい内陸部の冬を乗り越えるための知恵が詰まっています。
ファバーダ(白いんげん豆の煮込み)

アストゥリアス地方名物の郷土料理がファバーダ(Fabada)。スープと言うかポタージュのような料理で、大きな白インゲン豆をソーセージや肉と一緒にコトコト煮込んで作ります。スペイン人は豆料理がとても上手。豆の種類も多いです。
ファバーダは栄養価が高く体も温まるので、冬の寒さが厳しいアストゥリアス地方で欠かせない料理。レストランでは前菜として出てきますが、とても重たい料理なのでメインとして食べた方が良いかと思います。
食材へのこだわり:ファベス
本物のファバーダには「Faba Asturiana」というD.O.P.(原産地呼称)認定された特定の白インゲン豆が使われます。この豆は調理しても皮が破れにくく、バターのように滑らかな食感が特徴です。煮込みに使われるチョリソやモルシージャ(血入りソーセージ)のセットは「Compango(コンパンゴ)」と呼ばれ、スモーキーな風味が豆に移るのが美味しさの秘訣です。
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コメント
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