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スペイン料理のピンチョスとは何なのか、スペインの食文化

      2022/02/04

スペインを代表するグルメがタパスとピンチョス。古くからスペインに伝わるタパスとは違い、ピンチョスは最近生まれた新しいスペインのグルメです。そして最近のスペイン、タパスよりピンチョスをメインにするレストランやバーが増えています。近い将来、スペインのタパス主体の勢力図が塗り変えられるのかもしれません。そんな飛ぶ鳥を落とす勢いの新勢力、ピンチョス。いったいどのような料理なのでしょうか。

スペインのタパスとはどんな料理なのか

タパスとは、レストランやバーなどで飲み物を注文すると無料で付いてくる食べ物、もしくは有料で注文する小皿料理の事です。本格的な食事を取る前に軽く何かをつまみ、食欲を増進させるのが狙いです。

古くからある生活の知恵であり、空きっ腹でお酒を飲んで悪酔いするのを防ぐ働きもあります。タパスは古い歴史を持つ、スペインを代表する食文化。それを進化、発展させたグルメの形がピンチョスです。

ピンチョスとはどのような料理なのか

ピンチョスとはどのような料理なのでしょうか。タパスもピンチョスもアルコール等を飲む時に食べる、小さな割り当ての料理を意味します。両者の違いはずばり、見た目。タパスは小皿で提供される料理なので、基本的に食べる時にフォークやスプーンが必要です。

一方ピンチョスはスライスしたパン、またはパンの代わりとなる食べられる土台の上に何かをのせたもの。手でつかんで、パクっと食べる事が出来ないほど具沢山なものが多いので、ピンチョスと呼ばれる串を刺してパンから落ちないようにします。

ピンチョスの方が豪華に見える理由

ピンチョスはタパスより手が込んでいて、使っている食材もピンチョスの方がレベルが上です。タパスが無料で提供される事が多いのに対して、ピンチョスは有料だからです。

無料のタパスは選ぶ事が出来ません。何か飲み物を注文すると、お店側が適当に見繕ってタパスを出してくれます。選択される事がないので、見た目より内容重視。無料である分食材が安く、手間暇のかからない料理が理想です。

例えるなら大鍋で一気に大量に作れるような煮込み料理でしょうか。その点ピンチョスはお客様が目で見て選ぶので、どれだけ人の目を引き、美味しそうに見えるかが勝負となります。だからピンチョスは、時にまるでアートのような見目麗しさを持つのです。

タパスとピンチョスの未来

タパスとピンチョス、出回り始めた頃は明確な違いがあったのですが、今では同じ扱いをされる事が多くなってきました。ピンチョスに影響されて手の込んだタパスが作られるようになったからです。

反対に長く続く経済危機の影響で、安い食材を使って簡単に調理出来るピンチョスを無料、または安い値段で提供する店が多くなりました。今後は更にタパスとピンチョスの境目が無くなって、同じものとして扱われていくのでしょう。

ピンチョスが生まれた時代

スペインのタパスはアストゥリアス王国時代(718年~914年)から存在していたとされます。対するピンチョスが生まれたのはごく最近、スペイン経済に確かな復興の兆しが見え始めた1970年頃です。

タパスに関するあれこれ、スペインの立ち飲み文化、スペイン人がいかにバーと共にあるかをまとめた記事がこちらです。

スペインのグルメと観光業の関係

スペインの現代史は困難の連続。第二次世界大戦だけでなく、スペイン内戦も生き抜かなければなりませんでした。国に平和が戻っても、人々の生活は困窮し、飢える人も多くいました。

スペイン人にとって食事とは、長きに渡って飢えない為の手段でした。それを変えたのが観光業です。スペインは1960年頃から国をあげて観光業に力を入れ始め、やがて直ぐにスペインの経済を支える程の存在となりました。

多くの外国人がスペインを訪れるようになったので、レストランが増えます。観光業は雇用を増やし、スペイン人を豊かにしました。こうして外国のお金持ちだけでなく、スペインの人達も食を楽しむ為にレストランへ行くようになったのです。

スペインのグルメはビーチから花咲く

スペインは歴史的建築物が多く残る、観光資源豊かな国です。世界遺産も多く抱えています。それでも多くの観光客が、スペインを訪れる一番の目的は太陽と海。お金持ちで日差しの少ないヨーロッパ北部の人達が、こぞってスペインのビーチへ押し寄せます。その結果スペインは色々な意味で、海岸線を中心に発展していきました。

スペインのビーチを代表するのが、北部バスク地方にあるラ・コンチャ海岸。国内外のお金持ちが集まる事で有名なので、レベルの高いレストランやバーが沢山あります。その中の、とあるレストランの主人が、食べやすいようにパンの上に何かをのせてお客様に振る舞い始めました。これがピンチョスの起こりです。

ピンチョスとバスク地方の関係

もともとバスク地方は、食べ物に対する意識や愛がとても強い土地です。スペイン随一の工業地帯で、他のどの都市より経済力もあります。舌の肥えた外国のお金持ちだけでなく、地元の人達も巻き込んで、この地方に生まれたピンチョスはどんどん創意工夫され発展していきました。

バスク地方のレストランやバーが中心となって、美味しいだけでなく、見た目にもこだわった、才色兼備のピンチョスが競い合うように生み出されていったのです。今でも毎年ピンチョスの優劣を競う、多くのコンテストが開催されています。

スペインで一番のインスタ映え料理

ピンチョスの本場、バスク地方では、長いカウンターの上に所狭しと色々なピンチョスを並べているレストランやバーが多いです。美味しそうなだけでなく、色鮮やかで見た目も麗しいピンチョスが、ずらーっと並んでいるのは大変インパクトがあります。

特に外国人の関心を大いに集め、多くの写真が撮られ世界中に発信されました。その影響からか、最近ではスペイン料理と言えば自動的にピンチョスを思い浮かべる人の方が多くなっていると聞きます。

食べ物は五感を使って楽しむもの。目に見て楽しいピンチョスの文化が、今後は更に世界中に広がるのかもしれません。目で楽しむだけでなく、少しづつ色々な味を楽しむ事が出来るピンチョスのスタイルは、選択肢の多い今の時代の人達に最良な形なのかもしれません。

美味しいスペイン料理のすすめ

スペインを代表するグルメはタパスやピンチョスだけではありません。スペインはヨーロッパで屈指のグルメ大国。美味しいものが沢山あります。別記事でスペインを訪れたら絶対食べたい、おすすめの美味しいスペイン料理をまとめました。

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