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アフリカの危険な野生動物、アフリカのサファリに関する全て

      2022/02/24

アフリカと言えばサファリです。通訳として働いていた時に見聞きした、サファリツアーのガイドさん達の面白為になる話をまとまました。アフリカの危険な野生動物、おすすめの野生動物保護区や国立公園、サファリに関する色々な情報をまとめます。

サファリとは何なのか

サファリとは、アフリカ東部の言葉スワヒリ語で「長い旅」を意味します。19世紀頃からは、欧米の裕福層がアフリカ東部を訪れ、陸路で移動しながら大型の野生動物をハンティングして楽しむ旅をサファリと呼ぶようになりました。

乱獲によって野生動物の数が激減し、動物愛護の風潮が強まる事で、アフリカでのハンティングが規制されるようになりました。近年はサファリと言えば、銃をカメラに持ち替えて、観察目的で野生動物を追うツアーを指すようになりました。

最近はサファリの意味がが拡張され、アフリカ大陸だけでなく、秘境とされる極地、密林、砂漠などを訪れるツアーもサファリと呼ばれるようになっています。サファリという言葉の響きに、冒険心をくすぐられるようになりました。

サファリのビッグ・ファイブ

サファリツアーで一番耳にする言葉が、ビック・ファイブ(BIG5)です。野生動物が数多く生息するアフリカで、最も危険で、なかなか見る事の出来ない大型野生動物であるサイ、ゾウ、ライオン、バッファロー、ヒョウを意味します。

ビック5の動物達は勇敢に抵抗するので、ハンター達から恐れられ、同時に強い闘争心も煽りました。世界中の腕に自信のあるハンター達が、ビック5を求めてアフリカへやってくるようになり、ビック5の動物達は次々と狩られてしまいます。

ビック5の動物達は、食物連鎖のトップに立つ大型動物です。小型動物と比べて元々個体数が少ないのに、乱獲によって更に激減してしまいました。現在は国際法で保護されていますが、希少価値のあるビック5の牙、角、毛皮を目当てとした密猟が未だ絶えません。

アフリカで最も危険な野生動物

アフリカライオン

百獣の王であるライオンは、王様らしくとても怠惰です。一日に4時間位しか活動しないので、殆どの時間を木陰などでゴロゴロして過ごします。狩をするのはメスの役割、子供の面倒も狩に出ない年長のメスがします。

オスはゴロゴロ休憩するだけで何もしていないのに、メスが捕まえた獲物を一番に食べます。オスの食べ残しを子供とメスが食べるのです。オスの役割とは何なのでしょうか。ずばりセックスです。

ライオンには繁殖期がなく、メスは不定期に発情します。ライオンは群れの中の一匹が発情すると、同調して周りのメスも発情期を迎える事が多いです。一回の交尾時間は20秒と短いのですが、ライオンのメスは何回も交尾を求めます。

更にはハーレムを形成しているので、何匹もメスが居ます。交尾回数が1日に50回にも及ぶ事があり、狩りで怪我をしたり消耗して、肝心の交尾の時に役に立たないと困るのです。

どんなに頑張ってメスを満足させていたとしても、老いは必ずやってきます。ライオンの群れは、若くて強いオスに乗っ取られる事が多いです。群れを追い出されたオスライオンの末路は、とても哀れだといいます。

ライオンは子殺しで有名ですが、自分の子供を殺す訳ではありません。群れを乗っ取って新しいリーダーとなったオスが、前リーダーの子供達を殺します。子供がいる間はメスが発情しないので、自分の子孫を残す為の「子殺し」です。

母親たちは、自分達の子供が殺されるのを黙認します。より強いオスの種で、より強い子供を産む方が得策な事を本能的に知っているからです。交尾は強い痛みを伴うので、メスはオスを殴ります。だから発情期のメスを抱えたオスは傷だらけ。

一見男尊女卑のように見えるライオン界、実はメスの方が強くてしたたかなのかもしれません。ちなみにライオンは最強ではありません。狩りはかなり下手くそで、30%に満たない成功率。狩の上手な他の動物達のおこぼれに預かったり、横取りしたりするので、実はハイエナよりライオンの方がよっぽどダーティです。

アフリカ大陸のサイ

アフリカ大陸には、シロサイとクロサイ、2種類のサイが生息します。白、黒と名付けられていますが、体の色はどちらもグレー。容姿も似たりよったりなので、口の形で見分けます。

クロサイは木の葉を主に食べるので、口が上向きで尖っています。シロサイは地面の草を食べるので、一度に多くの草を食べれるよう、口の幅が広く平べったいのが特徴です。現地の人達はシロサイを口の幅が広いサイと呼んでいます。

英訳された時、ワイドがホワイトと聞き間違えられてシロサイとなり、シロの対としてクロサイと名付けられました。元々は誤訳であったものが定着した珍しい例で、通訳として働いている私にとっては、何だか感慨深い話でした。

近年クロサイの生息数が98%減少しました。現在は6000頭近くまで回復していますが、絶滅が危惧されている動物です。クロサイだけではありません。現在世界に5種類のサイが存在しますが、いずれも絶滅が危惧されています。

主な原因は密猟。サイの角は装飾に使われたり、万病に効く薬として、金やコカインよりも高額で取引されています。現在は国際的な保護下にありますが、密猟が絶えない状況が続いています。

シロサイは同じ場所に排便する習性を持つので、時には塔のように糞が積み重ねされます。サファリツアーのガイドさん達は、糞のタワーを目印に行動範囲を予想して、私達にシロサイを見せてくれます。

アフリカゾウ

陸上の哺乳類の中で最も大きい動物がアフリカゾウ。その巨体を維持するのに1日に150キロの植物と100Lの水を必要とするので、ほぼ一日中食事をして過ごします。写真に注目して下さい。足が5本もあると思いきや、ゾウのペニスです。体だけでなくペニスまで巨大です。

ゾウは殆ど全ての大陸に生息していたのですが、今ではサハラ砂漠以南のアフリカと東南アジアだけになってしまいました。象牙を目当てに乱獲されたからです。特にアフリカゾウのオスの牙は、最大3mに達します。

アフリカで象牙は、金と並ぶ重要な交易品として扱われてきました。モザンビークは内戦時にアフリカゾウを戦車で狩り、象牙を売って戦争の資金源としていたので、国内のゾウを90%も減少させてしまった程です。

ゾウの個体数が激減したので、1989年のワイントン条約で象牙の取引が禁じられました。皮肉な事にそれが象牙の価値を更に高める結果となり、今でも密漁は絶えません。1930年頃に1000万頭近く生息していたアフリカゾウが、今では45万頭ほどになってしまいました。

国際的な保護政策によりゾウは年々個体数を増やしていますが、困った問題がおきています。ゾウが農作物を荒らすようになり、ただでさえ貧しい人達の生活を脅かしているのです。人間と動物の共存は、本当に難しいと考えさせられました。

ゾウは群れで行動しますが、群れを作るのはメスと子供達だけでオスは単独で行動します。オスは群れから群れを渡り歩き、交尾可能なメスを見つけて種をまき散らす必要があるのです。巨大なゾウは敵がいないので、単独でいても危険がありません。

アフリカスイギュウ

アフリカスイギュウ(バッファロー)はサバンナの雄と称される、アフリカ大陸最強の生き物です。大変気性が荒く、特に手負いや群れから離れた単独のオスがとても攻撃的で、ハンターの間で一番恐れられている野生動物です。

百獣の王とされるライオンですら、よっぽど飢えていない限りアフリカスイギュウは襲いません。100頭以上の群れで行動する事が多く、気性が荒い上に仲間思いです。幼い子供が襲われると円陣を組んで反撃します。ライオンも3匹以上のチームプレーを駆使して襲いますが、アフリカスイギュウを狩るのは本当に難しいです。

アフリカヒョウ

ヒョウは数的にはクロサイの倍ぐらい存在しますが、単体で行動し用心深く、夜行性でもあるので、BIG5の中で一番見る事が難しい動物です。オスとメスが行動を共にするのは交尾の時だけ。ただ子供は二年間母親と共に過ごします。

アフリカでは木の上に動物の死骸がぶら下がっている事が多々あるのですが、これはヒョウの仕業。他の動物に横取りされないよう、獲物を木の上に運ぶ習性があるからです。

アフリカで見る事の出来る野生動物

アフリカでは最も危険な動物ビック5の他にも、沢山の野生動物を見る事が出来ます。サファリツーアーに参加すると、目ざといガイドさんが色々な動物を見つけ出し、教えてくれるのですが全て英語です。

私は通訳として働いているので語学は得意なのですが、動物の名前には苦労させられました。アフリカで見る事の出来る野生動物と植物の英語名と日本語訳のリストを別記事でまとめてあります。自分で言うのもなんですが、本当に便利です。

アフリカのサファリのベストシーズン

雨季だと草木が邪魔となるので、乾季の方が動物達を観察しやすいです。その為12月から2月、6月から10月の乾季が、サファリツアーのベストシーズンとされています。

ただ雨季でも雨が一日中降り続く事は稀で、動物達もきちんといるので、基本的には一年を通して楽しめます。雨季から乾季となる6月から7月にかけては、新芽を餌とする草食動物の活動が活発になり、それを狙う大型の肉食動物も活発になるのでおすすめです。

動物の赤ちゃんを見たいなら、11月~3月の出産シーズンを狙って訪れましょう。アフリカ名物のヌーの大移動を見たいなら、7月から9月辺りを狙って下さい。数万頭に及ぶヌーの大群が川を渡る大迫力のシーンを見る事が出来ます。

アフリカのサファリでの注意点

アフリカのサファリツアーは、プロのガイドさんが色々と面倒をみてくれるので安全です。アフリカで最も危険とされる野生動物達も、ガイドさんの指示に従てさえいれば害はありません。

アフリカのサファリツアーで一番注意しなくてはならないのがカです。毎年多くの犠牲者を出しているマラリアの原因です。カ対策は十分にしましょう。マラリア予防薬も飲んだ方が確実です。マラリアとカとマラリア予防薬に関しては別記事で詳しくまとめてあります。

サファリツアーでおすすめの国

タンザニア連合共和国

東アフリカに位置するタンザニア (Tanzania) 連合共和国は、サファリツアーとアフリカ最高峰のキリマンジャロで有名な国です。テロや誘拐が他のアフリカ諸国と比べれば少ないので、比較的安全な国とされています。

タンザニアのサファリツアーの一番の魅力は、広大さ。アフリカの大自然を一番実感できる国です。ヌーの大移動なども見れるので、動物の数を求めるならタンザニアがおすすめです。

ケニア共和国

アフリカのサファリツアーと言えば、タンザニアと並んで人気が高いのがケニア (Kenya) 共和国です。特に7月から10月頃に旅行を計画しているなら、絶対におすすめ。マサイマラ国立保護区で100万頭のヌーの大移動を見る事が出来ます。

南アフリカ

ビック・ファイブの全ての動物を見たいなら、南アフリカのサファリツアーが一番確立が高いと思います。南アフリカの魅力は多種多様さ。色々な種類の動物を見たいなら南アフリカがイチオシです。柵の無い動物園だと思って下さい。

南アフリカはサファリツアー以外の見所も沢山あります。首都ヨハネスブルグは世界有数の治安の悪さですが、近年国を挙げて観光に力を入れているのでかなり向上しています。最新設備の豪華なホテルなどをガンガン作っているので、今後は南アフリカがサファリ界をリードしていくのかもしれません。

ボツワナ

アフリカで一番治安が良いとされているのがボツワナです。ダイヤモンドの産出が世界一、その他の鉱物資源も豊富なので、国力が安定しているからです。観光客が少なく、他の国のサファリがかなり観光化されているので、真のワイルドを求めるのならボツワナが一番おすすめです。

アフリカ各国のサファリの名所

タンザニアのンゴロンゴロ

タンザニア北部にあるンゴロンゴロ保全地域 (Ngorongoro Conservation Area) は、300万年前の大噴火によって作られた、世界最大級のカルデラの中にあります。

ンゴロンゴロとは現地マサイ族の言葉で「大きな穴」を意味します。標高2,400mの外輪山に囲まれた、南北に16km、東西に19kmの巨大な穴の中に草原、湿地、湖などが広がります。

カルデラを取り囲む山に、湿った風がぶつかって頻繁に雨が降るので、一年を通して乾季が無く、水と緑に恵まれています。水と食べ物が豊富にあるので、カルデラ内部に生息する約2万5千頭の野生動物達は、クレーターの外には出ず一生を過ごします。

ンゴロンゴロ保全地域は、世界遺産ではありますが国立公園ではありません。ンゴロンゴロには古くからマサイ族が暮らしており、国立公園内には人が住む事が出来ない為、保全地区に留まっているのです。

タンザニアのセレンゲティ

四国より大きな面積を持つセレンゲティ国立公園は、マサイ語で「果てしなく広がる平原」を意味します。地平線まで続く広大なサバンナに、60種類以上、300万頭を超える野生動物が生息しています。

アフリカで一番の国立公園にも選ばれました。おすすめは雨季。隣接するケニアのマサイマラ国立公園から多くの動物達が移動してきます。8月から12月にかけてはヌーの大移動を見る事が出来ます。ンゴロンゴロ保全地域にも近いので、セットで訪れる人が多いです。

タンザニアのマニャラ湖

タンザニア北部に位置するマニャラ湖は、木に登るライオンで有名な場所です。バブーンやゾウの大群が道路を横切る事が多々あるので、意外と人気のある場所です。

ケニアのマサイマラ

ケニア南西部、タンザニアとの国境沿いに位置するマサイマラ国立保護区 (Masai Mara) は、1800㎢の広さを持ち、野生動物の生息数が多い事で有名です。ビック5の全ての大型動物が生息し、キリンの群れも大きいです。特にライオンが有名です。

タンザニアのセレンゲティ国立公園に隣接していて、両公園内を大移動するヌーの大群で有名な場所です。ヌーの大移動は毎年7月~10月頃です。

ケニアのナクル湖

鳥好きにおすすめしたいのが、世界遺産に登録されているナクル湖国立公園。400種類以上もの鳥が観測出来るので、バードウォッチングのメッカとなっています。数百万匹のフラミンゴが訪れる湖として有名で、最盛期には湖面がピンク色に染まる程でした。ただ最近は湖の水位が上昇して、フラミンゴが来なくなってしまっのだそう。鳥だけでなく、見る事が難しい白サイの遭遇率が高いです。世界で唯一、絶滅危惧種のロスチャイルドキリンを見る事の出来る場所でもあります。

ケニアのジラフマナー

ケニアで一番人気の場所が、実はサファリではなくジラフマナー (Giraffe Manor) です。首都ナイロビ郊外にある、キリンと一緒に過ごす事が出来るホテルです。朝食会場の窓からキリンが顔を覗かせる姿は本当にシュール。大人気のホテルなので、行きたい方は予約を早めに取りましょう。ただ金額はメチャクチャ高いです。

南アフリカのクルーガー

クルーガー国立公園 (Kruger national Park) は、南アフリカ最大で一番古いの動物保護区です。南北に370km、東西に80kmの広大な土地に147種類の哺乳類、507種類の鳥類(非公式では537種)、114種類の爬虫類、49種の魚類、24種の両生類、49種の魚類、336種の樹木が生息しています。

クルーガー国立公園は南北へ細長く伸びた土地なので、気候や地形が多彩です。その結果、何処よりも多種多様な動植物達が生息するので、クルガー国立公園へ行けばアフリカに生息する動植物の全てが見れるとされています。

クルーガー国立公園は、セルフドライブが可能な事も大きな特徴。自分の車、またはレンタカーで、公園内を自由に走り回る事が出来ます。自分の好きなように好きなだけ動物達を観察できる、他にはない醍醐味です。クルーガー国立公園に関しては別記事で詳しくまとめました。

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